紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ジョン・コルトレーン&エリック・ドルフィー~ヨーロピアン・インプレッションズ

2008-06-07 11:32:12 | ジョン・コルトレーン
またまた友人に怒られそうな1枚を持って来ちゃいました。

演奏は聴かずとも推して知るべし!
正直、神が降臨していると言っても過言では無いぐらいに、素晴らしい演奏です。
しかし???録音が最悪です。
条件が悪い場所で録られただけでなく、マスター・テープの保管?状態も悪かったらしく、演奏(録音)の音飛びも所々有って、所謂「海賊盤」の類と言うぐらい、ひどい録音なんです。
でも…でも…皆様に一度は聴いて頂きたい演奏である事に異論は有りません。

アルバムタイトル…ヨーロピアン・インプレッションズ

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts、ss)
      エリック・ドルフィー(as、fl、b-cl)
      マッコイ・タイナー(p)
      レジー・ワークマン(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.インプレッションズ(1st-ver)、2.エヴリィ・タイム・ウイ・セイ・グッバイ、3.マイ・フェイヴァリット・シングス(1st-ver)、4.ブルー・トレイン、5.ネイマ、6.マイ・フェイヴァリット・シングス(2nd-ver)、7.インプレッションズ(2nd-ver)

1961年11月 ヨーロッパ・ツアーでの録音

原盤…Band Stand  発売…徳間ジャパン
CD番号…32JDB-199

演奏について…どの曲も「コルトレーン」縁の代表作品ばかりですが、1曲目から順番に紹介して行きましょう。
1曲目「インプレッションズ1st-ver」…ノッケから「コルトレーン」がミドル・アップ・テンポのこのチューンで、エンジン全開でテナーを吹き捲くる。
当然、バックの「マッコイ・タイナー」のモード・ピアノと皆を煽り捲くる激しいドラミングの「エルヴィン・ジョーンズ」、それから真面目にベースを弾き続けれる「レジー・ワークマン」の好サポートも必聴物。
「コルトレーン」の後を受けて、今度は「エリック・ドルフィー」が燃える。
演じている楽器はバス・クラリネットなんだろうが、とにかく録音が悪いので、バス・クラらしく聴こえないのが、チト残念です。
しかし、カデンツァは物凄くて、後期「コルトレーン」クインテット(セクステット)の「ファラオ・サンダース」が師匠と比べると大分見劣りするのが、流石「ドルフィー」…全く「コルトレーン」に引けをとっていない。
終盤、二人が絡み合うが、この辺りも天才同士のぶつかりあいは痺れますね。

2曲目「エヴリィ・タイム・ウイ・セイ・グッバイ」…有名なスタンダード・バラードだが、序奏は「コルトレーン」がテーマをじっくり、ストレートにソプラノ・サックスで吹いて始まる。
その後、「マッコイ」が、リリシズムとインテリジェンスを程好くバランスさせた極上のピアノ・アドリブで展開して行く。
まじで、「マッコイ」のピアノ…素晴らしいです。
しかし、それにも増して面白い&すごいのは、「エルヴィン・ジョーンズ」のドラミングで、このバラード曲に対して、変則的で間を活かしたハイテク・ドラミングをしていながらも、しっかり皆を煽っているのは流石!!
終盤もう一度「コルトレーン」のソプラノでのバラッドが演られます。

3曲目「コルトレーン」十八番の「マイ・フェイヴァリット~」ですが、序奏は「マッコイ」のワルツ・ピアノで幕を開け、すぐさま「コルトレーン」がソプラノ・サックスでメロディを演り、徐々に伝家の宝刀「コルトレーン・チェンジ」と「シーツ・オブ・サウンド」で中を舞い始める。
「マイ・フェイヴァリット~」の印象的なメロディが、段々と拡張されて遠くへと飛んで行く。
その後の「マッコイ」のピアノ・ソロは…相変わらずモード・ピアノの極み的な演奏で、美音、美演でいながら、とてもインテリジェンスが有る。
そして、いよいよ「ドルフィー」が登場で、今回はフルートを手に持っている。
正に楽器を吹き切る…やり切ると言う表現がピッタリで、超絶的な技巧と精神で「コルトレーン」を凌駕する様な、ウルトラ・アドリブで天空を舞い続ける。
そして、「コルトレーン」ももう一度登場して、テーマ・メロディをじっくりと吹いてから、最後のフィニッシュへと導いて行く。
ここでも、実は「エルヴィン」のドラミングは絶妙で、ガツンドカンと激しいパートは基より、ブラッシュ演奏のパートでも、優しくしかし厳しく皆を煽り、演奏曲の高揚に貢献してくれる。
名曲の名演ですね。

4曲目「ブルー・トレイン」…これも聴きなれたテーマ・メロディを起点として、「コルトレーン」がこの曲ではテナーでブイブイとシャウト&ブロウで決め捲くり、曲の始めからロケット・スタートをかまします。
この曲を過去歴代の演奏でも、最も激しい演奏ではないでしょうか?
とにかく、ハイパワーで音の洪水、そうです「シーツ・オブ・サウンド」で激流の如くの演奏に飲み込まれそうです。
その後の「ドルフィー」のアルト・サックス演奏もものすごくて、もはや言葉では説明出来ないぐらいに凄まじく、そして…もはや心地良い。
「コルトレーン」の「シーツ・オブ・サウンド」と、甲乙付け難い、素晴らしいシャウトです。
「マッコイ」はハイソなソロで曲を修飾して行きます。
いつまでも聴き続けたい、演奏です。

5曲目「ネイマ」…「コルトレーン」のソプラノ・サックスと「ドルフィー」のバスクラのユニゾンで、テーマ・メロディが奏でられて曲がスタートする。
その後、「マッコイ」のセンスたっぷりの伴奏にアシストされながら、「ドルフィー」がバス・クラリネットで、インテリジェックで、静かにハードなアドリブを演ってくれて…最後はもう一度、「コルトレーン」が加わりユニゾン演奏で〆ます。
短曲(短演)ですが、とても印象的な名演です。

6曲目…「マイ・フェイバリット~2nd-ver」ですが、この後の2曲は解説を止めておきましょう。

その理由の一つは、私自身、久しぶりにこの2大超人の伝説的なライブ演奏を5曲目まで聴き続けて来て、余りに凄過ぎて、心が苦しくなっちゃったからです。
やはり、壮絶な演奏は聴き続けちゃ行けませんね。
腹八分目でないと駄目です。
私の様な凡人には、このすごい演奏に対して、肉体と精神が、ジャズ超人(神)達に最後まで付いては行けません。
ですので、休息をせざるを得ません。

二つ目の理由は…是非皆様にこのアルバムを聴いて欲しいので、手品で言うタネや仕掛けを最後までは教えない方が良いのではと思い、皆様に夢を持ってこのアルバムを聴いて欲しいからです。
少しだけタネ明かしすれば、6曲目の「マイ・フェイヴァリット~」では、ここでも「ドルフィ」のフルート・ソロパートが有ります。
そして、3曲目の「マイ・フェイヴァリット~」よりも、もっと優れた演奏がなされています。

ではお楽しみに…

ケニー・バレル&ジョン・コルトレーンの続き…

2008-06-07 10:45:10 | ジョン・コルトレーン
一昨日の続きです。

演奏について…2曲目「アイ・ネヴァー・ニュー」…序奏から「バレル」の歌心溢れるアドリブで心を奪われる。
「チェンバース」と「コブ」のすごーく実直なリズム隊もOKです。
その後、「コルトレーン」が、気持ち低空飛行では有るが、ナイスなソロを演って繋ぐ。
低空飛行と言っても悪い意味ではなく、後年のどこまでも飛翔するフライトではなく、バランス良く他のメンバーと一定の距離、高さからソロを演じている感じなんです。
「フラナガン」はセンシティブなソロで、「ジミー・コブ」も一発ソロを入れてくれて…いかにもバップ臭を残したモダン・ジャズ演奏が気持ち良いですよ。

3曲目「リレスト」…序奏のユニゾン演奏から、すぐさま「コルトレーン」の超絶的なスーパー・アドリブが展開される。
この曲では低空飛行ではなく、かなり上空まで「トレーン」が飛んで行ってます。
その後の「バレル」「フラナガン」の二人とも魅惑的なフレーズで曲を彩り、終盤の「チェンバース」と「コブ」のデュオでのソロ合戦で最高潮になります。
この二人のバトルが裏の聴き所です。

4曲目「ホワイ・ワズ・アイ・ボーン?」…短曲ながら、このアルバムでのベスト・チューンで、「バレル」と「コルトレーン」のデュオで演奏がなされる。
「バレル」のとても中庸な…哀愁過ぎず、ブルージー過ぎず、辛過ぎず、非常に抑えた大人の表現のギター演奏に対して、これまた「コルトレーン」の甘過ぎず、激し過ぎず、渋過ぎず…やや硬いが、チョイ辛めの大人のテナー演奏で受けます。
これも正しく中庸のスタンダードな演奏なんですが、この中庸と言うのが実は難しい。
没個性にならないで、中庸ながらも己をチョイ出しするのが、プロ中のプロ、一流がなせる業なんでしょうね。
すごーく大人のバラッド演奏です。カッコイイ!!!

