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魔王 伊坂幸太郎 講談社文庫

2008年09月23日 11時41分52秒 | 書評 小説系
優れた小説ってどういう小説をいうのだろう?

魔王 伊坂幸太郎 講談社文庫




どちらかというと推理小説が好きな僕は、
この次どう展開されるのか、
「犯人」がわかるというような謎解きを
普通の小説にも求めてしまいます。

もちろん、
普通の小説には犯罪が出てこないので、
犯人もいないわけですが、
小説の冒頭で提起されたさまざまな謎が
小説の結末に行くにしたがって
次々と明かされていくというのも、
推理小説的手法だと思うのです。

読み始めの段階で浮かんできたさまざまな疑問が
読み進めていくうちに解き明かされ、
なるほど~と思うところに小説を読む
醍醐味があって、読む爽快感を得られるように思うのです。


確かに、
難解な謎をかければかけるほど
それを解き明かす知恵が作家には要求されますが、
読者が納得するようなストーリーであれば、
その分傑作として評価される可能性も高いように思います。


「謎解き」を読者に任せるような手法は
文学作品としては価値が高いのかもしれませんが、
不完全燃焼のようなもどかしさだけが読者に残って、
読後の爽快感、良質な推理小説を読んだ後のようなすっきり感が
得られないように思います。


「魔王」には、いくつかの謎があって、

なぜ、安藤に特殊な能力が備わったのか?
なぜ、特殊な能力を使うと安藤の体調が悪くなるのか?
犬養はどこまで知っているのか?
ドゥーチェのマスターの登場が唐突で、
マスターにも特殊なの力があるのかないのか?

読んでいる際に生じた疑問が
最後まで曖昧で、安藤がなぜ死んだのかその理由は
結局わからずじまいです。


微妙な描写からそれらを推測せよということ
なのかもしれませんが、読んでいくうちに湧いてきた
疑問が、読み進むうちに解き明かされるであろうと思う期待に
結局答えておらず、この作品は評価が分かれると思います。


もっとも、
小説のテーマ自体には共感する部分もあります。

主人公の安藤が、犬養の政治姿勢やそれを熱狂的に
支持する国民の雰囲気に危惧感を感じたように、
現実を振り返ってみると、
小泉内閣が登場したときの熱狂感や
大阪府でいえば、橋下府政には
同じような「危うさ」を感じます。

大きな流れに主体性なく流されるのでなく、
少し立ち止まって冷静に考えてみる、
そういう思考のあり方もあっていいと
思います。

安藤の超能力のように
物はよく考えているかもしれないが、
自分で言う勇気はなく、
人に言わせてるっていうところが
小市民的発想でかえって共感を呼ぶのかも
しれませんが。

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