紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

見よ!このチョイ悪のアルバムジャケットを。マーク・マーフィー~ラー

2007-05-31 23:52:05 | ジャズ・ヴォーカル
一言で言うなら、今流行の「チョイ悪」に最もマッチする、アルバム・ジャケットとシンガーがこの盤だと思う。

アルバムタイトル…「ラー」

パーソネル…マーク・マーフィー(vo)
      アーニー・ウィリアムス(arr、cond)
      クラーク・テリー(tp)
      ブルー・ミッチェル(tp)
      ウィントン・ケリー(p)
      ビル・エヴァンス(p)
      ジョージ・デュヴィヴィエ(b)
      ジミー・コブ(ds) 他

曲目…1.エンジェル・アイズ、2.グリーン・ドルフィン・ストリート、3.ストッピン・ザ・クロック、4.スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト、5.ノー・ティアーズ・フォー・ミー、6.アウト・オブ・ジス・ワールド、7.マイルストーンズ、8.マイ・フェイヴァリット・シングス、9.ドゥードゥーリン、10.リル・ダーリン、11.トゥイステッド、12.アイル・ビー・シーイング・ユー、13.マイ・フェイヴァリット・シングス(ロング・ヴァージョン)

演奏(歌唱)について…まず、オープニングの「エンジェル~」から、悪カッコイイ「マーク・マーフィー」の世界に引き込まれる。
正直、「マーフィー」は、シナトラやメル・トーメなどの名人シンガーと比べると、歌の上手さが、2枚も3枚も落ちると思うが、このジャケット通りの不良っぽさが、普通のジャズ・ヴォーカルとの個性的な違いを生んでそこが最大の聴き所だ。

7曲目以降の、器楽曲で有名なスタンダード曲を、歌唱を器楽として用いる、ヴォーカルで表現&アレンジする解釈と術は、誠に見事と言うより他に無い。
特に、7曲目の「マイルストーンズ」はマーフィーのハードボイルドなヴォーカルの良さを立たせた名唱だと思う。

他では、12曲目「アイル~」のラテン曲などは、彼の遊び心を垣間見る事ができて、楽しい1曲である。

8曲目&13曲目の「マイ・フェイヴァリット~」は、先日紹介したコルトレーンの究極の演奏からすると、正反対の内容だ。
例えば、歌詞の中に、「レイ・チャールズ」や「ペギー・リー」、「キャノンボール」など、彼自身の正に「お気に入り」のアイドルを歌っている部分等もあって、非常に遊び心溢れた歌唱である。

しかし、このアルバムナンバー1のお薦め曲は、2曲目「グリーン~」で決まりである。
マーフィーの伸びやかな歌唱も素晴らしいが、バック・バンドのメンバーも好演している。
ピアノは何と「ビル・エヴァンス」、トランペットは「ブルー・ミッチェル」と言う超豪華版で、ハード・ボイルドの極地的な、ヴォーカル・ナンバーである。

ぜひ「悪カッコイイ」アルバムを聴く事をお薦めします。

パリで実現した夢のジャム・セッション~アート・ブレイキー

2007-05-30 22:30:41 | ジャズ・コンボ
今日は、アート・ブレイキーが新生ジャズ・メッセンジャーズと供に欧州ツァーに行った時に録音された、ジャム・セッション、ライブの模様を収めた名盤、「ジャム・セッション・イン・パリ」を紹介しましょう。

このアルバム、1&2曲目にジャズ・メッセンジャーズ(クインテット)にプラスして、サプライズなスペシャルゲストが2名、参加している事が、まず驚きの事実として挙げられる。
その2人の人物とは、「バド・パウエル」と「バルネ・ウィラン」である。
バドについては、往年の天才的煌めきは薄くなったが、このジャムでは中々好演しているし、若かりし頃のバルネの瑞々しいサックスの響きも、メッセンジャーズと見事に同化していて聴き応えがある。