5曲目「ビッグ・ポール」…序奏はあっと驚く(大袈裟)「チェンバース」のベース・ソロから始まり、その後「トミー・フラナガン」が珠玉のピアノ演奏がとても(ジャズ的に)色っぽいんです。
この二人の鎹(かすがい)に、「コブ」がシャンシャンと敲く太鼓が一役買ってます。
その後、リズム・セクションに戻って、分厚く弾くベースの「チェンバース」の渋い仕事が魅惑的ですね。
それから…いよいよ「コルトレーン」の登場ですぜ!
辛目で硬質のトーンで、ハートを揺さぶるハードなテナー演奏にいかれちまいそうです。
この頃の演奏には、「コルトレーン・チェンジ」が随所に顔を出していて、過激で有りながらもメロディアスなカデンツァが、とにかく粋ですねぇ!
この「コルトレーン」のソロだけでも充分に聴き物なんですが、それに触発されて、「バレル」もいつもよりも気合が入ったソウルフルなソロを展開して行きます。
とてもスピリチュアルな精神性の高いソロが良いですね。
更に「チェンバース」も素敵なアルコ演奏で、絶妙のソロを演ります。
そして「フラナガン」が、真珠が煌くようにおしとやかに輝かしいアドリブピアノ演奏で纏めて行きます。
最後にもう一度、「チェンバース」の名を冠した曲名通り、渋カッコイイ、一発ベースソロ演奏で〆ます。
5人の名人が程好くバトルする、ナイスなトラックですねぇ。

このアルバムも言わずとしれた名盤ですが、「ジャイアント・ステップス」する直前の、未だ人間性を残している(失礼:笑)「コルトレーン」の素晴らしい演奏が聴ける良いアルバムだと改めて認識出来ますね。

トレーンとバレルのデュオがgood!…ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン

2008-06-05 23:08:34 | ジョン・コルトレーン
今日は「ジョン・コルトレーン」が、プレスティッジ時代に遺した好演盤を紹介しましょう。
「コルトレーン」のやや辛口のバラッド演奏を、ブルージーな「ケニー・バレル」、美しく華麗な「トミー・フラナガン」、そしてウォームな「ポール・チェンバース」と手堅い「ジミー・コブ」と言った、名人達の魅惑のサイドメンによるサポートが真に美しい必聴盤なんです。

アルバムタイトル…ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts)
      ケニー・バレル(g)
      トミー・フラナガン(p)
      ポール・チェンバース(b)
      ジミー・コブ(ds)

曲目…1.フレイト・トレーン、2.アイ・ネヴァー・ニュー、3.リレスト、4.ホワイ・ワズ・アイ・ボーン?、5.ビッグ・ポール

1958年3月7日録音

原盤…Prestije NJ-8276  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VDJ-1533

演奏について…オープニング曲「フレイト・トレーン」…「トレーン」の名を冠しているが、作曲は「トミー・フラナガン」で、ミドル・アップ・テンポのバップ・ナンバーです。
序奏から「コルトレーン」がハードでパワフルなテナー・サックスを奏でて、それを受ける「ケニー・バレル」のウォーム系の音色でありながら、非常にブルージーでハイな行けてるソロを演って繋いでくるんです。
それから「トミー・フラナガン」が、小洒落てイマジネイティヴなアドリブをかまして、曲を色付して来ます。
その後「チェンバース」が、十八番のボウイングでギコギコ言わせて、フィニッシュでは「ジミー・コブ」の一発ソロも有って、ご機嫌でバッピッシュな演奏が煌くのです。
スタートから掴みはOKの演奏です。

2曲目「アイ・ネヴァー・ニュー」…「トミ・フラ」と「バレル」がノッケから行けてるアドリブを決め捲くり、「トレーン」もカデンツァ的なスーパー・アドリブで向こうを張って行く。
…続きはまた明日 see you next

かなりエモーショナルな演奏です…ジョン・コルトレーン~バイーア

2008-05-11 09:40:13 | ジョン・コルトレーン
皆様、お早うございます。
今日は朝からブログが書けるのでラッキーです。

ところで、私事ですが、本日5月11日…○○歳の誕生日でございます。
実際の年齢…言いたく有りません。(笑)(笑)(笑)
でも、このブログに遊びに来られていて、コメントを下さっている方々とは、ほぼ同年齢で有ることは間違いないです。
認めたくないが、(絶対に認めたくないが:強調)所謂、「中年」…です。
でも、しかし…私の実物…決してイケメンでは、有りませんが、実年齢よりも10歳以上若く見られます。★チョッピリ自慢!
髪は(白髪)は、染めてますが、頭髪は未だ充分有ります。★小さな自慢?
まぁ、そんな訳で、今後も宜しくお願い致します。

さて、今日はトップ・バッターで「コルトレーン」が、かなりエモーショナルに吹き上げた、渋めの1枚を紹介しましょう。

アルバムタイトル…バイーア

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts)
      フレディ・ハバード(tp)
      ポール・チェンバース(b)
      アート・テイラー(ds)
      ウィルバー・ハーデン(tp)※3曲目、4曲目
      ジミー・コブ(ds)※3曲目、4曲目

曲目…1.バイーア、2.ゴールズ・ボロ・エクスプレス、3.マイ・アイディアル、4.アイム・ア・ドリーマー、5.サムシング・アイ・ドリーム・ラスト・ナイト

1958年7月11日※3曲目、4曲目、12月26日 録音

原盤…Prestige PR-7353  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VICJ-23629

演奏について…クレジットに表記したが、このアルバムには二つのセッション演奏が含まれていて、それぞれにトランペッターとドラムスが代わって録音されている。
それぞれを代表する演奏として、3曲目「マイ・アイディアル」と、ラストの5曲目「サムシング・アイ・ドリーム~」をまず最初に取上げてみよう。

3曲目「マイ・アイディアル」…「コルトレーン」が非常にリラックスした感じで、伸びやかに、そして情緒たっぷりに歌い上げるテーマ演奏から始まる。
「ジミー・コブ」のシンバル・ワークと「レッド・ガーランド」の抑えたブロック・コードが、さりげなく「コルトレーン」をアシストして、正に珠玉の演奏と相成った。
次いで「ウィルバー・ハーデン」が「コルトレーン」の演奏を正面から受けて、音色は幾分明るめの物の、これまた叙情的に、丁寧にインプロヴァイズして飾り立てて行く。
「ガーランド」は一寸サロン風に、軽やかに寛いだアドリブで、センス抜群の演奏で花を副える。
フィニッシュは、勿論、もう一度「コルトレーン」に戻り、いかにも彼の「プレスティッジ」時代らしい、若々しいストレートな表現で吹き上げて終わる。
とても気持ちが良い曲&演奏です。

一方、5曲目「サムシング・アイ・ドリーム・ラスト・ナイト」ですが…「ガーランド」の序奏に導かれて、「コルトレーン」が、ノッケから正攻法のバラッド演奏でストレートに押してくる。
しかし、3曲目から約半年後の演奏なのだが、やはりと言うか、流石と言うべきか、「コルトレーン」は確実に進化しているのがハッキリ見て取れる。
同じ様に、メロディ・ラインをかなり忠実に、色付けしないでストレートに吹き切るにしても、微妙なパッセージ&ニュアンスと、何よりも音色が違うんです。
この曲では、インパルス時代の「バラード」の前進って言うのが、若干判る音色で、若々しい「コルトレーン」から、少し熟成された…ボジョレ・ヌーヴォよりも寝かされて芳醇さが増した「コルトレーン」が存在します。
終盤に来ての「チェンバース」のソロ・ボウイング演奏も渋くて素敵で、「ハバード」もブリリアントな美音で、シンプルにアドリブを決めてきます。
聴き比べてみると「ハバード」は、やっぱり「ハーデン」よりも一枚上手のトランペッターですね。
そして最後はもう一度、大将「コルトレーン」が、じっくりと高尚なバラードを演ってくれて…フィニッシュとなります。
どちらのバラード演奏も素敵ですが、白黒・優劣をつけるとなると、やっぱり後者の方が勝っていると思います。

タイトル曲「バイーア」…私、大好きなラテン・リズムから曲が始まって、ラテン大好きな「ガーランド」が、ラテン・コードでノリノリ、上げ上げでインスパイアして行くと、「コルトレーン」も早いパッセージで、「コルトレーン・チェンジ」を演り捲くって、皆をエキサイトさせて行きます。
それから、再度「ガーランド」に廻り、今度は魅惑のラテン調、シングル・トーンで右手をぶん廻して、エキゾティックなアドリブを決めてくるんです。
この曲では、重厚にリズムを刻むドラムス「アート・テイラー」と、終盤ボウイングで、ギコギコを言わす「チェンバース」が、しっかりとフロント・トップを下から支えてくれて、良い仕事をやってますよ。
ここでもフィニッシュはお決まり?で、「コルトレーン」がバッチリ吹き上げます。
ノリが抜群のオープニング曲ですね。

2曲目「ゴールズ・ボロ・エクスプレス」…「コルトレーン」オリジナル曲で、演奏は「ガーランド」抜きでなされており、とても早いパッセージの疾走ナンバー
系です。
とにかく、この演奏は「コルトレーン」が「ジャイアント・ステップス」風にバリバリ、ブイブイと吹き捲くり、彼のすごさと本領が充分に発揮された1曲なんですが、その相手を務める「アート・テイラー」の早敲き、超絶ドラミングが、それに勝るとも劣らず、えぐくて、超かっこいい!
この超人2人のバトル演奏…痺れちゃいますよ~!
気品とエモーショナル抜群なバラード曲(名曲)の間に咲き誇る…素晴らしい1曲ですね!!

