紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ソウル・ミュージック・シーンの不朽の名作を…マーヴィン・ゲイ~ホワッツ・ゴーイン・オン

2008-01-23 23:28:52 | ポップス・ソウル
今日、大分、見辛くなっていたカテゴリー欄を、少しばかりカスタマイズしました。
本当はもっと、見易くしたかった(ジャズのアーティスト個人名を増やしたかった)のですが、カテゴリー欄がMAXで30個しか作れないと言う事で、まぁしょうがないかと言うレベルで手打ちしました。

それから、昨日、かなりの問題作を選択し、解説したので、今日は解説抜きで聴ける不朽の名作を紹介したいと思います。

でも…本当は、この有名アルバムも歌われている内容は、実は超問題作品なんですよね!
ベトナム反戦が絡んだりして…愛と平和、或いは神について問いかけた、実験的作品ですから…また、「モータウン・レーベル」初の、コンセプト・アルバムだったりするのも…物議を醸し出したらしいし…聴いてみると分りますが、殆ど全曲、切れ目無く続くんですよ…このアルバム。。。

でも…でも…私は、手前味噌ですけど…ジャズについては、かなりの知識と情報、そして見聞、理論、概念を持っていると思いますが、「ソウル・ミュージック」、「ブラック・コンテンポラリー」については、殆ど素人ですので、この超問題作を、斬って解説するのは、チト難しい…いや、無理だと思っています。
ですから、今日はこのアルバムが好きだと言うシンプルな理由だけで、余り深く言及した解説は止めようと思います。

それでは…

アルバムタイトル…ホワッツ・ゴーイン・オン

アーティスト…マーヴィン・ゲイ(vo)

曲目…1.ホワッツ・ゴーイン・オン、2.ホワッツ・ハプニング・ブラザー、3.フライン・ハイ、4.セイヴ・ザ・チルドレン、5.ゴッド・イズ・ラヴ、6.マーシー・マーシー・ミー、7.ライト・オン、8.ホーリー・ホーリー、9.イナー・シティ・ブルース

1971年リリース

原盤…MOTOWN   発売…ユニバーサル・ミュージック
CD番号…UICY-9788

歌・曲について…いきなり、ウルトラ・トップ・ヘヴィで恐縮ですけど…やはりこのアルバム・タイトル曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」については書かないとまずいですよね。
ブラック・コンテンポラリーの軽快なサウンドなのに、歌われている歌詞は…完全に反戦で、そして人類愛の歌です。
多分、英語の歌詞が分らない人(例えば子供)が一聴したら、とても楽しい曲に聴こえると思います。
それくらい、メロディアスで、覚え易くて、軽快で…これだけメッセージ色が濃い歌詞の内容にも拘らず、軽快にポップスとして歌える「マーヴィン・ゲイ」の精神と歌唱力、そして慈愛(人間愛)に胸を討たれます。

2曲目「ホワッツ・ハプニング・ブラザー」…これも反戦の歌で、重いメッセージなのだが、「マーヴィン」は、サラリとさりげなく歌うのが、心憎いです。

3曲目「フライン・ハイ」…神に捧げる祈りの曲。
牧師の息子である「マーヴィン・ゲイ」の所謂、ルーツ的な曲ですが、彼のハイ・トーン・ヴォイスは…天まで、そのまま神にメッセージとして伝えられるんでしょうね。

4曲目「セイヴ・ザ・チルドレン」…未来に希望を持てない子供たちを憂い、彼等のために慈愛のメッセージを祈る「マーヴィン・ゲイ」。
ドライヴィング感溢れる、ベースやパーカッション、そして高らかにうたわれる、サックスが、神への祈りを後押しする、聴き応えあるトラックです。

5曲目「ゴッド・イズ・ラヴ」4曲目から、ガラリと転調して、憂いから世界を救おうと呼びかける、平和に向かって呼びかける、愛のゴスペル・ナンバー。
「マーヴィン」が、神に対して、そして我々に対して、愛について熱唱します。

