紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

と~っても渋いピアノ・トリオ、でもこの男の代表作です。…ジョー・ジョーンズ・トリオ

2008-01-30 23:05:50 | ジャズ・コンボ
古い時代のジャズドラマー…「ジョー・ジョーンズ」が、リーダーとして、ピアニストに「レイ・ブライアント」、ベーシストに「トミー・ブライアント」と言う名人肌の兄弟を迎えて、寛ぎと、センスに溢れた、それでいて渋い…且つ、お洒落なピアノ・トリオ演奏を実現したのが、このアルバムです。

このアルバム…「ジョー・ジョーンズ」の代表作であり、座右に置いておきたい、小洒落た名盤と言えるでしょう。

アルバムタイトル…ジョー・ジョーンズ・トリオ

パーソネル…リーダー;ジョー・ジョーンズ(ds)
      レイ・ブライアント(p)
      トミー・ブライアント(b)

曲目…1.スイート・ジョージア・ブラウン、2.マイ・ブルー・ヘヴン、3.ジャイヴ・アット・ファイヴ、4.グリーンスリーブス、5.ホエン・ユアー・ラバー・ハズ・ゴーン、6.フィラデルフィア・バウンド、7.クローズ・ユアー・アイズ、8.アイ・ガット・リズムⅠ、9.アイ・ガット・リズムⅡ、10.エンブレイサブル・ユー、11.ビバップ・アイリッシュマン、12.リトル・スージー

1959年3月 NY録音

原盤…EVEREST RECORDS SRANK-5005
発売…ヴィーナス・レコード
CD番号…TKCZ-79503

演奏について…明日へのお楽しみと言う事でご勘弁下さい。

70年代に録られた正統的なジャズ…ハンニバル・マーヴィン・ピーターソン~ハンニバル・イン・ベルリン

2008-01-29 22:18:09 | ジャズ・トランペット
1970年代~って言いますと、誰もが知っている、フュージョン全盛時代。

歴史的な名盤で言っても、電気マイルスの諸作…例えば、「アガルタ」「パンゲア」「ジャック・ジョンソン」「オン・ザ・コーナー」なんかがそうでしょう。
また、「ハービー・ハンコック」の「ヘッド・ハンターズ」、「チック・コリア」の「リターン・トゥ・フォーエヴァー」等もそうですし、「ヒューバート・ローズ」の作品や、日本の「ナベサダ」「ヒノテル」「渡辺香津美」等も著名な、フュージョン系アルバムを数多く出したのが、やはり70年代です。

その、フュージョン全盛期に敢えて、アコースティック楽器で、フリー&モードで全力でぶいぶい演るアルバムを出したのが、今日、紹介の「マーヴィー・ピーターソン」であり、その彼の作品の中でも最高傑作が、この「ハンニバル・イン・ベルリン」なんです。

時代錯誤?と言われようと、自己を貫き、思い切り吹き切る「マーヴィー・ピーターソン」の名演を是非聴いて下さい。

アルバムタイトル…ハンニバル・イン・ベルリン

パーソネル…リーダー;ハンニバル・マーヴィン・ピーターソン(tp)
      ジョージ・アダムス(ts)
      マイケル・コクラン(p)
      ディーダ・マレイ(cello)
      スティーヴ・ニール(b)
      アレン・ネルソン(ds)

曲目…1.賛美歌第23番、2.ウィロウ・ウィープ・フォー・ミー、3.ベッシーズ・ブルース、4.スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット、5.マイ・フェイヴァリット・シングス

1976年11月3日 ドイツ、ベルリン・ジャズ・フェスティバル ライヴ録音

原盤…MPSレコード  発売…ポリドール
CD番号…POCJ-2554

演奏について…まぁ、私が好きで書いてるブログなので、一方的な意見だと思いながらも、ラストの「マイ・フェイヴァリット・シングス」から書きたいので、ご了承を下さい。
「ハンニバル」が奏でる序奏は、ハイ・ノートで吹くアドリブ・ソロ演奏です。
一聴すると、まだ「マイ・フェイヴァリット・シングス」には聴こえないが、1分半過ぎた所から、著名なメロディを吹いて、全員がヨーイ・ドンの戦闘体勢に入る。
ビンビンと張り詰めたハードなベースを演る「スティーヴ・ニール」と、「エルヴィン・ジョーンズ」のこれ見よがしに、爆流の様にドラムを敲く「ネルソン」が、リズムを推進する。
ここで、「ジョージ・アダムス」が、フリー・ジャズの寵児らしく、思い切り豪快にシャウト&ブロウで、エネルギー発散120%で吹き切ります。
先生の「コルトレーン」を彷彿させる、テナー・サックスでの絶叫に、心が思い切り解放されます。
その後に続く「ハンニバル」は、高音域を中心に、オープン・トランペットで、ブリリアントにアドリブを決めてくれます。
その後には、「ハンニバル」が、もはやトランス状態になり、吹いて吹いて吹き捲る…倒れそうになるまで吹く。
こんなトランペット演奏…聴いた事がないぜ!
聴衆は完全にスタンディング・オベーションになります。

オープニング曲「賛美歌第23番」…クラシックに名曲、「熊蜂は飛ぶ」を彷彿させる、トランペットでの速射砲の様な、超絶技巧曲でスタートする。
ヴェリー・ハードな男のベースを弾き捲る「スティーヴ・ニール」が、鋼鉄のドライヴィングで皆を引っ張る。
「アレン・ニルソン」のドラムスも、「ニール」に負けじと、皆を煽り捲る。
それを受けて、「ハンニバル」が、幽閉された鳥が、天空に放たれた様に、思い切り自由にアドリブ演奏を吹くんです。
その後はピアノの「マイケル・コクラン」が、モード&フリー全開で、鍵盤を敲く敲く…打楽器としてピアノを打ち込むんです。
それから、またまた「ハンニバル」の登場です。
少し休んで体力を取り戻した、若き獅子がまたオープン・トランペットで、声高らかに、自己を叫びます。
素晴らしい名演奏です。

2曲目「ウィロウ・ウィープ~」…非常に有名なスタンダード曲ですが、ここでも例に洩れず、「ハンニバル」が素敵なバラード・プレイを見せます。
どこまでも美しく、しかしトランペットの迫力を活かして、ハイ・ノートで決めて来ます。
それから「コクラン」が、とても流麗なアドリブ・ソロを紡ぎます。
バックのリズム・セクションは、真面目に、実直に自分の仕事を完遂し、「コクラン」をサポートします。
この後、「ジョージ・アダムス」が、良く歌うカデンツァを演じて、更にエキサイティングな感情にさせますが、ラストの再度ソロを取る「ハンニバル」は、序奏と同じアプローチに戻り、叙情的なバラード・プレイで、この曲を締め括ります。

3曲目「ベッシーズ・ブルース」…相も変わらずハードなバック陣に煽られて、序盤は「アダムス」が主軸になり、ブルース調のメロディをフリーキーに調理して、ファイティング・スピリッツを曲に抽入します。
「アダムス」は、体が大きい事も有って、天性に(吹く)音に迫力が有りますね。
持ち前の大音量を見事に活かした演奏です。
この曲では「コクラン」は、シングル・トーンをメインに転がす様な弾き方で、華麗にソロを仕上げます。
そして、また曲の仕上げには、「ハンニバル」が、雄大なソロを大きな音で吹き切り、劇的に〆てくれます。
しかし、この日の「ハンイバル」…集中力の持続力が、まじに大した物です。
どの曲も、フル・トーンで完璧に吹き切っています。

4曲目「スウィング・ロウ~」…チェロの「デューダー・マレイ」のソロ演奏から、この曲は幕を開ける。
この曲は「ハンニバル」の自作曲らしいのだが、とても歌謡的なブルース曲で、覚え易いメロディ進行で…「ハンニバル」がアドリブ・フレーズを駆使して進んで行く。
しかし、チェロをコンボに使用すると考えた意図は何だろうねぇ?
結果から言うと、とてもセンスが有るよねぇ。
とても、曲の品が上がる感じがするんです。
「ハンニバル」は、とても気持ち良く、バックを信じて、トランペットで、メロディを忠実に、最初から最後まで歌い上げます。
真にセンス抜群の1曲に仕上がりました。

「ハンニバル・マーヴィン・ピーターソン」…活躍期間は短かかったが、このアルバムを残した事により、ジャズ史にその名を刻んだと、私は信じたいです。
それぐらい、出来が良い名盤に仕上がっております。

祝&感謝!ブログ開設1周年!!…ライヴ・アット・バードランド~ジョン・コルトレーン

2008-01-28 22:10:55 | ジョン・コルトレーン
皆さん、こんばんわ。

実は…1月27日で(本当は昨日だったのですが)、この「紫のオルフェ」と言う、稚拙なブログを開設してから、丁度1年経ちました。

その間、多くの方々にご訪問とコメントを頂戴致しまして、又、見辛い、或いは、失礼な事も多々有ったと思いますが、そう言う時には、叱咤・激励等も頂き、何とか続けて来られた事、皆様のおかげと思っています。
本当にありがとうございます。

2年目は、昨年以上にマイペースでの更新になるかも知れませんが、飽きずにご閲覧頂ければ、幸いです。
今後も宜しくお願いします。

そんな訳で、今日は皆様に感謝の意を表して、「ジョン・コルトレーン」のアルバムより、飛切りの一枚を選択して、解説(紹介)致したいと思います。

アルバムタイトル…ライヴ・アット・バードランド

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ss、ts)
      マッコイ・タイナー(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.アフロ・ブルー、2.アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー、3.ザ・プロミス、4.アラバマ、5.ユア・レディ

1963年10月8日(1、2、3) 1963年11月18日(4、5)

原盤…impulse A-50  発売…ワーナー・パイオニア
CD番号…32XD-588

演奏について…1曲目「アフロ・ブルー」…1曲目から、ライヴでありながら、「コルトレーン」カルテットがいきなりのベスト・パフォーマンスの演奏をする。
「コルトレーン」から、ソプラノ・サックスでのテーマ掲示がなされると、それを受けて「マッコイ・タイナー」が、モード・ピアノの規範的なコードを、雨霰の様に鍵盤に敲きつけて、真にグレイトなピアノ演奏をしてくれます。
サポートする「エルヴィン・ジョーンズ」のドラミングも相変わらずの絶好調で、ガツン、バキン、ドシャーンとシンバルを敲き、ドスン、ズドン、とバスドラを蹴り捲る。
まじで、パワフル・ドラマーの真骨頂です。
その後の「コルトレーン」の演じるアドリブ…いや、いつも言っていてしつこいが…もはやカデンツァと言うべき、超絶のアドリブ・ソロが、音となって会場を縦横無尽に駆け巡る。
インディアナ風のテーマが、モードとフリーの間を行き来する様に…この音(演奏)は、精霊が飛び廻る時の羽音なのか?
いずれにせよ、天上から聴こえてくる神の声の様に聴こえる。
最初から、エンジン全開、手抜き一切無しの、この至高のカルテットの名演を聴いて下さい。

