紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

また、サージ・チャロフ行っちゃおうかな…ブルー・サージ

2007-11-27 08:37:40 | ジャズ・(他)サックス
先週は休日も働いていたので、今日は代休を取っています。
ですから、朝からアルバム紹介行っちゃいましょうかね。

先週一度お目見え(紹介)した、「サージ・チャロフ」なんですが、今回は何がすごい(魅力)と言いますと、バックのトリオが良いんです。
ピアノが「ソニー・クラーク」、ベースが「リロイ・ヴィネガー」、そしてドラムスが「フィリー・ジョー・ジョーンズ」なんですよ。
ハッキリ言って、ジャズ・メンのランク的には「チャロフ」が一番格下ではないでしょうか?
ついでに、ジャケットも超魅力的な逸品で、言う事無しです…ハイ!!

それでは紹介します。

アルバムタイトル…ブルー・サージ

パーソネル…リーダー;サージ・チャロフ(b-sax)
      ソニー・クラーク(p)
      リロイ・ヴィネガー(b)
      フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)

曲目…1.ア・ハンドフル・オブ・スターズ、2.ザ・グーフ・アンド・アイ、3.サンクス・フォー・ザ・メモリー、4.オール・ザ・シングス・ユー・アー、5.アイヴ・ガット・ザ・ワールド・オン・ア・ストリング、6.スージーのブルース、7.ステアウェイ・トゥ・ザ・スターズ、8.ハウ・アバウト・ユー

1956年3月4日録音

原盤…Capitol T-742  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5431

演奏について…1曲目「ア・ハンドフル~」…オープニングに相応しく、まずは一寸小手調べと言った感じで、「チャロフ」は余裕を持ったアドリブを吹き、受ける「クラーク」のシングルトーンもとても軽やかで、ライトな雰囲気で曲が進む。
「ヴィネガー」のソロは朴訥系だが音量が大きく、大地に根をおろした重厚さが魅力です。
「フィリー・ジョー」は所々でスゴテクを披露してくれて…4人が正しく対等に渡り合うアルバムだと言うことを、意識付けられます。

2曲目「ザ・グーフ~」は、高速のリズムで各人がテクニシャンだと言うことを改めて感じ得ます。
ぶんぶんドライヴィングする「ヴィネガー」と、バリトン・サックスで吹き切る「チャロフ」の技術の高さに圧倒されますね。
勿論、「フィリー・ジョー」は、この程度の高速リズムはお手の物と言った所で、自由奔放にドラムを敲いてくれます。
テクニック的には最もお薦めの一曲です。

3曲目「サンクス・フォー~」…このアルバムでベスト1の名演と思われる、スローテンポのバラッド!
この曲の主役は誰が何と言おうと「チャロフ」である。
この雰囲気、切なさ、叙情性、そして色香…バリトン・サックスと言う楽器じゃないと表現できないのでは?と思う。
それも、「チャロフ」じゃないと出せないトーン…そう、唯一無二の音色なんですよ。
同じ楽器の名人、「ジェリー・マリガン」とは、本質的に出す音が違うんだよね。
「マリガン」は、もっとライトで且つクールに吹く。
言うなれば都会的なバリトン・サックスなんだけど、「チャロフ」は「男芸者」…ものすごい色気が有る、悪魔の音色なんですね。

4曲目「オール・ザ・シングス~」…「チャロフ」との対決?で、「クラーク」が良い仕事をしてくれます。
哀愁あるシングル・トーンが、とても冴えてますよ。
終始、分厚いベースを淡々と刻み続ける「ヴィネガー」も素晴らしい出来栄えで、録音的にも低音が締っていながら、重厚感を失わずに、聴き応えが有ます。

5曲目「アイヴ・ガット~」…この曲も「ヴィネガー」の分厚いベースに導かれて序奏がなされる。
「チャロフ」のソロは、このベース音に合わせて、低音域を有効に活用して味わい深いです。
中間から、やや高速のフレーズを用いて、曲にアクセントを付けてくれます。
「フィリー・ジョー」はさりげないが、曲間でおかずを沢山つけたドラミングで、チョコッと自己主張するのが、お洒落~って感じでしょうか。

6曲目「スージーのブルース」は、「チャロフ」が演るブルースだけに黒くはないんです。
こんな雰囲気のブルースもたまには良いのではないでしょうか?

