BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

IBOライト級王座決定戦 ファン・ディアスVSマイケル・カチディス

2008-10-07 13:59:29 | Boxing
ディアス スプリットディシジョンで勝利

採点が割れるような試合ではなかったと思うが、オフィシャルのスコアは割れた。
まあ、ボクシングでは良くあることのひとつ。

無敗ボクサーが黒星を喫した後の復帰戦、ハットンに当てはまったことだが、
J・ディアスにも当てはまった。
自分のボクシングをしようとしながら、どこか、何かがズレているという状態。
この日のディアスに関して言うならば、躍動感の欠如、リズムの欠落。
腰の入ったパンチ、柔軟な体から次々に繰り出される連打など、
相手の無防備さも手伝ったが、ビシバシ決まっていた。
こんなに的確に打てる選手だったのか、と軽く驚いた反面、
打っては様子を窺って、打っては相手のダメージを測って、と、
以前のような相手をどんどん後退させるようなtenaciousな連打は出なかった。
ノックダウンを奪えないのはパンチが軽いからか。
こればっかりは鍛えてどうにかなるものではない。
この勝利で以前に持っていた自信を取り戻せばいい。

敗れたカチディスだが、この負け方は人気に影響するかもしれない。
キャリアの面では、前回同様に様々なことを学ぶ良い機会になっただろうが、
この選手の真骨頂は打って打って打ちまくって倒す、
あるいは打ちに行って豪快に倒されるところにある。
カサマヨル戦の3度目のダウンは「カウンターはこうやって喰らえ」という
お手本のようなシーンだった。
中途半端に足を使ったり、ジャブを打ったり、もみ合いから相手の肩にアゴを
押し付けたりするのは似合わない(というか不細工だ)。
この選手には得意な距離やタイミングというのが無いのかもしれない。

遠距離:当然のごとくダメ
中距離:やっぱりダメ
近距離:得意そうに見えてショートのアッパーやフックは苦手、というか出せない

という困った選手。
亀田長男と坂田が同時にダブって見えたという視聴者は結構いたのではなかろうか。
結局、ボクシングセンスが無いという結論に落ち着くわけだが、それだけで切り捨ててはいけない。
今こそガッティのような激闘王が求められており、
その後釜に座るとすればこのカチディスしかいない。
まあ、ガッティはカチディスより遥かにボクシングセンスはあったけど。

WBOラテンアメリカS・フェザー級王座決定戦 リカルド・フアレスVSホルヘ・バリオス

2008-10-07 13:32:25 | Boxing
フアレス 11ラウンドTKO勝利

左ジャブが速く正確になっていたが、持ち味だった左フックは明らかに減ったロッキー。
バレラ、マルケスに通用しなかった点を踏まえての修正なのだろうが、
以前より小粒になってしまったという印象を受けた。
相手の打ち終わりや打ち出しにカウンターで放つ左フックは、
的確性と威力の両方を併せ持っているように見えるが、
バレラやマルケスのような安定感とリズムを持ったボクサーには当たらないと見る。
足りないのは技術面ではなく、やはり運か。
この日は相手に恵まれたが、世界戦の相手との相性はどうなるのだろう。

野放図さではフアレスの遥か上を行くバリオスだが、
打って強い、打たれて弱いではおのずと限界は訪れる。
ローブローによる減点1×2はレフェリーが厳しすぎると感じたが、
リング内だとこの選手のぎらつくような野性味を肌で感じるのかもしれない。
「こういう奴には口頭で警告してもダメだ、減点しないと」というふうに。
ワン・ツーからの左ストレート、逆ワン・ツーなど、左を強く当てたいという
意識が見て取れるが、カウンターの左フックとアッパーに阻まれた。
ダメージが蓄積してきても「倒される前にブッ倒してやる!」という気迫は”買い”だが、
ディフェンスに難がありすぎた。
あんだけ口腔から出血してしまってはドクターもレフェリーもストップするしかない。
続行という判断もあるいは可能だったかもしれないが。
精神が肉体を凌駕するのは漫画の中だけの話ではないからだ。
が、現実世界でそうそうお目にかかれるものでもない。
結局はあのダウン後のストップが一番望ましいのだろう。