6曲目「マーシー・マーシー・ミー」…激動の60年代~70年代に作られた曲なのに…歌詞の内容が、バッチリ今の時代マッチする。
ズバリ、環境破壊を憂いた歌で、とてもメロディアスで柔らかく、優しい曲調で、覚え易いのに…歌詞には、ものすごいメッセージが詰っています。
「マーヴィン」の代表作の一つです。

7曲目「ライト・オン」…歌詞の内容は、2曲目と同様同胞へ呼びかけた、反戦讃歌なんですが、私はこの曲の編曲と演奏が、とてもお気に入りです。
ラテン楽器「ギロ」を効果的に使用し、パーカッション群のリズムを立たせた、ラテン風の曲に仕上げ、フルートとサックスが所々で、飛び回り…このコンセプト・アルバム中でも、際立ってジャジーで、インストを全面に押出した、仕上げがなされています。
一言で言えば、70年代初期の時代を反映させる、ちょっとサイケデリックなフュージョン・サウンドで、聴くと言う行為に敏感に反応する一曲です。

8曲目「ホーリー・ホーリー」…アルバムの中でも最も宗教色が濃い、神へ捧げるゴスペル・バラード。
「イエス」に対して敬虔な愛を捧げた歌です。

ラスト「イナー・シティ・ブルース」…この曲も現代社会のペーソスとして、普遍の価値を失わない曲。
市民が汗水垂らして、稼いだ(払った)税金を、無駄なロケットや兵器の開発に使用して、気付いてたら、累積赤字が積もって…と言う意味の歌なんだって。
「マーヴィン・ゲイ」がこのアルバムを、40年近く前に作ったって事は、まじにすごいね!

統括ですが、歌詞の内容は、過激でメッセージ色がものすごく濃いのに対して、どの曲もとてもメロディアスで、どちらかと言うとメジャー・コードで明るい曲調が多いのは、何でだろう?
「マーヴィン・ゲイ」が、牧師さんの息子であって、歌詞も曲も攻撃的だったり、悲劇的だったりするのは、神に対して申し訳ないと思ったからなのかなぁ?
とても不思議ですね。

ソウル・ミュージックも良いんでないの!スティービー・ワンダー~ジャングル・フィーバー

2007-07-23 23:37:04 | ポップス・ソウル
今日はブラック・コンテンポラリー、ソウル・ミュージックを聴きましょう。

「スティービー・ワンダー」と言えば、10代から天才の名を欲しいままとして、モータウンサウンドに「インナービジョンズ」や「キー・オブ・ライフ」など、60年代後半から、70年代に架けて、数々の名盤を輩出して、80年代にも歴史的傑作「イン・スクエア・サークル」を世に出し、世界中から多くのディスク賞を受賞しています。
ところが、今日紹介するアルバムは、映画のサウンド・トラックとして、出したと言う事もあるが、彼のアルバムの中では、正直過小評価されている。
サウンド作りで言うと、「打ち込み」が多い事や、映画自体もあまりヒットしなかった事も要因であろうが、改めて聴いてみると…それ程悪くない。
いや、率直に言って、かなり良いアルバムだ。
ですから、今日はこの盤で行きましょう。

アルバムタイトル…ジャングル・フィーバー

スティービー・ワンダー

曲目…1.ファン・デイ、2.クイーン・イン・ザ・ブラック、3.ジーズ・スリー・ワーズ、4.イーチ・アザーズ・スロート、5.心の傷跡、6.ガッタ・ハヴ・ユー、7.君の愛を信じて、8.ジャングル・フィーヴァー、9.アイ・ゴー・セイリング、10.ケミカル・ラヴ、11.キャンドルに灯をともし…

演奏について…お薦め曲のナンバー1は、非常に渋いバラードだが、7曲目「君の愛を信じて」は、アコースティックな編曲に、「スティービー」の哀愁を帯びたロマンティックな曲調と、バックを彩るオーケストラの弦楽器群もとても良い効果をあげていて、感動的な1曲となっている。

同じくスローバラードの3曲目「ジーズ・スリー・ワーズ」、エレクトリックピアノだが、非常にリリカルで優しい歌い方の「スティービー」の美声、最高だ!!
こんなメロディを書ける男、心優しきコンポーザー&シンガー、やはり「スティービー」は唯一無二のミュージシャンですね。