では解説して行きましょう。

アルバムタイトル…「ジャム・セッション・イン・パリ」

パーソネル…リーダー;アート・ブレイキー(ds)
      ウェイン・ショーター(ts)
      リー・モーガン(tp)
      ウォルター・デイヴィスJr.(p)
      ジミー・メリット(b)
      バルネ・ウィラン(as)※1&2曲目に参加
      バド・パウエル(p)※1&2曲目に参加

1959年12月18日パリ

曲目…1.ダンス・オブ・ジ・インフィデルス、2.バウンシング・バド、3.ミジェット、4.チュニジアの夜

演奏について…まず、サプライズゲスト参加の最大の聴き物は、誰が何と言っても、パウエルの名前を冠した曲、2曲目の「バウンシング・バド」である。
ここでのバドのカデンツァ、アドリブは、まじにすごいです。
観客は勿論の事、演奏に参加しているミュージシャンもバドのピアノに聞き惚れているかのように感じる。

それから、3曲目「ミジェット」では、これも作曲者の「モーガン」のソロ演奏が、彼の天才ぶりを如何なく発揮し、ブリリアントな音色と、流麗なアドリブ・メロディーと演奏テクニックが聴く者を酔わせる。
モーガンを追う、「ショーター」のテナーも、かなりいかしていて、男のダンディズムを見せつける。
デイヴィスのピアノのシングルトーンは、マイナーなバップ調で、我々の琴線をくすぐり、メリットのベースソロは、有無を言わせない納得の演奏で、モダンジャズ最盛期の最高に良い場面を改めて感じさせる。

そして、フィナーレは御大「ブレイキー」の十八番「チュニジアの夜」で〆る。
前3曲で、終始リズム役に徹していた御大は、序章からタイコ敲きまくりで、メンバーを鼓舞し、「モーガン」&「ショーター」も御大に応えるべく、ハイトーンで吹き捲る。
そして、「メリット」もビンビンのハードなベースを奏でると、御大のエネルギーもいよいよもって最高潮に達し、ナイヤガラ瀑布ロールの洪水の中で、熱い夜が燃えるんです。

さすが、御大!!




白人女性ヴォーカルとマンボの王様の夢の共演…タバスコの香り

2007-05-29 22:56:32 | ジャズ・ヴォーカル
今日も昨日に引き続き、女性ヴォーカルアルバムを紹介します。

しかも、ヴォーカリストはジャズ&ポップス等を歌う白人美人歌手で有名な「ローズマリー・クルーニー」で、バックを務めるのは、マンボの王様「ペレス・プラード楽団」と言う豪華版です。
タイトル通り、このアルバムはラテン大好きな私にとっては非常にベタな盤です。

アルバムタイトル…「タバスコの香り」

パーソネル…ローズマリー・クルーニー(vo)
      ペレス・プラード楽団

1959年7月30日、31日、8月15日 LA録音

曲目…1.メロンの心、2.ライク・ア・ウーマン、3.瞳は君ゆえに、4.マジック・イズ・ザ・ムーンライト、5.小さなスペインの町で、6.キエン・セラ、7.マック・ザ・ナイフ、8.バリ・ハイ、9.ユー・ドゥ・サムシング・トゥ・ミー、10.ク・ク・ル・ク・ク・パロマ、11.くたびれもうけ、12.アディオス、13.小さなスペインの町で(インストver)

演奏(曲)について…まず第1のお薦めは、6曲目の名曲「キエン・セラ」がヴォーカル、演奏とも秀逸で良い。
ローズマリーの色香のあるヴォイスに対して、プラードバンドのホーンセクションも「男の色香」を漂わせて、ローズマリーに上手絡む。
リズムセクションもこの二人?の対決を後押ししていて、本当に素晴らしい。