2曲目「アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー」…「ジョン・コルトレーン」と言う、不世出の天才アーティストの多くの芸術(演奏)の中でも、屈指の名演とされるトラック。
バック陣は、ブロック・コードで伴奏する「マッコイ」と、地味~っぽく見えて、実は目立っている、ガッツリ・ドラムスを敲く「エルヴィン・ジョーンズ」と、実直にリズムを刻む「ジミー・ギャリソン」を従えて、「コルトレーン」が、テナー・サックスで奏でる、長大なスーパー・カデンツァ。
このスーパー・カデンツァ…これは、ジャズと言うカテゴリーのみならず、音楽と言う芸術の歴史の中でも、群を抜く素晴らしいアドリブ演奏です。
超絶技巧で、吹き続ける「コルトレーン」の演奏に…きっと、「音楽の神」を見つける方もいらっしゃるでしょう。
最高のバラード&アドリブです。

3曲目「ザ・プロミス」は、モードで演る、ハードボイルドなブルーズです。
序奏では、モード・ジャズの申子「マッコイ」が、華麗でセンシティブなピアノ・アドリブで曲とメンバーを引っ張って行きます。
それ以上に、コンボを盛り上げているのは、やはり「エルヴィン」のドラミングでしょう。
パワフルでありつつ、精神も強固で、皆を煽り、ファイトさせながらも、少しだけ客観的に全体を見渡す、冷めた(冴えた)己を常に持った、グローバルな演奏をし続けてくれるのです。
終盤では、またまた「コルトレーン」が、ソプラノ・サックスで、シャウトと流麗さを兼ね備えた、絶唱の様に…目まぐるしく色が変わる様に、速射砲の如くのフレーズを繰り出し…我々をハイな気持ちにトリップするのです。

4曲目「アラバマ」…この曲はライヴではなく、スタジオ録音なんですが、まじに良い演奏です。
この曲では、「コルトレーン」が、テナー・サックスで、超名盤「バラード」や「クレッセント」に通ずる、乾いたイメージ…つまり甘くない、大人の演るブルース調のバラード演奏がなされています。
バック陣では、静かに…、しかし内面で激しく燃える「エルヴィン」のドラムが、深く、重く、そして厚く敲かれて…「コルトレーン」の名演奏を、後押しします。

5曲目「ユア・レディ」…「コルトレーン」が、ソプラノ・サックスを使用し、明るめの音調で、軽やかに早い運指でアドリブを決めます。
至高のカルテットのリズム・セクションもいつも通りで、重厚に曲を彩る「エルヴィン」と、分厚いベースで礎を作る「ギャリソン」の二人の出来が抜群です。
「マッコイ」は、この曲ではあまり弾かずに、ポツンポツンと伴奏に加わります。
多分、彼の気持ちでは、ピアノ・レス・トリオで、「トレーン」が自由に吹くのを、そっと見守る様な演奏をしているんでしょう。

いずれにせよ、5曲全てが全くの手抜き無しで…皆様も史上最高のカルテットの素晴らしい演奏を聴いて下さい。

CBSから発売された唯一のアルバム…キース・ジャレット~エクスペクテーションズ

2008-01-27 22:10:24 | ジャズ・ピアノ・コンボ
「キース・ジャレット」…このスーパー・アーティストが、最高のパフォーマンスを発揮するのは、やはり「ソロ・ピアノ」であり、次いで「ピアノ・トリオ」で有ると言うのは異論の無い事でしょう。

しかし、今回はその2種類ではなく、サイケな70年代をいかにも象徴していて、アヴァンギャルドなタイプのミュージシャンが多く参加している、かなり異質のアルバムなんですが、この演奏が結構良いんですよ。
参加しているミュージシャンたちも、一癖も二癖も有る、兵揃いで、聴く前から興味が湧き湧きって感じです。

「ケルン・コンサート」や、「ソロ・コンサート」、或いは「スタンダーズ」とはがらりと違う、チョイ悪な「キース」の演奏をお楽しみ下さい。

アルバムタイトル…エクスペクテーションズ

パーソネル…リーダー;キース・ジャレット(p、ss)
      チャーリー・ヘイデン(b)
      ポール・モチアン(ds)
      デューイ・レッドマン(ts)
      サム・ブラウン(g)
      アイアート・モレイラ(perc)
      ストリングス&ブラス・セッション

曲目…1.ヴィジョン、2.コモン・ママ、3.ザ・マジシャン・イン・ユー、4.ルーシロン、5.エクスペクテイションズ、6.テイク・ミー・バック、7.ザ・サーキュラー・レター、8.ノーマッズ、9.サンダンス、10.ブリング・バック・ザ・タイム・ホエン、11.ゼア・イズ・ア・ロード

1972年 NYにて録音

原盤…CBS 発売…ソニー・ミュージック・ジャパン
CD番号…SICP-756

演奏について…序奏の「ヴィジョン」…ストリングスの優しい調べにのって、「キース」が美しいフレーズを弾いて…準備OKとなります。

2曲目「コモン・ママ」…ラテン・ロック調のリズムに、ホーン・セクションが加わると言う、かなり大編成のバックを従えて、「キース・ジャレット」が、自由奔放に、自らのスタイルで音を紡ぎ、鍵盤に「キース」調、「キース」魂を叩き付けるトラック。
序奏の後、「キース」は、ソプラノ・サックスを使用して絶叫し、合わせて「デューイ・レッドマン」のテナーもそこに絡んでくる。
この辺は、珍しい演奏ですよね。
その後「チャーリー・ヘイデン」が、ぶっとい音でアドリブ・ベース演奏をするんですが、流石です…見事にKOされます。
それから、「キース」はもう一度ピアノに戻り、「モレイラ」の刻むパーカッション、「レッドマン」のテナーと共に、音の異空間を作り上げて完成させます。

3曲目「ザ・マジシャン・イン・ユー」…この曲もラテン・フレヴァーな曲ですが、「サム・ブラウン」のギターと、「キース」のピアノ、そしてまたまた「モレイラ」のパーカッション(コンガ、ボンゴ)が、とてもメロディアスで素敵な曲に仕上げています。
まぁ、時代的にフュージョン全盛期に、ジャスト・ミートな曲と言えば、分かり易いかな?

4曲目「ルーシロン」…序奏はホーン群が、怪しい和音で初めて、その後「ヘイデン」が、ハードにびんびんに刻むベースと、「モチアン」がフリーに敲くドラムが、第一の聴き物です。
そして、続いて「キース」もフリーにソロを取ってから、「レッドマン」が激しいトーン&フレーズで絶叫します。
しかし、ただ絶叫するだけじゃなくて、時々メロディを吹いてくれる所に…可愛げが有るんですよ。

5曲目、表題曲の「エクスペクテーションズ」…一聴して、「キース」が奏でる、とても魅惑的なメロディに…心惹かれます。
それを受けて「ヘイデン」も、メロディアスなソロを取り、「ヘイデン」の演奏をストリングスが取り囲んで…更にロマンティックにします。
終盤に入ると…「キース」と「ヘイデン」、それから「モチアン」のブラッシュ・ワークで、とても美しいピアノ・トリオ演奏がなされて…うぅーん大満足です。

6曲目「テイク・ミー・バック」…親しみ易いメロディと、正統的なブルーズ調4ビートの「キース」作曲の曲で、演奏で耳を惹くのは、「レッドマン」が、ブルージー&フリーキーに仕上げるテナーが良い味を出しています。
「キース」は、序盤では、あえてか?ブロック・コード演奏を主にして、伴奏に専念しています。
終盤、華麗に決める部分(ソロ)も、勿論有るんですけどね。
他では、ギター「ブラウン」のテク抜群のソロも、バッチリ聴かせてくれて…相当行けてますよ。
最後まで、メンバーのノリは抜群で、とてもポップで聴き易い1曲です。

7曲目「ザ・サーキュラー・レター」…一寸、音を外した、ホーン群&ギターのユニゾン演奏&メロディが、不思議な気持ちにさせられるナンバーです。
しかし、覚え易いリフレインのこのテーマ・メロディを軸に、演奏している中で、「ヘイデン」&「モチアン」のリズム陣二人は、アグレシッブでぶっ飛んだ演奏をしていて…この対比が、実に面白いですね。
一言で言えば、曲調は単純明快で、リズムは難解でフリーキーなんですよ。

8曲目「ノーマッズ」…およそ18分弱の演奏時間を要する、このアルバム随一の大作です。
序盤のソロは、ギターの「ブラウン」が引っ張る感じで、押し進めて行き、「キース」も諸所で、音を重ねて行きます。
その後、重厚で崇高なオルガン演奏が入り…
☆オルガンは誰が弾いているんだろう?結構気になるけど、資料が無いので分りません。
その後、リズム陣「ヘイデン」「モチアン」「モレイラ」は、至ってクールに、乾いた音色で、リズムを刻み続けて、それに合わせる様に「キース」もドライな感覚で、クール・ビューティなアドリブを次々に作って行きます。
ピアノの鍵盤、全部を使用した様な、流れる様なメロディ・ラインで、音を紡ぐ「キース」は、彼の真骨頂の演奏をしてくれます。
「キース」が休んでいる間も、リズム・セクションの3人は、一切の妥協をせず、不気味なほど淡々と分厚いリズムを刻む演奏は、まじで玄人好みです。
とにかく3人の演奏が、カッコイイんです。
終盤になって「ブラウン」が、ハードなギター・ソロを抽入して来て、更に曲をヒート・アップさせてくれます。
「ブラウン」って、こんなにハードなプレイヤーだったかな?と思う程、ギターがシャウトしていて…「キース」とのデュオ・バトルは、かなり迫力が有りますね。
フィニッシュになると、ホーン群も復活して来て、二人のラスト・バトルに花を副えます。
聴き応え充分な1曲です。

9曲目「サンダンス」…ロック調の8ビートリズムに合わせて、「キース」とホーン群、「ブラウン」が楽しげに、演奏を開始します。
「レッドマン」も的を射たフレーズで、演奏を色付けてくれます。
後半のアドリブ・パートで「ブラウン」と「レッドマン」が、激しいソロを展開してくれて…ぴりりと効いたスパイスの役目を果たします。

10曲目「ブリング・バック~」…ブルースorラグタイム?…いずれにせよ「キース」が、鼻歌交じりにソロ演奏を始めて、そこに「レッドマン」も聴き易いアドリブ・フレーズを重ねてきます。
「ヘイデン」「モチアン」は、ここでもアバンギャルド系の乾いた感覚のリズムを一心不乱に刻み続けます。
この二人…本物の職人で、何て頑固者なんだよ~!でも、そこが良いんです。
その後、曲もハードな展開に変わってきて、「キース」は、テーマの後には、またまた鼻歌を歌いながら、「キース」節全開で、アドリブ・パートを弾き続けます。
終盤で、「レッドマン」が、フリーキーなトーンで、思い切り暴れ捲るアドリブを演ります。
前半から打って変わって、ハード・ボイルドな名演に仕上がりました。

ラストの「ゼア・イズ・ア・ロード」…序奏は、前曲までのハードな演奏とは一転して、とてもロマンティックな「キース」のソロ演奏が心を和ませます。
ここで聴けるのは、正しく「ケルン・コンサート」や「ソロ・コンサート」で聴ける、癒し系「キース」です。
その後、「ブラウン」のギター演奏が加わりますが、この演奏も、とてもメロディックで…歌心をメインにしていて…とても歌謡的な1曲ですね。
ラストでは、ストリングスも入って…安らかな眠りに就くようなエンディングです。
この曲は、とにかく美しく、安らげます。

