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BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBAスーパーフライ級タイトルマッチ

2012-09-02 22:57:39 | Boxing
テーパリット・ゴーキャットジム VS 挑戦者 名城信男

テーパリット 2-0判定勝利

考察 ~テーパリット~

意外というか当然というかジャブが冴える。
フィリピン人はあまりジャブを打たず、その代わりに左右とも伸びる印象。
タイ人はストレートこそ伸びないが、ジャブを間断なく出し、左右フックが鋭い。
一発は(強く打てば)名城よりもありそうだ。
ディフェンスは時にルーズで、アゴの強さでも持ちこたえている部分もあるが、
ボディを嫌がるところはこれまでにも少し見せてきた。
ムエタイ出身ではないのかな?
大毅戦でも清水戦でも左フックに大して上下共に無防備になる瞬間があり、
今後の挑戦者は間違いなくその瞬間を突いてくる。
若い割には終盤に失速傾向があり、スタミナに問題ありなのか、
ペース配分に改善の余地ありなのかは、次戦で明らかになりそう。
2度のテーピング直しの時間稼ぎから見て8割がたスタミナ難だろうが。

fightnewsでジョー小泉が過去10年では最高のタイ人の一人で、
スピード、技術、パワーでポンサクレックを上回ると評し、
チャチャイもしくはウィラポンの再来になるかもしれないと述べている。
そこまで絶賛されるべきかについては現時点ではやや懐疑的だが、
デンカオセーンみたいになる雰囲気は嗅ぎ取れない。
若さとは常に可能性と同義だからか。
年末に亀田兄弟といずれと対戦してもKO~大差判定勝ちが期待できそうだ。


考察 ~名城~

厳しい見方を押し付ければ、名城が取ったのは1、2、12ラウンドのみ。
これが管理人の採点。
最初の2ラウンドこそジャブをバシバシと打ち、
右を打った切り返しのモーメントで左フックをボディに効果的に当てていたが、
王者が大毅、清水戦でも見せたサイドステップからのジャブ連打でのリズム作りからは
どっぷりと相手のペースにハマってしまった。

解説の徳山が苦言を呈していたとおり、とにかく判で押したように正面でジャブを食い、
ジャブを食うほどに、それを食わないようにと正面で見すぎてしまう。
結果、手が出ない、足が止まるという悪循環。

最短で世界を獲得してしまった故に、ほぼ世界戦と陥落後の調整試合だけで
キャリアを形作らざるを得ず、技術、戦術に幅と深みが足りない。
それらを生み出すためのマッチメークをする余裕がなかったということだろう。

最終盤の王者陣営の時間稼ぎ策に声を荒らげていたが、
そんなところで体力を使ってどうする。
よく攻めてはいたが、ジャブもフェイントも見られなかった。
世界戦レベルではそれでは当たらない。
フライデーだかの八重樫のインタビューを読んだが、
フロッチ同様に「クールにキレる」メンタルが強いボクサーには不可欠。
残念ながら名城にはそれが無い。

これ以上は体を痛めつけるだけ。
グローブを吊るして若い世代に道を譲ってほしい。
愚直さはリング内では必ずしも美点たりえるわけではないが、
今後の人生においては必ず美徳となるはずだ。

予想 WBAスーパーフライ級タイトルマッチ

2012-08-31 11:58:37 | Boxing
王者 テーパリット・ゴーキャットジム VS 挑戦者 名城信男

予想 テーパリットの中終盤KO勝利

名城敗北予想の判断材料としては、スリヤン、ロハス戦がある。
この二人は分類すればslickなボクサーで、
一本気で直線的な名城のボクシングと相性が良かった。

また王者有利の判断材料としては亀田大毅戦、清水戦がある。
日本人ボクサー、そして日本の地に苦手意識など皆無だろう。

管理人は現時点では残念ながら名城を評価していない。
亀田大毅と戦っても順当に判定負けすると考えているぐらいだ。

伸び盛りの若手王者と世界戦の敗北経験豊富なベテランとなれば、
この予想に落ち着いても仕方がないかなと思う。
それでもラストマッチともなれば観に行きたい。

誰か仕事代わってくれーーーー!