次いで8曲目「バリ・ハイ」が、個人的には非常にお気に入り。
何故なら私のIDに使うほど、私はバリ島が大好きなので、この曲・演奏を聴くと、本当にバリに行ったような、南太平洋の真っ青な空と海をイメージさせる、名曲・名唱です。

10曲目「ク・ク~」はこのアルバム一番のローズマリーの名唱が聴けます。
この歌では、彼女がただの美人歌手ではない、確かな歌唱力を保持した、ジャズ歌手と言うことを改めて認識させてくれます。

オープニングの「メロンの心」は、これ1曲で、正に「タバスコの香り」へとトリップさせる、異国情緒プンプンの良演。

4曲目「マジック~」はペレスプラード楽団の明るく楽しい名演奏に、耳を奪われ、ローズマリーの歌も同調していて、曲の楽しさを倍化させている。

引き続き、2曲目「ライク~」と7曲目「マック~」は、スピーディなテンポでグイグイ推し進めるラテンエンジン全開の佳演。
聴いている自分が、思わず体がリズムを刻み出すほど。

13曲目の「小さな~」のインストヴァージョンは、ペレス・プラード楽団の純粋な実力が分かる演奏で、ウッと言う楽しい掛け声の中演奏は終了する。

心を乱すモノクローム・ヴォイス…ホリー・コール・トリオ~コーリング・ユー

2007-05-28 23:03:47 | ジャズ・ヴォーカル
その生い立ちから、奇跡のジャズ・シンガーとも言える、「ホリー・コール」のデビュー作であり、彼女の名声を決定付けた、大ヒットアルバムが本作である。

まず、このアルバムはかなり有名なのだが、このアルバム自体を、もしくはタイトル曲「コーリング・ユー」を聴いたことが無い諸氏へは、このジャケット写真を見て歌われている曲や声を是非とも想像して欲しい。
一言で言うと、私の今日のブログタイトルにも使わせて頂いているが、アルバム解説に載っていた、正しくアンニュイな女性が歌う「モノクローム・ヴォイス」そのものなのである。

イメージ的には、このアルバムは、美味しいブランデーかバーボンでも片手に、夜聴いて頂くと良いのでは?と思う。
(実は私は下戸なので、バーボンなんて代物は全く飲めないのですが…(恥))

さて詳細を説明して行こう。

アルバムタイトル…「コーリング・ユー」

パーソネル…ホリー・コール(ヴォイス)
      アーロン・デイヴィス(p)
      デイヴィッド・ピルチ(b)

  ゲスト ジョニー・フリゴ(vl)
      ロバート・W・スティーヴンソン(b-cl)

曲目…1.トラスト・イン・ミー、2.アイム・ゴナ・ラフ・ユー、3.イフ・アイ・ワー・ア・ベル、4.スマイル、5.パープル・アヴェニュー、6.コーリング・ユー、7.ゴッド・ウィル、8.君住む街角、9.ハニー・サックル・ローズ、10.アイル・ビー・シーイング・ユー

演奏について…結論から言うと、万人が認めるベスト1はアルバムタイトルの「コーリング・ユー」で間違いないでしょう。

映画「バグダッド・カフェ」のテーマ曲として名高い名曲だが、ホリーの歌では女性の弱さを持ちつつも、ほのかな色香と奥底にある芯の強さを、極うっすら分かる程度に、微妙な心理状態として見事に表現しており、正しく名唱である。
彼女をサポートする二人も名演で、ジャジーな雰囲気を損なわずに、それでいて都会的なカッコ良さも何気に見せていて、クールな「大人のジャズ」を演っている。

次いで個人的には10曲目「アイル~」がバック二人の見事な演奏により、(取分けピアノのデイヴィスが美しい演奏を奏でていて酔いしれる)ホリーとの声を含めたトリオ演奏として完璧なシンクロを見せる。

8曲目「君住む街角」は序章が不安で怪しげな入りなのだが、(まるでドラキュラが棺から出てくるようだ)ホリーのヴォイスが入ってからは、とても可愛らしい歌い方とピアノの伴奏も可愛くなって、この曲調の変化がとても劇的で趣深い演奏です。