4曲目「アイム・ア・ドリーマー」…「ウィルバー・ハーデン」が、かなりフューチャーされていて、期待に違わず、ブリリアントに華麗アドリブを演ってくれます。
「コルトレーン」は、(1、2、5曲目に比べて)やはり、演奏に若さが垣間見れて、それはそれで清々しさが有って良いもんです。
「ガーランド」は、この曲が一番「ガーランド」節を出してくれている感じがするねぇ。
華麗で、お洒落で、華やぎと寛ぎが上手くミックスされたソロ演奏です。
「チェンバース」もいつものヤツ…終盤で演ってくれて…お決まりです。
「ジミー・コブ」も最後に一発演りますよ。
いかにも太鼓敲きらしいフレーズが、楽しいです。
この曲は、このアルバムでは、ティー・ブレークの役目を果たしてくれます。
寛ぎの1曲です。

今日は私の誕生日と共に、世の中では「母の日」ですね。
このアルバム…「母の日」と言う日に合うと思いますよ。…きっと!
じんわりとした優しさが滲み出てくるアルバムです。

今日もすごいの行っちゃうよ!メンツを見て驚愕!ジョン・コルトレーン~コルトレーン・タイム

2008-04-28 21:15:23 | ジョン・コルトレーン
先日の「ジョン・コルトレーン」の「アセンション」紹介の時には、多くの方からコメントなどを頂戴し、ありがとうございます。
今日は、「アセンション」ほど巷で知られていませんが、参加ミュージシャンから、演られている演奏が、全く想像がつかない様な、とっておきの1枚…行っちゃいましょう!!

アルバムタイトル…コルトレーン・タイム

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts)
      ケニー・ドーハム(tp)
      セシル・テイラー(p)
      チャック・イスラエルス(b)
      ルイス・ヘイズ(ds)

曲目…1.シフティング・ダウン、2.ジャスト・フレンズ、3.ライク・サムワン・イン・ラヴ、4.ダブル・クラッチング

1958年10月13日録音

原盤…LIBERTY  発売…東芝EMI
CD番号…CP32-5189

演奏について…冒頭で述べているが、このアルバムへの参加メンバー???…な、何てこったい!
「コルトレーン」を取り巻くメンバーが、「ケニー・ドーハム」と「セシル・テイラー」、リズムは「ルイス・ヘイズ」と「チャック・イスラエルス」。
一体どんな音楽(ジャズ)が奏でられているのか?
皆さん、興味が湧きませんか?
ハード・バップを代表する、ウォームで朴訥な音色で、いかにも正統的な生真面目「ドーハム」に、革新的なピアニストとしては、最も極の位置にいる異端児「テイラー」が交じり合うことが出来るの?
後年、「ビル・エヴァンス」とクールでインテリジェンスなピアノ・トリオを組むベーシスト「イスラエルス」。
逆に「ヘイズ」は、硬派のフュージョンまでに、先進的な音楽性へと変えていった無頼の漢である。

唯、唯一、ここでの演奏を紐解く鍵があるとすれば、ずばり録音年代(1958年)だと言うことだ!

この年には「コルトレーン・チェンジ」や「シーツ・オブ・サウンド」は未だ、完全な完成を見てはいないし、(でも、その断片演奏は、所々に有るんですが…)「テイラー」にしたって、相当革新的なピアノ演奏をしてはいるが、1960年代半ばの、ウルトラ・フリーな域までは達していない。
だから、「ドーハム」の演奏も(多少違和感が感じられるとは言え)全く時代遅れとまではなっていない。
勿論、「ヘイズ」「イスラエルス」の二人とも、堅実で非常にオーソドックスなバック演奏に徹している。
ですので、来るべき未来に、どこまでも飛ぶ「コルトレーン」と「テイラー」の前途洋々な演奏の走り…そう、あくまでも走りですけど、垣間見れるのが楽しいんです。

それではどうぞ!

一番面白い…趣き深いのは、3曲目、名曲「ライク・サムワン・イン・ラヴ」で、「コルトレーン」が主題メロディを奏でた後、「ドーハム」が非常にエモーショナルで、安定感のあるアドリブ・ソロをこなす。
逆に「テイラー」は、調整をかなり無視した?不協和音を多用した、ブロック・コードで、曲にアクセントを付ける。
「コルトレーン」のソロは、流麗で且つアグレッシヴな物で、シーツ・オブ・サウンドの礎的な、畝って長めのアドリブ・フレーズを多く用いて、エキサイティングに演奏する。
その後の「テイラー」のアドリブがすごい!
まるで、ぶっ飛んだ「モンク」の様です。
切れる!すっ飛ぶ!駆け上がる!
一寸、いや、もはや言葉に出来ません。
「テイラー」と、デュオ的に「イスラエルス」がベース・アドリブを演ってくれますが、この二人の掛け合い、バトルもものすごく良いんです。
ハチャメチャなのか?前衛芸術なのか?ギリギリの線で交わる所が最高です。

1曲目「シフティング・ダウン」…いきなり「セシル・テイラー」の不協和音のブロック・コードから、ブルーズ・リズムで始まるチューン。
ノッケから、彼らの決意表明がなされた瞬間である。
最初のソロは「コルトレーン」…およそ1年後の「ジャイアント・ステップス」録音の超人的な飛躍を予感させる、ハードで乾いた音色で、辛口のブルーズ・アドリブをバリバリと吹いて、正に「コルトレーン・タイム」の到来を告げるかの様です。
「テイラー」…うぅーん、相変わらず良い仕事していますね。
この変則的な和音…こいつは「テイラー」にしか出来ない代物です。
「モンク」以上です。
調整(コード)は、完全に無視?していても、クラシックの現代音楽の様に、音楽性が有ります。
そして、この演奏を万人向けに纏め上げるのが、ズバリ「ドーハム」です。
いかにもハード・バピッシュな、大人のブルーズを演ってくれます。
「ドーハム」すごいです。
革新者二人を差し置いて、オールド・ファッションながら、男の生き様…見せてくれます。
うぅーん…感激です!!

4曲目「ダブル・クラッチング」…序奏は「ドーハム」がかなり乗ってる感じでオ-ソドックスにアドリブを仕上げる。
受けた「コルトレーン」も、序盤はゆったり目に、かなりおおらかな感じでアドリブを演るんですが、その後、お得意の「シーツ・オブ・サウンド」もどき?の、連続したうねりのフレーズで、曲をエキサイティングに仕上げて行きます。
合間でおかずをたっぷり入れる「イスラエルス」のベースもすごく良い仕事してます。
「テイラー」は、ここでは間を上手に使って、音と音の空間を大事にする部分と、早弾きのパート(小節)との対比を見事に演出します。
それから「イスラエルス」の、重厚で強面硬派の、野太いソロが入るのですが、胸にジーンと来ます。
終盤はカルテット5人渾然一体となる、ソロがミキシングされて、絡み合って、取分け「ヘイズ」のソロ・パートは聴き応え有ります。
各人のアドリブ・ソロを中心に聴くなら、ズバリ…この演奏が一番でしょうか?

2曲目「ジャスト・フレンズ」…ハイテンポのリズムから、「テイラー」が過激に突き進む。
一方、「ヘイズ」と「イスラエルス」は、淡々とリズムを刻み、でも音色は硬派ですよ!
「ドーハム」はいつもより元気目で、目一杯ブロウしてくれます。
それでも、相変わらず優しい音色です。
「コルトレーン」は、「ドーハム」の後を受けるので、(「ドーハム」に遠慮してか?)余り過激にならず、インテリックなアドリブで応戦します。
パッセージを発しますが、やや抑制した表現で、ここにダンディズムを極めれり!

とにかく、全4曲ともgoodですよ!
「テイラー」嫌いの方にも聴いてほっすぃい!!
決して名盤ではないけれど、「コルトレーン」と「テイラー」の一期一会の奇跡の名演がここに有りますよ。
正に必聴盤です!!!      

歴史的問題作…アセンション~ジョン・コルトレーン

2008-04-25 23:59:48 | ジョン・コルトレーン
1965年に「コルトレーン」が発したフリー宣言、問題作と言われているのが、今日紹介する「アセンション」です。

モダン・ジャズ…取分けバップから発展したモード・ジャズにプラスして、「コルトレーン」自身が、更なる音階と音調的発展をさせたのが、所謂「コルトレーン・チェンジ」と「シーツ・オブ・サウンド」である事は、先回「マイ・フェイヴァリット・シングス」の時に(少し)紹介させて頂きました。
私個人的には、この時代の演奏形態が、「ジャズの完成型」だと信じておりますし、最も好きな「ジャズ」なのですが、「コルトレーン」の進攻は止まりませんでした。

つまりアルバム「アセンション」は、(「コルトレーン・チェンジ」等でも飽き足らず?)ジャズの将来性を更に模索していた「コルトレーン」が、実験的いや、意欲的に取組み進攻した証のレコーディング・セッションとなったのです。

正直申し上げますと、このアルバムは多くの方に聴いてもらえる物では無いと思いますし、問題作では有っても、「コルトレーン」の代表作でも傑作でも全く有りません。

ただ、私も実は、この「アセンション」を聴いたのが、実に10数年ぶりなのですが、前回聴いた時よりもかなり聴き易く?なっていたのが不思議で…「エリック・ドルフィー」の「アウト・トゥ・ランチ」も確か同様な印象が有りますけど…何ででしょうかねぇ?
ここ10年以上で、(フリー)ジャズ以上に過激な音楽を知らず知らずの内に聴いていて、耳が慣れてきているのかも知れません。