このヴォーカル・アルバムはすごい!屈指の名盤だ!…カサンドラ・ウィルソン~ニュー・ムーン・ドーター

2008-01-27 13:04:51 | ジャズ・ヴォーカル
この、アルバムは、ジャズ・ヴォーカル・アルバムの中でも、群を抜くクールさと、(器楽的な)ジャジーさが魅力です。
普通は、ジャズ・ヴォーカル・アルバムで、緊張感を覚える程、張り詰めた感覚って中々無いんだけど、このアルバムにはそれが有る。

異質かも知れないが、ジャズ・ヴォーカル・アルバム史上、屈指の名盤でしょう。

このアルバムでは、歌を歌う感覚ではなく、「カサンドラ・ウィルソン」の声が、正しく楽器と同化して…器楽セクションの一つとなっています。
しかし、歌い方は決して、器楽的では有りません。
むしろ、黒人ジャズ・ヴォーカリストらしく、声量、歌い回し、ヴィブラートの付け方など、第一級の歌唱をしています。

それから、私的には、このアルバムの編曲、雰囲気がすごく好きです。
一言で、カッコイイと言う言葉に尽きるんです。
インストを立たせたブルー・ノートの録音も、このアルバムのクールさを更に上げる原動力になっています。

アルバムタイトル…ニュー・ムーン・ドーター

パーソネル…カサンドラ・ウィルソン(vo)
      クレイグ・ストリート(pro)
      グラハム・ヘインズ(cor)
      ブランドン・ロス(g)
      ロニー・ブラキシコ(b)
      他

曲目…1.奇妙な果実、2.恋は盲目、3.ソロモン・サング、4.デス・レター、5.スカイラーク、6.ファインド・ヒム、7.泣きたいほどの淋しさだ、8.恋の終列車、9.アンティル、10.ア・リトル・ウォーム・デス、11.メンフィス、12.ハーヴェスト・ムーン、13.ムーン・リヴァー

1995年録音

原盤…BLUE NOTE  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5996

演奏について…まず、オープニング曲、「ビリー・ホリデイ」で有名な「奇妙な果実」が、スーパー・トップ・ヘヴィな名唱・名演で、いきなり度肝を抜かれる。
ベーシスト「ブラキシコ」の、野太いピッチカート奏法が、重厚な曲の礎を築き、
この曲のデュープな環境を的確に示してくれる。
所々で、「ヘインズ」が奏でるコルネットの、やや遠目から聴こえるサウンドが、黒人リンチ事件の不気味で哀れな雰囲気について語るアナウンサーの様だ。
そして、「カサンドラ・ウィルソン」の歌声は、どこまでも辛辣で、深い悲しみに満ちている。
叫ぶ様な怒りの絶唱ではなく、心の奥底に響いてくる、深い深い慈悲の、神への祈りの歌です。

2曲目「恋は盲目」…アコースティックの美しいサウンドに乗って、「カサンドラ」が、ここでも真に深い死の悲しみを表現した名唱を聴かせます。
ぼんやりとした音調で、この悲しさを色濃くしている、「ヘインズ」のコルネットが、ここでも一役かっています。

3曲目「ソロモン・ソング」は、「カサンドラ」の自作曲。
ジャズの曲とは思えない程、ゆとりや寛ぎ、そしてほのかな優しさに包まれた、癒し系の歌&楽曲。
分り易く、平たく言えば、「ユーミン」的なフォーク・ソングに近い感じがする。
楽器では、「ブランドン・ロス」のアコースティック・ギターの優しい調べが、「カサンドラ」の歌声と同化して、貴方の心に深く沁み込んで来ます。
しかし、全曲を彩る、アコースティック楽器群の編曲と、余す所なく録られた、録音が、より一層優しさを倍加させています。

4曲目「デス・レター」…死の知らせが書かれた手紙を受け取って、歌うブルーズ曲で、ここでの「カサンドラ」は、前3曲とは違って、ハードさと怒りの気持ちを込めた、迫力有る歌い方で押して行く。
バック陣のリズムとブルーズ演奏は、泥臭い中にも、かなり都会的なエッセンスを加味していて、あくまでも現代のブルーズで攻めています。

5曲目「スカイラーク」…とてもアンニュイな曲調で、曲が進行して、「カサンドラ」も気だるい雰囲気で、語りかける様に歌います。
スチール・ギター?が、ひばりを包み込む風の役目を表現していて…このひばりの行き着く先はどこなのか?
平和の世界なのでしょうか?

6曲目「ファインド・ヒム」…この曲もフォークソング、いや、あまり臭くない、カントリー&ウェスタンの感じの曲なんですが、しかし演奏&曲とは対照的に、情感タップリに「カサンドラ」が、素晴らしいヴォイスで歌ってくれます。
「カサンドラ」…やはり半端じゃなく歌は上手いねぇ。
バック陣では、「ロス」のギター演奏が聴かせてくれます。

7曲目「泣きたいほどの淋しさだ」…この歌も激しくディープできつい歌です。
「ハンク・ウィリアムス」が作曲した、ずばり…絶望の歌なんです。
しかし「カサンドラ」は、割と淡々と歌い上げて行き、演奏もヴァイオリン、ギターがメロディ・ラインを弾いて…比較的ライトに仕上げてくれてます。
あまりに悲しい歌なので、あえてそれ以上悲しみにくれない様に、軽めにしてくれたのかぁ?

8曲目「恋の終列車」は、皆が良く知る「ザ・モンキーズ」の歌った有名曲。
勿論、ここではジャズ曲として「カサンドラ」が歌い、仕上げているだけに、原曲のポップスとは一転して、全く違う雰囲気の曲になっています。
「カサンドラ」は、低音域をメインに歌っており、ドラムスとギターも低音重視に重厚的な編曲と演奏をしていて、重々しいと言うよりは、軽くない演奏曲にしているんです。
ここで歌われているのは、正しくジャズです。
決してポップスでは有りませんよ。

9曲目の「アンティル」は、「カサンドラ」自作曲で、アコーデオンがメイン伴奏をするセンスが、とてもgoodだと思います。
「カサンドラ」の実直で真摯な、そして上手いヴォーカルが、このパリジャン風のアコーデオンと、リズムを司るパーカションとのコンビネーションにマッチしていて、とにかくハイセンスで○ですね。
大人二人の愛を見つめる、好トラックです。

10曲目「ア・リトル・ウォーム・デス」は、題名通り、死についての歌なんですが、曲調がとても明るいんです。
演奏的には、ヴァイオリンをメインに押し立てて、明るく振舞うジプシーのイメージなんでしょうか?
曲調はメジャーだけど…このアコースティックな響きによって、演奏と歌が全然ライトじゃないんです。
「カサンドラ」の意図する物は…いたって「モーツァルト」的なのかもしれないですね。
メジャー曲に認めれた、心の奥底に眠る悲しさなんでしょう。

11曲目「メンフィス」も「カサンドラ」の自作曲です。
この曲は、アルバム中では最もロック&ポップよりの演奏・編曲がなされていて、ソウルフルなオルガンや、指パッチン、ギターなどが、「カサンドラ」の歌声に装飾を付けてくれます。

12曲目「ハーヴェスト・ムーン」…「ニール・ヤング」が書いたラヴ・バラード。
ここでの「カサンドラ」は、鳥のさえずりをバックに、朝日溢るる高原で気持ち良く、しっとりとバラードを歌い上げます。
サイドで爪弾く、バンジョーいや、シタール?(エキゾティックな弦楽器)が、より深く幻想的な効果を生んで、「カサンドラ」の名唱をサポートしてくれます。

日本盤のみのボーナス・トラックであるラスト曲の「ムーン・リヴァー」ですが、この曲もアルバムのコンセプトを全く損なわないばかりか、上位に位置できる出来栄えです。
ゆったりとして、ややハスキー・ヴォイスの「カサンドラ」のヴォーカルが、原曲の映画音楽から、この曲を完全にジャズ・ヴォーカル曲に、ステージ移行させています。
ここでも、シタール?か、東洋的でエキゾティックな弦楽器が、バックでソロを取るんですが、イリュージョンを思わせる程、不思議な気持ちにさせてくれて…「カサンドラ」のヴォーカルとの融合が最高です。

新主流派ボビー・ハッチャーソンのデビュー・アルバム~ダイアローグ

2008-01-25 21:08:46 | ジャズ・ビッグバンド・その他
またまた、ブルー・ノートのアルバムを紹介しちゃいましょう。

ヴァイブ奏者、「ボビー・ハッチャーソン」が、奇才「アンドリュー・ヒル」他
のメンバーにサポートされて、録ったのがこのデビュー・アルバムなんです。

演奏、曲ともハイ・センスで、そこにブルー・ノート特有のテイストも加味され…長い鑑賞に耐え得る出来栄えです。

アルバムタイトル…ダイアローグ

パーソネル…リーダー;ボビー・ハッチャーソン(vib、marimba)
      フレディ・ハバード(tp)
      サム・リヴァース(fl、ss、ts、b-cl)
      アンドリュー・ヒル(p)
      リチャード・デイヴィス(b)
      ジョー・チェンバース(ds)

曲目…1.カッタ、2.アイドル・ホワイル、3.レ・ノワール・マルシェン、4.ダイアローグ、5.ゲットー・ライツ

1965年4月3日 録音

原盤…BLUE NOTE ST-84198  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-6632

演奏について…アルバム・タイトル曲の4曲目「ダイアローグ」…異空間に飛び廻る「ハッチャーソン」のヴァイブや、「ハバード」のトランペット、そして「リヴァース」のソプラノ・サックスが、名作「エリック・ドルフィー」の「アウト・トゥ・ランチ」の演奏を想像させる。
「ハッチャーソン」は、和音や音階等については、殆ど無視同然で、あくまでも自由奔放に、音の自己表現をする。
「デイヴィス」の野太く、ハードなベースと、「ジョー・チェンバース」の時空を超えた様な不思議なタイム感覚が、彼等の自由世界を後押ししている。
但し、ピアノの「アンドリュー・ヒル」だけは、とても流麗で、また、雨だれの様なきれいな響きのピアノ演奏を終始演っていて、異質だが、これが美しいアクセントとなっている。
曲の後半では、弓弾きで更にいかつい低音を演る「デイヴィス」がgood jobです。
フリー好きな方にお薦めしたい名演です。

オープニング曲「カッタ」…「ジョー・チェンバース」のスティックのリードから、「アンドリュー・ヒル」と「チェンバース」の乗りの良いラテン・ビートで曲が幕を開ける。
「ハバード」の輝かしいトランペットのメロディ演奏に続いて登場するのが、この曲の主役、「サム・リヴァース」である。
かなりアグレッシブなアドリブ演奏で、ぶいぶいと演って、テナー・サックスで吼え捲り、漢の戦い方を見せる。
受ける「ハバード」のアドリブはとても流麗で、健康的です。
この辺りの演奏の違いが面白いですね。
それから、「ハッチャーソン」が、縦横無尽にヴァイブを敲くんですが、この曲では、そんなに突拍子も無いって程じゃない。
かなりメロディアスで、「ヒル」のラテン・ピアノとピッタリマッチするんです。
ラテン大好きな私には、いきなりのお気に入り演奏が幸せですぅ。

