citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

母という現象

2013-06-11 21:26:41 | 日記
自分の母のことではないが。

今日は近所の皮膚科に行った、口唇ヘルペスがなかなか治らないので薬をもらいに。
病院は、建物からして昭和を継続したような雰囲気で、薄暗い待ち合い室とコンクリートの壁が湿気ていた。
私より先に、3~5歳くらいの女の子を連れた母親が診察室に呼ばれ、入って少ししたあと女の子の悲鳴が病院いっぱいに響いた。恐らく痛かったか何かだろう、しょうがないことだ。

暫くしてその母娘が診察室から出て待ち合い室へ戻ってきた、途端、30歳前後の母親の鋭い声が待ち合い室にこだまする。

母「●●ちゃん、ちゃんとこっち向いて、お母さんの目を見て聞いて。」
娘「……。」
母「この怪我を治してくれたのは誰ですか、」
娘「……。」
母「照れて誤魔化すのは恥ずかしいことでしょ、いっぱい血が出ていたのを止めてくれたのは誰ですか、」
娘「……先生。」
母「次、先生に診てもらったらちゃんと有難うございますって言いましょう、そうしたら気持ち良いでしょう?」

まだ若そうな母親だったが、躾のあるべき姿を目の当たりにした気がする。
待ち合い室に居た他の患者も静かに、その母親の言葉を聞いていた。
その場で物事・礼儀の良かったこと、悪かったことを、褒めたり叱って指摘するのは、難しいことだと思う。周りには他人の目もあるから余計に。
だが、娘にとってはその場で叱られることが大切なのだと感じた。

私自身は、子どもや母や女という縛りは苦手だ。
でも、苦手なものでも、あるべき素直な光景を見て、悪い気分にはならなかったし、古びた病院にはむしろ清々しさが漂っていた。