7曲目「ステアウェイ~」…この静かなバラッドも良いですね。
ひっそりとさりげなく、「チャロフ」のサックスをサポートする、バックの名人3人の演奏が、とにかく品が有って聴き物でしょう。
「クラーク」のライトなアドリブ…粒が立っていて煌びやかです。
「ヴィネガー」のベースは、一音一音に真面目さと太い芯が存在していて、安心してしまいますね。

8曲目「ハウ・アバウト・ユー」はCD化にあたってのボーナス・トラック。
「チャロフ」がノリ良く気持ち良く吹いてくれて、「フィリー・ジョー」も元気が出るドラムを敲いています。

最後に…このアルバムの真のリーダーは、ずばり「ヴィネガー」でしょう。
「チャロフ」のバリトン・サックスの(音色)の魅力はさることながら、全編、全曲に渡って、分厚く一本芯がピシッと通った、ヘヴィなベースを終始弾いている「ヴィネガー」のおかげで、ライトな曲(演奏)でも、「フィリー・ジョー」が所々ではしゃいでも、高尚でエヴァー・グリーンな魅力を放つアルバムを作れたのは、彼の影響が大たる証拠です。

ベース良ければ全て良し…の最たるアルバムの一つだと思います。

寺島先生曰く、悪魔が住むバラッド演奏…サージ・チャロフ~ボストン・ブロウ・アップ

2007-11-18 11:57:40 | ジャズ・(他)サックス
おはようございます。
今日はバリトンサックス奏者、「サージ・チャロフ」の代表的なアルバムを紹介しましょう。

タイトルに有ります様に、ジャズ評論家「寺島靖国」先生がCDの帯解説に、「悪魔が住むバラッド云々…」と、興味起こり捲りの文字が記載されており、当時私は購入した覚えが有ります。
PS…「寺島氏」のお薦めする「ジャズ購入本」の類の幾つかの書誌には、このアルバムは何度も推薦されていた事が、もう一つの購入理由でも有るんですが…。
いずれにせよ、「コルトレーン」等の奏でる、ハードな東海岸ジャズとは全く別物の白人、西海岸ジャズを堪能してみては如何でしょうか?

アルバムタイトル…ボストン・ブロウ・アップ

パーソネル…リーダー;サージ・チャロフ(bs)
      ハーブ・ポメロイ(tp)
      ブーツ・ムッスリ(as)
      レイ・サンティシ(p)
      エヴァレット・エヴァンス(b)
      ジミー・ジターノ(ds)

曲目…1.ボブ・ザ・ロビン、2.イエスタデイズ・ガーデニアズ、3.サージカル、4.ホワッツ・ニュー、5.マー・ドロス、6.ジュニア、7.ボディ・アンド・ソウル、8.キップ、9.ダイアンズ・メロディ、10.ユニゾン

1955年録音 MONO

原盤…Capitol  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5374

演奏について…「寺島先生」をよいしょする訳では無いが、やはり何と言ってもスタンダードのバラッド曲2曲が、群を抜いての聴き物です。

まず、4曲目の「ホワッツ・ニュー」…真に美しい「サンティシ」のピアノ序奏からいきなり曲に惹き込まれかと思うと、その後のチャロフの演奏が…感涙物です。
アドリブ・メロディの美しさも有るが、とにかくバリトン・サックスの織り成す音の世界その物(深い腹に染み渡る低音)が、正しく「桃源郷」の様な、或いは江戸時代の「花魁」の舞台の様な色香と幻惑の世界に聴く者を包み込むんです。

そして7曲めの「ボディ・アンド・ソウル」も最高ですよ。
低音を利かして重厚に吹くパートと、ピアニシモでは、あえて音をかすれさせて無音に近い部分を作り出し、そう、空気の振えの一つ一つが全て意味を持つ様に吹いて、フルトーンで吹き切る時の対比が、一種の物語に成っているんです。

8曲目「キップ」は、「ポメロイ」が煌びやかなトランペットを吹き、「ムッスリ」のアルト、「チャロフ」のバリトンと3つの楽器がマトリクス的だが、西海岸らしく軽やかに演奏されていて、お洒落ですね。

オープニング曲「ボブ・ザ・ロビン」…「ムッスリ」のオリジナルだが、イタリア系のミュージシャンらしく、とても陽気でノリノリのメロディで、ユニゾン的に3管が絡み合う編曲も、ライトでポップでセンスが良いですね。
中間でトランペットのソロを取る「ポメロイ」とピアニスト「サンティシ」のアドリブが好演ですね。

2曲目「イエスタデイズ・ガーデニアス」…ショウ・パブのダンス・ミュージック的な寛いだライトな曲だが、「チャロフ」のソロ演奏は流石ですし、「ポメロイ」もブリリアントな音で、「ムッスリ」も原曲を活かした丁寧なアドリブを二人が演ってくれるので、只のライトなナンバーに終わってはいない。

6曲目「ジュニア」…このユニゾンで演奏されているテーマ・メロディは好きだ。
何か「ゴルソン・ハーモニー」を彷彿させてくれて、「ムッスリ」は、あっけらかんとした曲が多いのだが、この曲には暗さと黒さが垣間見えて、私のストライク・ゾーンに来てますよ。
メンバー中では、この曲では「ムッスリ」、「チャロフ」の二人が出来が良いんですが、渋くガッツリとベース・ラインを刻む「エヴァンス」の職人気質も買いですね。

10曲目「ユニゾン」…文字通り、ユニゾンでのテーマが主ですが、ここでの「チャロフ」の早めのテンポにバッチリ乗せて、バリトンサックスを吹き切るテクには恐れ入ります。
「サンティシ」は相変わらず良い味を出して、良いソロを弾いてくれます。

3曲目「サージカル」、5曲目「マー・ドロス」とも…曲自体の魅力は正直無いのだけれども、いかにもこの時代らしく、各人のアドリブ・ソロ・パートの時に、どれだけ遊べるか?を競い合っているのが、微笑ましいです。

バラッド曲2曲と比べると、他の演奏は二枚も三枚も落ちるかも知れませんが、それでもこのアルバムは、買いでしょう。
それ程、この2曲はすごいんです。
&真っ赤なこのジャケットもセンス有ると思いませんか?