このアルバムで良い演奏をしているのは、CDのライナー・ノーツで「星野秋男」氏も書かれておりますが、過去の音階に囚われない、若手の新鋭たちで、「コルトレーン・チルドレン」とも言うべき、「ファラオ・サンダース」や「アーチー・シェップ」、「マリオン・ブラウン」と言ったメンバーです。
彼らは(フリー)アドリブで生き生きとした思い切りの良いブローを演ってくれてます。
一方、至高のカルテットを形成していた、「エルヴィン・ジョーンズ」、「マッコイ・タイナー」は、半ば呆れた心理状態になっており、「どうでもいいや」「成る様に成れ!」と入った心境で演奏しているらしいです。
私的には、「エルヴィン」も「マッコイ」もベストではなくとも、それなりにパフォーマンスを演じていると思いますが…。
最後まで「コルトレーン」と付き合うことになるベーシスト「ジミー・ギャリソン」は、終盤のアドリブ・ソロを含めてgoodな演奏をしていますね。
いずれにせよ、「ハバード」などは、この系統の音楽(ジャズ)は、肌に合わなかった様で、「ハバード」らしさは出ていないようです。
それでも、フリーとは言え、もはや20世紀の古典としての価値すら出てきたアルバムとだと思います。
序奏の演奏なんかは、メロディアスと言っても良いような???

まぁ、怖いもの見たさで、聴いてくれる方がいれば嬉しいですね。
多分大丈夫です…ハイ!!!

アルバムタイトル…アセンション

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts)
      フレディ・ハバード(tp)
      デューイ・ジョンソン(tp)
      ジョン・チカイ(as)
      マリオン・ブラウン(as)
      ファラオ・サンダース(ts)
      アーチー・シェップ(ts)
      マッコイ・タイナー(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      アート・デイヴィス(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…アセンション

録音…1965年6月28日

原盤…impulse A-95  発売…ワーナー・ブラザース
CD番号…32XD-577

演奏について…前説で殆ど言ってしまったので、詳細はこれ以上は言いません。
序奏の以外にもメロディアスな感じ、ソロで言えば「コルトレーン」は当然のことながら、近い将来の飛躍を予感させる、「ファラオ・サンダース」「マリオン・ブラウン」「アーチー・シェップ」の3人のソロは行けてます。
「ギャリソン」の渋くも重厚なソロも良いです。
「マッコイ」の少し仲間ハズレなモード・ピアノ演奏と「エルヴィン」のガツンガツン、バシンバシンと我が道を行く敲き加減も面白いです。

たまには気分転換にこう言うのも良いです!!

我思う故に我有り…ジョン・コルトレーン~マイ・フェイヴァリット・シングス

2008-03-27 21:52:39 | ジョン・コルトレーン
今日は何となく気分が良い。
そこで、このブログの代名詞的な存在…いや、私のジャズ好き人生の指標とも言って良い「ジョン・コルトレーン」の超絶的な代表作で有る、本作品を今回は取上げてみたいと思います。
余りにも有名な作品で少々気が咎めるのも事実では有りますが、このブログ開設以来、今迄取上げていなかったのがむしろ不思議です。

フリーの「コルトレーン」ではなく、モード・ジャズで、シーツ・オブ・サウンドの初期完成形として、万人に受け入れて頂ける作品だと思いますので、是非聴いて下さい。

アルバムタイトル…マイ・フェイヴァリット・シングス

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ss、ts)
      マッコイ・タイナー(p)
      スティーヴ・デイヴィス(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.マイ・フェイヴァリット・シングス、2.エヴリタイム・ウイ・セイ・グッドバイ、3.サマー・タイム、4.バット・ノット・フォー・ミー

1960年10月21日①、24日②、26日③④

原盤…ATLANTIC 1361 発売…ワーナー・パイオニア
CD番号…30XD-1000

演奏について…オープニング&タイトル曲「マイ・フェイヴァリット・シングス」…もはや説明不要の超絶的な名演奏です。
「コルトレーン」がソプラノ・サックスを駆使して、隼が天空を滑空&飛翔するように、シーツ・オブ・サウンドと言う超絶的なテクニックを用いて、アドリブのシャワーを音に換えて振り注ぐのです。
その後の「マッコイ・タイナー」のモード・ピアニズムの極限演奏が羽ばたく様に、ロマンティシズムと幻想的な空間の間に、送り込ませるんです。
とても心地良く、しかしインテリジェンスも感じ得る…ワルツのリズムに乗って、我等をどこに誘うのか?
「スティーヴ・デイヴィス」のベース演奏は、淡々とリズムを刻み、「エルヴィン・ジョーンズ」は、さりげなくも奥底に燃えるパッションで、「コルトレーン」、「マッコイ」を鼓舞し続けます。
終盤は正しく「コルトレーン」の独自世界へと、ソプラノ・サックスが連れて行きます。
「マッコイ」のブロック・コードに支えられながら、「コルトレーン」は短距離走の走者が、その足でマラソンを走る様な、有り得ないぐらいの異次元に走ってトリップするんです。勿論、無理を100も承知でね。
でも、42.195kmは、全力疾走出来ないけれども、20kmぐらいは、本当に全力疾走しているんじゃないかと思うぐらいに、エナジー全開の驚愕の演奏が遂行されています。す、すごいの一言です。

2曲目「エヴリタイム・ウイ・セイ・グッドバイ」…このバラッド演奏もすごいの一言です。
「コルトレーン」の一番すごい所は、モードからフリー演奏へと、つまりシャウト&ブロウの神とも言うべきトーンを、長時間連発できるアヴァンギャルドな演奏家で有りながら、バラッドに対しても神とも言える程魅惑的な演奏を数多く遺しているところでしょう。
ここでの哲学的に思索された、抑制のバラッド演奏に感心すること間違いなしで、大人のバラッド伴奏に従事する「マッコイ」と、渋く繊細にブラシを決める「エルヴィン」のさりげない優しさに、温かいぬくもりを感じるでしょう。

3曲目「サマー・タイム」…こいつもすごいぜ!!
一聴すると、原曲が分からない程のデフォルメされたテーマ演奏ですが、この曲のメロディ&テーマを、ただのアドリブ素材だと単純に理解すれば、至極分かり易いシンプルな演奏です。
アドリブの調理具合と方法が、とにかく素晴らしくて、「コルトレーン」のインテリジェンスに圧倒されるでしょう。
ラテン・リズムを入れたりする、遊び心をチョイ見せする「マッコイ」のピアノ・ソロの出来も良いですし、このアルバム中、唯一ソロを取る「デイヴィス」の歌わせるベース・ソロ演奏にも痺れさせられるでしょう。
終盤には、「マッコイ」の重厚感覚溢れるピアノ伴奏を従えて、「エルヴィン」が激しいドラム・ソロを演ってくれます。
このピアノとドラム、そしてビンビンにハードなベースの対話、「コルトレーン」レスのピアノ・トリオ演奏部分が、最高潮で聴き物なんです。
勿論、ラストの1小節だけ、「サマー・タイム」のメロディ・フレーズを「コルトレーン」が吹いてくれるところも良いんですけどねぇ。
最高にかっこよくて、気持ち良い演奏です。

4曲目「バット・ノット・フォー・ミー」…このラスト曲の出来も秀逸です。
序盤~終盤の「コルトレーン」の超絶技巧のソロ演奏には口をあんぐりさせられるほどですし、逆に中盤の「マッコイ」「デイヴィス」「エルヴィン」の寛ぎのピアノ・トリオ演奏部分の大人の渋いやり取りも、裏聴き所となっています。

いずれにせよ、全4曲全てが、ジャズ・レコーディング史上、最高評価の聴き物であり、ベスト演奏と言って良い出来栄えです。
冒頭で言った様に、正直、説明不要の名演揃いですので、是非、皆様、このスーパー名演&名盤をご堪能下さい。

祝&感謝!ブログ開設1周年!!…ライヴ・アット・バードランド~ジョン・コルトレーン

2008-01-28 22:10:55 | ジョン・コルトレーン
皆さん、こんばんわ。

実は…1月27日で(本当は昨日だったのですが)、この「紫のオルフェ」と言う、稚拙なブログを開設してから、丁度1年経ちました。

その間、多くの方々にご訪問とコメントを頂戴致しまして、又、見辛い、或いは、失礼な事も多々有ったと思いますが、そう言う時には、叱咤・激励等も頂き、何とか続けて来られた事、皆様のおかげと思っています。
本当にありがとうございます。

2年目は、昨年以上にマイペースでの更新になるかも知れませんが、飽きずにご閲覧頂ければ、幸いです。
今後も宜しくお願いします。

そんな訳で、今日は皆様に感謝の意を表して、「ジョン・コルトレーン」のアルバムより、飛切りの一枚を選択して、解説(紹介)致したいと思います。

アルバムタイトル…ライヴ・アット・バードランド

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ss、ts)
      マッコイ・タイナー(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.アフロ・ブルー、2.アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー、3.ザ・プロミス、4.アラバマ、5.ユア・レディ

1963年10月8日(1、2、3) 1963年11月18日(4、5)

