かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 『泡宇宙の蛙』16

2017年09月06日 | 短歌一首鑑賞

   ★★「渡辺松男研究」に参加してくださる方を募集しています。
     母胎は「かりん」の鎌倉支部ですが、
     短歌経験の無い方、他の結社の方でもかまいません。
     どうぞお気軽にお越しください。
     場所は鎌倉駅東口2分の「鎌倉生涯学習センター」
     (0467-25-2030)です。
     10月は14日(土)です。

  渡辺松男研究2の2(2017年7月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【蟹蝙蝠】P18
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆
     司会と記録:鹿取未放

16 おおきなる世界のごとくある山毛欅(ぶな)や世界揺すれば水音ばかり

      (レポート)
 「山毛欅や」の「や」は間投詞か。山毛欅のおおらかさを詠嘆しているのだろう。
 その大きな山毛欅の樹の葉を、風がゆすっているのだろう。世界を揺するような山毛欅の大樹の揺れだというのに、山毛欅の葉擦れの音はせず、山毛欅に流れている水音ばかりが聞こえて来たのだという。不思議な一首だ。
 もしかすると水音は、山毛欅を流れる水の音ではなく、山に流れる水の音かも知れないし、自分のうちに流れる悲しみの音かもしれない。わさわさと鳴る外からの樹木の音は届いて来ず、ただ我が裡にひびく水流のみがあるという寂しさ、とも感じた。(真帆)


     (当日意見)
★山毛欅の木って、耳を当てると水の音が聞こえるって言いますよね。木の中に水を蓄えているん
 です。飽和状態になると皮を伝わって水が流れ出てくる。(T・S)
★では、世界揺すればってどういう事ですか?(真帆)
★山毛欅は大きくて、まるでそれ自体が世界みたいなんです。だから風が揺すっているのではなく
 自分が山毛欅を揺すぶるんですね、それが世界揺すればってこと。そうすると水の音がする。
   (鹿取)
★山毛欅だけで完成された一つの世界。(慧子)


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