5曲目「ゲットー・ライツ」…アンニュイでサディスティックな雰囲気を纏った、変則のブルース曲で、「ハバード」のひねった様な音色で、捻じ曲げたメロディを吹くアドリブが、とても印象的です。
「リヴァース」がこの曲で、ソプラノ・サックスを使用して、演奏はまんま「コルトレーン」をパクッたと思うぐらいに酷似していて、面白いです。
やっぱり、この時代の「トレーン」の影響力は半端じゃないですね。
☆今でも影響力は半端じゃないでしょうけれど…。
「ハッチャーソン」は、前曲の異次元演奏から、地上に戻って来て、かなり正統的なブルーズを演ってくれます。
何か若返った「ミルト・ジャクソン」みたいです。

2曲目「アイドル・ホワイル」…「リヴァース」のフルートと「ハバード」のトランペットが二重奏で、ロマンティックにメロディを序奏で演じる。
その後の「ハバード」のバラード調のソロは、とても品が高く、高貴な音色でテーマを展開して行く。
バックでは、「チェンバース」が、ブラッシュで上品にリズムを描き続ける。
「ハッチャーソン」は、アルバム中でも、最も幻想的で魅惑的なフレーズのアドリブ・ソロを演ってくれて…気持ちが良いですねぇ。
「デイヴィス」も終盤に、深くて静かな音色のベース・ソロを決めてくれて…演奏にアクセントを付けます。
ユニゾンでの、最後の終わり方もアンニュイな感じでgoodです。

3曲目「レ・ノワール・マルシェン」…変調のマーチ風リズムの序奏に、「アンドリュー・ヒル」のおどろおどろしいピアノが時々、顔を出しながら進行して行く。
「ハッチャーソン」は、思う存分フリーに敲き、「チェンバース」も速くしたり、止めたり、急いだり、間を置いたり…と自由にシンバル&ドラムの時間を操り、使用します。
「ハバード」のソロ、「リヴァース」のフルートは、全く各自自由にアドリブを演って、極彩色のサウンドに仕上げて来ます。
但し、極彩色と言っても、ヴァイブの「ハッチャーソン」が居るので、かなり幻想的なイメージで仕上がり、絵画で言えば、「シャガール」のパステル・カラーの方がより近いかもしれません。
いずれにせよ、フリー要素の強い、若若しいサウンドと演奏です。

個性剥き出しのピアノ…ホレス・パーラン~オン・ザ・スパー・オブ・ザ・モーメント

2008-01-24 23:13:15 | ジャズ・ピアノ・コンボ
生来から、小児麻痺の影響もあり、不自由な右手で奏でるサウンドが、強烈な個性を放つ、ブルー・ノートお抱えのピアニストが、「ホレス・パーラン」です。

今日、紹介のこのアルバムは、この「パーラン」の録音の中でも、屈指の渋い作品で、よほどのジャズ・マニアか、ブルー・ノート好きの方しか、多分耳にした事がないのでは?と危惧していますが、参加のアーティストも、ファンキーでブルージーな、いかにもブルー・ノート臭さがぷんぷんのアーティストばかりで…結構聴いていて、楽しいアルバムなので、お薦めしたいです。

アルバム・タイトル…オン・ザ・スパー・オブ・ザ・モーメント

パーソネル…リーダー;ホレス・パーラン(p)
      トミー・タレンタイン(tp)
      スタンリー・タレンタイン(ts)
      ジョージ・タッカー(b)
      アル・ヘアウッド(ds)

曲目…1.オン・ザ・スパー・オブ・ザ・モーメント、2.スクー・チー、3.アンド・ザット・アイ・アム・ソー・イン・ラヴ、4.アルズ・チューン、5.レイ・C、6.ピラミッド

1961年3月18日 録音

原盤…BLUE NOTE ST-84074  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-6651

演奏について…表題曲でオープニングの「オン・ザ・スパー~」…ブルーズ調のリズムから「トミー・タレンタイン」が、スタッカート風に吹き始めて、それから流麗なソロへと繋げて行く。
受ける「ホレス・パーラン」…ブルースを自分流にアレンジして…崩しと一音外した和音?で、独特の世界観を表現する。
それから、「スタンリー・タレンタイン」は、かなり豪快にブロウして、またベースの「タッカー」が、重厚なソロを演って、曲はどんどん盛り上がって行く。
中間部では、「ヘアウッド」も、チョイ・ソロなんか敲いてくれて…ファンキー、ブルース、そしてハード・バップと、色々なエッセンスのジャズ演奏・スタイルが楽しめます。

2曲目「スクー・チー」…2管でユニゾンとハーモニーを絡めた、ハード・バップの正統的なテーマ進行から、「スタンリー」が思い切りブロウして、威勢を駆る。
その後の「トミー・タレンタイン」も、とても輝かしいフル・トーンで華麗なアドリブを吹いて続く。
そして「パーラン」は遊び心を満載した、面白おかしいフレーズを使用して、とてもいとおかしなソロで興味を引かせるんです。
最後はもう一度、「スタンレー」が、ハードなプレイで纏め上げてくれます。
飽きさせないgoodな1曲ですね!

3曲目「アンド・ザット~」…このアルバム唯一の寛ぎ系ナンバー。
元は「ハロルド・ウーズリー」作曲のバラード曲だとか…。
最初のソロを取る「スタンリー」、すぐ後に続く「トミー」とも、明るめのフル・トーンで、原曲のメロディに即した、アドリブで演ります。
「パーラン」は、とてもリズムカルな演奏で、可愛らしく曲を彩ってくれます。
それから、もう一つこの演奏で聴いて欲しいのは、二人のリズム・メンの演奏で、軽快にシンバルでサポートする「ヘアウッド」と、実直に職人的にベースで皆をドライヴする「タッカー」の演奏です。

4曲目「アルズ・チューン」…いかにもブルー・ノート…って感じの、マイナー・ブルーズで、「トミー・タレンタイン」が、ファンキーで且つアラビック(アラビア風の)なメロディ・アドリブを演奏する。
その後を受けて、「スタンリー・タレンタイン」は、更にファンキーさを際立たせた、アドリブ演奏で展開させる。
「パーラン」のチョイ、メロディを崩した、アドリブ・フレーズが、個性的であり、また、聴く耳に不思議な印象を残す。
「モンク」の様に、下手うまに知的に崩すにでは無く、自然に演られた、言わば天然の崩しなんです。
終盤では「タッカー」のガッツリ行く、ベース・ソロも聴き所で、最後はブルー・ノートお得意の、ファンキーなユニゾン演奏で〆になります。

5曲目「レイ・C」…この曲も来た来た来た~って感じだね。
まんま、ブルー・ノート色の服を着てやって来た、一寸下品なモデルの様です。
「スタンリー」から「トミー」へと続く、アドリブ・ソロも、理想的なマイナー・メロディを活かしたアドリブ展開で…ブルー・ノート好きには、堪んねぇ~!!
「パーラン」のアドリブも良いですよ~!
聴いているだけで、体がリズムを刻み、頭が前後して演奏に惹き込まれるんだよ。
ここでも「タッカー」が、渋いベース・ソロを演ってくれるし、「ヘアウッド」の単純明快なシンバル・ワークが、カッコイイんです。
この曲もエンディング演奏は、お決まりで…ユニゾンで2管が演ってくれて…一安心ですね。

6曲目「ピラミッド」では、「ヘアウッド」が繰り出すラテン・リズムに乗って、「スタンリー」が、軽快に気持ち良くアドリブを吹き、「トミー」もブリリアントな音色で、流麗なフレーズを一発決めます。
「パーラン」は、もう「パーラン」節オンリーで通し貫きます。
ここが最高に「パーラン」の良い所だ!
ワン・パターンなんか言うやつはクソ食らえで、全く無視だよ~!!
個性は、貫き通さなきゃダメなんだ!!

ソウル・ミュージック・シーンの不朽の名作を…マーヴィン・ゲイ~ホワッツ・ゴーイン・オン

2008-01-23 23:28:52 | ポップス・ソウル
今日、大分、見辛くなっていたカテゴリー欄を、少しばかりカスタマイズしました。
本当はもっと、見易くしたかった(ジャズのアーティスト個人名を増やしたかった)のですが、カテゴリー欄がMAXで30個しか作れないと言う事で、まぁしょうがないかと言うレベルで手打ちしました。

それから、昨日、かなりの問題作を選択し、解説したので、今日は解説抜きで聴ける不朽の名作を紹介したいと思います。

でも…本当は、この有名アルバムも歌われている内容は、実は超問題作品なんですよね!
ベトナム反戦が絡んだりして…愛と平和、或いは神について問いかけた、実験的作品ですから…また、「モータウン・レーベル」初の、コンセプト・アルバムだったりするのも…物議を醸し出したらしいし…聴いてみると分りますが、殆ど全曲、切れ目無く続くんですよ…このアルバム。。。

でも…でも…私は、手前味噌ですけど…ジャズについては、かなりの知識と情報、そして見聞、理論、概念を持っていると思いますが、「ソウル・ミュージック」、「ブラック・コンテンポラリー」については、殆ど素人ですので、この超問題作を、斬って解説するのは、チト難しい…いや、無理だと思っています。
ですから、今日はこのアルバムが好きだと言うシンプルな理由だけで、余り深く言及した解説は止めようと思います。

それでは…

アルバムタイトル…ホワッツ・ゴーイン・オン

アーティスト…マーヴィン・ゲイ(vo)

曲目…1.ホワッツ・ゴーイン・オン、2.ホワッツ・ハプニング・ブラザー、3.フライン・ハイ、4.セイヴ・ザ・チルドレン、5.ゴッド・イズ・ラヴ、6.マーシー・マーシー・ミー、7.ライト・オン、8.ホーリー・ホーリー、9.イナー・シティ・ブルース

1971年リリース

原盤…MOTOWN   発売…ユニバーサル・ミュージック
CD番号…UICY-9788

歌・曲について…いきなり、ウルトラ・トップ・ヘヴィで恐縮ですけど…やはりこのアルバム・タイトル曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」については書かないとまずいですよね。
ブラック・コンテンポラリーの軽快なサウンドなのに、歌われている歌詞は…完全に反戦で、そして人類愛の歌です。
多分、英語の歌詞が分らない人(例えば子供)が一聴したら、とても楽しい曲に聴こえると思います。
それくらい、メロディアスで、覚え易くて、軽快で…これだけメッセージ色が濃い歌詞の内容にも拘らず、軽快にポップスとして歌える「マーヴィン・ゲイ」の精神と歌唱力、そして慈愛(人間愛)に胸を討たれます。

2曲目「ホワッツ・ハプニング・ブラザー」…これも反戦の歌で、重いメッセージなのだが、「マーヴィン」は、サラリとさりげなく歌うのが、心憎いです。

3曲目「フライン・ハイ」…神に捧げる祈りの曲。
牧師の息子である「マーヴィン・ゲイ」の所謂、ルーツ的な曲ですが、彼のハイ・トーン・ヴォイスは…天まで、そのまま神にメッセージとして伝えられるんでしょうね。