オープニング曲「トラスト~」は本当にホリーのアンニュイさの良さが全面に浮き出た好演であるが、それ以上にすごいのは、この演奏の影の主役、ベースの「ピルチ」の太いが締まった音色で奏でる名演である。 

3曲目スタンダードの名曲「イフ~」ではゲストプレイヤーのヴァイオリニスト、「フリゴ」が参加するが、ホリーのヴォイスも1楽器の様な役目をしていて、「器楽的カルテット」の様なシンクロ演奏がとても楽しい。

4曲目「スマイル」は想像とは全く違う超スローテンポの演奏(歌唱)で、改めてホリーの歌唱力に上手さを思い知る。
そして、ここでももう一人の主役はベースの「ピルチ」である。

5曲目「パープル~」はピアノ「デイヴィス」の伴奏サポートが見事にホリーの 歌声とマッチしており、いかにもジャズ・ヴォーカルを聴いたと納得する歌です。

全曲ジャジーな雰囲気満載の、お遊び無しの名演・名唱なので、是非ご一聴を願います。  

正にマイ・フェイバッリット・シングス…ジョン・コルトレーンの超絶的名演「セルフレスネス」

2007-05-27 22:54:49 | ジョン・コルトレーン
今日は私個人の中では、ジャズ史上最高の名演であり、コルトレーンの代名詞的曲と言われ、彼のコンボで数多の名演がある「マイ・フェイバリット・シングス」の中で、超絶的な最高の演奏を紹介しましょう。

アルバムタイトル…「セルフレスネス」

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts、ss)
      マッコイ・タイナー(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      ロイ・ヘインズ(ds)…1曲目&2曲目 カルテット

録音…1963年7月7日 ニューポート・ジャズ・フェスティバルでライブ録音
 
      リーダー;ジョン・コルトレーン(ts)
      マッコイ・タイナー(p)
      ジミー・ギャリソン(b)
      ファラオ・サンダース(ts)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)
      ドナルド・ギャレット(b、b-cl)
      フランク・バトラー(perc)
      ジュノ・ルイス(perc)…3曲目のみ 8人

録音…1965年10月11日

曲目…1.マイ・フェイバリット・シングス、2.アイ・ウォント・トゥ・ノウ・アバウト・ユー、3.セルフレスネス

演奏について…まず、このアルバムについて解説させて頂くと、最大の聴き物である1曲目の「マイ・フェイバリット・シングス」と2曲目「アイ~」がニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブ録音であり、3曲目のみ「ファラオ」が加入後の、新生コルトレーンクインテット+ゲスト(コンボ)での演奏で、録音時期が全く異なる演奏が収められている。
アルバムタイトルは3曲目から取っているが、このアルバムで演奏されている「マイ~」こそ、コルトレーンの代名詞である同曲のベスト演奏であることは、殆どの方々も異論のない所だと思う。

では、1曲目「マイ~」だが、まず注目すべきは史上最高(最強)のジャズコンボである「ジョン・コルトレーン・カルテット」のメンバーから一人違うメンバーが演奏している。
そう、その人こそドラムスの「ロイ・ヘインズ」であり、この時「エルヴィン」の代役としてジャズ・フェスにタイコを敲きに来た人物である。
今回の超絶的名演を生んだのは、実は「ヘインズ」の力量に負う所が大である。
と言うのは、エルヴィンは超絶技巧で且つパワフルな、史上に名を残すスーパー・ドラマーなのだが、どちらかと言うと粘着系のドラミングであり、タイム・キーピングにも気を使って敲く知性的な部分も充分に持ち合わせたプレイヤーなのだ。
しかし、ヘインズは違う。
テクニックは勿論素晴らしいのだが、彼の長所はとにかく周りを煽り、トランス状態にしておいて、バンド全体の高揚感をどんどん推進するタイプの言わば燃える(燃やす)ドラマーなのである。

