紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

やったー出たーカーク伝説のライヴ…ローランド・カーク・ライヴ・アット・モントルー1972

2007-08-31 23:59:34 | ジャズ・テナー・サックス
皆さん、こんばんわ。
今日はテレビで、アニメの「デス・ノート」を見たんですが、まぁまぁ楽しめたかなぁって感じです。
原作漫画(コミック)のキレとディープな雰囲気、或いは実写版映画(藤原竜也、松山ケンイチ)のシュールでストイックな感じとは、また違った魅力はあったと思います。

さて、今日は久しぶりに大好きなアーティスト、「ラサーン・ローランド・カーク」の伝説のモントルー・ジャズ・フェスティバルのライヴを録音した、アルバムの紹介です。
最初から最後まで、「カーク・ワールド」全開で、精神を高揚させて聴くも良し、あくまでも、エンターテインメントと割り切って楽しんで聴くも良し、いずれにせよ素晴らしい演奏が収められたアルバムです。

アルバムタイトル…ライヴ・アット・モントルー1972

パーソネル…リーダー;ローランド・カーク(ts、cl、fl、他)
      ロン・バートン(p)
      ヘンリー・ピアソン(b)
      ロバート・シャイ(ds)
      ジョー・テキシドール(perc)

曲目…1.ラサーントーク1、2.シーズンズ、3.ラサーントーク2、4.バーム・イン・ジレッド、5.ヴォランティアード・スレイヴリー、6.ラサーントーク3、7.ブルー・ロル№2、8.ソロ・ピース…aサテン・ドール、bインプロビゼイション、9.セレナーデ・トゥ・ア・ククー、10.ペダル・アップ

1972年6月24日 モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音

原盤…ATLANTIC 発売…イースト・ウェスト・ジャパン
CD番号…AMCY-1147

演奏について…純粋にライヴアルバムなので、曲目にある通り、所々で「カーク」のユーモア溢れるトークが聴けるが、演奏曲でのお薦めは略、全曲と言って良いので、中々この1曲に決めかねます。
と言うのも、「カーク」はライヴ全体(全曲)を一つの曲とみなして、演奏している節があり、曲が分かれているとは言っても、演奏全部が一つの組曲の様な、トータル・コンセプトでまとめられている様に感じるからです。
しかし、やはりその中から、幾つか名演をセレクトして行きましょう。

まず、すごい演奏の一つは、5曲目「ヴォランティアード~」なんかは、ジャズで演奏された、「ブルース・ロック」いや、史上最高のR&Bコンボの演奏で、「バートン」の殴る様なブロックトーンと、超絶的に長いブレスで、最後まで吹き通す「カーク」のブルーズ魂の叫びが、素晴らしい相乗効果をもたらし、聴衆は感動の渦に引き込まれる。
ぐいぐいドライヴする(カークにドライヴされている方が正しいかな?)のバック3人「ピアソン」「シャイ」「テキシドール」のパワフルな演奏もすごい!
しかし「カーク」…こいつは本当に「ド級」の化物テナーで、改めて惚れ直す。
フィナーレでの、警察官が来た様なホイッスルもマンゼロの嵐もす、すげーぜ!!
このアルバム随一のパフォーマンスがなされた、超名演でしょう。

サプライズのもう一曲は、「コルトレーン」の魂が完全に乗り移った?10曲目「ペダル・アップ」で、まじに本格的なモードの序奏からスタートし、色付けをしているのは、「テキシドール」のパーカッションのみ。
「カーク」他4人は、完全に「コルトレーン・カルテット・モード」にトランスして、ここで究極のサプライズ演奏が…。
何とソプラノ・サックスで飛翔する「マイ・フェイヴァリット・シングス」のメロディを吹いてくれる。
命を削ったように吹き切る姿(音)は、本当に「コルトレーン」が、地上に降臨した様な演奏だ。
ここで、もはや、私は涙チョチョ切れ、感動で心が震えっぱなしだ。
「カーク」…何でもっと長生きしてくれなかったのか?
実は、やっぱり…このアルバムのベスト1演奏はこれだろうな…。

2曲目「シーズンズ」…「カーク節」全開、「カーク・ワールド」へようこその、フルートとマンゼロによる、ソロ・カデンツァが素晴らしい。
「カーク」の後、高速でトリオ演奏でぶちかますピアノ「バートン」、ベース「ピアソン」、そしてドラムの「シャイ」も相当来てますよ。
終盤のバロック音楽を連想させる「カーク」のフィニッシュもgoodですね。

4曲目「バーム~」も、一言で言ってすごく良い演奏だ。
序奏で、テーマをとても大人しく、上品に吹いて、ここで静寂の「カーク」の演奏が聴けるのだ。
バックはごく正統的な、ミドルスローの4ビートで、ベースの「ピアソン」中心で伴奏する。
「カーク」は中途から、クライネットをメインで演奏して、空間を活かした叙情的で、ポエムを思わせる詩的な演奏をする。
しかし、時折、遊び心を出して、ブルースに転調させて客を楽しませる。
元祖、エンタの神様でしょうか。

7曲目「ブルー~」もR&Bスタイルの良曲だが、それの終了と同時に、サックス他マルチ・リードで、ノンブレスで長く入る8曲目「ソロ・ピース」の超絶技巧に圧倒されること間違い無し。
いくら2mの大男と言っても、こいつの肺活量(どっちかと言うと排気量かな??)、一体どれくらいあるの?

この様な、化物演奏をしていたかと思えば、9曲目「セレナーデ」のフルート演奏…曲の入りなんか本当に可憐で可愛らしいフルート演奏で、カデンツァに入ってからは、「カーク節」も出すが、さっきまでと同じ人かと思わせる程、音楽的懐が深いミュージシャンです。

「ラサーン・ローランド・カーク」…最高です。

50年代バップジャズの傑作、キャノンボール・アダレイ初リーダー作~プレゼンティング

2007-08-30 23:46:22 | ジャズ・アルト・サックス
今日は正統的なハードバップ・ジャズの名盤を紹介します。
演奏リーダーは、ファンキー・ジャズの伝道師、「キャノンボール・アダレイ」ですが、この時は彼はファンキー路線を未だ開拓していませんで、非常に正統的なハードバッパーとして、演奏しています。
演奏メンバーも、弟の「ナット・アダレイ」他、一流メンバーがずらりで、サボイレコードを代表するアルバムの一つに数えられるでしょう。
では、紹介しましょう。

アルバムタイトル…プレゼンティング

パーソネル…リーダー;キャノンボール・アダレイ(as)
      ナット・アダレイ(crt)
      ハンク・ジョーンズ(p)
      ポール・チェンバース(b)
      ケニー・クラーク(ds)

曲目…1.スポンティニアス・コンバッション、2.スティル・トーキン・トゥ・ヤ、3.ア・リトル・テイスト、4.カリビアン・キューティ、5.フラミンゴ

1955年7月14日 録音

原盤…SAVOY MG-12018 発売…日本コロムビア
CD番号…COCY-9013

演奏について…5曲目「フラミンゴ」以外は、全て「キャノンボール」の自作曲で、真面目にバッピシュな魅力満載の曲でアルバムが構成されている。

その中で私が大好きなのは、やはりラテンのリズムと、哀愁たっぷりのメロディの佳曲、4曲目「カリビアン・キューティ」です。
「キャノンボール」はのびやかなアルトで好旋律を吹いて、続く「ジョーンズ」の転がす様なシングルトーンのセンチメンタルなアドリブも胸に染みるぜぇ。
「ナット」は明るい音色だが、兄貴を煽る様な事はせずに、あくまでもセカンドラインをキープして、言わばF1ドライバーのセカンドドライバー的に、兄貴のポイントを稼がせる為に、フォローに徹している。
終盤に、もう一度「キャノンボール」が、ソロをぶいぶい吹いて、曲の終焉を彩り、皆でフィニッシュする。