ジェリー・マリガン~ジェル

2007-06-16 23:56:43 | ジャズ・(他)サックス
今日は、バリトン・サックスの名手、ジェリー・マリガンの飛切りセンスの良いアルバムを紹介します。

アルバムタイトル…ジェル

パーソネル…リーダー;ジェリー・マリガン(b-sax)
      トミー・フラナガン(p)
      ベン・タッカー(b)
      デイブ・ベイリー(ds)
      アレック・ドーシー(conga)

曲目…1.capricious、2.here I’ll stay、3.inside impromptu、4.you’ve come home、5.get out of town、6.blue boy、7.lonly town

演奏について…個人的にお薦めナンバー1は、1曲目のスタンダード「カプリコーン」がお気に入りです。
マリガンのバリトン・サックスと、フラナガンのセンス良いピアノが、寛ぎのラテン調のリズムに乗って、きっと貴方の心を癒してくれますよ。

それから、もろラテン度100%の、7曲目「ロンリー・タウン」は、気分ノリノリにさせてくれて、とても楽しい曲です。
特にラテン・リズムの重鎮、ベン・タッカーのベースが、メンバー全員をグイグイと引っ張って、終曲を飾るのに相応しい演奏です。

2曲目「ヒヤー~」は、マリガンの余裕綽々のバリトンに、コンガのドーシーが上手に絡んで、とても品の良いラテン・ジャズに仕上っています。
マリガンのこの余裕は、他の演奏者には無い、ある種の個性と言って良いかもしれません。

3曲目「インサイド~」は、コンガ入りの長調のバラードで、マリガンにとっては、正しく得意分野の演奏でしょう。
ここでのマリガンは、ちょっとファイトした演奏で吹くのですが、受けるフラナガンのピアノは、とても落ち着いていて優しい演奏で、この対比が良いですね。

4曲目「ユーヴ~」は、コンガが入っていますが、4ビートの正統的なジャズを演っており、ここではベイリーがシンバルを中心として、淡々とリズムを刻んでいるだけですが、そこが逆に一本筋通った男らしさが見えます。

くつろぎのジャズをどうぞ!ジェリー・マリガン~ナイト・ライツ

2007-03-23 22:57:22 | ジャズ・(他)サックス
昨日はフリー・ジャズの扉を開けましたが、踏み出しはまだ一歩だけにしておきましょう。
そこで今日は既定路線に戻って、「飛切りのくつろぎジャズ」を紹介しましょう。

アルバムタイトル名…「ナイト・ライツ」

パーソネル…リーダー;ジェリー・マリガン(bs、p-1)
      アート・ファーマー(tp、flh)
      ボブ・ブルックマイヤー(tb)
      ジム・ホール(g)
      ビル・クロウ(b)
      デイブ・ベイリー(ds)
      1曲目~6曲目(ジェリー・マリガン・セクステット)
      
      ジェリー・マリガン(cl)
      ピート・ジョリー(p)   
      ジョニー・グレイ(g)
      ジミー・ボンド(b)
      ハル・ブレイン(ds)
      7曲目のみ(ジェリー・マリガン・クインテット)

曲目…1.ナイト・ライツ(1963)、2.カーニヴァルの朝、3.ウィー・スモール・アワーズ、4.プレリュード ホ短調、5.フェスティヴァル・マイナー、6.テル・ミー・ホエン、7.ナイト・ライツ(1965)

演奏(曲)について…ジェリー・マリガンはピアノレスの変則コンボを好むプレイヤーである(1曲目だけは、バリトン・サックスを吹かずに、自らピアノを弾いているが…)
マリガンのバリトンサックスと、ファーマーのウォームなトランペット(フリューゲル・ホーン)は、「くつろぎのジャズ」としてこれ以上にないマッチングを見せる。
お薦め曲は、かつてFM東京の番組でテーマ曲として使われたことがある4曲目と私が大好きなカーニヴァルの朝(黒いオルフェ)が双璧であります。
次いで、このアルバムの中で最もジャージーで、「ジム・ホール」が名演している5曲目が抜群の聞き物です。
それから、オープニングとエンディングのアルバムタイトル曲の、編成&編曲の違いの妙を聞き比べるのもお楽しみです。

昨日紹介のアルバムとは対極を成すような、本アルバムを堪能すべし!