色々と廻ってまたジミヘンに戻ってきた
私は最近の音楽が苦手なのだ
やはり、昔のロックやブルースが落ち着く
特にギタリストが注目されていた時代が好きなのだ
ジミヘンのギタープレイには学ぶべき点が多い
聴いているだけでも勉強になると思う
「ギターでこんな音が出せるの?」
古い時代に録音された音源だけにギミック的な要素は少ないと思う
まさにギターの素の音が詰まっているのだ

27歳という短い生涯ながらも良い音源を数多く遺してくれたと思う
動画は少ないが音源は意外に多い
数年前にも埋もれていた音源がリマスターされて発売された
「ジミヘンって何が凄いの?」
ネットで良くみかける質問なのだ
不思議な質問に思える
実は私も若い頃にはジミヘンの良さや凄さが理解できなかった
速弾き命!という時代もあった
私の年代のギター小僧は速く弾けることが美徳だと思っていた
まぁ、そんな時代にギターを弾いてきたのだ
今時の人は速弾きよりもカッティングだろうか?
カッティングを世に広めた功労者の一人にレッチリのジョン・フルシアンテが挙げられる
次世代の三大ギタリストの一人なのだ
多彩なテクを持つが十八番はカッティングだと思う
カッティングで聴衆を唸らせるというのは容易くない
そんなジョンもジミヘンの大ファンなのだ
インタビューでも答えている
実際にジミヘンからの影響が垣間見られる楽曲やフレーズも多い
初期のアルバムではジミヘンのカバー曲も収録していた
ジミヘンのインスパイアされて書いたと思える曲も多い
ジミヘンの凄いところは『伴奏力』だと思う
歌の後ろで弾いているギターの音選びが天才的なのだ
アルペジオでもストロークでもリフでもない
和音と短音をバランス良く弾き分けているのだ
所謂、『コード崩し』と呼ばれるテクなのだ
言葉で表現するのは難しい
当ブログでも音楽的な部分を文章で表現することを難しいと感じることがある
「コード崩しってどんな?」
興味ある方は動画などで検索してみていただきたい
ギターが上手い講師陣が優しく解説してくれる
コード崩しが出来るようになるとギターが楽しくなってくる
こんな組み合わせが最高だと思えてくるのだ

実際のところ、ジミヘンも美しいバラード的な曲ではコンボ系のアンプを使用したようだ
機材に関しては不明な部分も多い
当時を知るエンジニアなどの言葉だけが頼りなのだ
ジミヘンの愛器に『ファズフェイス』がある
あの円盤状の筐体はかなり個性的だと思う
私は小型のタイプを二台ほど所有していた
失敗だった
まるで別物なのだ
スペースを優先させたことによる失敗だった
そもそもジミヘンのように数少ない機材ならばエフェクター一個くらい邪魔にならない
ジミヘンの愛器は三台
ワウ、ファズフェイス、ユニヴァイブ
ファズフェイスは常時Onだったらしい
つまり、ジミヘンのクリーンな音にもファズの歪み成分が含まれているのだ
少し歪んだクリーンの音には色気がある
ロック系の王道的な音だといえる
マーシャルなども絞った音が魅力的だと感じることも多い

ギター側のボリュームで歪み量を調整するのは英国流
米国流はペダルなどのスイッチで音を切り替える
同じロックギターでも音作りや発想がかなり異なるところが興味深い

テクもさることながら、普通のギターでジミヘンの音を真似ることは難しい
ジミヘンは右利き用のギターを逆向きで使っていた
本来の1弦の溝に6弦を張っていた
ナットから6弦のペグポストが一番離れている
私もコピーモデルを弾いたことがあるが弾き心地とテンション感が独特なのだ
アームプレイの際のチューニングの狂いもデメリットだといえる
それでもジミヘンはそのスタイルを貫いた
フェンダーから専用ギターの製作の声かけがあったそうだが・・
ジミヘンは断っていたそうだ
逆さまの使うのでアーム棒の位置も上にくる
アームを動かした際の音の揺れ方も違ってくるという
ジミヘンのファンである私も逆向きのストラトの購入には二の足を踏んでいる
まぁ、興味はあるが微妙な心持ちなのだ
普通のストラトで再現できる部分で良いと思う

