紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

スメタナ四重奏団~スメタナ弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」&第2番

2007-04-15 22:46:52 | クラシック室内楽・器楽・オペラ・古楽
今日はまじで渋い選曲&アルバムです。

アルバムタイトル…スメタナ弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」&第2番

演奏者…スメタナ弦楽四重奏団

1945年に結成され、1989年まで45年間活動していた(1954年までは、後のチェコの名指揮者;ヴァーツラフ・ノイマンがヴィオラパートを担当していたが、それ以降はメンバーの変更は無い)、20世紀屈指の名ストリングス・カルテットである。
長年連れ添っているメンバーだけに、暗譜で且つアイコンタクトで演奏できるのが特色であり、最大の強み(セールス・ポイント)でもあります。

4人メンバーは下記の通り
    イルジー・ノヴァーク(vl)
    リュボミール・コステツキー(vl)
    ミラン・シュカンバ(ヴィオラ)
    アントニーン・コホウト(vc)
    録音1976年2月12日~16日 スプラフォン・ジシコフ・スタジオ

アルバム自体は、1976年の「レコードアカデミー賞」を受賞した、名盤の誉れ高い評価を受けたものです。

演奏を聴いてみますと、「スメタナ四重奏団がスメタナを弾く」、ちょっとしゃれっぽく思えますが、演奏はしゃれではなく真面目に良い意味で「ご当地物」として抜群の統制と余裕を感じさせる名演です。
チェコの作曲家と言えば、日本では(世界でも)ドヴォルザークが最も有名ですが、チェコ本国ではスメタナの方が有名らしいです。

演奏されている作品2曲ですが、両曲ともスメタナの晩年の作品であり、「わが生涯より」は、硬軟両面(激しい曲調の楽章や、穏やかな楽章)が良くでている名曲ですが、第2番は全く耳が聞こえなくなった最晩年に書かれたものだけに、相当に激しく緊張感が続き、やや聴き疲れする曲です。

20世紀(最強の?)弦楽四重奏団の名演を是非聴いて下さい。

夜のしじまに聴くヴォーカル、「ジュリー・ロンドン」~「アラウンド・ミッドナイト」

2007-04-14 23:36:23 | ジャズ・ヴォーカル
今日は一部に熱狂的なマニアが存在する、白人女性ヴォーカルアルバムから、ジュリー・ロンドンのアラウンド・ミッドナイトを紹介します。
とにかくごらんの通りの美人ですし、色香のあるハスキー・ヴォイスは、世の男性諸氏にはたまらん魅力が有ると思います。
それも、ただ美人なだけでなく歌の実力もかなりあります。
このアルバムはバックはオーケストラですので、伴奏ミュージシャンに聴くべき部分は殆どありません。
あくまで、ジュリーの引き立て役であり、一言で言えばBGMのような物なので、やはり、聴き所は「ジュリーの歌」につきるでしょう。
では、詳細について…

アルバムタイトル…「アラウンド・ミッドナイト」

ヴォーカル…ジュリー・ロンドン 編曲・指揮…ディック・レイノルズ

曲目…1.ラウンド・ミッドナイト、2.ロンリー・ナイト・イン・パリ、3.ミスティ、4.ブラック・コーヒー、5.ラッシュ・ライフ、6.朝のひととき、7.ベッドで煙草は良くないわ、8.貴方と夜と音楽と、9.サムシング・クール、10.ハウ・アバウト・ミー、11.バット・ノット・フォー・ミー、12.パーティ・イズ・オーヴァー

演奏(曲)について…このアルバム推薦の動機と根拠は、第一には冒頭の通り、ジュリーのヴォーカルの素晴らしさで、第二は演奏曲(歌っている曲)の良さによります。
1曲目はモンク作の超名曲で、ジュリーのハスキーヴォイスに良くマッチしています。
3曲目の「ミスティ」はエロール・ガーナー作曲のこれも超名曲。
4曲目の「ブラック~」はジャズヴォーカル屈指の名曲で、世間的には「ペギー・リー」がベスト1の絶唱をしています。
5曲目の「ラッシュ~」も有名曲(私としてはテナーのコルトレーンがベストですが…)
8曲目の「貴方と~」は個人的にこのアルバムで一番好きって言うか、曲自体が大好きなんですよ。(ベストは勿論、ビル・エヴァンスだよ!!)
9曲目「サムシング~」はジュリーのライバルと言うか、タイプは全く違うヴォーカリストだが、「ジューン・クリスティ」の代名詞の有名曲。
それから、11曲目「バット~」はガーシュインの名曲。

いずれの名曲もベスト1演奏は他にあるが、ジュリーはマイペースで、彼女の魅力が溢れ出ていて、充分聴き応えのあるアルバムに仕上げている。
これだけのベスト盤のような楽曲のヴォーカル・アルバムは余り無いですよ。
夜聴くアルバムには最適の一枚です。

リラックス・ジャズの快作、「カーティス・フラー」~「サウス・アメリカン・クッキン」

2007-04-13 22:55:00 | ジャズ・フルート他(ホーン)
ここのところ、チョットヘヴィーなアルバムが続いていましたので、今日は飛切り「くつろぎジャズ」を紹介しましょう。