4曲目「セイヴ・ザ・チルドレン」…未来に希望を持てない子供たちを憂い、彼等のために慈愛のメッセージを祈る「マーヴィン・ゲイ」。
ドライヴィング感溢れる、ベースやパーカッション、そして高らかにうたわれる、サックスが、神への祈りを後押しする、聴き応えあるトラックです。

5曲目「ゴッド・イズ・ラヴ」4曲目から、ガラリと転調して、憂いから世界を救おうと呼びかける、平和に向かって呼びかける、愛のゴスペル・ナンバー。
「マーヴィン」が、神に対して、そして我々に対して、愛について熱唱します。

6曲目「マーシー・マーシー・ミー」…激動の60年代~70年代に作られた曲なのに…歌詞の内容が、バッチリ今の時代マッチする。
ズバリ、環境破壊を憂いた歌で、とてもメロディアスで柔らかく、優しい曲調で、覚え易いのに…歌詞には、ものすごいメッセージが詰っています。
「マーヴィン」の代表作の一つです。

7曲目「ライト・オン」…歌詞の内容は、2曲目と同様同胞へ呼びかけた、反戦讃歌なんですが、私はこの曲の編曲と演奏が、とてもお気に入りです。
ラテン楽器「ギロ」を効果的に使用し、パーカッション群のリズムを立たせた、ラテン風の曲に仕上げ、フルートとサックスが所々で、飛び回り…このコンセプト・アルバム中でも、際立ってジャジーで、インストを全面に押出した、仕上げがなされています。
一言で言えば、70年代初期の時代を反映させる、ちょっとサイケデリックなフュージョン・サウンドで、聴くと言う行為に敏感に反応する一曲です。

8曲目「ホーリー・ホーリー」…アルバムの中でも最も宗教色が濃い、神へ捧げるゴスペル・バラード。
「イエス」に対して敬虔な愛を捧げた歌です。

ラスト「イナー・シティ・ブルース」…この曲も現代社会のペーソスとして、普遍の価値を失わない曲。
市民が汗水垂らして、稼いだ(払った)税金を、無駄なロケットや兵器の開発に使用して、気付いてたら、累積赤字が積もって…と言う意味の歌なんだって。
「マーヴィン・ゲイ」がこのアルバムを、40年近く前に作ったって事は、まじにすごいね!

統括ですが、歌詞の内容は、過激でメッセージ色がものすごく濃いのに対して、どの曲もとてもメロディアスで、どちらかと言うとメジャー・コードで明るい曲調が多いのは、何でだろう?
「マーヴィン・ゲイ」が、牧師さんの息子であって、歌詞も曲も攻撃的だったり、悲劇的だったりするのは、神に対して申し訳ないと思ったからなのかなぁ?
とても不思議ですね。

新結成、後期の傑作…ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン~ジョン・コルトレーン

2008-01-22 22:29:49 | ジョン・コルトレーン
至高のカルテット解散後の、新生「コルトレーン」のコンボが、再び「ヴィレッジ・ヴァンガード」にやって来た。

そして、その時に録音されたのが、このライヴ・アルバムなんです。

「コルトレーン」縁の1曲目「ナイーマ」と、同じくライフ・ワークの曲が、2~3曲目の「マイ・フェイヴァリット・シングス」…このアルバムに収められているのは、たった2曲です。

とにかく、後期「コルトレーン」が演奏する曲は、1曲、1曲が長大で、(時には1曲で1時間以上なんてことも…)もはや人間業を超越して、正しく「神」や「賢者:グル」の声とも言うべき、サックスからの魂の絶叫が聴けます。

そして、この演奏のわずか1年後には、天に召されるので、まじめに骨身(命)を削って、演奏に没頭していた事は、紛れも無い事実でしょう。

是非「ジョン・ウィリアム・コルトレーン」の魂の叫び(絶唱)を聴いて下さい。
それから、「コルトレーン」を崇拝し、サポートする若き精鋭たちの演奏も聴いて下さい。

アルバムタイトル…ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン

パーソネル…ジョン・コルトレーン(ts、ss、b-cl)
      ファラオ・サンダース(ts)
      アリス・コルトレーン(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      ラシッド・アリ(ds)
      マニュエル・ラヒム(perc)

曲目…1.ナイーマ、2.イントロダクション・トゥ・マイ・フェイヴァリット・シングス、3.マイ・フェイヴァリット・シングス

録音…1966年5月28日 ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音

原盤…impulse A-9124  発売…ワーナー・パイオニア
CD番号…32XD-598

演奏について…1曲目の「ナイーマ」も「コルトレーン」の生涯演奏・録音の中でも上位の演奏だと思うが、やはり彼のライフ・ワークである、2曲目~3曲目にかけての、約27分に渡る長演奏の、「マイ・フェイヴァリット・シングス」から解説させて頂きましょう。

2曲目の「イントロダクション・トゥ・マイ~」は、言うなれば「マイ・フェイヴァリット~」へと橋渡しするための「ジミー・ギャリソン」の長大なベース・ソロの事であります。
この演奏…ベースの好きな方なら…正しく私はその一人ですが…聴いていてワクワクさせられ、尚且つ類稀な緊張感も感じえます。
「ギャリソン」の重厚なピッチカートと、時々使用するボウイングの何れもが、腹の底に響き渡る様な、重低音で心の奥底まで迫ってきます。
古い日本の特撮映画に、「大魔神」と言うのが有りました。
大魔神が悪人を退治する時、海が割れます(十戒も海が割れるなぁ)が、正しく「大魔神」様が通るために海を割る道の役目をしているんです。
泣く子も黙る、名演奏です。

3曲目「マイ・フェイヴァリット・シングス」の本丸に「ギャリソン」の重厚ベースが橋渡しをして、大将(神)の「コルトレーン」が、ソプラノ・サックスを引っさげて登場します。
まるでインド音楽の様に、ソプラノ・サックスを矢継ぎ早に運指して、パルスの様な高速で、音の閃光を光らせ続けます。
サイドでは、ピアノを乱打する「アリス」、そしてドラムを敲き捲る「ラシッド・アリ」が、これでもかの、狂乱の音のシャワーを、「コルトレーン」のソプラノ・サックスを修飾する様に乱れ打ちます。
それを受けて、「コルトレーン」が、激しくそして天空に飛び立つ鷲の様にどこまでも高く…大袈裟だが、宇宙までも飛び上がって、いつしかフェニックス(不死鳥)に変貌を遂げていくのです。
「マイ・フェイヴァリット~」のメロディ・ラインを一つ吹くだけでも、そこに筆舌し難い高貴な芸術性が、飾らない裸の姿で立っています。
大将のリードを受けて、いや、駅伝で言う襷を受けて、弟子:第3走者の「サンダース」は、一心不乱に牛や馬が嘶くが如く、野生の本能で、唾を垂れ流しながら…鷲の後を受けて、テナー・サックスを使用して、全力疾走します。
鷲の様に空は飛べないが、無心で走り続け、鷲の意思を繋げようと、健気に倒れながらも、テナー・サックスを持ちながら懸命に走るんです。
口から血や反吐をはきながらも、まだまだ走る…走る…走る!!
「ファラオ・サンダース」が走るんです。
この命がけの走りを見た「コルトレーン」は、天空から引き返し、この牛(馬)に付き合って、併走し、ソプラノ・サックスで激しく、そして優しく抱きしめます。
そして、牛「サンダース」を休ませて、駅伝の襷を再度受けて、またまた自らが命燃え尽きるまで、今度は走るんです。
よたって、転んで、傷ついて…一所懸命に走り続けます。
そして、ゴールが見えて来ると、もう一度テーマを思い切り吹き切り、ゴール・テープをタッチします。
「アリス」の優しいピアノに励まされて…「コルトレーン」が、感動のゴールをします。
演奏の質だけならば、「初代ヴィレッジ・ヴァンガード」の方が上かも知れませんが、精神性の高さは、この「アゲイン」の方が上回っているのでは?と思います。

1曲目の「ナイーマ」…後に嵐の様な、叫びの演奏がされる…その幕開けとは思えない程、序奏のテーマ、バラードを吹く「コルトレーン」は、暖かで神々しい。
とても静かに、ベース「ギャリソン」、ピアノ「アリス」、そしてドラムス「ラシッド・アリ」のリズム・メンが、「コルトレーン」を保護する。
しかし、「ファラオ・サンダース」のテナー・サックスは、恐れを知らない若きライオンの様に、本物の牙をむき出して、この曲に挑みかかります。
しかし、「ファラオ」のガチンコ勝負を受けても、「アリス」は「ドビュッシー」の様に幻想的に受け流し、「ラシッド・アリ」も、(パーカッションの「ラヒム」も)、真っ向からは組み合わずに、リングをサイドステップで廻る様に、流した演奏をします。
しかし、それでも「ファラオ」は、口から血を吐きながらも、この曲を噛み切る様に戦いを挑んでいます。
やがて「ファラオ」は疲れて、リングの外で「コルトレーン」にタッチして休むと、「コルトレーン」が「ファラオ」同様に、テナー・サックスで、スーパー・カデンツァを吹き切るんです。
やはり、「ファラオ」より実力が数段上なので、「コルトレーン」は、絶叫しながらも余裕が有ります。
その分、フリーに吹いていても、アドリブに充分な歌心が宿っていて、この曲がバラード曲だと言う事を忘れさせないんです。
結局…最終的には、「コルトレーン」が、この演奏&曲を、素晴らしいバラード曲・スタンダードとして、纏めて〆てくれるんです。
流石、「ジョン・コルトレーン」です。

最後に…当たり前で、恐縮ですが、このアルバム…絶対にBGMでは聴かないで下さい。
まぁ、実際は、BGMで聴こうとするのは、やろうとしてもとても困難です。
私の様な下衆人は、こう言うアルバムを聴く時は…正座で聴かないとダメなぐらいです。

何も言葉は要らない超名盤…セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン

2008-01-21 22:06:50 | ジョン・コルトレーン
ここの所、渋い、もしくは裏名盤的な佳盤、好盤を多く紹介してきましたが、今日は王道の超名盤を紹介します。
「ジョン・コルトレーン」と「セロニアス・モンク」の唯一とも言うべき、スタジオ録音…リバーサイドの傑作です。
演奏は、主に二回の録音にてレコーディングされたのに加え、6曲目だけ、「モンク」のソロ演奏が収録されています。
若き日の「コルトレーン」の成長する演奏を耳に出来る事と、「モンク」の奇才ぶりを理解するのにも、とても貴重な演奏&音源になっています。

アルバムタイトル…セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン

パーソネル…リーダー;セロニアス・モンク(p)1~6曲目
      ジョン・コルトレーン(ts)1、2、3、4、5曲目
      シャドウ・ウィルソン(ds)1、2、4曲目
      コールマン・ホーキンス(ts)3、5曲目
      レイ・コープランド(tp)3、5曲目
      ジジ・グライス(as)3、5曲目
      ウィルバー・ウェア(b)1、2、3、4、5曲目
      アート・ブレイキー(ds)3、5曲目

