言えないでしょう!
インドの人に日本のカレーを食べてもらうと概ね好評のようですが、
「この美味しい日本食は何という料理ですか?」と聞かれるという笑い話がありますよね。
それに、神聖な生き物である牛の肉を使ったビーフカレーなどは、
敬虔なヒンドゥー教の信者であれば気絶してしまうかもしれない暴挙ですよね。
更に、我々が幼い頃から親しんでいるケチャップ味のスパゲッティー・ナポリタンも、
ナポリの人には想像も付かない料理であり、パスタを使用した完全な日本食ですね。
それにイタリア料理と何の関係の無いタバスコを掛けるとか・・・
似たような現象が今回のネタ。
既にアメリカのお鮨屋さんでは定番メニューになっているカリフォルニアロールを始め、
ソフトシェル・クラブを揚げて、足がはみ出るように巻いたスパイダーロール、
マグロやサーモン、エビ、アボカドなどを虹のようにキレイに並べて巻いたレインボーロール、
スモークサーモンとクリームチーズを巻いたフィラデルフィアロール等、
中々良いアイデアで美味しい物も多いのですが、
このように食物はその土地の素材や文化で進化して当然なのでしょうが、
日本人としては”それはSUSHIと呼んじゃダメでしょう!”と言いたくなる物も増えてきましたね。
それにしても今回ご紹介する写真の”Extra Spicy Tuna Roll"を見つけ、
それも日系マーケット内ですよ! ビックリしたというか、呆れてしまいました。
以前から豆板醤などを使い辛く和えたマグロなどで
”スパイシー”系の巻物を作るお店はありましたが、
さらに大量の唐辛子を振り掛けるなんて、これを絶対にSUSHIと呼ばないで!!!
辛いものが食べたければ他のエスニック料理店へ行って欲しい、と言うか
こんな物を日系のスーパーが売ってはダメです。
まずは白身から始めて、徐々に味の濃いものへ・・・・
と、偉そうな薀蓄をたれるのは好きではなく、好きな物から食べれば良いと思いますが、
こんな物一口食べたら口の中は麻痺して、
あとは何を食べても味なんか関係無くなってしまいますよね。
もちろん、一緒にダイエットコーラでも飲みながら食べるのでしょうが・・・・。
こんなゲテモノが本当の鮨を知らない人に”鮨”として食べられてしまう事が
残念というか怖いです。
仕入れや下準備に細心の注意と努力を払い伝統的な技と心で作られた美味しいお鮨を
日本人としては伝統の食文化として末永く残したいです。
我家には僕の曽祖父の代から通っている創業100年程の鮨屋があり、
息子達も帰国した際に連れて行きましたので5代に渡り贔屓にしています。
仕事でアメリカ人を東京へ案内した際にも連れて行って
本物のSUSHIを伝えましたし、アメリカ生まれの息子達にも
我家の鮨の基本となるのは、ここの味だという事を教えてあります。
最近はアーバインにも回転寿司店が何軒か出来て家族で食べにも行きましたが、
お腹はいっぱいになっても、何か満足できない気分です。
アメリカにも、日本で修行をされて素晴らしいお鮨を握る職人さんがいらっしゃいますが、
久し振りに本物の江戸前鮨、ただ刺身を乗せただけの握りではなく
きちっと仕事をしたコハダや煮蛤、煮アナゴが食べたい!という気分になって来ました。