アルバムタイトル…「サウス・アメリカン・クッキン」

パーソネル…リーダー;カーティス・フラー(tb)
      ズート・シムズ(ts)
      トミー・フラナガン(p)
      ジミー・メリット(b)
      デイヴ・ベイリー(ds)

曲目…1.ハロー・ヤング・ラヴァーズ、2.ベサメ・ムーチョ、3.ウィロー・ウィープ・フォー・ミー、4.ワン・ノート・サンバ、5.ウィー・ドット、6.枯葉

1961年夏 南アメリカにて録音

演奏(曲)について…馬鹿の一つ覚えでごめんなさい(涙)。
演奏曲に「ベサメ・ムーチョ」と「枯葉」があるだけで、もう何もいりません。
大満足です。ってな感じです。
南米でレコーディングされているだけあって、(パーカッションこそいませんが)どの曲もラテンの薫りがプンプンの名演奏です。

演奏者で言うと、フラーはかって紹介した名盤「ブルースエット」を彷彿させるアドリブを演じていて(全く同じフレーズですよ)、とても宜しいですね。
トミフラ(トミー・フラナガン)も、いかにも彼らしい、さりげなく名フレーズを奏でていて、アルバム全体が「1961年」と言う同年代に、コルトレーン、ドルフィー等が演じていたアグレッシブなジャズとは対極にあります。
どちらのジャズが良いか?などと言う優劣は愚問であり、コルトレーン、ドルフィー大大好きの私ですが、このアルバムも大大好きで、(どちらかを)選ぶことなどできないのが本音です。
ズートも良い味を出してますし、多少地味目のプレイヤーですが、リズムセクションの二人も大変な名演です。
メリットのベースはガツンと来るし、ベイリーはちょっと騒がしいが、いかにもラテンを演じているドラムスっていうところがとても満足できます。

さて、お薦め曲ですが、やはり「ベサメ・ムーチョ」がナンバー1でしょうか?
何といっても、導入部分が「ボサ・ノヴァ・ビート」で始まる(イーディ・ゴーメの、ザ・ギフトそっくり!)ので、最初から全員ノリノリの演奏をされてます。
トミフラのラテン・ブロックコードバリバリの演奏も良いし、ズートがかっこよく「決まり物」の演奏していて感激です。
それからズートとフラーの2管が絡み合う「枯葉」が勿論良い!!
マイルスの冷めた演奏とも、キャノンボールの燃える演奏とも違う、ズートの「余裕」と「のびのびした寛大な」演奏はまた別の魅力があります。
フラーもここでは、出しゃばらずに、ズートに合わせた「寛大なイメージ」の演奏で応えていて、うぅーん良い仕事してますねぇ。
トミフラとメリットのソロも原曲をあまり壊さずに、しかしセンスの良い、哀愁的なアドリブで2管二人に花を持たせてます。
それから、ラテンマイド満載の「ワン・ノート~」もお薦めです。

      

グスタフ・ホルスト作曲「惑星」のベスト1レコーディングは「ジャイムズ・レヴァイン~シカゴ響」

2007-04-12 22:57:52 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
今日はブログ始まって以来の初の試みで、昨今J-POPで平原綾香が歌って大ヒットしたジュピターの原曲、ホルスト作曲の「惑星」から、私がベスト1アルバムを選びたいと思います。
私自身では、惑星を10枚チョット所有していますが、その中でベスト1候補に残ったのが2枚あります。
結論から申しますと、ベスト1は「ジェイムズ・レヴァイン」指揮の「シカゴ交響楽団・合唱団」演奏です。
但し、次点の「ロリン・マゼール」指揮、「フランス国立管弦楽団・女声合唱団」は限りなく個人的にベスト1に近い2位なので、写真掲載させて頂きます。
それでは、詳細について解説しましょう。

まず「惑星」について良く知らない方のために、簡単に説明します。

作曲…グスターヴ・ホルスト(1874~1934)20世紀イギリスの作曲家
組曲「惑星」作品32  1918年初演
太陽系の7つの惑星を題材にして作曲された曲であり、それぞれに(占星術上の)副題がついております。
第1曲・火星、(戦争をもたらす者)
第2曲・金星、(平和をもたらす者)
第3曲・水星、(翼のある使者)
第4曲・木星、(快楽をもたらす者)
第5曲・土星、(老年をもたらす者)
第6曲・天王星、(魔術師)
第7曲・海王星(神秘主義者)
ちなみに10年ぐらい前には、レコード解説書に作曲時に「冥王星」が発見されていなかったから、それが抜けていた。と言うのが事実だったのですが、昨年の太陽系惑星問題から「冥王星」がまた外れたので、結果的にはホルスト作曲が正しいと言うことになりました。(笑)

ちなみに、この組曲の中で最も有名な曲が、例のジュピター「木星」です。
それから、この曲をクラシックのポピュラー名曲に仲間入りさせたのは、紛れもなく「ヘルベルト・フォン・カラヤン」であり、彼の1959年の「ウィーンフィル」との名演・名盤がこの曲を20世紀の名曲に押し上げる原動力になりました。
惑星自体のマメ知識としてはこんなところでしょうか。