IBF世界Sミドル級タイトルマッチ

2012-08-26 00:57:41 | Boxing
王者 ルシアン・ブテ VS 挑戦者 カール・フロッチ

フロッチ 5ラウンドTKO勝利

考察 ~フロッチ~

初回ゴングからの90秒のfeel outから、
左フックの着弾でブテが一瞬狼狽したのを
見逃さなかった、もしくは敏感に感じ取ったのだろう。
戦う前の段階では冷静に相手の力量を互角もしくは少し上と
見積もっていたと考えられるが、その分析はこのわずかな時間で
正しく修正されたようだ。
徳山昌守氏はかつてインタビューで
「相手の力量は向かい合って30秒で大体分かる」と語っていたが、
この夜のフロッチもまさにそんな感じだったのだろう。

肩幅・胸板がありながら、リーチが数字以上にありそうに思えるのは、
アゴを常に引いて、脇を絞っているからだろう。
浜さんは右の一発を強調するが、フロッチの隠れた本質はジャバーだ。
この試合ではそのジャブをフェイント(おそらくブテ=対戦相手にしか見えない)を
多用して、対サウスポーの定石の右をとことん的中させた。
でなくば、あれほどのカウンターパンチャーが
これほどまでに打ち込まれるはずがないではないか。
コンビネーション最初に着弾した右の一撃は
全てブテがガードを上げた瞬間にその隙間にぶち込んだもの。
ガードをぶち破ったのも数発あった。

攻めの部分ばかりクローズアップしたが、
ブテからの左アッパーをボディにも顎にも一発受けていないのは大きい。
当たらなかった、打たれなかったではなく、打たせなかった。
これもおそらく相手にしか見えないフェイントで
ヒットポイントを見出させなかったのだろう。
カウンターの左はフック、ストレートで連打の最中に
数発ジョーとテンプルに食ったが、
それでガクっとくるやわなタフネスでもなかった。

弱った相手を目の前にするとついつい飛び掛ってしまうのは
ボクサーの習性だが、vsテイラーの最終ラウンド同様に、
フロッチは仕留め時でも冷静さを失わない。
一番の強みはこの『クールに切れる』メンタルかもしれない。


考察 ~ブテ~

サウスポーのカウンターパンチャーで地元で連続防衛。
統一戦あるいはそれに類するレベルの試合に敗れるという
まるで長谷川を想起させるそのキャリアはしかし、
決してunderdog hunterではなかったと信じたい。

カウンターパンチャーは入念なフェイントを織り交ぜるタイプ(J・カサマヨルなど)と
相手のパンチそのものに合わせていくタイプ(N・ドネアなど)の2つに大別される。
ブテは当然前者で、これまでは面白いように相手を引っ掛けたが、
今度は自分が豪快に釣られたようだ。
サウスポーが往々にしてサウスポーに弱いように、
カウンターパンチャーもフェイントマスターに弱いのか。

効いた時に真っ直ぐ後ろに退くという動きにキャリアの底浅さを見た気がする。
フットワークに長けたボクサーが真っ直ぐ下がるのは気持ちが折れた時に他ならず、
vsA・マルガリート1の11ラウンドのコットが最も分かりやすい。
またはvsパッキャオ3のモラレス、vsテーパリットの清水など。

アンドラーデ1以外に効いたことすらなく、
その後あまりにも順調に勝ちすぎたがために
伸びしろを伸ばせなかったか。
M・アリの至言「あまりに順調に勝っているボクサーは実は強くない」を
そのキャリアで以って証明してしまったようだ。

互いに1戦挟んでカナダで再戦決定らしいが、勝ち目は?
モズリーがV・フォレストに連敗したように、
フロッチはブテの天敵なのかもしれない。

IBF・WBO世界S・バンタム級王座統一戦

2012-08-13 22:15:20 | Boxing
WBO王者 ノニト・ドネア VS IBF王者 ジェフリー・マセブラ

ドネア 判定勝利

考察 ~ドネア~

試合開始早々から殺気のこもった左フックを振り回し続けたが、
退がり続ける相手にそうたやすく当たるものでもない。
蛙跳びのような左フックから水平斬りの左フック、
はじめの一歩の千堂も真っ青のスマッシュまで出したが、
最初のクリーンヒットはタイミングの合った軽打の左。

その後のボクシングも相手の距離の再構築に律儀に付き合ったりするあたり、
自分自身の型できれい決めたいという意識が強すぎるのかもしれない。
左に次ぐweaponとしての右が欲しいところだが、
それをやると魅力を減じてしまう可能性が大。
G・リゴンドー以外のSバンタムでは勝てないだろう。

PS.