曲目…1.ルビー・マイ・ディア、2.トリンクル・ティンクル、3.オフ・マイナー、4.ナッティ、5.エピストロフィー、6.ファンクショナル

録音…1958年春(1,2、4曲目)、1957年6月26日(3、5曲目)
   1957年4月12日(6曲目)

原盤…RIVERSIDE  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VDJ-1510

演奏について…まず、トラディショナルなA級のバラッド演奏…1曲目の「ルビー・マイ・ディア」ですが、「コルトレーン」が、動かざる事山の如し的な、雄大で腰の据わったアドリブを、ゆったりと吹き通します。
後の「シーツ・オブ・サウンド」の原型となった様な、パルスの様なブレスも垣間見れて…「モンク」の知的なピアノ・ソロも、「コルトレーン」を完璧にアシストしてくれます。
「ウェア」のベースと、「ウィルソン」のブラッシュ・ワークは、そっと…この巨人(ジャズ・ジャイアンツ)を、陰ながら支えてくれて…。
至福の演奏がなされています。

2曲目「トリンクル・ティンクル」…ノッケから「モンク」節全開!で、不協和音的な、ブロック・コードを時に訥々と、時に連弾で弾き込む「モンク」の演奏が、とにかくすごい。
そして、それ以上にすごいのは、この不可思議なバック&ソロ演奏を物ともせずに、一身腐乱に、速射砲の如くリードから唾を吐き捨てる様にテナーを吹き切る「コルトレーン」の超絶的な演奏技術と、ジャズ・スピリットに、尊敬や驚きと言うより、もはや畏怖を覚える。
中間でベースでのソロを弾く「ウェア」の渋く、重厚な演奏が、まるで鉈で切った様な、迫力ある切れ味の年輪みたいに…味わいを持たせる。

3曲目「オフ・マイナー」…テーマの4管でのユニゾン演奏から、「モンク・ワールド」へ一気に大気圏突破で突入し、最初のメイン・ソロイストは、大御所「コールマン・ホーキンス」。
「コルトレーン」とは、やはり全く異質の音色とフレーズで、「ホーキンス」節を決めてくれます。
豪快で、低音(低地)から「グワォーン」と吹き上がる様な演奏は、「ホーキンス」の真骨頂です。
「モンク」のソロは…やはり「モンク」です。
「モンク」以外の何者でも無く、彼の世界は前人未到の、異空間なんですね。
ここでは「コルトレーン」は、最初のユニゾン&伴奏以外は演奏から外れています。

4曲目「ナッティ」…とても簡素でシンプルなテーマ・メロディで始まり、そのリフレイン演奏が序奏(&ラスト)でなされるんですが、アドリブ・ソロのパートとなってから、「コルトレーン」が、超人的な解釈とテクニックで、この素材をS級の三ッ星グルメへと料理(変身)させます。
「モンク」も、「トレーン」に負けじと、音で描く「ダリ」か「ピカソ」か「シャガール」か?
とても幻想的な、そしてシュールな世界観を描写してくれて…うぅーん堪りませんねぇ。

5曲目「エピストロフィー」…とにかく出される盤によって、(テープを切られたり、繋がれたりで、演奏時間やソロ時間が変わっていて)物議を醸し出すトラックなんですが、まず「ブレイキー」のドラムから、よーいドンで始まり、これに参加のオールスターズが、丁々発止で演り合う、希少な演奏です。
ホーン群(陣)は、この曲の突飛なテーマで遊んで?いますが、一番楽しんで、いや真面目に演っているのは…最初から最後まで、ガンガン敲く「ブレイキー」でしょう。

6曲目「ファンクショナル」…「モンク」の前に「モンク」無し。
「モンク」の後に「モンク」無し。
正しくオンリー・ワンのミュージシャンの「モンク」だが、ソロ演奏は、誰に邪魔される?事も無く、本人も遠慮する事もなく、自由奔放に演奏が出来る唯一、絶対の手段として、最大に持ち味を発揮できる場です。
原曲は、一寸泥臭いブルースなんですが、本作では思索しながら…しかし、とてもイマジネイティヴに、高尚な音楽に「モンク」は仕上げています。

さすが「モンク」…文句「モンク」無しの出来栄え。
誰にも文句「モンク」を言わせません。
最後は親父ギャグで決めてみました。(大爆笑)

BN、ソウル、そしてジャズの答えとなるアルバム…アム・アイ・ブルー~グラント・グリーン

2008-01-20 22:02:39 | ジャズ・ギター
タイトルが仰々しいのですが、解説帯(中山康樹氏著)から、少しばかり拝借させて頂きましたが、正しくその通りの内容で、付け加えるなら、泥臭く無いブルースと「グラント・グリーン」の答えと言うのも入れたいですね。

清書してみますと…ブルーノートとは?グラント・グリーンとは?ソウルとは?ハイセンスなブルースとは?そしてジャズとは何?の答が、出されたアルバムなんです。

アルバムタイトル…アム・アイ・ブルー

パーソネル…リーダー;グラント・グリーン(g)
      ジョー・ヘンダーソン(ts)
      ジョニー・コールズ(tp)
      ジョン・パットン(org)
      ベン・ディクソン(ds)

曲目…1.アム・アイ・ブルー、2.テイク・ジーズ・チェインズ、3.アイ・ワナ・ビー・ラヴド、4.スイート・スランバー、5.フォー・オール・ウィ・ノウ

1963年5月16日録音

原盤…BLUE NOTE ST-84139  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-6568

演奏について…オープニングでは、表題曲でも有る「アム・アイ・ブルー」から始まる。
「グラント・グリーン」のブルージーでソウルフルな、感情表現豊かなギター・プレイがノッケから最後まで全力投球される。
伴奏陣の中で、特に色を副えるのは、オルガンの「ジョン・パットン」…彼の素晴らしいプレイとアドリブが、このアルバムのソウル色、ブルース魂のステージを何段階も上げる原動力となっている。
中間での「ヘンダーソン」のテナーも魅惑的だし、「ベン・ディクソン」のドラミングもgood jobです。

2曲目「テイク・ジーズ~」…寛ぎ系の4ビートに寄せて、「グリーン」が寛容なソロを取る。
バックでは、「パットン」のオルガンと「ディクソン」のドラムは淡々とリズムを刻むのだが、単純でありながらもブルース・フィーリングに満ち溢れていて、「グリーン」のインスパイアに貢献している。
「コールズ」「ヘンダーソン」のソロも、ほのぼのとしたトーンとメロディで、とてもフレンドリーな曲に仕上がった。
こう言う、ミディアムで楽しい曲も良いもんだ。

3曲目「アイ・ワナ・ビー・ラヴド」…スローなテンポで、「グリーン」が、感情移入たっぷりにアドリブを弾く、アルバム一押しのバラード(ブルーズ)・チューン。
ホーン2人は、ユニゾン伴奏で、千両役者、いや(立場上、横綱の)「グリーン」の、露払と太刀持ちとして、バッチリ、サイドプレイを演ってくれます。
勿論、「パットン」の優雅なオルガンと「ディクソン」の赤銅色のブラッシュ・ワークのアシストも良いですよ。
終盤ソロを取る「コールズ」の叙情性たっぷりのトランペットが…胸にグッと来ます。
「コールマン」ってこんなに良いトランペッターだったのかと改めて惚れ直す事間違い無しです。

4曲目「スイート・スランバー」…序奏は「コールズ」がメインとなって、テーマを吹き、3曲目と同様、ここでもとても素晴らしいバラッド演奏が幕を開ける。
「グリーン」の演奏はメロディ・ラインをあまり崩さず、原曲の美しさを充分に活かしたアドリブ・プレイを演ってくれるんです。
また、「パットン」のオルガン演奏が、音の使用を極力抑えて、少な目のフレーズで、お上品に曲を修飾してくれて…より一層、曲のセンスが上がってますね。
しかし、ソロに入ると、流石「パットン」と言える…青白いオルガン・サウンドで、夜月の様な存在を誇ります。
曲の大半を支配する「グリーン」「パットン」「ディクソン」のトリオ?演奏に、音楽のミューズを見る(かも知れません。)(笑・中笑・大笑)

ラストの「フォー・オール~」も、力の抜けたライトな感覚で曲が始まります。
しかし、「グリーン」の次にソロを演る「コールズ」のミュート・プレイの美しさが、最高に行けていて、ライト感覚からバージョン・アップさせて行きます。
このアルバム全体のコンセプトに合致した、とても魅惑的なプレイ…まじに良いんですよ。
その後の「ヘンダーソン」も、バリバリと言う感じでは無く、幾分抑え目の、内なる感情表現寄りのアドリブを吹いて、「コールズ」同様に曲を知的に仕上げます。
ソロイストはもう一度、「グリーン」に戻り、好フレーズを続けて、それを受けた「パットン」も、最後の見せ場とばかり、ちょいとハード目のアドリブを演って、フィナーレまで盛り上げてくれます。

このメンバー…各人がブルーノートの秘蔵っ子なので、徹頭徹尾ブルー・ノート・レーベルの良い部分が凝縮されて、濃いエッセンスが集約されたアルバムに仕上がっています。

このアルバムの収録曲は佳曲ぞろいです…ドナルド・バード~バード・イン・フライト

2008-01-20 14:14:53 | ジャズ・トランペット
CD解説(高井信成氏 著)から引用させて頂くと、このアルバムは、「ドナルド・バード」の有名作、ファンキーの王道「フュエゴ」と、ライブの傑作「ハーフノートのドナルド・バードvol.2」の間に挟まれて、一寸地味な評価に留まっているのだが、佳曲揃いの好アルバムだと書かれていました。

正しく高井氏のおっしゃる通りで、「バード」の作曲と、ピアニストとして参加の「デューク・ピアソン」の作品、そして、スタンダードと、メロディアスな佳曲で構成されている…昔的に言うなら、ジャズ喫茶(店主)好みの1枚なんですね。

そして、演奏するコンボも、「ハンク・モブレー」との2管(1、3、4曲目)と、「ジャッキー・マクリーン」との2管(2,5,6曲目)で、半々ずつに構成されています。
この辺の対比、聴き比べが出来るのもお楽しみの一つになるかもって感じでしょうか?

