紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ジョン・コルトレーン&エリック・ドルフィー~ヨーロピアン・インプレッションズ

2008-06-07 11:32:12 | ジョン・コルトレーン
またまた友人に怒られそうな1枚を持って来ちゃいました。

演奏は聴かずとも推して知るべし!
正直、神が降臨していると言っても過言では無いぐらいに、素晴らしい演奏です。
しかし???録音が最悪です。
条件が悪い場所で録られただけでなく、マスター・テープの保管?状態も悪かったらしく、演奏(録音)の音飛びも所々有って、所謂「海賊盤」の類と言うぐらい、ひどい録音なんです。
でも…でも…皆様に一度は聴いて頂きたい演奏である事に異論は有りません。

アルバムタイトル…ヨーロピアン・インプレッションズ

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts、ss)
      エリック・ドルフィー(as、fl、b-cl)
      マッコイ・タイナー(p)
      レジー・ワークマン(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.インプレッションズ(1st-ver)、2.エヴリィ・タイム・ウイ・セイ・グッバイ、3.マイ・フェイヴァリット・シングス(1st-ver)、4.ブルー・トレイン、5.ネイマ、6.マイ・フェイヴァリット・シングス(2nd-ver)、7.インプレッションズ(2nd-ver)

1961年11月 ヨーロッパ・ツアーでの録音

原盤…Band Stand  発売…徳間ジャパン
CD番号…32JDB-199

演奏について…どの曲も「コルトレーン」縁の代表作品ばかりですが、1曲目から順番に紹介して行きましょう。
1曲目「インプレッションズ1st-ver」…ノッケから「コルトレーン」がミドル・アップ・テンポのこのチューンで、エンジン全開でテナーを吹き捲くる。
当然、バックの「マッコイ・タイナー」のモード・ピアノと皆を煽り捲くる激しいドラミングの「エルヴィン・ジョーンズ」、それから真面目にベースを弾き続けれる「レジー・ワークマン」の好サポートも必聴物。
「コルトレーン」の後を受けて、今度は「エリック・ドルフィー」が燃える。
演じている楽器はバス・クラリネットなんだろうが、とにかく録音が悪いので、バス・クラらしく聴こえないのが、チト残念です。
しかし、カデンツァは物凄くて、後期「コルトレーン」クインテット(セクステット)の「ファラオ・サンダース」が師匠と比べると大分見劣りするのが、流石「ドルフィー」…全く「コルトレーン」に引けをとっていない。
終盤、二人が絡み合うが、この辺りも天才同士のぶつかりあいは痺れますね。

2曲目「エヴリィ・タイム・ウイ・セイ・グッバイ」…有名なスタンダード・バラードだが、序奏は「コルトレーン」がテーマをじっくり、ストレートにソプラノ・サックスで吹いて始まる。
その後、「マッコイ」が、リリシズムとインテリジェンスを程好くバランスさせた極上のピアノ・アドリブで展開して行く。
まじで、「マッコイ」のピアノ…素晴らしいです。
しかし、それにも増して面白い&すごいのは、「エルヴィン・ジョーンズ」のドラミングで、このバラード曲に対して、変則的で間を活かしたハイテク・ドラミングをしていながらも、しっかり皆を煽っているのは流石!!
終盤もう一度「コルトレーン」のソプラノでのバラッドが演られます。

3曲目「コルトレーン」十八番の「マイ・フェイヴァリット~」ですが、序奏は「マッコイ」のワルツ・ピアノで幕を開け、すぐさま「コルトレーン」がソプラノ・サックスでメロディを演り、徐々に伝家の宝刀「コルトレーン・チェンジ」と「シーツ・オブ・サウンド」で中を舞い始める。
「マイ・フェイヴァリット~」の印象的なメロディが、段々と拡張されて遠くへと飛んで行く。
その後の「マッコイ」のピアノ・ソロは…相変わらずモード・ピアノの極み的な演奏で、美音、美演でいながら、とてもインテリジェンスが有る。
そして、いよいよ「ドルフィー」が登場で、今回はフルートを手に持っている。
正に楽器を吹き切る…やり切ると言う表現がピッタリで、超絶的な技巧と精神で「コルトレーン」を凌駕する様な、ウルトラ・アドリブで天空を舞い続ける。
そして、「コルトレーン」ももう一度登場して、テーマ・メロディをじっくりと吹いてから、最後のフィニッシュへと導いて行く。
ここでも、実は「エルヴィン」のドラミングは絶妙で、ガツンドカンと激しいパートは基より、ブラッシュ演奏のパートでも、優しくしかし厳しく皆を煽り、演奏曲の高揚に貢献してくれる。
名曲の名演ですね。