VS西岡では中差判定勝ち以上の結果を出しそう。
なんだかんだで左殺しは健在。
しかし一方的ではなく、年間最高試合候補となるような
スピード、技術、一発、メンタルタフネスのコンテストとなろう。

考察 ~マセブラ~

C・カバジェロにしてもそうだったが、
この身長・体躯でこれほどバネのあるダッキングを繰り返すというのは
筋肉の質が根本的に我々東洋人とは違うんだな。
絶対的な筋肉量も階級アベレージより劣るはずだが、
上半身をくねくね間断なく動かせるのは骨の質まで異なるからかもしれない。

序盤から過剰なまでに相手の左を警戒していて、
実際にその威力を肌で感じていた。
4ラウンドのダウンは警戒していた強打ではなく、
タイミングのパンチだった。
そこから自身の距離を構築するまでにさらに5ラウンドを要したが、
終盤に見せた左ジャブからのコンビネーションがこの選手の真価だろう。

並みのスピード・パワーの選手では、歯が立たないだろう。
ドネアを除けばSバンタムの現ラインナップではまだまだトップレベル。

WBA世界Sフェザー級タイトルマッチ

2012-07-18 02:48:53 | Boxing
王者 内山高志 VS 挑戦者 マイケル・ファレナス

3ラウンド 負傷ドロー

考察 ~内山~

挑戦者の左をはずすことに腐心していた以上に、
ジャブの出しどころを思案していたように映った。
パンチがあるがゆえに拳を痛めやすく、
そのような選手は往々にして額を打つことを厭う傾向がある。
じっくりと試合を作りながら、すなわち距離を作りつつ、
効果的なフェイントを探りつつ、ジャブのタイミングを読みつつ、
後半から終盤にかけてのKOを予測したが、
二度のaccidental clash of headsでご破算。

妙な古傷にならなければいいのだが……


考察 ~ファレナス~

細い目、ペッチャンコの鼻、まぶたの古傷……
そして試合開始早々の単なるダック、ボブというにはあまりに大きな上下動。
日本のボクシングファンに輪島を彷彿させるこの平たい顔族は、
王者攻略の糸口をたぐり寄せていたのかもしれない。
正統派のジャバーたる内山に対して、ジャブの的を絞らせない上下動に
さあ打ってこいとばかりに額を突き出す、
もしくは額から突っ込むスタイルは確かに王者を難渋せしめた。
試合前のインタビューでは景気のいいセリフを言わされている感ありありだったが、
実際の試合では好青年どころかラフファイトを厭わぬスタイル。
見た目の印象もさることながら、
リングの内外でキャラが全く異なるボクサーは海外に多い気がする。
ハンドル握ると人格が変わるのはたまに我々の身近にもいたりしますね。

放送時間からKO決着を予想したが、この結末はunpredictable。
再戦は互いに1戦を挟んでとなろう。

3団体統一世界ヘビー級タイトルマッチ

2012-07-08 17:45:23 | Boxing
王者 ウラディミール・クリチコ VS 挑戦者 トニー・トンプソン

クリチコ 6ラウンドTKO勝利

考察 ~クリチコ~

引退前には比較的速攻をするタイプ、
復帰後はじっくり痛めつけるタイプに変身した兄ビタリとは違い、
こちらはキャリアを円熟させるほどにボクサーとしての純度を高めたが、
前回モルメク戦と同じく、初回からaggressiveだった。

初回は相手に手数を出させつつも、プレッシャーは継続的にかけ、
ワンチャンスを自ら作り出したと言える。
以前はポイントで先行しつつ、巡ってきたKOチャンスを逃さないスタイルだったが、
今後はこれを自身のスタンダードとするのだろうか?
じわりとダメージを蓄積させながら終盤KOというのが、
ボクシングの醍醐味を最も感じさせてくれるゲームプランなんだがなあ。

ワン・ツー!ではなくワツッ!であるという指摘は
徳山vsキリロフでの鬼塚の解説を彷彿させた。
現ヘビー級どころか全階級を見渡しても
ナンバーワンのワン・ツー・コンボと評価して間違いなし。


考察 ~トンプソン~

指名挑戦者として再びリングに上がったが、
ゴング前からやはり精神的に負けていた。
珍しく冒頭から腰を据えてきた王者に対して
右ジャブを突きながらcounterclockwise footwork。
これは明らかに距離を詰められたくない心理の現れで、
5ラウンドには真っ直ぐコーナーに詰められたところに
必殺のワン・ツーを被弾。
6ラウンドもプレッシャーそのままにまっすぐロープに退いたところへ
ワン・ツーから連打を食ってしまった。