アルバムタイトル…バード・イン・フライト

パーソネル…リーダー;ドナルド・バード(tp)
      ハンク・モブレー(ts) ☆2、5、6曲目抜け
      ジャッキー・マクリーン(as)★★2、5、6曲目参加
      デューク・ピアソン(p)
      ダグ・ワトキンス(b) ☆2、5、6曲目抜け
      レジー・ワークマン(b)★★2、5、6曲目参加
      レックス・ハンフリーズ(ds)

曲目…1.ガーナ、2.リトル・ボーイ・ブルー ★★、3.ゲイト・シティ、4.レックス、5.BO ★★、6.マイ・ガール・シャール★★

録音…1960年1月17日、25日  7月10日★★

原盤…BLUE NOTE STー84048  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-6531

演奏について…巷で評価されているのは、1曲目と6曲目、そして2曲目なんですが、私的にもその3曲が聴き物なのは言うまでも有りません。(かなり俗的だけど、良い物は良いんですよ!)
さて、その1曲目「ガーナ」…「ドナルド・バード」自らが書いたラテン・リズムのナンバーなのですが、「ダグ・ワトキンス」の的確なベースと、「ハンフリーズ」のシンバル・メインのドラムスがしっかりと曲の礎を作って、そのリズムの上を「バード」が哀愁を含んだトランペットで走ります。
その後に「ピアソン」がそれ以上に哀愁あるピアノ・アドリブをバッチリ決めてくれて、心わくわくの更に良い感じになります。
終盤に出てくる「モブレー」は、いつもより太目の音色(サウンド)で、かなり男っぽい(渋い脇役では無く、準主役級の俳優だな)のイメージ演奏が新鮮です。
それ以上に「モブレー」の後の「ハンフリーズ」のドラム・ソロが聴き物で、アフロでリズミックなバスドラ効果も良いので、「ハンフリーズ」の音楽人生の中でもベストに近い演奏では無いかと思います。

2曲目「リトル・ボーイ・ブルー」…「マクリーン」抜きのワン・ホーン演奏なんですが、「バード」の演奏だけをメインに選ぶなら、このアルバムのベスト・チューンなのは間違いないでしょう。
やや抑制した音量で、非常にリリカルにバラッド・メロディを吹き切ります。
フル・トーンでのバラッド演奏で言ったら、「リー・モーガン」の「アイ・リマンバー・クリフォード」に匹敵するぐらいの演奏かな?(一寸持ち上げすぎか?)
「ピアソン」のシングル・トーンで高音域を多用した、ロマンティックなアドリブも感涙物で…とにかくきれいで、二人の織り成す「美演」は、最高です。

3曲目「ゲイト・シティ」…これは、「ピアソン」作のファンキーなノリの良さを含んだブルーズ曲で、1曲目のラテンと2曲目のバラッドから、がらりと変わった曲調で、面白いアクセントになっています。

4曲目「レックス」…全編を通じて、ブリリアントな音色で、「バード」が気持ち良いアドリブを演ってくれます。
相変わらずバックの3人「ピアソン」、「ワトキンス」、「ハンフリーズ」の的確なアシスト演奏が、「バード」の強力な援軍となってくれます。
「モブレー」も、元気なトーンで、ぶいぶい言わせるんですが、1曲目と同様に、この日「モブレー」に何が有ったんだろう?って思うぐらい、奏でるサウンドが元気(良すぎ)なんですよ。
「モブレー」の音って、テナー奏者の中で、最も地味で、渋いのが特徴で、また魅力でも有るんですが、(この日の音・演奏は)いつもと違うんだよね。
でも、一寸パワフルでマッシブな「モブレー」も良いよね?

5曲目「BO」…「ピアソン」作のマイナー・チューンで、序奏のテーマをユニゾン演奏する所のフレーズ&編曲は、完全にブルー・ノートの世界に真っ只中って感じだよね。
その後の「マクリーン」の塩辛い尖ったトーンのアルト・サックスと、「バード」の抑え気味のアドリブが、ディープな雰囲気を作っています。
また、「レジー・ワークマン」の野太いベース・サウンドと、ブルース調のフレーズを多様する「ピアソン」の演奏が、更にディープさに拍車をかけてますねぇ。
うぅーん、真に渋い一曲です!!

さて、このアルバムの代表作品が6曲目の「マイ・ガール・シャール」なんですけど、とにかく「ジャッキー・マクリーン」のソロの出来が秀逸で、無理に音を出すフリーキーな感じではないけど、天に突き抜けた様なトーンがgoodだねぇ。
「バード」も、アルバム収録曲中、一番とも言えるブリリアントな音色で、アドリブを展開してくれて…2管の魅了を余す事無く堪能させてくれます。
それから「ピアソン」の「ソニー・クラーク」ばりのシングル・トーンでのセンチメンタルなアドリブ演奏が…更に(貴方の)琴線を刺激し捲りますよ。

いつまでも手許に置いておきたい、魅惑的なアルバムです!!!
 

アルバム作品中、最もジャジーなコンセプトの傑作盤…サンタナ~キャラバンサライ

2008-01-19 15:12:04 | フュージョン
まず、最初に…今日は、「サンタナ」のアルバムで行くんですが、このアルバムのカテゴリーを、ラテン・インストゥルメンタルに入れるのを止めました。
最も「サンタナ」のサウンド自体が、ロック、ラテン、ワールド・ミュージック、フュージョン(ジャズ)の多岐に跨っているので、偏に一つのカテゴリーに入れるのが、最初から難しいグループなのは分り切った事ですが、特にこのアルバムは、ジャズ色が濃く、もしもカテゴリーを一つに決めなければならないのならば、私は「フュージョン」にしたいと思い、決めました。
※異論の有る方、ごめんなさい。

それから、このアルバムは、「サンタナ」の傑作であり、且つ問題作でもあります。
何故なら、ラテン・ポップの最高峰だったこのバンドの方向性を変える、言うなれば、過渡期に制作された事もあって、メンバーがアルバム制作途中で変わっているんです。
ですから、今日はパーソネル表記もいつもと変えておきます。(各曲について記入しておきます。)

それでは詳細に行きましょう。

アルバムタイトル…キャラバンサライ

曲目…1.復活した永遠のキャラバン
   Authors:Mike Shrieve;Neal Schon;Tom Rutley 
   Sax:Hadley Caliman
   Guitar:Neal Schon
   AcoーBass:Tom Rutley 
   Piano:Wendy Haas
   Perc:James Mingo Lewis;Calros Santana
   Drums:Mike Shrieve
   録音…1972年4月20日

2.躍動
  Authors:Douglas Rauch;Gregg Rolie
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Douglas Rauch;Douglas Rodrigues
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Timbales:Chepito Areas
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年4月10日
    
3.宇宙への仰視
  Authors:Calros Santana;Douglas Rauch;Gregg Rolie
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Douglas Rauch;Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年2月22日

4.栄光への夜明け
  Authors:Mike Shrieve;Calros Santana;Gregg Rolie
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年2月21日

5.風は歌う
  Authors:Gregg Rolie;Calros Santana;Neal Schon
  Guitar:Carlos Santana;Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年5月5日

6.宇宙への歓喜
  Authors:Calros Santana;Neal Schon
  Vocal:Calros Santana;James Mingo Lewis;Rico Reyes
  Guitar:Carlos Santana;Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ&Piano:Gregg Rolie
  AcoーBass:Tom Rutley 
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Castanets:Lenny White
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年4月6日

7.フューチュア・プリミティヴ(融合)
  Authors:Jose Chepito Areas;James Mingo Lewis
  Congas:Jose Chepito Areas;James Mingo Lewis
  Bongos:James Mingo Lewis
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Additional music by Mike Shrieve
  録音…1972年2月23日

8.ストーン・フラワー
  Authors:Antonio Carlos Jobim
  Words by:Mike Shrieve;Calros Santana
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Neal Schon
  AcoーBass:Tom Rutley 
  Piano:Wendy Haas
  Congas:James Mingo Lewis
  Bongos:Jose Chepito AreasJames 
  Drums:Mike Shrieve
  Perc:Carlos Santana;Armando Peraza;James Mingo Lewis
  録音…1972年4月4日

9.リズムの架け橋
  Authors:James Mingo Lewis
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Neal Schon
  AcoーBass:Tom Rutley
  Organ:Gregg Rolie
  AcoーPiano:James Mingo Lewis
  Elec-Piano:Tom Coster
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Bongos:Amando Peraza
  Congas&Perc:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年3月1日

10.果てしなき道
  Authors:Mike Shrieve
  Guitar:Carlos Santana;Neal Schon
  AcoーBass:Tom Rutley 
  Organ:Gregg Rolie
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  Orchestra arranged by Tom Harrel
  録音…1972年3月1日

原盤…米コロムビア  発売…ソニー・ミュージック
CD番号…MHCP-2028

演奏について…1曲目「復活した永遠なるキャラバン」…鳥の鳴き声から序奏が始まり、「キャリマン」の透明的な質感のサックス音が、まるで、早朝(朝日)の到来を告げているかの様。
「トム・ルーリー」のアコースティック・ベースは、察するに、キャラバン隊のラクダの足音か…。
重低音が、一歩一歩、大地を踏みしめて歩いて行く様に感じる。
そして、最高の聴き所は「ニール・ショーン」のカッティング・ギターが幻想的な風景を美しく表現している。

2曲目「躍動」…早速「サンタナ」のリード・ギターが炸裂し、中間部では伸びやかな高音を軸に、激しい気流の様な演奏をしてくれます。
又、パーカッション群(特筆物は「ミンゴ・ルイス」のコンガ演奏が最高!)と、「グレッグ・ローリー」のオルガンが、混然一体の音となって、マッシブな重厚感と躍動感を表現する。

3曲目「宇宙への仰視」…「ロウチ」と「ショーン」のツイン・サイド・ギターが「サンタナ」のリード・ギターとも融合されて、迫力のトリプル・ギターとなって、血の滾るパーカッションの嵐と共に宇宙空間へとトリップさせられる。
他では、ここでもオルガン「ローリー」のハードなプレイも聴き所です。

4曲目「栄光への夜明け」…コンガの「ミンゴ・ルイス」が皆をファイトさせるが如く、ビート・パワー全開で煽り捲ります。
曲は、「サンタナ」のヴォーカルもフューチャーされて、超絶技巧のギターと共に夜明けを告げる。

5曲目「風は歌う」…ここでの風は「グレッグ・ローリー」のオルガンと「サンタナ」のギターが、吹き付ける様子を表現していて、まじに良く歌うギター(風)です。
「ロウチ」のドライブ感覚溢れる、エレクトリック・ベースと、「マイケル・シュリーヴ」のドラムス、そしてまたまた「ミンゴ・ルイス」の燃えるコンガが、「サンタナ」の歌(演奏)を強固にアシストします。

6曲目「宇宙への歓喜」…ズバリ、このアルバムでのベスト演奏でしょう。
序奏は全員で、ユニゾン風に始めて、まるで音の洪水の様に圧倒的な迫力で聴衆を引きこむ。
その後、フラメンコ風なテーマに変わったかと思うと、軽快な「サンタナ」のヴォーカルが融合されて、非常に変化に富んだ曲である。
この辺のアプローチと編曲は、当時一番旬な音楽であったプログレに影響を受けているのかなぁ?
終盤は「サンタナ」のリード・ギターの独壇場かと思いきや、「ロウチ」のパワフル・ベース、ぶっ飛んでる「ローリー」のオルガン、そして千手観音の様に、ドラムを敲き捲る「シュリーヴ」と役者が勢ぞろいして、演奏はクライマックスとなる。

7曲目「フューチュア・プリミティヴ」…非常に静かで、天の声の様な序奏から、アフロ・リズムが出捲りの「アレス」のコンガと「ミンゴ・ルイス」のボンゴが不可思議な空間を想像する。

8曲目「ストーン・フラワー」…序盤は「ルーリー」のアコースティック・ベースによって、とてもジャジーな曲調で始まる。
その後、「ローリー」のオルガン伴奏?で、「シュリーヴ」と「サンタナ」がヴォーカルで飾り付ける。
この辺の優雅なラテン・ロック演奏は、正しく「サンタナ」と言うグループの十八番で、「サンタナ」本人のグルーヴィなギターと「ハース」のエレクトリック・ピアノのデュオ調の絡み合いが、とてもお洒落な感じです。