唯一のスタンダードが、エンディング曲の「フラミンゴ」だが、ここでは「ナット」抜きのカルテット演奏がなされる。
「キャノンボール」が非常に流麗で、ソウルフルなバラッド・アドリブで吹き切る。
初リーダー作だが、その後の「キャノンボール」の、炎のアルト吹きとしての名声を得る事を予感させる、優れたソロ演奏だ。
「ジョーンズ」、「チェンバース」「クラーク」とも聴かせるバラッド演奏はお手の物で、色香あるピアノトリオ演奏として聴いても良いぐらいだ。
私としては、本アルバム中、ナンバー1の名演と言いたいが、「ナット・レス」なので、次点評価に留めよう。

オープニング曲「スポンティニアス~」、序奏のユニゾンからブルージーなバップ色がびんびんで、「キャノンボール」がソロ演奏に入ると、この時から既に「キャノンボール節」の片鱗を見せる。
「ナット」は、ブリリアントな音色で、これまた原曲を活かしたアドリブ・フレーズで、メロディに装飾を付けて行く。
「ジョーンズ」のソロは、いかにもってな感じで、素晴らしい華麗なカデンツァだ。
この後、例にもれず、「チェンバース」のほのぼの系の朴訥としたソロが続き、
「クラーク」も随所にドラムソロを入れて、他の各プレイヤーとの「丁々発止」がなされて、楽しい聴き所を演出する。
オープニングに相応しい名演奏ですね。

2曲目「スティル~」は、ブルースフィーリングが、ぷんぷんの曲で、「キャノンボール」もブルージーなソロをぶいぶい言わせる。
このブルースをしっかりと演出しているのが、バックの3人で、取分け「チェンバース」は、実直にベース音(コード)を刻んでいるだけなのだが、非常にブルース臭さを醸し出していて、影の主役的演奏を生み出していて、終盤のボーイング・ソロもgoodです。
勿論、「ナット」「ジョーンズ」のソロも良い。

やはり一流のミュージシャンは、初リーダー作と言えども、鋭い個性の光を強烈に放っていて、やってくれますね。

今宵は極上のB級グルメの宴を開きましょう。…カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム

2007-08-29 23:46:19 | ジャズ・トランペット
実は私、B級グルメの食べ歩き、大好きなんですよ。
一人で、ファミレスでも焼肉屋でも、平気でどこでも入って食べれますし、下戸なので、酒は殆ど飲めない分、一人でおいしいケーキ屋に行くのも全然大丈夫でして…。
まぁ今は、基本的にダイエットをしているので、昼間は低カロリーの食事を摂っていますが、それまでは営業に出た時、昼食は「安くて美味しいランチ」を見て探すのが、趣味の一つでした。
好き嫌いも殆ど無いので、定食屋とか、ラーメン屋とか、小洒落たイタリアンなんか、どこでも何でも色々行くんですよ。(これは音楽の趣味も同様ですね。)

さぁ、余談はこのくらいにしておいて、さて、今日紹介するアルバムは、「食事」で言うと、正しく安くて美味しい、超一級の「B級グルメ」の様な演奏です。

アルバムタイトル…「カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム」

パーソネル…リーダー;ケニー・ドーハム(tp)
      J.R.モンテローズ(ts)
      ケニー・バレル(g)
      ボビー・ティモンズ(p)
      サム・ジョーンズ(b)
      アーサー・エッジヒル(ds)

曲目…1.モナコ、2.ラウンド・アバウト・ミッドナイト、3.メキシコ・シティ、4.チュニジアの夜、5.ニューヨークの秋、6.ヒルズ・エッジ

1956年5月31日

原盤…ブルーノート BN-1524 発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-1524

演奏について…何故、極上のB級グルメの宴かと言えば、リーダー「ドーハム」からして、ジャズ好きには認識されているが、ジャズ初心者の方や、失礼ながらジャズ素人の方には、渋いミュージシャンで、知名度が薄いと思うし、このセクステットのメンバーでも、「ティモンズ」「バレル」「サム・ジョーンズ」も、そこそこ有名だが、ジャズ・ジャイアンツとは呼ばれる程ではない。
「モンテローズ」「エッジヒル」に至っては、真面目にB級アーティスだと思われている。
つまり、アルバム参加メンバーが、一言で言うと「脇役の集まり」なのだが、演奏内容は極上品でとても美味しい。
そしてライブ演奏と言う事を考慮すると、正しく「宴」と言って良い。
ところで、ライブで演奏されている、これらの曲にはどことなく統一感がある。
名曲が「ラウンド・アバウト~」、「チュニジアの夜」、「ニューヨークの秋」と揃っているが、他の3曲も「ドーハム」が書いたマイナー調の佳曲で、全6曲がマイナー・チューンのメロディアスな曲で演奏されているので、(聴き手にとって)コンセプトが統一されていると感じるのだろう。

その中で、一番のお薦めは、アルバムに副題で付けられた「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」でしょう。
「ドーハム」が名旋律のテーマを吹き、静寂の闇夜に一筋のトランペットの小さな光が灯されて、曲は始まる。
続く「モンテローズ」も抑制した音量で、暗闇を見つめる様なサックスを演る。
それから「ドーハム」の明かりは、徐々に輝きを増して、辺りを明るく染め始める。
「ティモンズ」の一寸センチメンタルで、少しファンキーなピアノ演奏は、悲しみを纏った、悲しい女性の心を歌っているのだろうか?
最後に「モンテローズ」も「泣きのフレーズ」を奏でて、「ドーハム」とのユニゾンで終幕となるのです。
聴衆と共に、アー拍手喝采!!

双璧の演奏では、「ドーハム」にとって、ジャズメッセンジャーズ在籍で十八番の曲「チュニジアの夜」で決定。
「ドーハム」はとてもバピッシュで、魅力的なアドリブフレーズを連発し、聴き応え充分ですし、「モンテローズ」も原曲を活かしたアドリブがgoodです。
「ティモンズ」はブロックコード中心で、曲を彩り、「バレル」は相変わらずブルージーなトーンで、ぶいぶい弾いている。
そして、リズムの二人はとても手堅く、曲を引き締めている。
終盤、6人がアドリブソロで、それぞれ主張し合うフィナーレは、気分最高だねぇ。

1曲目「モナコ」…個人的には、とても気になる一曲です。
ラテン調のリズムに、「ズンズズズンズン」とベースとピアノで演奏される節は、「キャノンボール」の「枯葉」の序奏にソックリ。
って事は、「マイルス」がこれを真似やがったのか?まぁいいや。
その後、「ドーハム」は明るめのトーンで、バピッシュにアドリブ演奏を突き進む。
「ティモンズ」は、センス抜群のブロックトーンで「ドーハム」に合わせて行く。
「エッジヒル」は、高揚して、皆を煽り始めるが、「モンテローズ」が高音域を活かした音色で、まるでアルトサックスの様なソロで応える。
その後の「バレル」「ティモンズ」は、唯我独尊の境地で、やってくれるぜ。
フィナーレは、またまた「ズンズズズンズン」だ。
しかし、何回聴いても、まじに「枯葉」ソックリなんだよな。(不思議)

3曲目「メキシコ・シティ」…は、この時代らしいハードバップの代表的な展開の曲で、急速調のリズムに乗って、「ドーハム」がぶいぶい言わせる。
ややくすんではいるが、彼にしては明るめの音色で、リードして行く。
「モンテローズ」は、ここでも抑え目のソロワークで、渋めに決める。
「バレル」は待ってましたとばかり、冴え渡るテクでギターソロを弾いて、追従する「ティモンズ」も、限定解除されて?アドリブが飛翔する。
そして、最後まで熱い演奏で、フィニッシュ!