さて、レヴァイン盤をなぜベスト1に選んだかと申しますと、第1にダイナミズムが出色な点が挙げられます。
曲の強弱のディティールが克明にレヴァインの棒によって描かれており、つまり各曲(火星~海王星まで)の性格が見事に演奏で描かれているからです。
そして、それに応えるスーパーオーケストレーションが「シカゴ交響楽団」であることが第2の理由です。
この演奏の頃のシカゴ響はアメリカ随一であるばかりでなく、ベルリンフィルやウィーンフィルを凌駕するほどの、ヴィルトオーゾオーケストラであり、楽団員のテクニックは世界一のレベルに達していました。(今でもかなぁ?)
ですから、レヴァインの要求に見事に応える技術を持ち合わせていたのです。
第3には、やはり録音の良さが挙げられます。
これほどのオーケストレーションの曲は、オーディオ的に言って、やはり録音が悪くてはお話になりません。
その点でもこの演奏は録音も抜群です。
これらの条件から、「惑星」のベスト1は「レヴァイン・シカゴ響」に決めさせて頂きました。
尚、次点の「マゼール・フランス国立O盤」は、クールで沈美的な表現が非常に魅力的な演奏であり、一言で言うと、「都会的な惑星」といったら良いでしょう。
このクールさがとてもたまらないのです。
ちなみにこの2枚以外では、初演者の「ボールト指揮・ロンドンフィル」の最後の録音;1978年録音や、既出の「カラヤン・ウィーンフィル」と、晩年の「カラヤン・ベルリンフィル」がお薦め盤でしょうかね。
カラヤン盤(特にベルリンフィル盤)は、レヴァイン以上に上手い指揮(演奏)をしますが、私にとっては逆に上手すぎてちょっと鼻につく感じがします。

最後に、掲載写真は上段がレヴァイン盤、下段がマゼール盤です。

フォー・ミュージシャンズ・オンリー~D・ガレスピー、S・ゲッツ、S・スティット

2007-04-11 23:31:01 | ジャズ・トランペット
今日紹介するアルバムは、ハードバップの超名盤「フォー・ミュージシャンズ・オンリー」です。
まぁいつもの台詞ですが、まずこのアルバム参加のミュージシャンの名前を聞いてビックリ!
演奏を聴いてこれまたビックリ!
つまりビックリ尽くしのアルバムです。
それでは、詳細を書きましょう。

アルバムタイトル…「フォー・ミュージシャンズ・オンリー」

パーソネル…ディジー・ガレスピー(tp)
      スタン・ゲッツ(ts)
      ソニー・スティット(as)
      ジョン・ルイス(p)
      ハーブ・エリス(g)
      レイ・ブラウン(b)
      スタン・リーヴィ(ds)

このメンツを見て、うぅーん、さすが名プロデューサー、「ノーマン・グランツ」が集めたメンバーであり、一言で言うなら、「オールスターズ」か?それとも「ドリーム・チーム」と言うべきか?

曲目…1.ビ・バップ、2.黒い瞳、3・ウィー、4.ラヴァー・カム・バック・トゥ・ミー、5.黒い瞳(別テイク:CD追加曲)

1956年10月16日 LAにて録音

演奏者について簡単に…
Dガレスピー~Cパーカーと並んで「ビ・バップ・ジャズ」の開祖の一人。
マイルス出現前までのジャズトランペットのスーパー・スターである。
大きく頬を膨らまして吹く演奏と変形のトランペットがトレード・マークである。
Sスティット~Cパーカーとくりそつ?の音色、演奏で知られるこちらも「ビ・バップ・ジャズ」界の重鎮。
Sゲッツ~白人テナーの第一人者であり、この頃は当然ながら「ビ・バップ」を演奏していたが、白人らしく、同時期の「クール・ジャズ」や60年代に入ってからは、「ボサ・ノヴァ・ジャズ」の構築にも貢献して、一時代を築いた。
Jルイス~以前紹介の通り、スーパージャズコンボ、「モダンジャズカルテット」の音楽リーダーであり、名ピアニスト・名コンポーザーである。
クラシックにも非常に造詣が深く教授でもある。
Hエリス~このメンツ中に入ると多少地味だが、堅実な名白人ギタリストである。
Rブラウン~この後、Oピーターソントリオに加盟する、ベースの大巨人。
Sリーヴィ~ガレスピーバンド所属の白人名ドラマー

演奏曲について…まず、ナンバー1は当然ロシア民謡の「黒い瞳」で決まり!
ガレスピー、エリスのスローテンポのオープニングから聴く者を引き付け、その後のゲッツやスティットのソロも秀逸です。
フリオ・イグレシアスや郷ひろみの名唱でも良く知られた曲で、哀愁ある曲調に涙がチョチョ切れます。
次いで、4曲目の「ラヴァー~」が聴き物であります。
ガレスピーのスローなミュートプレイから端を発して、スティット、ゲッツは急速調のソロを奏でて、テンポに変化をもたせた、遊び心充分なナンバーで飽きさせません。
オープニング曲も巨人同士が、しゃれたバトルを演じていて聴き応え充分です。