インタビューを聞く限りでは普通の良いオッサンで、
この選手の体格とパワーにD・チソラのようなイかれたメンタルが宿れば、
USAヘビー級の希望の星になれるのだが。

WBC・WBA世界ミニマム級王座統一戦

2012-06-21 01:45:16 | Boxing
WBC王者 井岡一翔 VS WBA王者 八重樫東

井岡 小差判定勝ち

考察 ~井岡~

ジャブのスピードでは上手だったのみならず、右もリングサイド徳山の言を借りれば
”恐ろしいぐらい切れている”。
初回から右をクリーンヒットさせて八重樫の左目を腫らしたのは見事。
ただし、その先の展開には個人的に不満あり。
オーソドックス同士の対戦では理外の動きになるとはいえ、
リングをcounterclockwiseに使いながら不意の逆サイドステップを交え、
float like a butterfly, sting like a beeというボクシングも
選択肢としてセコンドは抱いていなかったのだろうか?
テレビ音声を聞く限り、そういった指示は出ていなかったようだが。
受けて立つ姿勢は王者のメンタリティとも言えるが、
一歩間違うとR・ベイリーに痛烈KOされたM・ジョーンズのように
優勢な終盤にバタンと倒れることにもなりそうだ。
それでも苦しい時こそ得意のジャブに立ち返るのは素晴らしい。

予想を上回る精神のタフネスと腫れにくい顔面が確認できたのは
ファンにとっても本人にとっても確かな収穫だ。
加えてミニマムでの打たれ強さも。
ラウンド終了間際にまともに被弾する場面もあったが、
直後のコーナーでも目は死んでおらず、受け答えも的確。
呼吸も乱れていなかった。
hypeに見合う試合は少なく、hypeを超える試合は希少で貴重だ。
まだ6月だが年間最高試合に選んでよいだろう。


考察 ~八重樫~

尋常ではない左目の腫れにかつての大橋、内藤を彷彿させた。
金田、武市、ポープラムック戦と確実に激闘王の路線を歩み始めたと言える。
大橋ジムは川嶋、細野そして八重樫と力戦志向の激闘型を育てる手腕に長けている。

中盤からの右アッパーと左フックは確実に対抗王者にダメージを与えていた。
スピードで劣ると予想したが、前後の出入りではむしろこちらが勝っていた。
そして近接戦での効果的な左右アッパーと命中しないものの威嚇になったスマッシュ。
前戦を上回る名勝負だった。
ストップされてもおかしくない目の腫れだったが、
日本拳闘史上初の統一戦だからという安直な理由で続行を許可するような
藤田先生ではない(このDr.はボクシングファンであってボクサーファンではない)。

接近戦に活路を見出し、終盤の打ち合いのチャンスで
先にクリーンヒットを奪っていたのはこちらだった。
管理人採点では115-113で八重樫勝利だった。
師・大橋を越える名勝負製造機としてまだまだ一線で戦える。

PS.

TBSは様々な意味で最低だったな。
4ラウンド終了後の採点をドローと言ったり(ジョー小泉なら即訂正しただろう)、
井岡のガッツポーズやクリンチの回数を間違えたり、
極めつけは採点読み上げ直後に井岡のKO勝利のテロップを出したり。
そしてゲストの辰吉のよれよれトーク。
こちらはドクター藤田ならずともドクターストップだ。

WBC・WBA世界ミニマム級王座統一戦 予想

2012-06-20 11:54:04 | Boxing
WBC王者 井岡一翔 VS WBA王者 八重樫東

予想:井岡 判定勝ち

ミニマム級の統一戦は歴史的にかのR・ロペス以来となる。
だからといって勝者がロペスの並び称されるわけではないが、
少なくとも快挙の達成者としてのrespectを得ることになろう。

勝負を決めるtoolとして

1.パワー
2.スピード
3.ディフェンス
4.経験
5.精神力

を挙げる。
これに減量・調整能力、ゲームプラン、セコンドのコーナーワーク、
さらには観客の声援がジャッジに与える心象などが絡み合う。

管理人的に井岡が優るのは1.2.3.
4.はさすがに八重樫。
5.は互角と見ている。

スコアは微差となるだろう。
立ち上がりにかけては互いのスピードを警戒しあい、
ジャブとフェイントによる地味な駆け引き、
中盤以降からは足を止めて打ち合う選択を両者が選んでいく。
その中でフィジカルで優位に立つ若き井岡が判定をものにする。

WBOウェルター級タイトルマッチ

2012-06-10 18:16:32 | Boxing
王者 マニー・パッキャオ VS 挑戦者 ティモシー・ブラッドリー

ブラッドリー スプリットディシジョンで勝利

考察 ~パッキャオ~

明らかに相手のスピードに戸惑い、手を焼いた序盤。
軽く(見えた)ヒットで突如相手が失速した中盤。
打ち疲れからか、調整失敗からか、報じられていたボクシング以外の心労からか、
明らかに足も体も重たかった後半戦(≧終盤)。
打ってこいという再三再四のアピールも追うのがしんどいからか。