原盤…impulse A-50  発売…ワーナー・パイオニア
CD番号…32XD-588

演奏について…1曲目「アフロ・ブルー」…1曲目から、ライヴでありながら、「コルトレーン」カルテットがいきなりのベスト・パフォーマンスの演奏をする。
「コルトレーン」から、ソプラノ・サックスでのテーマ掲示がなされると、それを受けて「マッコイ・タイナー」が、モード・ピアノの規範的なコードを、雨霰の様に鍵盤に敲きつけて、真にグレイトなピアノ演奏をしてくれます。
サポートする「エルヴィン・ジョーンズ」のドラミングも相変わらずの絶好調で、ガツン、バキン、ドシャーンとシンバルを敲き、ドスン、ズドン、とバスドラを蹴り捲る。
まじで、パワフル・ドラマーの真骨頂です。
その後の「コルトレーン」の演じるアドリブ…いや、いつも言っていてしつこいが…もはやカデンツァと言うべき、超絶のアドリブ・ソロが、音となって会場を縦横無尽に駆け巡る。
インディアナ風のテーマが、モードとフリーの間を行き来する様に…この音(演奏)は、精霊が飛び廻る時の羽音なのか?
いずれにせよ、天上から聴こえてくる神の声の様に聴こえる。
最初から、エンジン全開、手抜き一切無しの、この至高のカルテットの名演を聴いて下さい。

2曲目「アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー」…「ジョン・コルトレーン」と言う、不世出の天才アーティストの多くの芸術(演奏)の中でも、屈指の名演とされるトラック。
バック陣は、ブロック・コードで伴奏する「マッコイ」と、地味~っぽく見えて、実は目立っている、ガッツリ・ドラムスを敲く「エルヴィン・ジョーンズ」と、実直にリズムを刻む「ジミー・ギャリソン」を従えて、「コルトレーン」が、テナー・サックスで奏でる、長大なスーパー・カデンツァ。
このスーパー・カデンツァ…これは、ジャズと言うカテゴリーのみならず、音楽と言う芸術の歴史の中でも、群を抜く素晴らしいアドリブ演奏です。
超絶技巧で、吹き続ける「コルトレーン」の演奏に…きっと、「音楽の神」を見つける方もいらっしゃるでしょう。
最高のバラード&アドリブです。

3曲目「ザ・プロミス」は、モードで演る、ハードボイルドなブルーズです。
序奏では、モード・ジャズの申子「マッコイ」が、華麗でセンシティブなピアノ・アドリブで曲とメンバーを引っ張って行きます。
それ以上に、コンボを盛り上げているのは、やはり「エルヴィン」のドラミングでしょう。
パワフルでありつつ、精神も強固で、皆を煽り、ファイトさせながらも、少しだけ客観的に全体を見渡す、冷めた(冴えた)己を常に持った、グローバルな演奏をし続けてくれるのです。
終盤では、またまた「コルトレーン」が、ソプラノ・サックスで、シャウトと流麗さを兼ね備えた、絶唱の様に…目まぐるしく色が変わる様に、速射砲の如くのフレーズを繰り出し…我々をハイな気持ちにトリップするのです。

4曲目「アラバマ」…この曲はライヴではなく、スタジオ録音なんですが、まじに良い演奏です。
この曲では、「コルトレーン」が、テナー・サックスで、超名盤「バラード」や「クレッセント」に通ずる、乾いたイメージ…つまり甘くない、大人の演るブルース調のバラード演奏がなされています。
バック陣では、静かに…、しかし内面で激しく燃える「エルヴィン」のドラムが、深く、重く、そして厚く敲かれて…「コルトレーン」の名演奏を、後押しします。

5曲目「ユア・レディ」…「コルトレーン」が、ソプラノ・サックスを使用し、明るめの音調で、軽やかに早い運指でアドリブを決めます。
至高のカルテットのリズム・セクションもいつも通りで、重厚に曲を彩る「エルヴィン」と、分厚いベースで礎を作る「ギャリソン」の二人の出来が抜群です。
「マッコイ」は、この曲ではあまり弾かずに、ポツンポツンと伴奏に加わります。
多分、彼の気持ちでは、ピアノ・レス・トリオで、「トレーン」が自由に吹くのを、そっと見守る様な演奏をしているんでしょう。

いずれにせよ、5曲全てが全くの手抜き無しで…皆様も史上最高のカルテットの素晴らしい演奏を聴いて下さい。

新結成、後期の傑作…ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン~ジョン・コルトレーン

2008-01-22 22:29:49 | ジョン・コルトレーン
至高のカルテット解散後の、新生「コルトレーン」のコンボが、再び「ヴィレッジ・ヴァンガード」にやって来た。

そして、その時に録音されたのが、このライヴ・アルバムなんです。

「コルトレーン」縁の1曲目「ナイーマ」と、同じくライフ・ワークの曲が、2~3曲目の「マイ・フェイヴァリット・シングス」…このアルバムに収められているのは、たった2曲です。

とにかく、後期「コルトレーン」が演奏する曲は、1曲、1曲が長大で、(時には1曲で1時間以上なんてことも…)もはや人間業を超越して、正しく「神」や「賢者:グル」の声とも言うべき、サックスからの魂の絶叫が聴けます。

そして、この演奏のわずか1年後には、天に召されるので、まじめに骨身(命)を削って、演奏に没頭していた事は、紛れも無い事実でしょう。

是非「ジョン・ウィリアム・コルトレーン」の魂の叫び(絶唱)を聴いて下さい。
それから、「コルトレーン」を崇拝し、サポートする若き精鋭たちの演奏も聴いて下さい。

アルバムタイトル…ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン

パーソネル…ジョン・コルトレーン(ts、ss、b-cl)
      ファラオ・サンダース(ts)
      アリス・コルトレーン(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      ラシッド・アリ(ds)
      マニュエル・ラヒム(perc)

曲目…1.ナイーマ、2.イントロダクション・トゥ・マイ・フェイヴァリット・シングス、3.マイ・フェイヴァリット・シングス

録音…1966年5月28日 ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音

原盤…impulse A-9124  発売…ワーナー・パイオニア
CD番号…32XD-598

演奏について…1曲目の「ナイーマ」も「コルトレーン」の生涯演奏・録音の中でも上位の演奏だと思うが、やはり彼のライフ・ワークである、2曲目~3曲目にかけての、約27分に渡る長演奏の、「マイ・フェイヴァリット・シングス」から解説させて頂きましょう。

2曲目の「イントロダクション・トゥ・マイ~」は、言うなれば「マイ・フェイヴァリット~」へと橋渡しするための「ジミー・ギャリソン」の長大なベース・ソロの事であります。
この演奏…ベースの好きな方なら…正しく私はその一人ですが…聴いていてワクワクさせられ、尚且つ類稀な緊張感も感じえます。
「ギャリソン」の重厚なピッチカートと、時々使用するボウイングの何れもが、腹の底に響き渡る様な、重低音で心の奥底まで迫ってきます。
古い日本の特撮映画に、「大魔神」と言うのが有りました。
大魔神が悪人を退治する時、海が割れます(十戒も海が割れるなぁ)が、正しく「大魔神」様が通るために海を割る道の役目をしているんです。
泣く子も黙る、名演奏です。

3曲目「マイ・フェイヴァリット・シングス」の本丸に「ギャリソン」の重厚ベースが橋渡しをして、大将(神)の「コルトレーン」が、ソプラノ・サックスを引っさげて登場します。
まるでインド音楽の様に、ソプラノ・サックスを矢継ぎ早に運指して、パルスの様な高速で、音の閃光を光らせ続けます。
サイドでは、ピアノを乱打する「アリス」、そしてドラムを敲き捲る「ラシッド・アリ」が、これでもかの、狂乱の音のシャワーを、「コルトレーン」のソプラノ・サックスを修飾する様に乱れ打ちます。
それを受けて、「コルトレーン」が、激しくそして天空に飛び立つ鷲の様にどこまでも高く…大袈裟だが、宇宙までも飛び上がって、いつしかフェニックス(不死鳥)に変貌を遂げていくのです。
「マイ・フェイヴァリット~」のメロディ・ラインを一つ吹くだけでも、そこに筆舌し難い高貴な芸術性が、飾らない裸の姿で立っています。
大将のリードを受けて、いや、駅伝で言う襷を受けて、弟子:第3走者の「サンダース」は、一心不乱に牛や馬が嘶くが如く、野生の本能で、唾を垂れ流しながら…鷲の後を受けて、テナー・サックスを使用して、全力疾走します。
鷲の様に空は飛べないが、無心で走り続け、鷲の意思を繋げようと、健気に倒れながらも、テナー・サックスを持ちながら懸命に走るんです。
口から血や反吐をはきながらも、まだまだ走る…走る…走る!!
「ファラオ・サンダース」が走るんです。
この命がけの走りを見た「コルトレーン」は、天空から引き返し、この牛(馬)に付き合って、併走し、ソプラノ・サックスで激しく、そして優しく抱きしめます。
そして、牛「サンダース」を休ませて、駅伝の襷を再度受けて、またまた自らが命燃え尽きるまで、今度は走るんです。
よたって、転んで、傷ついて…一所懸命に走り続けます。
そして、ゴールが見えて来ると、もう一度テーマを思い切り吹き切り、ゴール・テープをタッチします。
「アリス」の優しいピアノに励まされて…「コルトレーン」が、感動のゴールをします。
演奏の質だけならば、「初代ヴィレッジ・ヴァンガード」の方が上かも知れませんが、精神性の高さは、この「アゲイン」の方が上回っているのでは?と思います。

