citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

灼熱という温度

2007-11-24 18:50:09 | 日記
レポートをどうにか片付けて、でもまだ2つほど課題が残されており、これから増える可能性も無きにしもあらずです。
とか書いておきながら、今月は結構本を読めています。3冊ほど読破しました。

とりあえず今日紹介する作品は…『マラケシュ心中』中山可穂(著)です。
主人公は、その道では名の知れた歌人:緒川絢彦。そして、彼女の恩師と結婚した女性:小川泉。
絢彦は女性でありながら女性しか愛せず、恋から短歌を生み出します。
泉は男性との恋愛経験があり、絢彦の恩師である小川薫風氏と結婚しています。
2人が出会ったのは、絢彦が会員である“涙の谷”という短歌の結社の歌会でした。そこで泉は憧れの歌人である絢彦を知り、絢彦は泉を最も愛すべき女性だと感じ取り、まさに茨の道を行く恋が始まってしまったのです。

不倫な上に同性愛となれば、案の定とても不安定で、途中何度も絢彦と泉は別離の危機と直面します。
絢彦の独占欲、泉の揺れる心。文章となって描かれたその様子から、2人の燃え上がる恋の温度が伝わってきました。叶わない可能性が高い想いを抱えても、抱きしめられずにいられない…それらがタイトルにある、マラケシュの砂漠を想像させます。ハードカバーの表紙は、女体の滑らかさを感じさせる砂漠の写真です。
乾くほどに熱くなる愛は砂漠の赤い砂、絶望的な現実に直面した時の深い悲しみ、憎しみは遠い青い空、そんな風に写真を読み取りました。
茨の道をこれでもかと踏みしめてたどり着いた結末には、一輪の野ばらが咲いたような、怒涛の末の安堵感を得られます。
個人的にすごく好きな小説の一つになりました。以前、一度だけ読んだ事があるのですが、その時よりも色々感じるものが多かったです。

電気カーペットの上でゴロゴロしながら読書を楽しめる季節になりました。。。



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