5曲目「ニューヨークの秋」…短曲だが、「ドーハム」の叙情性を活かした、好演奏で聴く者の胸を討つ。
「エッジヒル」のブラッシュワーク、「ティモンズ」の哀愁的な伴奏も、とても良い味を出してる。

最後に、目だったソロ演奏はしないのだが、ベースの「サム・ジョーンズ」が、全編に渡って、渋い(真面目な)良い仕事をしてるんです。
やはり、ジャズはベースが良いと名演が生まれますね。

日本、米、ブラジルの超一流ミュージシャンが集結したスーパー・ユニット「ザ・ブリッジ」を聴いてくれ

2007-08-28 23:43:59 | ワールド・ミュージック
今日、紹介するアルバムは、カテゴリーを区分できないので、総称して「ワールド・ミュージック」に入れさせて頂きます。
CDの帯の解説では、ジャズ、ファンク、ロック、R&B全ての要素を持ち、音楽の中で、古代と現代が出会う…一言で言うならば
「マルチ・カルチャー・ポップ・フュージョン」との事。
しかし、聴いて見ると、個人的には、「ブラジリアン・ポップ」が一番、ニア・イコールの気がします。

アルバムタイトル…ザ・ブリッジ~夢のかけ橋

パーソネル…マイケル・センベロ(vo、g、他)
      ダニエル・ジョビン(vo)
      トシ・クボタ(久保田利伸)(vo、コーラス)
      エドゥー・ファルコ(vo)
      ヴィニー・カリウタ(ds)
      ネイザン・ワッツ(b)
      パウリーニョ・ダ・コスタ(perc)

曲目…1.no chao、 2.pirates in the net、3.the question song、4.procura、5.send me an angel(天使の歌)、6.the way we feel now、7.gone、 8.on the wing、9.love may never last forever、10.somethin’else、11.chenge on chenge、12.candles in the dark、13.quando chuva、14.one planet one people、15.send me an angel(天使の歌/日本語バージョン)

1997年録音

原盤…i NOKS、発売…ポニー・キャニオン
CD番号…PCCY-95005

演奏について…まず、クボタが英語で歌い、センベロが日本語で歌うと言う、2種類のバージョンが残されている5曲目と15曲目の「天使の歌」は、センチメンタルなメロディが素晴らしいボサ・ノヴァ曲。
多分このアルバムの看板曲でしょう。
「クボタ」は高音域を活かした流石の歌唱力で、心に響く、「聴かす一曲」になってます。
「センベロ」は、歌唱力では「クボタ」に若干負けているが、それ以上に「味わい深さ」が持ち味となって、センス抜群の良い塩梅の歌に仕上げています。
中途で入る、フラメンコ的な、アコースティックギターアドリブソロも最高っす。

それから、個人的には、非常に甘~い9曲目「ラヴ・メイ~」が大のお気に入りに追加となった。
歌っているのは、ここでも「センベロ」で、この曲、貴女にデート中に聴かせれば、惚れられちゃうかもよ。
それぐらい、スイートで、ロマンティックな渾身のバラード曲(歌)ですよ。

10曲目「サムシンエルス」は寛ぎのボサ・ノヴァ曲で、「ダニエル・ジョビン」が十八番のブラジル物で、良い仕事しています。
ボサノヴァはやっぱり「ヘタウマ」調の、ヴォーカルが決まり物ですよね。

11曲「チェンジ~」は、このアルバムのコンセプトを一番反映させた曲かもしれません。
ビートはポップで、編曲的にはインド(シタール?)と南米(パーカッション他)のコンフュージョンに仕上げられ、メロディは中東っぽいガムラン調。
ヴォーカルは全員のコーラスがメインで、女性コーラスも入っている。
言語も、「かけ橋」なんて日本語が使われているパートもあって、何とも摩訶不思議ですが、心地よい一曲です。

12曲目「キャンドル~」も「センベロ」の歌うバラード曲。
キャンドルに火を点けて、彼女を待つ、悲しい男心?を歌った歌だが、情けなさを感じるのではなく、かなりピュアな歌&歌詞で、「センベロ」歌う主人公に、同調できるでしょう。

1曲目「ノ・チャオ」…民族楽器で奏でられる序奏が、このアルバムのボーダーレスなスピリットをノッケから知らしめる。
この曲はアフリカの音楽なのか?それとも…国籍不明のリズムとパーカッションの空間が異次元の宇宙を描き出す。
うぅーん誠にディープな1曲

2曲目「パイレーツ~」は、スローだがとてもリズミックな英語で歌われる、独特の風合いを描き出した佳曲。
源流はラテン・フュージョンなんだろうが、ファルセットの歌声や、効果的な「ダ・コスタ」のパーカッションが、曲に素晴らしい色付けをしている。

3曲目「クエスチョン~」は、「コスタ」がメインヴォーカルだが、この曲は完璧な「ブラジリアン・コンテンポラリー・ポップス」のカテゴリーに入る曲。
どこまでも、明るく澄み切ったラテンポップで、青い海と白い雲、そしてまたその上の青い空のコントラストが眼に浮かぶ様な真夏のサウンドです。

他の曲も趣ある曲が多く、興味ある方は是非聴きましょう。

センス抜群のピアノ・トリオ…スティーヴ・キューン・トリオ~ウェイヴズ

2007-08-27 23:57:26 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
初代、コルトレーン・カルテットのピアニストだった、「スティーヴ・キューン」の初リーダー作を紹介しましょう。
非常に知的で、センス抜群のこの1枚をご堪能あれ!!

アルバムタイトル…ウェイヴズ

パーソネル…リーダー;スティーヴ・キューン(p)
      スティーヴ・スワロー(b)
      ピート・ラロッカ(ds)

曲目…1.アイダ・ルピノ、2.アー・ムーア、3.トゥデイ・アイ・アム・ア・マン、4.メモリー、5.ホワイ・ディド・アイ・チューズ・ユー、6.スリー・ウェイヴズ、7.ネヴァー・レット・ミー・ゴー、8.ビッツ・アンド・ピーセス、9.コドピース

1966年録音

原盤…flying Dutchman? 発売…BMGファンハウス
CD番号…BVCJ-37094

演奏について…さて、お薦め曲だが、ピカ1は、表題曲「スリー・ウェイヴズ」
「キューン」の印象的なワルツリズムにて序奏が始まり、その後、「キューン」は、流麗なブロック・コードを湯水が如く降り注いで演奏する。
「ラロッカ」は、シンバルワークメインでリズム空間を司り、「スワロー」は、実直にタイムキープの職人に徹する。
しかし、中途からリズム二人の技巧高きソロが入るが、両名とも名うての名手だけに、「ブロック・コード・シャワー」を注ぐ「キューン」に一歩も引けをとってはいない。
非常なる名演奏だ。

次いで、好演奏の曲は、変則リズムでスタートしますが、「ビル・エヴァンス」が憑依した様な、とても知的で、ハイソサイエティなピアノ・アドリブ演奏がなされる3曲目「トゥデイ・アイ~」がとても素晴らしい出来栄えです。
「キューン」は攻撃的なコードをガンガンに弾きまくって、その後演奏される後半部分の「スワロー」の超絶技巧一発アドリブソロが、この曲最高の裏聴き所。

小曲ながら、ボサノヴァリズムで、寛ぎのピアノ・トリオが展開され、心から癒される5曲目「ホワイ・ディド~」は、個人的には一番のお気に入り。
「キューン」の華麗でセンチメンタルなシングルトーンが舞う。

7曲目「ネヴァー・レット~」もまじに良いんです。
ややスローテンポの4ビート(中途でリズムチェンジもあるんですが)だが、とても流麗なブロック・コードを、品良く散りばめて「キューン」がやってくれます。

8曲目「ビッツ~」は、「チック・コリア」的なピアノが、得意気に決まる演奏。
やや早めの曲調で、「キューン」はガツンと弾きまくる。
現代に蘇る「スクリャービン」の様な演奏です。
かなりアヴァンギャルドなソロワークだが、流石「キューン」…全く聴き苦しくは無い。
「スワロー」のハードなベースソロと、ラロッカの煽りシンバルも聴いて頂戴な!!!