とにかく、このアルバム全体に、ビ・バップ名人達が、「くつろぎ」」と「しゃれ」と、時々見せる「ガチンコのソロ合戦」の様々な要素を紡ぎ合う面白さが満載されているのです。

伝説のイリノイ・コンサート~エリック・ドルフィー&ハービー・ハンコック

2007-04-10 23:39:48 | エリック・ドルフィー
今日紹介のアルバムは、ドルフィーの死後、約35年経ってから、ようやく陽の目を見た未発表音源からレコード(CD)化されたものである。
演奏を聴いてみると、このアルバムが何故ドルフィーの生前(もしくは死後間も無く)レコード化されなかったのか?全く謎である。
と言うのも、ドルフィーの演奏は抜群に素晴らしいし、ドルフィーとガチンコで真っ向勝負している、ハービーも半端では無い名演をしている。
まぁ、この(演奏)時代としては、かなり前衛的な演奏であるし、ドルフィーの演奏の素晴らしさが認知されたのは死後かなり経ってからなので、仕方無いかもしれないが…

では、アルバムの詳細について

アルバムタイトル…「伝説のイリノイ・コンサート」

パーソネル…リーダー;エリック・ドルフィー(fl、b-cl、as)
      ハービー・ハンコック(p)
      エディ・カーン(b)
      JC・モーゼス(ds)
      他

曲目…1.朝日のようにさわやかに、2.サムシング・スイート、サムシング・テンダー、3.ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド、4.サウス・ストリート・イグジット、5.アイアン・マン、6.レッド・プラネット、7.G.W.

1963年3月10日 イリノイ大学にてライブ録音

演奏について…まずお薦めは、20分を超える大作として演奏されている、オープニング曲の「朝日~」である。
率直に言って、通常の美しい「朝日~」の演奏ではない。
つまり、メロディックで聴き易いと言う事は全くなく、ドルフィーの渾身の「馬のいななき」、つまり「バス・クラリネット」のカデンツァを聴くべき演奏がなされている。
それから、ドルフィーのライフワークである、3曲目の「ゴッド~」は無伴奏クラリネット演奏で、ドルフィーの真の実力を満喫できる。
それ以外も、フルート演奏が美しい4曲目の「サウス~」は聴きもので、特にハービーのピアノ、アドリブは秀逸の演奏である。
この日唯一のアルト・サックス演奏「アイアン・マン」や、学生のブラス・バンド及びビッグ・バンドと共演した後半2曲も良い演奏です。

今迄紹介してきた数々のアルバムと違って、決して聴き易くはないですが、ぜひトライして下さい。
新たなジャズの魅力を発見できると思います。


プログレッシブロックの最高峰~エマーソン・レイク&パーマーの展覧会の絵

2007-04-09 23:34:45 | ロック
まず、演奏されている曲は、19世紀ロシアの生んだ大作曲家で、ロシア5人組の一人「ムソルグスキー」の代表作「展覧会の絵」である。
この曲はムソルグスキーの友人で、画家・建築家であった「ハルトマン」の追悼として、ムソルグスキーが書いたものが原曲で、本来はピアノ独奏曲である。
プロムナードと言われている「導入曲」を媒介として、各絵から絵を紹介して、結んでいる。
後に、フランスの大作曲家「ラヴェル」が編曲したオーケストレーションの演奏が広く一般に知られるようになり、現在に至るのである。

「展覧会の絵」は、料理で言うところの「食材」「素材」が良いのか、このプログレッシブ・ロックの代表的なアルバム以外でも、フュージョン(ヒューバート・ローズ)やシンセサイザー(冨田勲)での演奏もあり、クラシックについても、上述の「ラヴェル編」以外に、「ストコフスキー編」、「アシュケナージ編」そしてギターの「山下和仁編」などもある。

今回演奏しているのは、70年代に大ブレークした、「プログレッシブ・ロック」の旗手;3人組「エマーソン・レイク&パーマー」である。
エマーソン・レイク&パーマー(キース・エマーソン、グレグ・レイク、カール・パーマー)の詳細についてはいつか述べる事として、今日は割愛させて頂きます。

演奏曲…1.プロムナード、2.こびと、3.プロムナード、4.賢人、5.古い城、6.ブルース・ヴァリエイション、7.プロムナード、8.バーバ・ヤーガの小屋、9.バーバ・ヤーガの呪い、10.バーバ・ヤーガの小屋、11.キエフの大門、12.ジ・エンド~ナットロッカー

プログレ大好きな人、フュージョン好きな人、「展覧会の絵」自体が曲として好きな(クラシック好きな)人には「超お薦め盤」ですが、ハードロックやポップス、そしてジャズ好きな人にも是非お薦めしたいアルバムです。
なざならば、この「奇蹟」の演奏が何と驚くことに「ライブアルバム」なのです。
3人の天才ミュージシャンの「奇蹟の演奏」を是非ご賞味あれ!!