1曲目の「ナイーマ」…後に嵐の様な、叫びの演奏がされる…その幕開けとは思えない程、序奏のテーマ、バラードを吹く「コルトレーン」は、暖かで神々しい。
とても静かに、ベース「ギャリソン」、ピアノ「アリス」、そしてドラムス「ラシッド・アリ」のリズム・メンが、「コルトレーン」を保護する。
しかし、「ファラオ・サンダース」のテナー・サックスは、恐れを知らない若きライオンの様に、本物の牙をむき出して、この曲に挑みかかります。
しかし、「ファラオ」のガチンコ勝負を受けても、「アリス」は「ドビュッシー」の様に幻想的に受け流し、「ラシッド・アリ」も、(パーカッションの「ラヒム」も)、真っ向からは組み合わずに、リングをサイドステップで廻る様に、流した演奏をします。
しかし、それでも「ファラオ」は、口から血を吐きながらも、この曲を噛み切る様に戦いを挑んでいます。
やがて「ファラオ」は疲れて、リングの外で「コルトレーン」にタッチして休むと、「コルトレーン」が「ファラオ」同様に、テナー・サックスで、スーパー・カデンツァを吹き切るんです。
やはり、「ファラオ」より実力が数段上なので、「コルトレーン」は、絶叫しながらも余裕が有ります。
その分、フリーに吹いていても、アドリブに充分な歌心が宿っていて、この曲がバラード曲だと言う事を忘れさせないんです。
結局…最終的には、「コルトレーン」が、この演奏&曲を、素晴らしいバラード曲・スタンダードとして、纏めて〆てくれるんです。
流石、「ジョン・コルトレーン」です。

最後に…当たり前で、恐縮ですが、このアルバム…絶対にBGMでは聴かないで下さい。
まぁ、実際は、BGMで聴こうとするのは、やろうとしてもとても困難です。
私の様な下衆人は、こう言うアルバムを聴く時は…正座で聴かないとダメなぐらいです。

何も言葉は要らない超名盤…セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン

2008-01-21 22:06:50 | ジョン・コルトレーン
ここの所、渋い、もしくは裏名盤的な佳盤、好盤を多く紹介してきましたが、今日は王道の超名盤を紹介します。
「ジョン・コルトレーン」と「セロニアス・モンク」の唯一とも言うべき、スタジオ録音…リバーサイドの傑作です。
演奏は、主に二回の録音にてレコーディングされたのに加え、6曲目だけ、「モンク」のソロ演奏が収録されています。
若き日の「コルトレーン」の成長する演奏を耳に出来る事と、「モンク」の奇才ぶりを理解するのにも、とても貴重な演奏&音源になっています。

アルバムタイトル…セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン

パーソネル…リーダー;セロニアス・モンク(p)1~6曲目
      ジョン・コルトレーン(ts)1、2、3、4、5曲目
      シャドウ・ウィルソン(ds)1、2、4曲目
      コールマン・ホーキンス(ts)3、5曲目
      レイ・コープランド(tp)3、5曲目
      ジジ・グライス(as)3、5曲目
      ウィルバー・ウェア(b)1、2、3、4、5曲目
      アート・ブレイキー(ds)3、5曲目

曲目…1.ルビー・マイ・ディア、2.トリンクル・ティンクル、3.オフ・マイナー、4.ナッティ、5.エピストロフィー、6.ファンクショナル

録音…1958年春(1,2、4曲目)、1957年6月26日(3、5曲目)
   1957年4月12日(6曲目)

原盤…RIVERSIDE  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VDJ-1510

演奏について…まず、トラディショナルなA級のバラッド演奏…1曲目の「ルビー・マイ・ディア」ですが、「コルトレーン」が、動かざる事山の如し的な、雄大で腰の据わったアドリブを、ゆったりと吹き通します。
後の「シーツ・オブ・サウンド」の原型となった様な、パルスの様なブレスも垣間見れて…「モンク」の知的なピアノ・ソロも、「コルトレーン」を完璧にアシストしてくれます。
「ウェア」のベースと、「ウィルソン」のブラッシュ・ワークは、そっと…この巨人(ジャズ・ジャイアンツ)を、陰ながら支えてくれて…。
至福の演奏がなされています。

2曲目「トリンクル・ティンクル」…ノッケから「モンク」節全開!で、不協和音的な、ブロック・コードを時に訥々と、時に連弾で弾き込む「モンク」の演奏が、とにかくすごい。
そして、それ以上にすごいのは、この不可思議なバック&ソロ演奏を物ともせずに、一身腐乱に、速射砲の如くリードから唾を吐き捨てる様にテナーを吹き切る「コルトレーン」の超絶的な演奏技術と、ジャズ・スピリットに、尊敬や驚きと言うより、もはや畏怖を覚える。
中間でベースでのソロを弾く「ウェア」の渋く、重厚な演奏が、まるで鉈で切った様な、迫力ある切れ味の年輪みたいに…味わいを持たせる。

3曲目「オフ・マイナー」…テーマの4管でのユニゾン演奏から、「モンク・ワールド」へ一気に大気圏突破で突入し、最初のメイン・ソロイストは、大御所「コールマン・ホーキンス」。
「コルトレーン」とは、やはり全く異質の音色とフレーズで、「ホーキンス」節を決めてくれます。
豪快で、低音(低地)から「グワォーン」と吹き上がる様な演奏は、「ホーキンス」の真骨頂です。
「モンク」のソロは…やはり「モンク」です。
「モンク」以外の何者でも無く、彼の世界は前人未到の、異空間なんですね。
ここでは「コルトレーン」は、最初のユニゾン&伴奏以外は演奏から外れています。

4曲目「ナッティ」…とても簡素でシンプルなテーマ・メロディで始まり、そのリフレイン演奏が序奏(&ラスト)でなされるんですが、アドリブ・ソロのパートとなってから、「コルトレーン」が、超人的な解釈とテクニックで、この素材をS級の三ッ星グルメへと料理(変身)させます。
「モンク」も、「トレーン」に負けじと、音で描く「ダリ」か「ピカソ」か「シャガール」か?
とても幻想的な、そしてシュールな世界観を描写してくれて…うぅーん堪りませんねぇ。

5曲目「エピストロフィー」…とにかく出される盤によって、(テープを切られたり、繋がれたりで、演奏時間やソロ時間が変わっていて)物議を醸し出すトラックなんですが、まず「ブレイキー」のドラムから、よーいドンで始まり、これに参加のオールスターズが、丁々発止で演り合う、希少な演奏です。
ホーン群(陣)は、この曲の突飛なテーマで遊んで?いますが、一番楽しんで、いや真面目に演っているのは…最初から最後まで、ガンガン敲く「ブレイキー」でしょう。

6曲目「ファンクショナル」…「モンク」の前に「モンク」無し。
「モンク」の後に「モンク」無し。
正しくオンリー・ワンのミュージシャンの「モンク」だが、ソロ演奏は、誰に邪魔される?事も無く、本人も遠慮する事もなく、自由奔放に演奏が出来る唯一、絶対の手段として、最大に持ち味を発揮できる場です。
原曲は、一寸泥臭いブルースなんですが、本作では思索しながら…しかし、とてもイマジネイティヴに、高尚な音楽に「モンク」は仕上げています。

さすが「モンク」…文句「モンク」無しの出来栄え。
誰にも文句「モンク」を言わせません。
最後は親父ギャグで決めてみました。(大爆笑)

今日はモード・ジャズの有名アルバムで行きます。…ジョン・コルトレーン~コルトレーン・サウンド(夜千)

2007-12-03 23:14:32 | ジョン・コルトレーン
今日は、コルトレーン・モード・ジャズの人気アルバムをチョイス致しましょう。
コルトレーン中期の傑作では有りますが、所謂代表作と言う訳では有りません。
しかし、コルトレーン・フリークからは、非常に支持を受けているアルバムで、「コルトレーン・サウンド」と言うアルバムタイトルに、(夜は千の眼を持つ)と言う副題も有ります。
トレーン・ファン(ジャズ・ファン)は、これを「夜千」と呼んで愛しているんですよね。

では詳細な解説です。

アルバムタイトル…コルトレーン・サウンド(夜は千の眼を持つ)

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts、ss)
      マッコイ・タイナー(p)
      スティーヴ・デイヴィス(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.夜は千の眼を持つ、2.セントラル・パーク・ウェスト、3.リベリア、4.身も心も、5.イクィノックス、6.サテライト、7.26-2、8.身も心も

1960年10月24日(2,4,6,8曲目) 1960年10月26日(1,3,5,7曲目)

原盤…ATLANTIC SD1419  発売…ワーナー・パイオニア
CD番号…30XD-1004

演奏について…人気のオープニング・ナンバー「夜は千の眼を持つ」だが、「ジョーンズ」のラテン・リズムに乗って、「コルトレーン」が序盤から素晴らしいアドリブ・ソロをテナーで吹き切る、好トラック。
「デイヴィス」のベース・ラインの推進力と、「マッコイ」のモード・コードでのブロック演奏が強烈にリーダーの「コルトレーン」をサポートする。
中盤からは「ジョーンズ」が、このラテン・リズムを更に飾り立てて、皆を煽り捲るんですが、「マッコイ」がやんわりと、ハイセンスに都会的なシングル・トーンでクールにアドリブを決め返します。
流石「マッコイ」…一筋縄では治まらんって感じで、見事なスパイスを効かしてくれます。
最後はもう一度「コルトレーン」がテーマを吹いてくれて、寸分違わぬスタート・ダッシュが完成しました。

