かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠181(中国)

2016年06月16日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子の旅の歌23(2009年11月)【紺】『葡萄唐草』(1985年刊)
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H
    司会とまとめ:鹿取 未放


181 老爺笑み媼は多くきげん悪しき自由市場の干し果肉はも

     (レポート)
 本来なら、老爺は不機嫌で媼は愛想良くしているものなのだが、この場合はどうしたのかな?この時代、自由市場はようやく認められるようになった。自分が作った作物を自分が値段をつけて売ることができるようになった。本来なら「自由に売ることができる」という念願通りの商いであるはずなのに、どうして媼は機嫌が悪いのか?商品の干し果肉を買い手がその出来具合を手で触ってみたりするので不機嫌なのかな?語尾の「はも」は詠嘆であるから、「ああ美味しそうな干しぶどうなのに、あんなに不機嫌なおばあさんの顔を見たら、買う気がしないわよね」とのお気持ちなのか。元来、共産社会では、売れても売れなくても責任は問われないから、売る気があるのかないのかわからない場合が多いように思われ、この場合もまだその名残が顔に現れたのか。(T・H)

      (当日意見)
★楽しい市場風景(T・K)
★日本の習慣やサービスとの違い。ほほえみも習慣で違う。(藤本)
★スケッチ。「はも」の感動も「干し果肉よ」くらいの意味。買うとか買わないとかいう問題で
 はない。おじいさんがほほえんでおばあさんが機嫌悪いのも特別の意味はなく、それを作者は
 面白がって観察しているのだろう。(鹿取)



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