ストラトで苦戦していた私に活路(楽しさ)を教えてくれたのもジミヘン
結局のところ、ギターは何か一曲が弾けるようになると楽しくなってくる
ストラトを使った代表的な曲が弾けるだけで世界が広がる
ジミヘンに始まり、レイヴォーンやジェフベックなどの曲もコピーした
とにかくストラトを全面に押し出したギタリストを真似た
ジェフベックがストラトを使い始めたのもジミヘンの影響なのだ
クラプトンもストラトに持ち替えた
ジミーペイジはレスポールを選んだ
ギタリストとしての意地だろうか?
そんなジミーペイジもレコーディングではストラトをはじめとするフェンダー系のギターを好んで使った
天国への階段もフェンダーの12弦で弾いたことは有名な話
ジミーペイジもクラプトンもジェフベックもファズを愛用した
流石にファズフェイスではなかったようだがジミヘンからの影響が垣間見られる
当時のロックの音を再現するにはファズが必須ということになる
粒立ちが粗いディストーションでも代用がきくと思う
少なくとも現代的なドンシャリ系の歪みペダルでは無理なのだ
機材を真似ることはコピーの第一歩だといえる
ジミヘンを真似るのにレスポールは論外
ストラトとファズを用意すればあんな音が出せるのか?
当たり前だが答えはNOなのだ

ギターの音は左右の指が紡ぎ出すもの
機材を揃えればそれで終わりという簡単なものではない
そんなギターの神髄を教えてくれたのもジミヘンなのだ
その少ない機材を知ることでギターの難しさを知った

シンプルだからこそギターは楽しいのだと思う
そこに差別や区別はない
ジミヘンの曲を楽譜に書き起こす際に暫定的にコードをはめ込むことがある
実際のジミヘンのプレイでは不明な和音も少なくない
「これってGなの?」
と思うことも多々ある
ジミヘンのコード(ボイシング)には省略コードも多い
その辺りの足し引きが天才的なのだ
伝わっているだろうか?
名曲は多いがリトルウイングはコード崩しの良い教科書になっていると思う
『ボールド・アズ・ラブ』もお勧めの曲なのだ
とにかくバッキング部分が秀逸なのだ
もはや複雑過ぎて耳コピは不可能だと感じる
私も素直に楽譜を入手した
他人の手癖を真似るのは本当に難しい
ジミヘンの場合はなお一層だと感じる
ジミヘンを真面目にコピーしたことで気づいたことがある
ジミヘンは『経過音』使いの天才だということ
経過音とはコードとコード連結する際の音
コードチェンジをより自然に聴かせる音ということになる
経過音で検索してみていただきたい
分かり易い動画などにヒットすると思う
ジミヘンはそれを自然に行っているのだ
経過音の使い方が上手いプレイヤーはまだいる
ビートルズのポール・マッカートニーもそんな一人なのだ
ポールのベースラインがカッコいい理由はそこにある
ベースを始めたばかりの頃に良くコピーしていた
コードのルート音を8ビートで刻むようなプレイとは異なる
流れるようなベースラインが美しい
弦が6本あるギターの得意技はベースラインと和音&短音を別に弾き分けられること
複雑なバッキングを弾きながら同時に歌うジミヘンは天才なのだ
情報が少ない当時は別にギタリストが別にいると思われていた
つまり、ジミヘンというボーカルの後ろで弾いているギタリストが存在すると思われていた
ジミヘンが渡英した最初のライブを観た観客は腰を抜かしたという
クラプトンもそんな一人だったようだ
「俺、プロ止めるわ・・」
という突然の申し出で当時のマネージャーを困惑させたようだ
一流のギタリストは侍のような魂を持っている
ギターが上手い人はどんな場面においても潔い
音楽で勝ち負けを表現するのも何だが・・・
やはり、そこには差があると思う
時に潔く負けを認めることで伸びることもある
クラプトンもそんな一人なのだ
ライバル関係にあった二人は後に友達になっていく
クラプトンもジミヘンのカバー曲を良く演奏していた
ジェフベックもカバーしていた
唯一、ジミーペイジは反旗を翻していたように感じる
これも一流プロの意地だと思う
兎にも角にもジミヘンが与えた影響は計り知れない
ジミヘンが構築したコードの美学を味わうように楽しみたい
アンプ直でも半日くらい遊べるのだ