ジャズ界の超新星、上原ひろみのセカンド・アルバム「ブレイン」

2007-08-26 23:11:56 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
いやー、すみません。
ここの所、仕事が忙しくお疲れモードなのにプラスして、テレビで、バレーとか水泳とか、世界陸上とかのスポーツや、近年話題作の映画、諸々が多くて、毎日見てしまって、ブログが更新し難くなってます。
それにも増して、仕事から帰って、夜中にパソコンに向かいっぱなしで、夫婦の会話も少なくなって、(妻)からも苦情が出ています。(苦笑)。。。

そんな訳で今後ブログを「毎日更新」して行くのは難しそうですが、出来るだけ頑張りますので、宜しくお願いします。

今日紹介のアルバムは、一寸前に話題になった名盤、新進の邦人女流ピアニスト、「上原ひろみ」のセカンドアルバムです。

アルバムタイトル…「ブレイン」

パーソネル…リーダー;上原ひろみ(p、keys)
      アンソニー・ジャクソン(b) ※2、5、8、9曲目
      トニー・グレイ(b) ※1、3、4、7曲目
      マーティン・ヴァリホラ(ds)

曲目…1.カンフー・ワールド・チャンピオン、2.イフ…、3.ウィンド・ソング、4.ブレイン、5.デザート・オン・ザ・ムーン、6.グリーン・ティー・ファーム、7.キートーク、8.レジェンド・オブ・ザ・パープル・ヴァレー、9.アナザー・マインド

2003年12月9日~11日 1~8曲 テネシー州「サウンド・キッチン」録音
2003年12月1日 大阪ブルーノートにて ライブ録音

原盤…TELARC CD-83600 販売…ユニバーサル・ミュージック
CD番号…UCCTー1990

演奏について…圧倒的なパフォーマンスで、オープニング曲「カンフー・ワールド~」から演奏が始まる。
正統的?なピアノジャズを期待すると、アララと思うが、このハードなロック?フュージョン?いやー、「テクノ」演奏は悪くない。
ベースの「グレイ」の硬派な弾きっぷりがこのサウンド(演奏)の肝となり、ぐいぐいと引っ張る。
「上原」もハードなピアノから、前衛的なキーボードにチェンジし、カンフーの痛快さとスピード感を見事に表現している。
二人を繋ぎ合わせている、ドラムス「ヴァリホラ」の、空間を司るタイムキーピングとタイトなドラミングも抜群のテクニックで聴き物。

2曲目「イフ…」はがらりと変わって、ミドルテンポの正統的な4ビートジャズが展開される。
タイトに締まった音色で、スーパー・ベーシスト「アンソニー・ジャクソン」が、ガツッとカッコイイベースを決めて、「上原」はハイセンスなピアノアドリブを奏でる。
私、性差別などをするつもりは毛頭無いが、ここでのピアノも迫力満点で、マッチョな男性ピアニストが弾いている様な錯覚を起しそう。
繊細なシングルトーンと、マッシブなブロックコードの対比が良いねぇ。

3曲目「ウィンド・ソング」…曲調の最初のイメージは、「ジョージ・ウィンストン」か「加古隆」の、ロマンティックなピアノ演奏です。
「上原」は、ここではとても女性らしい繊細な演奏で、マッシブでパワフルなピアノを奏でるだけではない、演奏表現の多面性を見せつける。

4曲目、タイトル曲「ブレイン」…この曲こそ、「上原」が目指してしる音楽、「ジス・イズ・ワールド・オブ・ウエハラ」でしょう。
ドビュッシーの様な、印象派?のキーボードによる、不思議音楽から曲は始まる。
その後、エキゾチックなメロディ・テーマを、アコースティックピアノに変えて、素晴らしいアドリブソロで、変幻自在に展開して行く。
急速調の部分は、まるで「チック・コリア」の様な、超絶技巧で弾きまくる。
緩小節では、繊細に軽やかな美音で仕上げて行き、最後はまた冒頭の不思議音楽に戻ってフィニッシュとなる。
「上原ひろみ」…何と言う恐るべし、才能溢れるピアニストだろう。

5曲目「デザート・オン~」…個人的には4曲目と同率首位の名演奏だと思う。
ややハイテンポなチューンで、ピアノトリオの規範的な演奏がなされる。
ここでの「上原」は、仮想「ビル・エヴァンス」になって、ハイセンスのアドリブを縦横無人に弾きまくる。
当然、バックの二人、「ジャクソン」と「ヴァリホラ」も、仮想「エヴァンス・トリオ」の「ラファロ」と「モチアン」みたいに素晴らしいトリオ演奏をして、彼女を完璧にサポートする。
現代の「ザ・トリオ」の名演奏ですね。

6曲目「グリーン・ティー~」…この曲も「上原」の才能を見せ付ける1曲で、ロマンス・フィーリングが漂う、ピアノソロ曲です。

ハードなフィーリングのフュージョン系の7曲目「キートーク」、上品なフィーリングのピアノ・タッチで、トリオが渾然一体となる8曲目「レジェンド~」と、「上原」のピアノ・ワークも素晴らしいが、「グレイ」「ジャクソン」のそれぞれのベーシストの秀逸な演奏テクニックも最高レベルの演奏です。

日本盤にのみ収録された、ボーナス・トラック「アナザー・マインド」は、大阪ブルーノートでのライブ録音だが、「上原」は、ダークな音色のトリオ演奏が序奏でなされ、中途では、センチメンタルな叙情性たっぷりなアドリブソロを奏で、ライブ演奏が高揚を見せ始める。
ここから、「上原」はアバンギャルドな演奏を始めて、「ヴァリホラ」は、シャープで、飛び切りクールな感覚のドラムで皆を鼓舞し、「ジャクソン」も応えて、グイグイドライヴして行く。
見事なトリオ演奏が形成されてエンディングを迎える。

これは「上原ひろみ」の2枚目のアルバムだが、彼女の音楽的な懐の深さ、根底に持っている多種多様の音楽コンセプト、そして表現を可能にする確かなテクニックと、この後の演奏活動、アルバム制作について、大きな期待が持てるアーティストだと思う。
「上原ひろみ」…恐ろしいタレント(才能)のミュージシャンです。



ブルーノート幻のアルバム…ソニー・クラーク・クインテッツ

2007-08-24 23:45:41 | ジャズ・ピアノ・コンボ
最近ブルーノート付いちゃってますねぇ。
今日は、過去に「もう一つのクール・ストラッティン」とも言われていた、幻の名盤「ソニー・クラーク・クインテッツ」を紹介します。
参加しているメンバーも、まじに良いですよ!
では…