名盤、「レイ・ブライアント・トリオ」

2007-04-08 21:37:34 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
今夜は、曲目、演奏とも秀逸の「ピアノトリオ・アルバム」でおくつろぎ下さい。

アルバムタイトル…レイ・ブライアント・トリオ

パーソネル…リーダー;レイ・ブライアント(p)
      アイク・アイザックス(b)
      スペックス・ライト(ds)

演奏曲…1.ゴールデン・イヤリングス、2.エンジェル・アイズ、3.ブルース・チェンジス、4.スプリッティン、5.ジャンゴ、6.ザ・スリル・イズ・ゴーン、7.ダホード、8.ソーナー

1957年4月5日録音

演奏(曲)について…まず、ブライアントはともかくとして、バックの二人はあまり聞かない名前ですが、この時期この3人は、「カーメン・マクレエ」のバックとして活躍・活動していたトリオなんです。
ですので、演奏としては、バックの二人はあくまでもブライアントのサポート役に終始徹しています。

さて、お薦め曲ですが、ピアノトリオ史上屈指の名曲・名演と言えるのが、冒頭の「ゴールデン・イヤリングス」です。
ひっそりと、そしてさりげなく美しさを主張する「かすみ草」のような佳曲であり、ブライアントの演奏も素晴らしい。
それから、MJQ(ジョン・ルイス作)の超名曲「ジャンゴ」も素晴らしい。
ブライアントは、「本家;ルイス」に負けず劣らずのシングル・トーンで演奏していて、言うなれば本家の「ミルトレス・トリオ」の演奏と言っても過言ではない程美しい名演です。
この2曲以外では、6曲目の「スリル~」が、またまた哀愁を帯びた美しいメロディーと、それを歌うように右手で奏でるブライアントのメランコリックな響きに、心を奪われる。
「エンジェル・アイズ」や「ダホード」等の、その他の曲も、どれも好演しているので、大お薦めのピアノ・トリオ・アルバムです。

ザ・ラテン・ビット~グラント・グリーン

2007-04-07 22:13:56 | ジャズ・ギター
今晩は、大好きなラテンジャズを紹介します。

ケニー・バレルと並ぶ、ブルーノートの看板ギタリストの「グラント・グリーン」がリーダー名義のアルバムです。
バレルがどちらかと言うと、ブルージーでありながらも、コンボ編成などは至極正統的なジャズギタリストなのに対して、グリーンは主にオルガンと共演するような、ジャズから少し離れた(R&B的な)編成のコンボを好んだプレイヤーと言って良いでしょう。
その中でこのアルバムはバックに「パーカッション系」を多く配して、正しく正統的ラテンアルバムに仕上げております。
それでは中身を紹介していきましょう。

アルバムタイトル…「ザ・ラテン・ビット」

パーソネル…リーダー;グラント・グリーン(g)
      ジョニー・エイシア(p)
      ウェンデル・マーシャル(b)
      ウィリー・ボボ(ds)
      パタート・ヴァルデス(conga)
      ガーヴィン・マッソー(chekere)

曲目…1.マンボ・イン、2・ベサメ・ムーチョ、3.ママ・イネス、4.ブラジル、5.ティコ・ティコ、6.マイ・リトル・スエード・シューズ

1962年4月26日録音

演奏(曲)について…最初に言っておこう。「全6曲とも愚作は一つもない!」
ですから、安心してこのアルバムはゲットして欲しいです。
演奏者は、「グリーン」&「エイシア」は勿論著名だが、他の3人もラテン系音楽においては、皆、名人ばかり。

冒頭の「マンボ・イン」から、軽快な演奏で全員ノリノリで楽しんでいる。
そして、いきなりクライマックスの「ベサメ・ムーチョ」だ。
元はラテンの名曲だが、ジャズ界においても「超名曲」なのは、もはや誰にも異論はないはず。
グリーンはこの曲を、割とストレートにメロディーを弾いて、原曲のくずしは少ないが、時折見せるアドリブフレーズがどこか「演歌」の「泣き」や「こぶし」を彷彿させて、日本人の好みには合う。
そして、もう一言付け加えると、この曲の影の主役はピアノのエイシアである。
彼のシングルトーンのアドリブフレーズの「泣き」は、グリーンの更に上を行っている。
3曲目「ママ~」4曲目「ブラジル」では、グリーンのギターも全開になって来ており、ギターで「ワンホーンカルテット」」を聴くような熱演である。
また、ベース、ドラムス、パーカッションの各人が、特に「ブラジル」で、素晴らしいサポートを見せている。
そして、5曲目「ティコ~」は、個人的にこのアルバムの名演度を付けるとすれば、ナンバー1だと思う。
アドリブパートで、チラッと「朝日のようにさわやかに」を、かい摘んで弾いているところなんて、感涙ものですよ。
ラストの「チャーリー・パーカー」のナンバーも充分に「ラテン」しています。

満を持して「帝王」登場!モダンジャズ史上最高の名盤の一つ「カインド・オブ・ブルー」

2007-04-06 22:14:54 | マイルス・デイヴィス
私がブログを始めてから3ヶ月近くなりますが、未だ帝王「マイルス・デイヴィス」のアルバムを紹介していませんでした。
そこで、今日は「帝王;マイルス」の数多あるレコーディングの中でも、屈指の名盤、「カインド・オブ・ブルー」を紹介します。

