かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

森川多佳子歌集『スタバの雨』

2013年11月19日 | 日記
          
◆森川多佳子歌集『スタバの雨』の出版記念会が21日木曜日に迫った。歌集をいただい
 た時、すぐに読んで下記のような好きな歌を書き抜いていたのだが、コメントを書こう
 としてそのままにしていた。記念会が差し迫った今回は、コメントなしで好きな歌のみ
 あげさせていただく。
 

被爆者を救へざりしを被爆者が悔いる国なりわれの日本は

あめりかの大地愉快に這ひまはる日本原産外来種の葛

目的はかたちを決めるF15・ステルス・アパッチ・バンカーバスター

幼な日に土埃り吸ひしわれの道ネパールにつづきアジアなりけり

試験の子起きてることの証明(アリバイ)に時をり澄んだ口笛をふく

昏るる桜よあけの桜を撮りにゆく息子二十歳のわれしらぬさくら

背骨の手術ひかへし吾娘と観てしまふアナニアシビリの無惨なる背を

同じ母から身障の弟(おと)とわれと生まれ ずるいことかもしれぬと思ふ

ステンレスの汚れ擦れば傷ふかめ無かつたことにならぬ十年

子も夫も瀬戸際を生き逢ふ日には用心ぶかくこころを隠す

聖徳太子の笏の木イチヰ抗がん剤ドセタキセルとなりて吾に入る

髪はわたしのいのちではない そのうち生えると思(も)へば悲しくもなし

胸うちを蝕みしもの取り去ればからだぢゆうから湧くちからあり

死ぬことはたいへんだから生きのびる生きてゐるから少し頑張る


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