4曲目「ブルー・トレイン」…これも聴きなれたテーマ・メロディを起点として、「コルトレーン」がこの曲ではテナーでブイブイとシャウト&ブロウで決め捲くり、曲の始めからロケット・スタートをかまします。
この曲を過去歴代の演奏でも、最も激しい演奏ではないでしょうか?
とにかく、ハイパワーで音の洪水、そうです「シーツ・オブ・サウンド」で激流の如くの演奏に飲み込まれそうです。
その後の「ドルフィー」のアルト・サックス演奏もものすごくて、もはや言葉では説明出来ないぐらいに凄まじく、そして…もはや心地良い。
「コルトレーン」の「シーツ・オブ・サウンド」と、甲乙付け難い、素晴らしいシャウトです。
「マッコイ」はハイソなソロで曲を修飾して行きます。
いつまでも聴き続けたい、演奏です。

5曲目「ネイマ」…「コルトレーン」のソプラノ・サックスと「ドルフィー」のバスクラのユニゾンで、テーマ・メロディが奏でられて曲がスタートする。
その後、「マッコイ」のセンスたっぷりの伴奏にアシストされながら、「ドルフィー」がバス・クラリネットで、インテリジェックで、静かにハードなアドリブを演ってくれて…最後はもう一度、「コルトレーン」が加わりユニゾン演奏で〆ます。
短曲(短演)ですが、とても印象的な名演です。

6曲目…「マイ・フェイバリット~2nd-ver」ですが、この後の2曲は解説を止めておきましょう。

その理由の一つは、私自身、久しぶりにこの2大超人の伝説的なライブ演奏を5曲目まで聴き続けて来て、余りに凄過ぎて、心が苦しくなっちゃったからです。
やはり、壮絶な演奏は聴き続けちゃ行けませんね。
腹八分目でないと駄目です。
私の様な凡人には、このすごい演奏に対して、肉体と精神が、ジャズ超人(神)達に最後まで付いては行けません。
ですので、休息をせざるを得ません。

二つ目の理由は…是非皆様にこのアルバムを聴いて欲しいので、手品で言うタネや仕掛けを最後までは教えない方が良いのではと思い、皆様に夢を持ってこのアルバムを聴いて欲しいからです。
少しだけタネ明かしすれば、6曲目の「マイ・フェイヴァリット~」では、ここでも「ドルフィ」のフルート・ソロパートが有ります。
そして、3曲目の「マイ・フェイヴァリット~」よりも、もっと優れた演奏がなされています。

ではお楽しみに…


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4 コメント

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怒りません(笑) (garjyu)
2008-06-07 15:38:54
こんにちは。
これですね。私の“探しもの”。
気長に探して手に入れたいと思います。
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頑張ります。。。 (えりっく$Φ)
2008-06-07 16:53:44
コメントありがとうございます。
思えば、私は「コルトレーン」の全参加セッションを聴いてやろう、集めてやろうとの考えから、知らぬ間に「ドルフィー」の作品を集める様になっていた気がします。
それ程、「エリック・ドルフィー」…魅力的なアーティストですよね?
また、CD棚を漁って、「ドルフィー」の作品を紹介させて頂きますね。
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ドルフィー最高! (pooh)
2008-06-08 09:36:25
えりっく$Φさん、おはようございます。
ドルフィー、ホントすばらしい。
私も実はコルトレーンも好きなんですが、ドルフィーのバスクラやフルートが聴きたくて、ドルフィーの入ったアルバム選んで買ったりしています。
全てのジャズマン(特にアヴァンギャルド系の人)
の目標となる人みたいですね。
このアルバムも聴いてみたいです。
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poohさん、コメントありがとうございます。 (えりっく$Φ)
2008-06-08 16:03:22
poohさん、いつも温かいコメントありがとうございます。
「エリック・ドルフィー」…本来なら、「ジャズ・ジャイアンツ」として君臨すべきアーティストだと思いますが、いかにせん早死にしすぎた感がします。
でも、彼の遺した功績は、決して輝きを失わない永遠の物ばかりなので、これからも世間に良く知られていない(優れた)作品を紹介して行きますね。
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