アルバムタイトル…ソニー・クラーク・クインテッツ

パーソネル…リーダー;ソニー・クラーク(p)
      ジャッキー・マクリーン(as)
      アート・ファーマー(tp)
      クリフ・ジョーダン(ts)
      ケニー・バレル(g)
      ポール・チェンバース(b) 
      ピート・ラロッカ(ds)
      フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)

曲目…1.ロイヤル・フラッシュ、2.ラヴァー、3.マイナー・ミーティング、4.イースタン・インシデント、5.リトル・ソニー

1957年12月8日 1958年1月5日 録音

原盤…ブルー・ノート 発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-1592

演奏について…く、くそー…投稿・批評が、き、消えちゃった。
こうなりゃ一言で…クール・ストラッティンに、まじ負けてないすごい演奏です。

「クラーク」は、「クラーク」らしく哀愁たっぷりのシングルトーンと、お洒落なブロックコードが健在です。
「マクリーン」は「マクリーン節」&鋭利なトーンで所々で良い味出してます。
「ファーマー」…いつもよりは硬派な演奏です。
「バレル」は「クラーク」とベストマッチ!青い音色が本当に合ってます。
「フィリー・ジョー」…神から授かったドラムテクニックはいつもすごい!!!
「チェンバース」は、勤勉実直で、ハズレが少ない。
「ジョーダン」テナーの「マクリーン」が顔を出します。
「ラロッカ」は良いドラマーです。

ブルー・トーン系に名演奏です。

ラテン・ジャズの名セッション…スタン・ゲッツ~カル・ジェイダー・セクステット

2007-08-24 00:00:17 | ジャズ・テナー・サックス
「ゲッツ」のボサノヴァアルバムの原点とも言えるのが、今日紹介のアルバムです。
ラテン・ジャズのヴァイブ名人「カル・ジェイダー」とのセッションで、ベーシストには「スコット・ラファロ」が参戦した、名セッションです。

アルバムタイトル…スタン・ゲッツ~カル・ジェイダー・セクステット

パーソネル…リーダー;スタン・ゲッツ(ts)
      カル・ジェイダー(vib)
      エディ・デュラン(g)
      ヴィンス・ガラルディ(p)
      スコット・ラファロ(b)
      ビリー・ヒギンズ(ds)

曲目…1.ギンザ・サンバ、2.アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス、3.フォー・オール・ウィ・ノウ、4.クロウズ・ネスト、5.リズ・アン、6.ビッグ・ベア、7.マイ・バディ

原盤…fantasy 発売…ビクターエンターテインメント
CD番号…VICJ-2155

1958年2月8日

演奏について…まず、第一級のお薦め曲、オープニング「ギンザ・サンバ」…冒頭でも言いましたが、60年代に一世を風靡した「スタン・ゲッツ」のボサノヴァアルバムの言わば、原典になった演奏です。
「ゲッツ」の軽快なテナーに乗って、全員がライトで有りながらもセンス良い、アドリブを繰り広げます。
取分け、ギターの「デュラン」が、素晴らしいソロを演じていて、また、ラテンのスペシャリスト「ジャイダー」のヴァイブも抜群に冴えています。
是非、皆様に聴いて欲しい演奏ですね。

4曲目「クロウズ・ネスト」では、「ゲッツ」がこのアルバム中、最も力が入った熱演が聴けて、すごい。
男らしい「ゲッツ」も…良いねぇ。
それから、ピアノの「ガラルディ」が、音色は白いが「マル・ウォルドロン」に似たフレーズの好アドリブを弾いて、これも嬉しいですねぇ。
「デュラン」のダークな音色のブルージーなギターソロも行けてますよ。
そして「ラファロ」のベースソロも聴けるので、評価はオープニング曲に次いで、ナンバー2の名演でしょう。

2曲目「アイヴ・グロウン~」のバラード曲、3曲目「フォー・オール~」の寛ぎのミディアム曲とも、「ゲッツ」のテナーと「ジェイダー」のヴァイブが、ソフトなイメージながら、一本芯の通った演奏が、気持ち良いですね。

6曲目「ビッグ・ベア」は、「ゲッツ」「ジェイダー」「デュラン」他、演奏者全員が、ユニゾン等、渾然一体となったスイング感で、皆が乗りまくりの演奏で、goodです。

7曲目「マイ・バディ」での主役は「ジェイダー」で、ブルース魂が見え隠れするこの演奏には、一瞬「ミルト・ジャクソン」が弾いている様な錯覚に陥る。
そして「ゲッツ」もかなりブルージーな演奏で、ブルース曲ではないが、ディープな演奏は渋いねぇ。

知的なピアニスト、デューク・ピアソンのBNデビュー盤~プロフィール

2007-08-22 23:02:52 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
昨日は会社の仲間と飲み会がありまして、ブログ更新できずにすみませんでした。
と、言っても私下戸なので、コーラで付き合ってたんですが…。
さて、今日はブルーノートレーベルの中で、黒人なのですが、知性的なピアニスト、「デューク・ピアソン」のデビューアルバム「プロフィール」を紹介します。

非常に煌めいた音色のピアノで、それでいて、ビバップやファンク、ブルース、ラテンなどのエッセンスを散りばめながら、知的に奏でる「ピアソン」の魅力が満載の好アルバムです。

アルバムタイトル…プロフィール

パーソネル…リーダー;デューク・ピアソン(p)
      ジーン・テイラー(b)
      レックス・ハンフリーズ(ds)

曲目…1.ライク・サムワン・イン・ラヴ、2.ブラック・コーヒー、3.タブー、4.アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー、5.ゲイト・シティ・ブルース、6.トゥー・マイル・ラン、7.ウィッチクラフト

原盤…ブルーノート ST-84022 発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-4022

1959年10月29日録音

演奏について…一言で言うと、オープニング曲「ライク・サムワン~」から、エンディングの「ウィッチクラフト」まで、「ピアソン」の技巧とスピリットが充分に堪能できる、完成度の高いアルバムです。

まず、眼を引く?のは、あらら不思議リズムの3曲目「タブー」。
リズム二人が、変則的なラテンリズムで、序幕を開けると…そこに見えたのは…。
「ピアソン」が華麗に、そしてセンシティブにシングルトーンでアドリブを弾いている。
そして、この音、この雰囲気は、誰かに似ている。
そうだなぁ、そうだ「ジョン・ルイス」に似てるんだ。
知的ピアノの権化に似てるんだもの、このフレーズ、トーン…すごくセンス良いよね。
まじに「ミルト」のヴァイブ抜きの、MJトリオって感じで、私…この演奏大好きです。萌えぇですね。

4曲目「アイム・グラッド~」は、4ビートバラードで、取分けシングルトーンで「ピアソン」が、ロマンティックにじっくり聴かせる。
すごく女性的な、品のあるピアノだなぁ。
この人の技術とスピリットって、まじにすごいと思う。
いつまでも聴いていたい、「ピアソン」のポエムの世界…夢の中のコンサートです。

6曲目「トゥー・マイル~」は、「ピアソン」作曲の、ややアップテンポのマイナー・チューンで、いかにもブルーノートらしいサウンド(作り)だ。
「ピアソン」のファンキーで、バッピシュなアドリブソロも勿論買いだが、ウォーキング・ベースぶいぶいの「テイラー」と、アルバム中では最もエキサイティングなドラムソロを敲く、「ハンフリーズ」も、素晴らしい名演を繰り広げている。
このアルバムでのベスト演奏かなぁ。