まぁ知っている人は知っているのですが、この時参加している「ミュージシャン」を見て、卒倒しそうな「豪華メンバー」が、モードジャズを演っているんです。

では詳細について紹介しましょう。

アルバムタイトル…「カインド・オブ・ブルー」

パーソネル…リーダー;マイルス・デイヴィス(tp)
      ジュリアン・キャノンボール・アダレイ(as)
      ジョン・コルトレーン(ts)
      ビル・エヴァンス(p)
      ポール・チェンバース(b)
      ジミー・コブ(ds)

   ★2曲目から、ウィントン・ケリー(p)が、エヴァンスに替わる。
   ★3曲目で、キャノンボールが抜ける。

曲目…1・ソー・ホワット、2.フレディ・フリーローダー、3.ブルー・イン・グリーン、4.オール・ブルース、5.フラメンコ・スケッチ

録音…1.2.3.…1959年3月2日、4.5.…1959年4月22日

演奏(曲)について…今回登場の各演奏者については、何度と無く紹介しているので、個別の説明はもはや要らないでしょう。
ですので、演奏曲(推薦曲)のみ紹介させて頂きます。
まずは、モード・ジャズ・ブルースの極地とも言える、マイルスオリジナル曲の「オール・ブルース」が一番の推薦曲です。
曲の有名度からすると、冒頭曲の「ソー・ホワット」の方が上位だと思いますが、ピアニストが「ケリー」よりは、やはり「エヴァンス」でしょう。
勿論、ケリーも好ピアニストなのですが、やはりピアニストとしての、人気・実力・知名度・カリスマ性のどれを取っても、「エヴァンス」が何枚も上の存在なので、「ケリー、ごめんなさい」。っと言うことで、「オール~」が「ナンバー1曲」です。
そして「ソー~」が必然的に「ナンバー2」でしょう。
後は、静寂のバラッド演奏がなされる、「3&5曲目」の両方も佳曲です。
★個人的には、ナンバー1&2曲目よりも、「3&5」の方が好きなんですけど、一般常識を考慮するとこうなるのかなぁ。

     

ルー・ドナの「プレイ・ザ・ライト・シング」

2007-04-05 23:06:35 | ジャズ・アルト・サックス
今日は昨日のアヴァンギャルドなジャズとは全然タイプの違う、オルガン・ジャズを…それも「ジミー・スミス」の50年代~60年代の「ブルーノート物」と言った正統的?なオルガン・ジャズとは、時代がちょっと違います。
とは言っても、その時代にスミスと一緒にプレイしていた、大御所の「ルー・ドナルドソン」のアルト・サックスがメインのオルガン・ジャズですから、いかにもブルージーで悪かろうはずがないです。
そしてこのアルバムでは、「ルー・ドナ」のヴォーカルも聴けると言う「おまけ付」なんですよ。
それでは、このアルバムの詳細を説明しましょう。

アルバムタイトル…「プレイ・ザ・ライト・シング」

パーソネル…リーダー;ルー・ドナルドソン(as,voー2)
      ドクター・ロニー・スミス(org)
      ピーター・バーンスタイン(g)
      バーナード・パーディー(ds)
      ラルフ・ドーシー(conga)

曲目…1.プレイ・ザ・ライト・シング、2.ウィスキー・ドリンキン・ウーマン、3.マーマデューク、4.ハーレム・ノクターン、5.ジス・イズ・ハピネス、6.クレイジェスト・ドリーム、7.マスカレード・イズ・オーヴァー、8.フット・パティン・タイム

1990年12月19日、20日 NYC録音

演奏(曲)について…まずは前説にある通り、「ドナルドソン」の貴重な?ヴォーカルが聴ける2曲目の「ウィスキー~」が魅力ありだ。
「ルー・ドナ」のヴォーカルはメチャクチャ上手い訳ではないが、味わい深い渋みのある声でgoodです。
それから、オールドファンなら涙ちょちょ切れる4曲目の「ハーレム・ノクターン」が良い。
聴きなれたサム・テイラーや松本英彦のような「泣きのサックス」ではなく、ミドル・テンポで、R&B風に軽快に吹いていて、バックのバーンスタインのギターも行けてます。
5曲目「ジス・イズ~」も、カルテットの各プレイヤーがノリノリのラテン・フレバーで演奏していて(特にロニー・スミスがベスト・プレイかな)、私的には大好きなナンバーです。
そして極め付きの一曲が、かつて名盤「ブルース・ウォーク」でも演奏していた、7曲目の「マスカレード~」を、以前とは異なるアプローチのバラードで吹いていて、痺れますぜ。




アヴァンギャルドとスタンダードの間で…チャールス・ロイド~ドリーム・ウィーヴァー

2007-04-04 23:21:13 | ジャズ・テナー・サックス
今日は60年代半ばから70年に架けて一世を風靡した、「チャールス・ロイド・カルテット」のアルバム、「ドリーム・ウィーヴァー」を紹介します。
「ロイド」の演奏は表題に有る通り、以前アーチー・シェップを紹介して、「入口」に足を踏み入れた前衛的な「フリー・ジャズ」と、完成された「モード・ジャズ」の間を行き来している様なアルバムです。