4~6ラウンドにかけては攻めに転じた瞬間にブラッドリーがパタンと倒れる姿が
目に浮かんでいたが、そこで前に出られなかった、左を伸ばせなかったのが敗因。
またこの辺りから意識的にtime managementをしていたが、結果的にこれも裏目に出た。
コット戦後半はラウンド開始1分半を相手に譲り、残りの1分半で攻勢を印象付けたが、
この日はラウンド開始2分を相手にspareし、残りの1分でポイントをコントロールする、
もしくは「したい」という意図(というか願望)があったようだ。
結果論だが、これも裏目に出た。

『衰え=パンチが出ない』という図式に当てはめて考えるなら
パッキャオにも黄昏が訪れたということ。
biblical studies(!)を唐突に始めたり、夫婦仲にヒビが入ったり、
チーム内にdisharmonyが生じたり、政治活動が忙しかったりと、
後から探せばネガティブな材料もたくさん見つかるものだ。
先ごろ、W・ライト、S・モズリー、A・マルガリートが引退を表明したが、
パッキャオという伝説的ボクサーもグローブを吊るす時が来たと言っていいかもしれない。


考察 ~ブラッドリー~

スピード、クイックネスともに近年のパッキャオの対戦相手では最高レベル。
連打力、スタミナも申し分ない。
ただし、パンチ力は標準以下。
頭を第三のパンチとして活用する男として私的評価は高かったが、
パッキャオ相手に判定をかろうじて拾えるとはゆめ思わなかった。

ファイトプランは徹底したclockwise footwork。
さらに相手の右リードに自身の左ジャブを、
相手の左には左フックをカウンターするというプランには
どこまでも時計回りで左から遠ざかる意図を見て取れた。
底抜けに能天気なパッキャオをして初回からナーバスにさせたのは
スピードと同時に相手の嫌がるプランを綿密に実行するだけの
determinationを誇示したからに他ならない。

それにしても4ラウンドの攻勢の最中からのカウンター被弾一発から
中盤にかけて何度トラブルに陥ったことか。
終盤の入り口にはスツールから立てないのではないかとまで予感した。
視聴者、観衆の誰もが、あの突然止まった足、トロンとした目つき、
バランスを欠いた状態の上下動(≠ダッキング)だけのディフェンス。
よくぞ試合を投げず、持ち直したと褒めるしかない。
チャンピオンシップラウンドを失速することなく
むしろ初回以上のスピードで乗り越えた報酬はあまりにも大きかった。

ただ…… この選手がたとえば往時のクロッティやモズリーに優るとは
とても思えないし、見えない。

フェザー級10回戦

2012-06-10 16:01:50 | Boxing
ホルヘ・アルセ VS ヘスス・ロハス

2ラウンド・ノーコンテスト

考察 ~アルセ~

スタートから無謀と言えるほど自信満々に飛ばすのが持ち味とはいえ、
いきなりの左フック一閃には度肝を抜かれた。
アルセの左の真骨頂は額をこすり合わせる距離でのボディにあるはずで、
出会い頭気味とはいえ、最適外の距離から
ベストパンチをヒットさせるのはon a rollにある証明とも言える。

しかし、その後のyounger lionの逆襲には
完全に飲み込まれる寸前にまで追い詰められていたように見えた。
打って良し打たれて良しというのも千両役者の器量(?)と言えよう。

そして注目の2ラウンドの立ち上がり。
わずか1.5秒間であらゆる反則を喰らい、さすがのタフガイもダウン。
フェザーはいくらなんでもウェートが馴染まない。
リマッチはSバンタムでなら観たい。


考察 ~ロハス~

初回いきなりの被弾にダメージと精神的動揺が無かったはずがなく、
老獪にして豪快な相手に一息に攻め落とされても不思議はなかったが、
言葉の正しい意味での開き直りによる反撃が奏功し、壮絶な打ち合いへ。

そして運命の2ラウンド。
バッティング、ローブロー、キドニーブローという
悪の三位一体コンビネーションで相手がひるんだところへ
躊躇なく、間髪入れず鼓膜破壊の左フックを叩き込んだ。
童顔に見えてやること言うこと(インタビュー)が結構えげつない。

どこかの島国の三階級獲得王者も休養などせず、
この相手とスパーして悪童ボクサーの何たるかを教授してもらうべきだろう。