5曲目「ゲイト・シティ・ブルース」では、「ピアソン」は、その名の通りブルージーにブロックコードで弾き上げて、「ピアソン」…こいつはとても器用なピアニストで、どのテンポ、楽曲でも変幻自在に同化し、上手に消化して行く。
バックの二人「テイラー」「ハンフリーズ」は、手堅く、しかし「ピアソン」をサイドからガッツリ固めた好サポート演奏です。

オープニング曲「ライク・サムワン~」では、4ビートからワルツへのリズム・チェンジなど「ピアソン」が、(デビュー作だと言うのに)のっけから、緊張することなく、早速やってくれてます。
流石、大物新人ですね。
そして、「ピアソン」の奏でるメロディは、とても叙情的で、キラキラ輝いていてピアノトリオの魅力を余すことなく、伝えてくれます。

2曲目「ブラック・コーヒー」…「ピアソン」は、「ペギー・リー」の超名盤をイメージさせる、アンニュイな雰囲気を上手に醸し出しているが、それ以上に目立つのは、ここではガッツリとした硬派なベースを弾く「テイラー」が主役でしょう。

エンディング「ウィッチクラフト」は、「ピアソン」の、転がす様な珠玉のシングルトーンに耳を奪われる。
「テイラー」のベースソロは心優しく、「ハンフリーズ」のリズムキーピングも寛ぎの塊りで、ハッピー・エンドでフィニッシュですよ。

ムソルグスキー《展覧会の絵》…ピアノオリジナル&アシュケナージ編曲版~ヴラジミール・アシュケナージ

2007-08-20 22:31:17 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
皆様、こんばんわ。
今日は、指揮者&ピアニストとして著名で、且つ一流の「ヴラジミール・アシュケナージ」が、ピアノ演奏と、本人の編曲オーケストレーション版がカップリングされたアルバムを紹介しましょう。

曲は、「モデスト・ムソルグスキー」作曲の、組曲「展覧会の絵」です。
原曲はピアノ曲ですが、この曲を広く世に知らしめたのは、「ラヴェル」がオーケストレーションした版が認知されてからです。

「アシュケナージ」は、当人オリジナル編曲のこの版も中々良いので、未聴の方は一度機会があったら、是非聴いて下さい。

アルバムタイトル…ムソルグスキー組曲《展覧会の絵》
         ピアノオリジナル&アシュケナージ編曲オーケストラ版

演奏…ヴラジミール・アシュケナージ(ピアノ)
                 (指揮)フィルハーモニア管弦楽団

曲目…1.プロムナード、2.こびと、3.プロムナード、4.古い城、5.プロムナード、6.チュイルリーの庭(遊んだあとのこどものけんか)、7.ブイドロ、8.プロムナード、9.卵のからをつけたひなどりの踊り、10.サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ(金持ちのユダヤ人と貧しいユダヤ人)、11.プロムナード、12.リモージュの市場、13.カタコンブ(ローマ時代の墓)、14.死せる言葉による死者への呼びかけ、15.バーバーヤーガの小屋(めんどりの足の上に立つ小屋)、16.キエフの大門

※ピアノ版、オーケストラ版とも同内容の組曲

1982年6月(ピアノ) 9月(オーケストラ)録音

原盤…DECCA 発売…ユニバーサル・ミュージック
CD番号…UCCD-9022

演奏について…まず、ピアノオリジナル版、オーケストラ版の両方とも、後半に(11曲目のプロムナード以降ぐらいから)ものすごい山場(盛り上げ)を持って来ている。
いわば、(編)曲自体が一つのクレッシェンドに作られ、超エンド・ヘヴィの代表的な演奏になっている。

また、非常に特徴的な部分では、「ラヴェル版」で聴き慣れていると、「プロムナード」は4回だが、「ムソルグスキー」オリジナルピアノ版では、「プロムナード」が5回出てくる。
「アシュケナージ版」も、上記にある様に、「プロムナード」が5回出てきます。

それには、「アシュケナージ」によると大いなる理由がある。

ピアノ曲はオリジナルなので、後半に盛り上げていく演奏が「ムソルグスキー」の本意らしい、言わばスタンダードな演奏なのだが、「ラヴェル」が華麗なオーケストレーションに編曲した事により、色彩豊かな「展覧会の絵」を(前半部分や各所に盛り上がりがある編曲)に、我々が慣らされてしまっているとの事らしい。
言わば、「ラヴェル」がスコアを誤認したものが、普及(認知)されて、世に広まったらしいのだ。
だから、この「アシュケナージ編曲版」が、実は最も「ムソルグスキー」の意図に沿ったオーケストラ版(プロムナード5回を含めて)の演奏だとの事である。

もう一つの特色として、両演奏とも、どちらも「ロシア」の大地の香りがぷんぷんと漂う、無骨で暗い色調(特にオーケストラ版)の演奏なのだが、これは「アシュケナージ」と「ムソルグスキー」の同郷マエストロが、極めて高いステージで融合されたからだと解釈できる。
ピアノでは、いつもは叙情的で、かなりハイセンスな演奏表現をする「アシュケナージ」だが、ここで彼はロシアの偉大なる先輩(作曲家)の、偉大な作品を目の当りにして、土着気質の「封印」を解いたと思える。

「アシュケナージ」が十八番の「ラフマニノフ」の曲を演奏する時以上に、この演奏(2曲)とも、飛んではじけているのだ。
もしも、「ラヴェル編曲」を聴いた事が無い方は、先に「ラヴェル版」を聴きましょう。
その後で「アシュケナージ版」のロシアの大地の香りを、思い切りかぎましょう。

昨日は感動的な一日でした。

2007-08-20 12:47:07 | 独り言
一昨日の晩から、妻の実家に一晩お世話になったので、土曜日はブログ更新できませんでした。
妻の実家ではテレビ三昧で、特に「24時間テレビの30回記念」と言う事で、「欽ちゃんの70kmマラソン」他、終日この番組を堪能させて頂きました。
※24時間テレビをガッツリ見たのなんて何年(何十年?)ぶりだろう。
そこで思ったのが、昨日の「欽ちゃん」の70kmマラソンの感動的な完走は勿論の事、世の中(ハンデを持ちながら)本当に一生懸命生きていらっしゃる方が多い事、また、不幸にも(病気や事故で)短い人生になってしまって、そのご当人や家族の方々が頑張る姿に、感動…いや、余りにも自分の情けなさと比べてしまって、自分自身に腹がたちました。
とにかく、五体満足で生活が出来て、3食食べられて、寝て(雨・風しのげて)、いられるだけで、自分がどれ程幸せな人生を送っているのかを、再認識させられました。

今後は、音楽を通じて、皆様に「元気」や「希望」を与えてあげられる様な、「ブログ」作りをしていきたいと思います。

シルヴァーズ・ブルー~ホレス・シルヴァー

2007-08-19 23:45:15 | ジャズ・ピアノ・コンボ
ハードバップ&ファンキージャズの代名詞的なピアニスト、「ホレス・シルヴァー」のEPICレーベルに残したアルバムを紹介しましょう。

アルバムタイトル…シルヴァーズ・ブルー

パーソネル…ホレス・シルヴァー(p)
      ドナルド・バード(tp)
      ジョー・ゴードン(tp)
      ハンク・モブレイ(ts)
      ダグ・ワトキンス(b)
      ケニー・クラーク(ds)
      アート・テイラー(ds)

曲目…1.シルヴァーズ・ブルー、2.トゥ・ビート・オア・ノット・トゥ・ビート、3.ハウ・ロング・ハズ・ジス・ビーン・ゴーイン・オン、4.アイル・ノウ、5.シャウティン・アウト、6.ハンクス・チューン、7.夜は千の眼を持つ