アルバムタイトル…「ドリーム・ウィーヴァー」

パーソネル…リーダー;チャールス・ロイド(ts、fl)
      キース・ジャレット(p)
      セシル・マクビー(b)
      ジャック・ディジョネット(ds)

曲目…1.秋の情景 a.秋のプレリュード、b.枯葉、c.オータム・エコー、2.ドリーム・ウィーヴァー a.メディテイション、b.ダービッシュ・ダンス、3.バード・フライト、4.ラブ・シップ、5.ソンブレロ・サム

1966年3月29日、30日録音

演奏(曲)について…まず、ピアニストに注目だ!
若き日の、若干20歳の「キース・ジャレット」がメンバーに名を連ねている。
但し、ここで弾いている演奏は、彼の生涯演奏歴の中で、最も「過激」で「前衛的」だそうだが、しかしながら、流石に「キース・ジャレット」だ。
前衛的でも充分にメロディアスで、聴く者の琴線に触れる演奏を奏でている。
「ジャック・ディジョネット」も当時は新人ながら、後の彼を予感させる様な、期待を裏切らない名演奏をしている。
「マクビー」は60年代の「新主流派」のアーティスト達と、多く共演していた前衛ジャズにはなくてはならない、骨太のベーシストである。
そして、マルチ・リード奏者として、前衛ジャズを吹く男の「ロイド」が、リーダーとして、3人を引っ張っている。

さて、曲についてだが、何故このアルバムをセレクトしたか?と言えば、第一には、1曲目の「秋の情景」のクライマックス部分で、「名曲;枯葉」を演奏しているからであり、特にこの曲での「ロイドのフルート」と「キースのピアノ」、そして「マクビーのベースソロ」が秀逸だからである。
この一発だけでも絶対に「買い」であるのだが、他は全て「ロイド」のオリジナル曲だが、全て佳曲である。
まず、ラテンの香りが馨しい5曲目の「ソンブレロ~」は個人的にお気に入り曲だし、ロイドの代名詞のタイトル曲;「ドリーム・ウィーヴァー」は、前半のメディテイションは、コルトレーン最後期の演奏の雰囲気があり、後半のダービッシュ・ダンスは、どこかロリンズを彷彿させる遊び心もある。
3曲目は、ロイドが完全に「仮想コルトレーン」と化していて、私にはたまりません。
そして4曲目の「バラッド」演奏も素晴らしいので、「フリー・ジャズ」の入口から3歩ぐらい進んでみましょうか。







ゴンサロ・ルバルカバ~ザ・トリオ

2007-04-03 23:45:32 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
今日もピアノ・トリオのアルバム紹介です。

演奏曲は全て私が好きな「スタンダード系」がズラリのアルバムなのですが、かなりジャズに精通した人でも、飽きない、そして新鮮な発見のあるアルバムです。

アルバムタイトル…「ザ・トリオ」
副題…「ゴンサロ・ルバルカバ」フィーチャリング「デニス・チェンバース」、「ブライアン・ブロンバーグ」

パーソネル…リーダー;ゴンサロ・ルバルカバ(p)
      デニス・チェンバース(ds)
      ブライアン・ブロンバーグ(b)

曲目…1.処女航海、2.キャラヴァン、3.オン・グリーン・ドルフィン・ストリート、4.ホット・ハウス、5.イエスタデイズ、6.ウッディン・ユー、7.黒いオルフェ

1997年8月6日、7日 録音

演奏者(曲)について…まず、ゴンサロ・ルバルカバについてですが、90年代に突然彗星の如く現れた、超絶技巧のキューバ出身のピアニストです。
桁はずれな演奏テクニックにプラスして、キューバ出身なだけに、演奏がリズミックで、スピリットも情熱的なアーティストです。
ブロンバーグもクラシックの素養を持ったテクニシャンで、デニス・チェンバースは、抜群のグルーヴ感と、重厚な音が魅力の名手です。
お薦め曲ですが、まず3曲全く趣の違うのを挙げておきましょう。
まず、ラテンのリズムとグルーヴィーさが魅力で、いかにもゴンサロらしい、「キャラバン」。
それから、ゴンサロのテクがいかんなく発揮されている、「ホット・ハウス」。
そして、静寂のバラッドが奏でられている、「黒いオルフェ」。
この3曲の聴き比べはgoodですよ。
それ以外では、3者のインプロビゼイションが、とてもスリリングな魅力を生み出している、「ウッディン・ユー」と、個人的には「イエスタデイズ」が味わい深い演奏でお気に入りに追加?てかんじでしょうか。

とにかく、このトリオのハイセンスな演奏をお楽しみ下さい。



オスカー・ピーターソン・トリオ・プレイズ

2007-04-02 23:48:15 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
今日はビッグ・ネームにも拘らず、日本では過小評価されている、名ピアニストの「オスカー・ピーターソン」の紹介です。

