citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

【刀剣乱舞×詩】襟巻に北風を巻きこんで【 #刀剣詩】

2016-02-04 16:13:40 | 二次創作詩=漫画/アニメ/ゲーム×詩
昨日は節分、今日は立春。暦の上では春というやつです。
秋田藤四郎が以前仕えていた主は晩年、自宅での謹慎を命じられてずっと外へ出られなかったそうです。
とすれば、秋田君が外へ出られることやお土産話を喜ぶことは、前の主ができなかったことを代わりにやってあげているのかなぁ、なんて妄想が捗るわけです。
桃色の髪と空色の眼も、なんとなく、屋外や春をイメージさせます。
とはいえ、2月はまだまだ寒いので、季節の境目を秋田君視点で書いてみました。
タイトルは「襟巻に北風を巻きこんで」です。

………………

襟巻に北風を巻きこんで/そらし といろ

「春が来るよ」
誰かの訪れを期待するように
今日も誰かが口ずさむ
季節には足があるのだろうか
もしかすると羽根かもしれない

凍って動かない
窓硝子に滞在している冬
吐く息の白さを硝子に溜めて
指で描いた花の形の窓から覗く

庭の山茶花は散って
梅の枝先はほの明るい
空は曇りがちの日が続き
あともう一回雪を降らせて

冬は去ってしまうのだろうか

「冬が去るよ」
誰もそうは言ってくれない
また訪れるからと
挨拶も見送りもせずにいる
たぶんそれなりに寂しい別れ

寂しさを寂しく受け止めたい

冬のお見送りをしたくて
火鉢にあたり半纏を着て
それから
吐く息の白さを硝子に溜めて
指で書いた冬の日のできごと

今度いらっしゃるときは
お迎えに行きますね