1956年7月2日、17日 録音

原盤…EPIC 発売…EPIC Records
CD番号…ESCA 7726

演奏について…好演の中では、「コルトレーン」の超名演、「ロリンズ」も名演を残している7曲目「夜千」が中々良いですねぇ。
ラテンリズムに先導されて、「モブレー」の派手さはないが、好フレーズを連続で奏でるテナーと、若々しくブリリアントに、気持ち良く吹く「バード」
この二人の絡み合いプラス「シルヴァー」のブロックコード伴奏も、とても心地よいですね。
それから、真打「シルヴァー」の、アドリブソロの登場です。
崩しのコードを取り入れた、「チョイ・モンク」演奏をしていますが、ご愛嬌、サービスですよ。
前回、別のアルバム紹介の時、「加持さん」からご享受がありましたが、この時期の「シルヴァー」は、ファンキー一色にはなっていません。
どちらかと言うと、ファンキーが入ったハードバップですが、いずれにせよ良い演奏であることには違いありません。

オープニング曲「シルヴァーズ・ブルー」は、ブルース・チューンの曲で、のっけから「シルヴァー」がアンニュイなメロディでテーマを告げて、「バード」と「モブレー」も、ブルージーで素敵なソロを展開する。
中間での「シルヴァー」のアドリブも抜群の出来だが、バックでは、地味だがメンバー全員をドライヴィングして引っ張る「ワトキンス」のベースが、(中途のソロを含めて)特に良い演奏で印象的です。

短曲ですが、3曲目「ハウ・ロング~」は、ガーシュイン作曲のスタンダード・バラードで、「シルヴァー」が、所々でとてもロマンティックな演奏をしていて、素晴らしいです。
又、ミュートで叙情性を全面に押出した「バード」の、繊細で美しい演奏は特筆物です。
同じく「モブレー」も、バラード吹きの規範の様な甘い演奏がgood。

4曲目「アイル・ノウ」…「モブレー」がアーティスティックなソロを決めると、「バード」が輝く様な音色のランペットで、バッチリお返しをする。
「シルヴァー」は、バッピシュ&ファンキーなピアノソロで、曲を飾り付ける。
全曲中、最も「シルヴァー」(率いるコンボ)らしい演奏でしょう。

6曲目「ハンクス~」と2曲目「トゥ・ビート~」は、曲自体は印象的な特徴あるメロディではないですが、いかにもハードバップらしい曲で、「モブレー」「バード」「シルヴァー」と期待通りのアドリブ・プレイをしてくれます。

ゴーン・ウィズ・ゴルソン~ベニー・ゴルソン

2007-08-17 23:52:03 | ジャズ・テナー・サックス
今日はゴルソン・ハーモニーの妙を味わおうと思い、このアルバムをチョイスしましょう。
フラーとの2管コンビネーションの掛け合いは本当に聴き物です。

アルバムタイトル…ゴーン・ウィズ・ゴルソン

パーソネル…リーダー;ベニー・ゴルソン(ts)
      カーティス・フラー(tb)
      レイ・ブライアント(p)
      トム・ブライアント(b)
      アル・ヘアウッド(ds)

曲目…1.スタカート・スウィング、2.枯葉、3.ソウル・ミー、4.ブルース・アフター・ダーク、5.ジャム・フォー・ボビー

1959年6月20日

原盤…Prestige 8235 発売…ビクター音楽産業
CD番号…VICJ-23743

演奏について…個人的には大好きな2曲目「枯葉」なども有るが、全曲・全編に渡って「ゴルソン・ハーモニー」全開なので、特定の演奏曲目よりは、このアルバムについてもトータル勝負の盤と言えるでしょう。

「ゴルソン」について言えば、エンディング曲の5曲目「ジャム~」でのソロが、ゴルソン・ハーモニーを全く度外視した、「ブイブイブロー」で特筆物。
「フラー」もかなり飛んだアドリブで、中途での二人の絡みも激しく、ソロ演奏だけを取れば、この曲が一番バトル・コンボしていて迫力が有って◎でしょう。
終盤では、ベース「ブライアント」、ドラムス「ヘアウッド」の「合戦」もgoodですよ。

1曲目「スタカート~」は、いかにも「レイ・ブライアント」作の哀愁あるメロディの佳曲で、それだけでも嬉しくなってしまうが、「フラー」が抜群のアドリブを吹いてくれる。
当人「ブライアント」のピアノソロ、シングルトーンも特筆物。
「ゴルソン」は、得意のフレーズを混ぜつつ吹くが、まだ序盤と言うこともあり、多少遠慮がちなソロに思える。
しかし、ユニゾン演奏に入ると、「流石」の味付けがなされています。

冒頭で言った2曲目「枯葉」は、肩の凝らない良い意味での無難な演奏です。
「ゴルソン」は「ゴルソン節」を入れながら、好アドリブをしていますし、「フラー」はいつも通り、ほのぼの系のトーンで間を活かしたアドリブが良い味出してます。
シンバル・ワークで終始演り遂げる「ヘアウッド」は、縁の下の力持ち的な支え方に、職人魂を見れますね。
「レイ・ブライアント」のソロは大凡想像できますね。
こう言うマイナー調の哀愁メロディ曲を弾かせたら、ピカ1の男ですから、ここでも好フレーズ連発です。

「ゴルソン」オリジナル曲、4曲目「ブルース~」では、ユニゾンのテーマから「ゴルソン・ハーモニー」がびんびんに伝わってくる。
しかし、ブルース曲では、「ゴルソン」もファンキーっぽい演奏にはせずに、いつもよりは、幾分暗めの音色で、渋く決めにくる。
応える「フラー」も通常よりは、ダーク系の音色でブルージーさを打ち出しているし、「ブライアント」のソロもブルース色が濃く出ている。
この辺の編曲(アドリブ指示)については、多分「ゴルソン」がコンダクトしてるんだろうなぁ。
いずれにせよ、「ゴルソン・ハーモニー」に興味ある方は、「迷わず行けよ!、行けば分かるさ…」

ザ・バディ・デフランコ・セプテット~ライヴ・デイト

2007-08-16 23:48:00 | ジャズ・フルート他(ホーン)
まだまだ暑い日が続いてますねぇ。
そこで、今日も肩の凝らない寛ぎのホーンアルバムを紹介しましょう。
セプテット(7人編成)ですが、白人を中心としたメンバーは最高!
中でもベーシストは?…あの夭逝の天才、「スコット・ラファロ」の名が…(驚)
それでは詳細を紹介しましょう。

アルバムタイトル…ライヴ・デイト

パーソネル…リーダー;バディ・デフランコ(cl)
      ハービー・マン(fl、ts、b-cl)
      ピート・ジョリー(p、accd)
      ヴィクター・フェルドマン(vib)
      バーニー・ケッセル(g)
      スコット・ラファロ(b)
      スタン・リーヴィー(ds)

曲目…1.オー・レディ・ビー・グッド、2.サテン・ドール、3.マイ・ファニー・ヴァレンタイン、4.ブルース・フォー・スペース・トラベラーズ、5.ティン・リード・ブルース、6.クレイジー・リズム、7.バラード・メドレー…a)アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー、b)ゼアズ・ノー・ユー