9曲目「リズムの架け橋」は、個人的に大好きなナンバーです。
ここでは、単調な演奏なんだけど「ミンゴ・ルイス」のアコースティック・ピアノが、ラテン曲臭さをぷんぷんに放って、「ペラザ」のボンゴのノリも最高潮で、皆のラテンの血が燃え滾るんです。
終盤のエレピ「トム・コスター」の名演も、曲に彩をそえてくれて、聴き所の一つです。

ラストの「果てしなき道」…まず、「サンタナ」と「ショーン」のギター・バトルが気持ち良い~!!
パーカション系では、ティンバレスを奏でる「ホセ・チェピート・アレアス」もgoodな演奏ですし、それ以上に特筆演奏は、ラスト曲で燃えに燃える、「ミンゴ・ルイス」のファイアー・コンガで、まるで敲いている掌から、煙が出ているようです。(笑)
燃えてます。爆走しています。速いです。乗ってます。まるで機関車です。
勿論、リーダーの「サンタナ」は、最後の力を振り絞って?ギターで叫びます。
素晴らしいアルバムの完成です。

ドーハム、アンドリュー・ヒルも参加…ジョー・ヘンダーソン~アワ・シング

2008-01-18 23:14:19 | ジャズ・テナー・サックス
こんばんわ。
つい最近ですが、近所の大型レコード店が、突然閉店になるとの事で、今月末までに、店頭にある在庫品の殆どを20%引きして販売する事になって、射幸心を煽り捲られて、ブルー・ノートの諸作品をまとめ買い(大人買い)してしまいました。
その中の一枚が、今日紹介するアルバムです。

アルバムタイトル…アワ・シング

パーソネル…リーダー;ジョン・ヘンダーソン(ts)
      ケニー・ドーハム(tp)
      アンドリュー・ヒル(p)
      エディ・カーン(b)
      ピート・ラロカ(ds)

曲目…1.ティーター・トッター、2.ペドロズ・タイム、3.アワ・シング、4.バック・ロード、5.エスカペード

1963年9月9日録音

原盤…BLUE NOTE 84152  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-6646

演奏について…とてもお気に入りの一曲は…2曲目の「ケニー・ドーハム」作曲の「ペドロズ・タイム」
いかにも「ドーハム」作品らしく、哀愁タップリのハード・バップ佳曲で、聴いていると、心にじんわりと染み入ってくる。
序奏の「ドーハム」のトランペット…朴訥で有りながらも、好フレーズを入れてくれるので、曲の良さにとても合っています。
「ヘンダーソン」のソロは、もう「ヘンダーソン」節が全面に出されていて、まだデビュー初期の頃とは思わせない程、貫禄充分です。
それから、ピアニスト「アンドリュー・ヒル」の参加と好演が大役を担っていて、哀愁と危ういさと、新主流派としての新しい感性が、煌くアドリブ・サウンドを演奏してくれて、素晴らしい効果を上げています。
ベースの「カーン」も、ほんのお披露目のソロを見せてくれて…最後はデヴュー作品、「ページ・ワン」の「ブルー・ボッサ」を彷彿させる、メロディで〆て、聴いている私たちの気分は上々です。

3曲目のタイトル曲「アワ・シング」…序奏から「ヘンダーソン」が、彼にしてはかなり過激なトーン&フレーズでブロウします。
変則的で、小洒落たコードで伴奏する「ヒル」と、変幻自在に曲を動かし、リズムにアクセントを付ける「ラロッカ」が、カッコイイサポート演奏をしてくれます。
その後の「ヒル」のアドリブが、また良いんですぅ。
「ラロッカ」のリズムと、あえてずらして、少しタイムラグをさせた弾き方をしたりして、曲にハイセンスの息を吹き込んでくれます。
「ドーハム」のアシストに徹した演奏も○ですね。

5曲目「エスカペード」…この時代特有の、2管ユニゾン演奏から曲が始まる。
ファンキーで、モードで、少しセンチメンタルで…このメロディを聴くだけで、もうぞくぞくきちゃうもんね。
「ヘンダーソン」のアドリブ・ソロ…ラスト・ナンバーらしく、クールでニヒルな彼の個性を活かしつつも、一寸だけ情感が見える所が粋だね。
「ドーハム」は、やっぱり「ドーハム」の世界観が確立されているねぇ。
決して吼えたり、叫んだりはしないけれども、伝えたい情熱はハッキリと伝わる。
野球の例えで悪いが、球速は145kmだが、体感速度が速く、打者を詰らせたり、空振りを奪う、読売ジャイアンツの「上原投手」のピッチングみたいですね。
つまり、見た目は派手じゃないけど、結果はすごい!完璧な仕事を成し遂げるているんですよ。
チームにとっては最も頼りになる男なのです。

オープニング曲「ティーター・トッター」…モード時代らしい、(当時の)時代の先端を行く雰囲気の曲調で、「ヘンダーソン」のセンス抜群のアドリブ・プレイは魅力たっぷり。
それに付随して、「ヒル」、「カーン」、「ラロッカ」のリズム・セクション3人のプレイも相当良いですねぇ。
完璧に乾いていて、そしてクールなリリシズムのオーラを放って、決してセンチメンタリズムには陥らない演奏です。
3人の中でも、その代表格は、やはり「アンドリュー・ヒル」でしょう。
音数は少なめなんですが、鋭い感性のフレーズとブロック・コードを的確に叩き込むんです。
テーマの途中、突然に終わるエンディングも…新主流派らしいです。(大笑)

4曲目「バック・ロード」は、少し古典的なファンキー・バップ・チューンです。
「ヘンダーソン」は、ここでもソー・スマートなブローイングで、カッコをつけます。
「ドーハム」は、ファンキーなんだけど、渋くて渋くて、名脇役、助演男優賞の演奏を見せます。

熱気はむんむんだが、演奏はスマートでも有る…レイ・ブラウン~レッド・ホット

2008-01-16 22:17:50 | ジャズ・ベース
今日はピアノ・トリオのライブ・アルバムで行きましょう。
リーダーは伝説的なベーシスト、「レイ・ブラウン」で、トリオを構成するメンバーは、ピアニストに「ジーン・ハリス」、ドラムスに「ミッキー・ローカー」を配して、ニュー・ヨークのブルーノートでライブ録音された演奏です。

曲も良く知られたスタンダードやポピュラーが多く、真面目に聴くのも良し、BGM風に聴き流すのも良しで、ライトさと、ライブならではのコンセントレーション&緊張感が両方味わえる佳盤です。

アルバムタイトル…レッド・ホット

パーソネル…リーダー;レイ・ブラウン(b)
      ジーン・ハリス(p)
      ミッキー・ローカー(ds)

曲目…1.ジョーンズ嬢に会ったかい?、2.メディテーション、3.ストリート・オブ・ドリームス、4.レディ・ビー・グッド、5.ザッツ・オール、6.ラヴ・ミー・テンダー、7.ハウ・クッド・ユー・ドゥ、8.キャプテン・ビル

1985年11月、12月 NYC、ブルー・ノートにてライブ録音

原盤…concord jazz CCD-4315  発売…キングレコード
CD番号…240E-6816

演奏について…非常に良いと思うのは、3曲目「ストリート・オブ・ドリームス」の超スローでのバラード演奏。
「ハリス」は高音域をメインに用いて、粒立ちのハッキリしたタッチでスタンダードを歌い上げます。
アドリブは、シンプルですが…シンプル・イズ・ベストでしょう。
「ローカー」は、上品に物静かにブラシを刻み、「ブラウン」は影の?リーダーらしく、タイトで硬質の音で、ゆったりと(トリオを)ドライビングして行きます。
本当に美しいピアノ・トリオ演奏の代表的な演奏でしょう。

趣深い、面白い演奏のトップは、「エルヴィス・プレスリー」の代表作である、6曲目の「ラヴ・ミー・テンダー」でしょう。
非常にゆったりとした、序奏アプローチで曲が始まり、「ハリス」はサロン風に、テーマに即しながら、ピアノ・カデンツァの調べを奏でる。
受ける「レイ・ブラウン」は、ボウイングで、ラヴ・ミー~のメロディを弾き、とても静かだが、雄大なピアノとベースのデュオが続く。
その後、ブルースに転調し、「ハリス」は黒々しさバッチリの雰囲気で、ブルーズを決めてくれるし、「ブラウン」と「ローカー」はガッツリと「ハリス」をアシストするサイドメン演奏をこなす。
前半と後半の劇的な変化は…取って付けたと言う輩もいるかも知れないが、単純馬鹿の私には、お気に入りに追加トラックです。

しかし、5曲目「ザッツ・オール」が…このアルバムでベスト1の名演です。
この演奏では、序盤は静かなピアノ・アドリブを「ハリス」が弾くのですが、中盤から、おかず満載のソロを矢継ぎ早に演ってくれて、(先日亡くなられた「オスカー・ピーターソン」も真っ青のテクニックを駆使してくれて…)ここがこのアルバムでも最高の聴き所でしょう。
後半に入ると、「ブラウン」もカデンツァとも言える、すごテク、ソロを随所に見せて、寛ぎ度と遊び心もバッチリで、ライブの聴衆も皆大満足です。
ブラボー拍手喝采です。

個人的に大好きなのは、「アントニオ・カルロス・ジョビン」の作品らしく、ラテン・リズムで仕上げられた2曲目「メディテーション」
リズムがラテン(ボサ・ノヴァ)だからと言って、ライトだが決して軟派じゃない。
「ハリス」のピアノは、かなりアグレッシブに突っ込んで来るし、「ブラウン」のベース演奏はとても硬派で、マッシブで男性的なんです。
「ローカー」は、かなり高速でブラシを刻みファイトしていて、彼も軟派にはなっていません。
リズムは軽快…でもトリオ演奏自体は、バトル・ロワイヤル???…このギャップが堪りません。

4曲目「レディ・ビー・グッド」…ブルース演奏だけれども、全然南部臭くは無い感じで、かなりソフィストケイトされた演奏です。
「ハリス」は、すごテクのブロック・コードを頻繁に駆使して、演奏を引っ張り、そして飾る付けて行く。
「ブラウン」は知的で、かなり客観的なベース・ライン&演奏をしていて、この辺りも、都会的なブルーズと思う、一因だと思います。
終盤で、「ハリス」と「ブラウン」の一音一音での決闘?がワンポイントになってます。

オープニング曲「ジョーンズ嬢に会ったかい?」…ノッケから「ジーン・ハリス」がノリノリで絶好調!
煌びやかなシングル・トーンを用いて、跳ねる様にピアノの鍵盤を転がす&駆け廻る。
重厚さと歌謡的な両面を併せ持つ「ブラウン」のガッツリベースが、見事に花を副えます。

それから7曲目「ハウ・クッド~」…まず、粒立ちハッキリの「ハリス」の冴えたピアノ音が、きれいに録られたこのライヴ録音に感謝!
「ブラウン」のとても良く歌うベースと「ローカー」のシンバル・ワークも音が鮮明に立っていて、オーディオ的に見ても、ピアノ・トリオの規範的な演奏&録音がなされています。