2曲目「クイーン・イン~」は、正しく「ジス・イズ・ザ・スティービー・ワンダー」たる1曲で、彼の真骨頂が満載の名曲。
曲調や曲構成が、かつての「アズ」を思い起こさせる渾身の一曲です。

9曲目「アイ・ゴー・セイリング」は、名作「イン・スクエア・サークル」に収められた名曲「オーヴァー・ジョイド」を彷彿させるとても美しい曲で、ブラック・コンテンポラリーのバラードとはこう言う物と代弁している様です。

11曲目「キャンドルに…」は、歌詞的には結婚式に使用したら良いのか?それとも二人の愛を再確認するために結婚記念日に聴いたら良いのか?不可思議な気持ちにさせられるが、いずれにせよ、とてもメロディアスな佳曲には相違ない。

このアルバムで最初にシングルカットされたのは、6曲目の「ガッタ・ハヴ・ユー」で、打ち込みとギター・カッティングを中心にした曲調だが、「スティービー」の高音域を活かしたヴォーカルのおかげで、良い曲に出来上がっている。

オープニング曲「ファン・デイ」やタイトル曲「ジャングル・フィーバー」は、とてもポップで楽しい曲。
打ち込みが主だが、バックのコーラス、掛け声の効果が絶大で、両曲共とてもダンサブルな曲に仕上げた。

「クレモンティーヌ」~「コンティノン・ブリュー」

2007-04-20 23:53:54 | ポップス・ソウル
今日は皆さんにどんなアルバムを紹介しようかと、いくつか聴いたのですが、色々と迷ってしまって、結局フランスの生んだ妖精シンガーの「クレモンティーヌ」のこのアルバムに決めました。

アルバムタイトル…「コンティノン・ブリュー」

パーソネル…クレモンティーヌ(vo)
      ジョニー・グリフィン(ts)
      パトリス・ガラス(p、e-p)
      ジミー・ウッド(b)
      ニールス・ペデルセン(b)
      ベン・ライリー(ds)
      ボビー・ダーハム(ds)

1987年12月13、14日 パリにて録音

曲目…1.アフタヌーン・イン・パリ、2.イージー・リビング、3.ライン・フォー・ライオンズ、4.もう一度、5.ナイト・ライツ、6.ドント・ビー・ブルー、7.オール・ブルース、8.レイディ・ウォンツ・トゥ・ノウ、9.ラム・ココ、10.エリソンド、11.夜シャンゼリゼにて、12.ガール・トーク、13.プリンセスのように、14.ジャイアント・ステップス、15.コンティノン・ブリュー

演奏(曲)について…CDに分かり易い解説書がありましたので、ご参考に書きましょう。
1はジョン・ルイスが1956年にパリで作曲した曲。
2は映画主題歌で、ビリー・ホリデーの名唱が有名。
3と5はジェリー・マリガンが作曲して、5は以前同名アルバムを紹介してます。
4はジョビンが作曲し、7はマイルス作曲の名曲。
6と8はマイケル・フランクス作曲で「スリーピング・ジプシー」の中の曲。
9、10はミッツ作曲、11、13は「アンリ・ルノー」作曲。
12は1965年の映画「ハーロー」の曲。
14はコルトレーン作の名曲、15は今回共演の「グリフィン」の作品。

さてお薦め曲ですが、クレモンティーヌの歌は「下手うま的なヴォーカル」、つまり、語り的なボサ・ノヴァ、そして同じく語り的なシャンソンでジャズを歌っているので、本格的なジャズヴォーカルではありません。
ところが、マイルス作曲の「オール・ブルース」がサイドを固めるジャズ大御所の演奏と彼女のヴォーカルが同化していてとても合っている。
これは新たな発見でお薦めです。
それから、彼女のヴォーカルにマッチしている曲としては、2曲目の「イージー~」4曲目の「もう一度」5曲目「ナイト・ライツ」はとても合っていて良いですね。
その中の曲以上に素晴らしいベスト1が冒頭の「アフタヌーン~」でしょう。
フランス語の歌詞も当然この曲にベストマッチング&フィーリングです。
後は、彼女の歌にジャズ的な良さが感じられる13曲目も良いですよ。