BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA・IBF世界フェザー級王座統一戦

2010-10-11 22:48:35 | Boxing
WBA王者 ユリオルキス・ガンボア VS IBF王者 オルランド・サリド

ガンボア 判定勝利

考察 ~ガンボア~

「調子に乗る」と日本語で言った場合、受け取り方は二通りあると思う。
すなわち「図に乗る」の意と「調子の波にうまく乗る」の意と。
この日のガンボアは言うまでもなく前者で、
いつも hit & break away の away ではガードが下がるが、
この試合では上げるつもりがなかった。
そこに呼び込んで打たせてカウンターを取る意図もなく、
ただ相手を舐めていただけ。
パンチ自体も90%が手打ちで、これはいわゆるパシャパシャのパンチではなく、
意図が込められていないパンチという意味。
それでもクリーンにヒットし、時にダメージを与えるのだから
評価できないわけではないが、10ラウンドまでその調子では
やはり相手を舐めていたと評されても仕方ない。
もちろんそれだけの力量差は認められたが、
早い段階で相手を見切ってしまった時に、
逆に一発でダウンさせられる絵がまぶたにちらつく。
そうなった場合には意識が朦朧としたままながら
本能的な部分で倒し返す予感も漂うのだけれど。

管理人がそれよりも気にしているのが、ガンボアのスタイル。
目と身体能力への依存度が高すぎるボクシングを
キャリアのどの時点で修正していくのか。
2年後はいいとしても5年後は?
それとも28歳や30歳で引退か?
ガンボアは試合、練習中のアクシデントで古傷と呼べるようなものを作ってしまうと
ボクシングスタイルを一気に崩壊させてしまうかもしれない。

コルテスの「一見」不可解な裁定に救われたが、
下手したら最終回に失格を宣告されていた。
今の方針・方向で成長させて本当に大丈夫か?


考察 ~サリド~

トランクスの丈のあまりの好対照にベテランvs新鋭以上の図式が見られた。
待ち構えても良し、追い掛けても良しとのイメージと戦略で臨んだはずだが、
初回でゲームプランは通用しないことが判明。
それでもプランに忠実に打ちにいくが、
相手の左フックにはカウンターを撃てず、右はスリップできず、
バックステップにパンチは届かず、追っても距離は縮まらなかった。
若造に舐められていることを知って相当カッカしていた部分はあったと思う。
その象徴が9だか10ラウンドのゴング後。
明らかにガンボアが先に手を出したように見えたが、
律儀に応戦するあたり、相当に血圧が上がっていたのだろう。
また最終ラウンドはラビットパンチをしっかりアピールしたりと
勝利への執念は衰えを知らなかった。

ゴング前に王座剥奪とか言うけどIBFも頭固すぎじゃなかろうか。
管理人はかつて某温泉のサウナで友人と減量合戦をしたことがあったが、
その時は確か55kgスタート。
2時間強でめまいがして思わず備え付けの水道から水をグビグビ飲んでしまったが、
それでも1.7kg減量できた。
その後は当然ソッコーで2kg戻しましたとも。
10lb増やすことなどSバンタムあたりでも楽勝で、
Sフライでも一晩で4kg強戻すのは珍しくなかろう。
○日前計量、△日前計量などには賛成できるけどね。

WBA世界ライト級挑戦者決定戦

2010-10-11 22:11:30 | Boxing
ブランドン・リオス VS アンソニー・ピーターソン

リオス 7ラウンド終了時失格勝ち

考察 ~リオス~

初回のボクシングではスピードとパンチのキレでわずかな、
しかし確実な差を見せつけられたが、2ラウンド半ばの
ショートの右アッパーで形勢を自分のものにした。
特定の距離、この選手は近距離で強さと上手さと柔軟さを見せるが、
それは長すぎないリーチと打たれ強さ以上に、
この選手の育った環境にあるのだと思われる。
ハイスクール時代では喧嘩で鳴らしたというような粗さはなく、
右ショートアッパーと左フックは目で捉えてではなく、
実戦で掴んだ感覚で当てていた。
ライト級戦線にまたひとり好戦的なファイターが生まれたわけで
マルケス戦よりカチディス戦が見たい。

デラホーヤのキャリアにおいて象徴的だったが、
このようなルーツを持つ選手が現れてくるほどに
アメリカ社会の均質化と差異化が見えてくる。

考察 ~ピーターソン~

5ラウンドのダウンはその直前にボディを効かされたから。
顔面をフリーにしてしまった瞬間にもらってしまったが、
アゴの強さとメンタルの強さが反比例するのは黒人選手の特徴なのか。
ボクサーファイターもしくはボクサー型であることを裏付けるかのように
ブロックを自分の正面のみに置き、中~近距離では面白いように
左フックと右アッパーを被弾した。
ディフェンスにおいては世界戦線レベルではなかった。
では攻撃は?
肘の角度をビシっときめた左右フックは体幹のバネが効いているが、
シューズがリングを噛んでおらず、この相手にはダメージングブローたりえなかった。
効いてしまった時の対処にローブローというとプエルトリカンの専売特許かと
考えていた時期もあったが、よくよく考えればそんなはずはない。
結局出てくる相手を止め切るだけの攻撃・防御のオプションを持たなかったということ。
非常に残念な人材だ。
2年後にWOWOWで会えるといいね。

WBO世界フェザー級挑戦者決定戦

2010-10-11 21:59:42 | Boxing
ダニエル・ポンセ・デ・レオン VS アントニオ・エスカランテ

レオン 3ラウンドEffectiveKO勝利

考察 ~レオン~

ドスンパンチの重さばかりに目を奪われそうになるが、
その重さを生み出すボディメカニクスに注目せねばならない。
右足の踏み込みを右膝で受け止め、そのkinetic energyを右腕に伝え、
戻しの勢いを左に伝えている。
一見してカウンターの餌食になりそうな瞬間も作るが、
右脚の角度がフェイントと牽制、そして懐の深さを作りだしているので、
よほどのスピード差がないかぎりは被弾はなさそう。
ただし、現フェザー級のトップどころはスピード豊かな選手ばかり。
ディフェンスにレベルアップが見られなければ2階級は厳しいかもしれない。
フィニッシュとなった右フックは長谷川がフェザーで撃てるかどうかを
試される、期待されるパンチだった。


考察 ~エスカランテ~

ガードが固い相手にパンチを当てるにはどうするか。

A 強打でぶち破る 
B 相手に打たせる
C 手数で押す

エスカランテはCを選択し、特にショートアッパーに冴えを見せた。
前進を伴う連打では自身にカウンター被弾の危険性(相手にもよる)があるが、
よくこの元王者に向かっていけたと思う。
ただ、初回から重圧に押されてボディを効かされたのは痛かった。
あっさりKOされたかのようにも見えるが、
フェザー王者時の粟生よりもハイレベルに見えたのは過大評価か。
試しに日本に呼んでみようと考えていい選手ではない。