「オスカー・ピーターソン」はカナダ出身の、超絶技巧のジャズピアニストですが、なぜか日本では人気がないんです。
やはり、明るいキャラクターが玄人(ジャズ評論家)受けしないのか、或いは、当時のジャズ喫茶で「こわもて」や「難解」な学生さん達に、(学者気質の見え張り屋や、安保闘争の時代背景)から、指示されなかったのかもしれません。
しかし、今改めて聴いてみると、こう言う「明るめのジャズ・ピアノ」も多いに有りだと思います。
それでは詳細を説明します。

アルバムタイトル…オスカー・ピーターソン・トリオ・プレイズ

パーソネル…リーダー;オスカー・ピーターソン(p)
      レイ・ブラウン(b)
      エド・シグペン(ds)

曲目…1.ザ・ストラット、2.レッツ・フォール・イン・ラブ、3.サテン・ドール、4.小さな足、5.リトル・ダーリン、6.フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン、7.殆ど私のもの、8.シャイニー・ストッキングズ、9.夢からさめて

1964年2月27日、28日、NYにて録音

演奏(曲)について…まず、このトリオはジャズ史上最高のピアノ・トリオの一つである。
超絶技巧のピーターソンと、名手の誉れ高いベーシストの「レイ・ブラウン」
そして「ザ・ドラム・職人」とも言える、名アシストのドラマー「エド・シグペン」
トリオの演奏の素晴らしさは、このアルバムを聴いてもらえば、一目瞭然
です。
前述の通り、どの曲を聴いても、素晴らしいテクニックのピアノが聴けるのですが、特にお薦めする曲は、まずピーターソンの十八番、「サテン・ドール」でしょう。
それから、私の大好きな曲、6曲目の「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は、かなり劇的な演奏で、ブラウン、シグペンとも珍しく、ピーターソンにアドリブ触発されたような、アグレッシブな演奏をしています。
後は、味のあるバラードを聴かす7曲目は、ピーターソンらしからぬ?とてもロマンティックな演奏です。
9曲目の最後の曲は、全く個人的趣味ですが、ラテンのリズムとピーターソンのノリでトリを飾るのにふさわしい好演です。

ウィントン・マルサリス~スターダスト

2007-04-01 23:22:32 | ジャズ・トランペット
今日紹介するのは、あまりにも有名なアルバムなので、ちょっと気が引けますが、まぁ良いでしょう。
ウィントン・マルサリスのデビュー3作目にして、「チャレンジ・ザ・クリフォード・ブラウン」とも言える、「ウィズ・ストリングス・アルバム」です。
とにかく、コンセプトはシンプルで非常に真面目で正統的なジャズです。
演奏曲も渾身のバラードばかりで、マルサリスの技量と知性と感情移入の三要素の絶妙なバランスの素晴らしさが、良く出ているアルバムです。
では、アルバムの詳細について説明しましょう。

アルバムタイトル名…「スターダスト」

パーソネル…リーダー;ウィントン・マルサリス(tp)
      ブランフォード・マルサリス(ts,ss)
      ケニー・カークランド(p)
      ロン・カーター(b)
      ジェフ・ワッツ(ds)
      ケント・ジョーダン(fl)
      ロバート・フリードマン(cond/arr)
       &ストリングス・オーケストラ

1984年5月30日&31日 NY録音

曲目…1.スターダスト、2.レイジー・アフタヌーン、3.フォー・オール・ウィ・ノウ、4.星に願いを、5.ジャンゴ、6.メランコリア、7.ホット・ハウス・フラワーズ、8.アイム・コンフェッシン

演奏(曲)について…アルバムタイトルの「スター・ダスト」はオープニングを飾るのにふさわしい演奏であり、マルサリスのブリリアントな音色と抑制した時のデクレシェンドの対比が素晴らしい。
2曲目のミュートプレイは、まるでマイルスのそれを聴いているような錯覚を起すほど、知的で青白い炎が小さく、しかししっかりと燃える様なオーラが出ている。
兄貴のブランフォードも弟に追従した演奏で好ましい。
4曲目のディズニー曲は、そのままオリジナル演奏すると、陳腐になりそうと思ったのか、ストリングスはフリードマンにビッグバンド風にアレンジされ、マルサリスの演奏もかなりアドリブに重きを置いて、そしてハイセンスな演奏にまとめている。
5曲目の「ジャンゴ」は個人的に大好きな曲であるが、(まぁこの曲のベスト1演奏は当然、本家MJQの初録音であるが…)MJQの様に「渋め」の演奏ではなく、ここでマルサリスはこのアルバム1とも言える程、パワー系の音量で吹き切っていて、これも中々いける味わいである。
そして、このアルバム中ベスト1の演奏は、似非マイルスでは無い、マルサリスオリジナルとも言える、新境地のミュートプレイがなされている、6曲目「メランコリア」ではないかと思う。
7曲目の「ホット~」は、全員がアドリブ参加していて、チームが最高潮に盛り上がっている感じがします。
各人のソロは現代的なセンスの良い演奏を展開しています。

夜聴く「ウィズ・ストリングス」のバラードは良いですぞ!