ツイッターにて、三つのツイートにまとめた詩です。
梅雨入りも間近な今日この頃の雰囲気を、BL詩として書いてみました。
仏壇や線香が身近な存在と言いますか、あの世とかこの世とか、ついつい使いがちなモチーフです。
タイトルは「雨傘レコード」です。
………………
「雨傘レコード」 そらしといろ
仏壇に供えた
小さなメロンの
だんだんに熟れて
線香の匂いに染まる
あの世の食べ物となり
その果実をすすり食らう
僕があなたへ近づく儀式
喉に経文と甘く苦い汁を
まとわせる梅雨の走り
細い雨のなだれる窓
あなたの傘がある
傘立てのなかの
停滞する時間
あなたの傘をひらいて
小さな庭に降り立つ
傘を転げてゆく細い雨の音
あなたの手に馴染んだ
木製の持ち手の滑らかな曲線
雨と土埃の混ざった匂い
腐りかけたメロンの匂い
身体のなかから染められゆく
あなたの手に馴染んだ
僕の皮膚や骨や関節の並び
きちんと整えて待つ
あの世へ続く階段の前
あの世と名指しつつも
この世と変わらない世界を想う
常春の花畑は描かずに
懐かしく古びた此処があるよう
透明に遥かな階段の前で祈る
あなたは此処にもまだ居るから
魂の半分は雨に紛れて
僕の鼓膜へ囁く言葉の崩れゆく
成立しない話の温かさ
雨を慈しむほどあなたが鮮明になる
梅雨入りも間近な今日この頃の雰囲気を、BL詩として書いてみました。
仏壇や線香が身近な存在と言いますか、あの世とかこの世とか、ついつい使いがちなモチーフです。
タイトルは「雨傘レコード」です。
………………
「雨傘レコード」 そらしといろ
仏壇に供えた
小さなメロンの
だんだんに熟れて
線香の匂いに染まる
あの世の食べ物となり
その果実をすすり食らう
僕があなたへ近づく儀式
喉に経文と甘く苦い汁を
まとわせる梅雨の走り
細い雨のなだれる窓
あなたの傘がある
傘立てのなかの
停滞する時間
あなたの傘をひらいて
小さな庭に降り立つ
傘を転げてゆく細い雨の音
あなたの手に馴染んだ
木製の持ち手の滑らかな曲線
雨と土埃の混ざった匂い
腐りかけたメロンの匂い
身体のなかから染められゆく
あなたの手に馴染んだ
僕の皮膚や骨や関節の並び
きちんと整えて待つ
あの世へ続く階段の前
あの世と名指しつつも
この世と変わらない世界を想う
常春の花畑は描かずに
懐かしく古びた此処があるよう
透明に遥かな階段の前で祈る
あなたは此処にもまだ居るから
魂の半分は雨に紛れて
僕の鼓膜へ囁く言葉の崩れゆく
成立しない話の温かさ
雨を慈しむほどあなたが鮮明になる