BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界フライ級タイトルマッチ

2009-10-06 23:18:41 | Boxing
王者 デンカオセーン・カオウィチット VS 挑戦者 亀田大毅

デンカオセーン 判定勝利

考察 ~デンカオセーン~

右の拳に故障でも抱えているのかというほど
upstairsへのパンチはナックルが返らなかった。
下がる相手、脚を止める相手には腕も拳も伸びるだろうが、
大毅のように上体を高いガードに丸めこむ相手には
さっぱり通用しなかった。
一方でダメージングブローになりえなかったが、右ボディを効果的に打ち、
相手の左の切り返しをスウェーで外し、相手の攻撃はもみ合いとクリンチでしのいだ。
メリハリのなさゆえにポイントは取れなかったが、逆にポイントを渡すこともなかった。
世界王者としては不細工にもほどがある戦い方で、
徳山の洗練された膠着戦、坂田のイケイケ泥試合と比べ明らかに質が落ちる。
6ラウンドでガス欠になったことから練習不足は明々白々。
Cliff Roldが大毅の中盤以降のTKOを予想したのもなんとなく肯ける。
ただひとつ王者らしさを見せたのはring generalshipの面。
クリンチから相手の背後にたびたび回り込むムーブを見せたが、
これは時に余裕を印象付ける(本人にそんな意図はないだろうが)。
若き挑戦者が再三首を傾げていたのと合わせて、
臭いラウンドを呼び込むことに結果的に成功したようだ。

清水ではどこかで捕まると思ったがあっさりポイントアウトできるかも。
久高もリベンジに燃えていることだろう。
サウスポーならばランクさえあれば翁長が挑んでも面白い。
もちろん興毅も打倒デンカオセーンの候補となりうる。

考察 ~大毅~

勝つためにあらゆる手段を尽くした。
その点は認めざるを得ない。
残念なのは勝つための手段が王者よりもさらに限定的だったこと。
左フックを力強く奮うのはデビュー以来一貫したスタイルで、
右が成長したとの戦前のコメントは左に継げる右を撃てるようになったの意で、
発言の趣旨は西岡と同じくしていた(つなぎはぎこちなかったが)。
ただ、ガードを保つために上腕三頭筋に力が入りすぎており、
得意の左もフォームの力強さとは裏腹にインパクトが弱い、
というよりもlaunchからconnectまですべて100%で打つため、
硬い、あるいは痛いだけで効かせられない。
パンチ力がないのではなく、パンチ力を活かせていないのだ。
以前にも述べたが、日本タイトルを目指し、ライバルと呼べる人間を持つべきだ。
一足飛びに世界を狙っても、今のままではキャリア不足。
robustなフィジカルだけではどんな穴王者であろうとも善戦止まりになってしまう。
それはあまりにも惜しい。

この男は一度失神KO負けしてみるのがいいのかもしれない。
長谷川とガチスパでやり合い、目が覚めた時にはスツールで介抱されていた、
という経験を積むべきだ。
真の強者との実力差を思い知り、悔し涙を流すことで本物の成長を遂げる気がする。
とにかく大毅はあの父親から独立不羈を勝ち取るべきだ。