1957年8月 LAにて録音

原盤…ヴァーブ 発売…ポリドール
CD番号…POCJ-2144

演奏について…正直、ピカ1の名演と言われれば???となってしまいます。
と言うのも、このアルバムは、超名演によって私が紹介したいと言うわけではなく、全体の編成の妙だったり、西海岸的なハイセンス…明治時代の「モボ」的な演奏のトータル勝負で聴かせたいアルバムなんですよ。
ですから、ぶっ飛び超絶名演はありません。

1曲目「オー・レディ~」では、「ハービー・マン」が、まだ「悪さ」を出していない?ストレートな表現をしているし、「ケッセル」は名アドリブを短小節ですが、演っていて好感が持てます。
「フェルドマン」の寛ぎのヴァイブ、そして、「ベニー・グッドマン」を彷彿させる「デ・フランコ」のクラリネットも勿論素晴らしいです。
一言で言うと、レーベルで「パシフィック・ジャズ」の演奏みたいと言ったら分かり易いでしょう。

2曲目「サテン・ドール」では、白人が演る、お洒落「ブルース」調4ビートによって進められ、「デ・フランコ」が、煌めき多い名フレーズを多発するアドリブがとにかく良い味出してます。
他のメンバーは、ほぼバックに徹していますが、「ジョリー」の半音くずしのソロは行けてますし、「マン」は後の彼の名アルバムで吹かれる名フレーズをチョロっと吹いて、将来の成功が垣間見れます。
「ケッセル」のソロもお洒落で良いですが、特にここでは短いながらも「ラファロ」がソロをとっており、天才の一部が発見できて幸せになれますよ。
もしもベストトラックを挙げるなら、この曲でしょう。

3曲目「マイ・ファニー~」は、原曲に忠実なメロディを「デ・フランコ」が吹くのだが、とても味わい深い好演で、中途の「フェルドマン」のヴァイブも知性的でこのバラード演奏に良い仕事をしています。

4曲目「ブルース~」は、「ケッセル」が書いた急速調のブルースですが、勿論当人がピカ1の演奏をしています。
やや飛翔的なあばれ吹きをする「マン」も買いです。
この二人に煽られ、「ジョリー」「フェルドマン」もかなり大胆なアドリブを演じ、特に「ジョリー」は中途でピアノからアコーディオンに持ち替え、これがかなりの名演奏で、この曲に抜群のスパイス効果を与えてます。
ベースを刻むだけの「ラファロ」の重戦車の様なパワフルさも良いですね。
個人的にはトータル評価で、かなり好きな演奏です。

もう一つのブルース「ティン~」は、「デ・フランコ」が作曲していて、ここでも当人「デ・フランコ」が、最も大胆な崩しをするアドリブを見せる。
そして続く「フェルドマン」のアドリブは、かなりブルージーで、「デ・フランコ」の意図(ブルース曲)を充分に理解している。
バスクラを演じる「マン」、ピアノの「ジョリー」、ギターの「ケッセル」も、二人に右へ倣えのブルース演奏に従事して、この曲に関しては、とても白人ウェスト・コーストジャズではなくて、南部や東海岸の香がぷんぷんの異色名演になっている。
こいつら…やる時はやる男達で、やはり只者じゃないぜ!!

7曲目「バラード・メドレー」の2曲も、寛ぎ度100%の、勿論良い演奏です。
中でも「デ・フランコ」と「ケッセル」の上品な絡みバラッド演奏に、ベースで飾り付けを施す「ラファロ」が好アシストです。

せっかくアルバム紹介記事を書いたのに…パソコンの調子がおかしい

2007-08-16 00:05:03 | ジャズ・テナー・サックス
今日は、「ベン・ウェブスター」の「シー・ユー・アット・ザ・フェアー」と言うアルバムを紹介するために、かなり大作の文表を作成したのに、パソンコンがフリーズを起こしやがって…チ、チクショー(小梅太夫か!)
と言うわけで、今日は記事を書くことが出来ません、ごめんなさい!!

と言いながら投稿したら、や、やったー。
これで紹介できるぜ。

先ほどの大作とは違って、端折っちゃうけどゴメンナサイ!
一言で言えば「ジス・イズ・ザ・オールド・スタイル・テナー」です。
しかし、ベテラン・テナーは決して死んではいませんよ。
独自の「ブレス奏法」は健在で、廻りのメンバーのアシストもすごいので、このクソ暑い残暑に聴くには、(頭を切替える意味でも)もってこいですよ。
では、詳細を…

アルバムタイトル…シー・ユー・アット・ザ・フェアー

パーソネル…リーダー;ベン・ウェブスター(ts)
      ハンク・ジョーンズ(p)※2~4、9
      ロジャー・キャラウェイ(p)※1、6、7 
                 (ハープシコード)5、8
      リチャード・デイヴィス(b)
      オシー・ジョンソン(ds)

曲目…1.シー・ユー・アット・ザ・フェアー、2.虹の彼方に、3.わが恋はここに、4.イン・ア・メロー・トーン、5.ララバイ・オブ・ジャズランド、6.スターダスト、7.フォール・オブ・ラブ、8.ホワイル・ウィアー・ダンシング、9.サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー

1964年3月11日、25日 録音

原盤…インパルス A-65 発売…ユニバーサル・ビクター
CD番号…MVCJ-19100

演奏について…重ね重ねすみませんが、約2時間前に気合を入れて、超大作の文章を書いていたので、再度書く気には毛頭なりません。
ですので、今日は極簡単に説明します。

お薦め曲は、タイトル曲「シー・ユー~」では、「ウェブスター」の男の色香たっぷりのソロ(実は全曲そうですが…)にプラスして、「キャラウェイ」の哀愁のシングル・トーン、「デイヴィス」の真に硬派のガチガチに引き締まった重厚ベース、ドラム「ジョンソン」のおかず、遊び心も充分で、4人の掛け合いがとても楽しい1曲ですね。

2曲目バラード「虹の彼方に」…「ウェブスター」の情感たっぷりのテナーソロは、背中で語る男の哀愁、正しく古い日活の映画に出てくる、主人公(裕次郎か?旭か?)の波止場の情景を思い浮かばせますね。
伴奏する「ハンク・ジョーンズ」のピアノも泣かせるメロディフレーズを連発して、「ウェブスター」を、好サポートします。

4曲目「イン・ア・メロー・トーン」…こちらも有名なスタンダードだが、正統派4ビートに乗って、「ウェブスター」がバッチリ渋く「ブレス奏法」で決め!
「ハンク・ジョーンズ」は、ここではブロックコードで「ウェブスター」を盛り上げ、シングルトーンで演奏を装飾する。
「デイヴィス」「ジョンソン」の、短いが決め一発のソロパートも抜群です。

6曲目超名曲「スターダスト」も4曲目同様の演奏。
この曲では「ジョンソン」のブラシュワークがとても品良く、且つお洒落サウンドで気持ち良いですねぇ。
「ウェブスター」は寛ぎのテナーを気持ち良く吹き切ります。

個人的には5曲目「ララバイ~」&8曲目「ホワイル~」が大のお薦め。
どちらも影の主役はハープシコードを奏でる「キャラウェイ」です。
中途のソロでは、ハープシコードがこんなにもジャズに合うのかと再認識させられ、テクニックもすごいです。
それから「ララバイ~」「ホワイル~」とも、ボサノヴァ・ラテンリズムで、皆を煽る「デイヴィス」のベースドライヴィングも、実に素晴らしい。
「ウェブスター」のオールドスタイルの職人吹きが、逆にこの新編成のカルテット演奏に妙に映えます。

それから7曲目「フォール~」での哀愁のバラード…「ウェブスター」のソロは、まじに泣ける名フレーズです。

こう言う古いスタイルのテナーもたまには良いぜいぃ!!!