BOXING観戦日記

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WBC世界ウェルター級タイトルマッチ アンドレ・ベルトVSスティーブ・フォーブス

2008-10-27 22:29:07 | Boxing
ベルト ユナニマスディシジョンで王座防衛

注目株のベルトの初防衛戦だったが、目立った固さは見られなかった。
相変わらずスピーディーでパワフルな連打を繰り出すが、
この試合では相手のslicknessとelusivenessに誤魔化された感じ。
スピードとパワーが並立しているが、まだ両立しているとは言えない段階だ。
持ち前のathleticismを活かしてコンビネーションをバンバン撃ち込み、
相手に効かせたら一挙に攻め落とすというスタイルも悪くないが、
被弾を警戒するあまり、あと一発が出ない場面も見受けられた。
自分にとって気分がいいボクシング、つまり自分のスタイルを崩さずに戦えれば、
団体統一を目指せるスーパースターになれる。
が、この階級のトップ戦線ではあの手この手で試合の流れをコントロール
してくるタイプ、問答無用のプレスやパンチ力で主導権を奪ってくるタイプが
目白押しである。
ベルトには今後2つの路線が考えられる。
現状のような身体能力をフルに活かしたボクシングか、
それとも一度基本に立ち返ってリードブローをレベルアップさせるか、だ。
陣営がどちらを選ぶのかは分からないが、せっかくのスーパースターの卵。
調子に乗ったマッチメークで潰してしまわないようお願いしたい。

デラホーヤに仮想メイウェザーとして指名されたフォーブスだったが、
今度はメイウェザーコピーに指名されたという訳か。
若造になめられてたまるか、という心境だったろうが、
ボクサーとしての身体能力の差は歴然。
それでも勝負になってしまうのはその卓越した技術の賜物。
ベルトのボクシングが比較的素直なために余計に前述のあの手この手の部分が光った。
唯一優っていたのはジャブの使い方。
左足の踏み込みと膝の屈伸、つま先の蹴り、さらに上体の前傾から肘を下に置くか
外向きに突き出して打つかなど、あの手この手でベルトの射程を狂わせ、
相手のスピードに対抗した。
ワン・ツーにはダッキング、左右フックにはガード、アッパーはもらってしまったが、
懐に潜り込んでパパパーンとボディに返して即離脱と、やられっぱなしはとことん拒否。
リスクの少ない相手として指名された挑戦者の意地を見せる以上に、
成り上がりを目論む新鋭にボクシングを教授するベテランの一面が垣間見えたように思う。
でも、フォーブスがウェルター級のgatekeeperかと言われると違和感を覚える。