2曲目「セントラル・パーク・ウェスト」では、「コルトレーン」が渋く静寂調のバラッド演奏をソプラノ・サックスで吹きます。
「ジョーンズ」はブラッシュ・ワークで、「マッコイ」も控えめに伴奏に徹して、リーダーの脇を固めます。
「マッコイ」の中間部でのソロも、とても美しくて、過度になり過ぎない程度にロマンティックな佇まいを見せます。
それにしても「コルトレーン」のソプラノ・サックス…ナイーヴな感性が出ていて、「トレーン芸術」の奥深さと、引き出しの多さが、良く分かりますね。

3曲目「リベリア」…このアルバム随一の「トレーン」らしいモード・トラックで、アグレッシブな彼の本質がしっかりと録られた、ベスト・チューンと言ったら良いでしょう。
とにかくテナー・サックスがぶいぶいと飛翔して、「ジョーンズ」も所々で、ラテン調のシンバルやスティック捌きを見せて、更に更に煽るんです。
「マッコイ」はモード・コード全開で、親分に追従しますし、中間部のピアノ・アドリブ・ソロの出来栄えも特筆物です。
黄金のカルテット手前のメンバーでは有りますが、部下3人は完全に「コルトレーン」の両手両足となって完璧に機能しており、聴き応え充分です。

4曲目「身の心も」は、中期「コルトレーン」には珍しい、寛ぎ感覚が満載のナンバーで、聴いていると、50年代のプレスティッジ時代の演奏が頭を過ぎるんですね。
しかし、こう言う「コルトレーン」も悪く無いし、有る意味充分に個性的に思うんだけど、中期から後期にかけての成長(技術もそうだが、いやそれ以上に精神の熟成かな?)がすごすぎて、この「トレーン」の演奏が未熟に思えちゃうのは、実は悲しい事だと思います。
このモード・ジャズ…シーツ・オブ・サウンドは絶対に評価されるべき演奏です。

5曲目「イクィノックス」…この曲も変速調のラテン・リズムを用いた曲だけど、個性的でクールな感覚抜群なブルースで、興味を惹き捲りですね。
「コルトレーン」自身は、これでもか?のシーツ・オブ・サウンドを繰り出し、超絶的なカデンツァ演奏をしていて、「コルトレーン」マニアには、或いはフリークには堪えられない演奏、アドリブ・ソロです。
バックの「マッコイ」はブロック・コードで伴奏に徹していて、「エルヴィン」もブラッシュで伴奏に専念しています。
「デイヴィス」が実直にベース・ラインをコツコツと刻んでいるのが、評価できますね。
この曲を重厚に仕上げるのに、特に良い仕事をしています。
ブルース曲の名演は、ベースの分厚いサウンドに起因するよね?
「デイヴィス」…まじにありがとう。
このアルバムの価値をかなり上げてくれています。

6曲目「サテライト」…変速調のモード曲で、なんか「ドルフィー」が演りそうな感じがするんだよね。
このイメージの曲は、ものすごくアーバナイズされていて、正しく来るモード・ジャズの到来を告げるトラックになっています。
この曲を演るには、年寄り(失礼)は、やっぱり無理で、このメンバーじゃないと…と納得しちまうよ。
「コルトレーン」は抜群のアドリブを演ってくれるし、リズム・セクション2人も非常に好演です。
※この曲はピアノ・レス・トリオ演奏なんだよね。
「エルヴィン」のドラム、「デイヴィス」のベースのドライヴィング・パワーが全開ですよ。

ボーナス・トラックの2曲…の内、「26-2」は「コルトレーン」オリジナル曲で、LPに入らなかったのが不思議なくらいに、出来は良いですよ。
但し、バリバリの「トレーン」ばかりを何曲も聞かさせるのは、当時はチト苦痛だったかも?と言う事で、割愛しちゃったかもね。
曲としては、かなり前衛的なメロディで、各人共モード演奏バリバリです。
「トレーン」のソプラノ・サックス演奏の出来は抜群だし、「マッコイ」のソロ、「デイヴィス」「エルヴィン」のリズム演奏もgoodです。
勿論「ボディ・アンド・ソウル」の別トラックもバッチ・グーです。

「コルトレーン」のアトランティック時代の演奏(アルバム)で、「マイ・フェイバリット・シングス」や「ジャイアント・ステップス」だと俗的過ぎると感じている、一寸大人な諸氏にお薦め度ナンバー1のアルバムでしょう。

「コルトレーン」の遺作…「ジョン・コルトレーン」~「エクスプレッション」

2007-11-25 13:43:31 | ジョン・コルトレーン
ハードに真摯に命を削ってサックスを吹き続けた稀代のアーティスト、「ジョン・コルトレーン」の最期の作品…それがこの「エクスプレッション」です。

史上最強のオリジナル・カルテットから、「アリス・コルトレーン」の夫人を含むフリー系のクインテットにチェンジしてから、過激な?演奏内容と長大な演奏時間に変貌して行った「コルトレーン」ですが、ここでの演奏は、正しく悟り、窮め、「グル」になったと言える、静寂の演奏がなされています。

アルバムタイトル…エクスプレッション

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts、fl)
      アリス・コルトレーン(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      ラシッド・アリ(ds)
      ファラオ・サンダース(piccolo)

曲目…1.オグンデ、2.トゥ・ビー、3.オファリング、4.エクスプレッション

1967年2月15日、3月7日 録音

原盤…Impulse A-9120  発売…ワーナー・パイオニア
CD番号…32XD-597

演奏について…最も興味深い演奏として、2曲目「トゥ・ビー」の「コルトレーン」のフルート演奏が挙げられよう。
実は、ここで演奏に使われている楽器(フルート)は、無二の親友「エリック・ドルフィー」の遺品なのである。
「ドルフィー」は、このフルートにより、「ラスト・デイト」の「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」での白鳥の歌、絶唱を描ききった(演じきった)が、これは志半ばで命が尽きた「ドルフィー」の無念さが、美しさの中に、介錯された血が、垣間見える様な痛みを伴っている演奏から理解できると思う。
しかし、「コルトレーン」は同じフルート演奏だが、「ドルフィー」の様な、血の匂いがしない。
とてもクリヤーで、無我の境地にいる演奏である。
と言うのも、「コルトレーン」は、遣り残した事が余り無かったからだと思う。
確かに、41歳と言う若さであったが、ジャズと言う音楽形態の中で、死後40年以上経った今でも、未だ誰も到達出来ない高み(極み)へと昇った、稀有のアーティストだけに、彼が存命だったとしても、これ以上にやれた事(演奏)は、もはや殆ど無かったと言っても良いと思うからです。
とにかく、虚飾を廃し、ピュアに音楽(ジャズ)を演じきった演奏は、とめどなく美しいのです。
「サンダース」のピッコロ演奏も、彼に似合わず?静寂の美学伴奏を貫き通しているし、「アリ」の空間的なブラッシュ・ワークも影でいながら、存在感を見せる。
但し、中間で「サンダース」が小鳥が飛翔する様な、自由奔放の見事なカデンツァを奏でています。
「アリス」は「偉人」である夫に対して、恐れを抱かぬのか?唯一自由に、終始アドリブを演奏しているのがアクセントになっている。
いずれにせよ、「コルトレーン」が最終的になろうとしていた、賢者(グル)に近づいた、最も東洋的(インド哲学的)な趣を感じ得る、演奏&曲に仕上がっています。

タイトル曲「エクスプレッション」も、激しさの中に垣間見れる、落ち着きと静寂が、聴いている者を浄化させる。
「アリス」はモードに副って、自由にアドリブを演奏する。
妻で無ければ、出来ないアドリブです。
「ギャリソン」は徹頭徹尾、リズム・キーピングに終始していて、大将を援護射撃している。
終盤では、「コルトレーン」が最後の力を振り絞って、シャウトしまくるのは、大将の務めとして当然なのだろう。
因みに、1曲目以外は「ファラオ」レスなのは、アルバム上、どう言った意図があったのだろうか?
やはり、「トレーン芸術」は、ワンホーン・カルテットが最高のパフォーマンスを形成するのに相応しいと、出た答なのか?

3曲目「オファリング」…このアルバムの中では最もアグレッシブな「コルトレーン」の演奏が見て取れる。
病んでいるとは思えない程、張りのあるトーンで、シーツ・オブサウンドを止め処なく繰り出す。
中間部のカデンツァで、「コルトレーン」とのバトルを受けるのは、タイム感覚が優れた「アリ」で、この二人のデュオは手に汗を握る。
「コルトレーン」は、「アリ」のドラミング・スピードに挑むかの様に、演奏スピードをグングン上げて、シンバルの音が咲き乱れ、テナーの絶叫が乱舞する。
美しく、切ない、そしてとても激しいバトルだ。
最後には、いたたまらなくなったのか、「アリス」がさりげなく助け舟を出す。
これは余計な事なのか?それとも内助の功なのか?

オープニングの1曲目「オグンデ」は、中期の傑作バラードアルバム、「クレッセント」を彷彿させる、抑え目のトーンと紡ぎだす「シーツ・オブ・サウンド」のアドリブが真に美しい、短いが素晴らしい演奏である。
雨だれの様な連弾で旦那をサポートする「アリス」、サポーターとして申し分無い、「アリ」と「ギャリソン」の演奏も良いですね。

若い頃のコルトレーンが参加したブローイング・セッション…インフォーマル・ジャズ~エルモ・ホープ

2007-09-20 23:42:04 | ジョン・コルトレーン
今日は、プレスティッジ所属だったが、アーティストとしては過小評価されている、ピアニストの「エルモ・ホープ」がリーダーとして残したアルバムの紹介です。

「ホープ」自体は、我々日本人には、無名かもしれませんが、このアルバムに参加しているメンバーは、「すごいメンツ」なので、聴く価値は充分にありますよ。

アルバムタイトル…インフォーマル・ジャズ

パーソネル…リーダー;エルモ・ホープ(p)
      ドナルド・バード(tp)
      ハンク・モブレイ(ts)
      ジョン・コルトレーン(ts)
      ポール・チェンバース(b)
      フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)

曲目…1.ウィージャ、2.ポルカ・ドッツ・アンド・ムーン・ビームス、3.オン・イット、4.アヴァロン

1956年5月7日

原盤…Prestige  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VICJ-23753

演奏について…ハードバップの1曲目「ウィージャ」では、「エルモ・ホープ・セクステット」登場…の自己紹介的な派手目の演奏がなされる。
「ホープ」の品あるソロ、「モブレー」の温かみがある朴訥なアドリブメロディ、「バード」は煌びやかなソロを吹き、「コルトレーン」はソロを思索しながらも、割とストレートなアドリブを演奏する。
中途では、「チェンバース」の渋い、ボウイング・ソロが入り、「フィリー・ジョー」は所々で、超絶テクのドラムをぶっ敲く。
各人の良い部分を露にした名演奏です。

2曲目「ポルカ~」は、この曲の主役は、誰が何と言っても「バード」が吹き切るバラードの美演奏につきる。
ブリリアントだが、情感もたっぷりと表現して、ある意味、若者らしくない大人が演奏する、バラッドに酔わされる。
伴奏系では、勿論、アルバムリーダーの「ホープ」の知性的なピアノが、聴き所でしょう。

3曲目「オン・イット」では、バック3人「フィリー・ジョー」、「チェンバース」、「ホープ」のスウィング感覚バリバリのリズム・セクションがとにかく素晴らしい。
「バード」は2曲目程吹き切ってはいないが、知的なフレーズを吹く。
この曲のもう一組の主役は、交互に吹く「モブレイ」と「トレーン」だ。
この時代プレスティッジで流行った、交互に吹き合う、所謂テナーバトル演奏が良いねぇ。
この時代の「コルトレーン」のソロには、神掛かったオーラは全く無いが、非常に生真面目にテナーと向き合い、朴訥ながら一生懸命に吹いている事に共感を覚える。

4曲目「アヴァロン」は、急速調の4ビートで、序盤はコロコロ転がす様なシングルトーンでピアノアドリブを弾く「ホープ」と、ブラシでカッツリリズムを刻み続ける「フィリー・ジョー」、そしてこれまた実直ベースの「チェンバース」が主翼エンジンとなって、皆をぐんぐんとドライヴィングして行く。
中間になると、「モブレー」から次々続くアドリブソロも、短目だが、それぞれの才能が溢れていてgoodな演奏になっている。
そして全員でのフィニッシュも決まり、渋い好アルバムが一丁上がりです。
朴訥トレーンも悪くは無いよ!!

史上最強セクステットのライブ盤…ジャズ・アット・ザ・プラザ・vol1~マイルス・デイヴィス

2007-07-31 23:46:13 | ジョン・コルトレーン
まず最初に、このアルバム、当然リーダーは「マイルス・デイヴィス」ですが、「コルトレーン」がこのコンボのレギュラーメンバー時の録音のため、カテゴリーは「コルトレーン」にさせて頂きますので、予めご了承下さい。
それでは、解説致します。

さて、演奏者のラインナップを見ると…生唾ゴクリの最強メンバーです。
演奏はこのメンツなら、スタジオレコーディング以上に何かが期待できる、ライブ録音です。
演奏曲も「マイルス・コンボ」十八番の4曲で、期待感120%です。

パーソネル…リーダー;マイルス・デイヴィス(tp)
      ジョン・コルトレーン(ts)
      ジュリアン・キャノンボール・アダレイ(as)
      ビル・エヴァンス(p)
      ポール・チェンバース(b)
      ジミー・コブ(ds)

曲目…1.ジャズ・アット・ザ・プラザ、2.マイ・ファニー・ヴァレンタイン、3.イフ・アイ・ワー・ア・ベル、4.オレオ

1958年9月9日 NYプラザ・ホテルにてライブ録音

演奏について…1曲目「ジャズ・アット~」何やら聴きなれない曲名だが、曲が始まると…実は誰でも知っているジャズの名曲「ストレート・ノー・チェイサー」である。
「マイルス」の「フィンガーカウント」に導かれて、のっけから激しい演奏がスタートする。
この熱狂の演奏では、「キャノンボール」と「コルトレーン」のバトルソロが群を抜いてすごい。

2曲目「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は、冒頭の「エヴァンス」の、非常にモーダルでクールなアドリブソロから、一気に演奏に引き込まれるのだが、しかしこれはまだ序の口で、この後の真打「マイルス」の、神がかり的ミュート・プレイにまじ痺れさせられます。
いつもながら、静寂に中に燃え上がる「青白き蝋燭の炎」のように、静かだがシッカリと燃えたトランペットの音色は、誰にも真似が出来ない「マイルス」独自の異次元空間です。

3曲目「イフ・アイ~」では、「シーツ・オブ・サウンド」が8割方完成している「コルトレーン」が、アドリブでぶいぶい言わす。
次いで「エヴァンス」も、知的なモード演奏でアタックをかける。
脇役では「チェンバース」が随所で、すごテクのラインを刻む所が、裏聴き所。

4曲目「オレオ」では、ややオフマイク的な録音がチョイ残念だが、「マイルス」が、いつもよりはスピーディでアグレッシブな演奏をする。
次いでソロをとる「コルトレーン」もすごいが、しかし、この曲では満を持して登場してきた「キャノンボール」が、激しく燃えるアルトを吹き捲る。
ザックザクのリズムを終始刻む「コブ」と「チェンバース」の職人芸も必聴物。
「エヴァンス」もいつもよりはハードなアドリブを弾いていて、この曲が一番燃える演奏曲になった。

チューバ・ジャズ…レイ・ドレイパー~ジョン・コルトレーン

2007-07-16 23:41:58 | ジョン・コルトレーン
チューバでジャズを演奏する稀有なアーティスト、「レイ・ドレイパー」に「コルトレーン」がサブ・リーダーとして参加した、希少のレコーディングが、このアルバムです。

アルバムタイトル…チューバ・ジャズ

パーソネル…リーダー;レイ・ドレイパー(tuba)
      サブ;ジョン・コルトレーン(ts)
      ジョン・メイヤーズ(p)
      スパンキー・デブレスト(b)  
      ラリー・リッチー(ds)

曲目…1.エッシーズ・ダンス、2.ドキシー、3.アイ・トーク・トゥ・ザ・トゥリーズ、4.イエスタデイズ、5.オレオ、6.エンジェル・アイズ

演奏について…最初に一言言っておくと、全6曲とも一つとて駄演は無い。
曲もドレイパーのオリジナル1曲、ロリンズの名作が2曲、スタンダードが3曲と非常にバランスが取れていて、申し分無いです。

ロリンズ作曲の2曲、「ドキシー」「オレオ」については、永遠のライバル&友である「コルトレーン」が激しくブロウして、シーツ・オブ・サウンドの原型のアドリブを奏でて、流石の演奏をしている。
「ドレイパー」はどちらかと言うと、多くにリズムセクション的な演奏をするが、
「オレオ」では、かなり「テクニック」を見せつけるソロをとる。
逆にピアノの「メイヤーズ」は、モンクを意識した様なハズシの美学のピアノを弾き、かなり自己主張している。
また、「デブレスト」のベースソロも的を射た好演で、良いサポーターとして機能している。

4曲目「イエスタデイズ」は、このアルバム中でナンバー1の名演だろう。
取分け「ドレイパー」のアドリブは、難解な楽器チューバで超絶技巧を見せつけ、これを受けた「コルトレーン」も遠慮は全くしないで、テナーをぶいぶい言わす。
ドラム&ベースのリズム・セクションの二人は、ガッツリとリズムを刻み、その合間をピアノの「メイヤーズ」が素晴らしいアドリブソロでうめる。
終局での5人の掛け合いは正に必聴物で、聞き終えて「万歳三唱」ですよ。

3曲目「アイ~」は、メロディアスな曲調と言うことも有り、各自も魅惑的なメロディのアドリブを奏でて、寛ぎや優しさを感ずる、寛大な演奏になっている。
この曲の演奏の様に、あえてぶいぶい言わさない演奏もかえって新鮮ですよ。

6曲目「エンジェル・アイズ」は冒頭はチューバの低音の魅力に参るのだが、その後の「コルトレーン」との絡みも素晴らしく、二人の楽器の対話がとても心地よい。
ピアノ、ベース、ドラムスの3人は、ここでは名脇役に徹する。

「ドレイパー」「コルトレーン」の異色名盤をご賞味あれ!!!