このジャズ・フェスでは前述の通り、ヘインズがコンボ全体に火を点けて、正しく烈火の如く燃えるコルトレーン・カルテットが疾走する。
序章としてトレーンが奏でている数小節のテナー演奏からしてすさまじい迫力ある名旋律で、聴くもの全てをこの数小節でトレーンの世界へと一瞬にして引き込む。
その後は、モーダルな演奏に終始する「マッコイ」とラインをキープする職人「ギャリソン」にて、この「トレーンワールド」に閉じ込められている間に、演奏場を灼熱の太陽の様な烈火に燃やし続ける「ヘインズ」のドラム演奏がマジ熱い!
灼熱の太陽の中で、「神」はソプラノ・サックスの超人的演奏(シーツ・オブ・サウンド)を魂を搾り取る様に吹き続ける。
空前絶後の17分31秒の演奏がそこにはある。
演奏後にいかにもライブらしく、アナウンサーが「ジョン・コルトレーン」、「マッコイ・タイナー」、「ジミー・ギャリソン」、「ロイ・ヘインズ」と4人のミュージシャンの名前をアナウンスする時、パッと目の前に明るい光が見える。

2曲目「アイ~」も素晴らしいミディアムテンポの演奏だが、このようなバラード調の曲の場合は、ドラムスはやはり煽る「ヘインズ」より「エルヴィン」の方が、何倍も3人にはしっくりくると思うので、演奏ランクから言うと、良演(80点)ぐらいのレベルかな。

3曲目「セルフレスネス」はライブの前2曲には若干及ばないと思うが、後期コルトレーンの演奏としては、それ程聴きにくくはなく、万人にもお薦めできる佳演であろう。
絶叫演奏をしているのは、やはりフリー派に属す「ファラオ」と「ギャレット」が顕著だが、元祖コルトレーン・カルテットの4人とパーカッションの2人は、興奮はしてはいるが、かなり知性も持ち合わせた、合わす演奏もしている。

いずれにせよ、「コルトレーン」の「マイ・フェイバリット・シングス」と言えば、この盤に止めを差される。

コルトレーンが好きで、まだこの盤を聴いていない方、一生に一度で良いので聴いて下さい。



      

ファネス~「愛と情熱の絆」

2007-05-26 23:53:10 | ラテン・ヴォーカル
つい先日、郷ひろみがアチチの「GOLDFINGER’99」から8年ぶりのラテンカヴァーシングル、「Bomm Boom Boom」を発売しました。
まぁ、そこでカヴァーされている、本家本元の太陽の貴公子こと「ダビッド・ビスバル」のアルバム紹介と思ったのですが、あまりにもコマーシャリズムに染まっていて、いかがわしい?ので、昨年一世を風靡した、「情熱の貴公子」のラテン・ポップの名盤を紹介しましょう。

アルバムタイトル…愛と情熱の絆

シンガー…ファネス コロンビア出身のギタリスト兼シンガー・ソングライターで世界に最も影響を与える100人にも選ばれた、スーパー・スター

曲目…1.愛して欲しい、2.全てはあなたの愛のために、3.夢、4.追憶の黒いシャツ、5.あなたの愛無しではいられない、6.愛に満たされて、7.君の全てが欲しい、8.君が愛する人、9.君が愛する人、10.世界に何が起こっているの、11.君との再会を夢見て、12.君を守りたい、13.神に祈りを、14.君がいるから、15.君の写真を見つめる時、16.愛の代償、17.小悪魔、18.忘れられない夜、19.追憶の黒いシャツ(別ver)

演奏曲について…まずベスト1曲は、やはり話題をさらった4曲目「追憶の黒いシャツ」が最も名曲だろう。
失恋の歌なのだが、その落ち込み振りは、黒いシャツ「死」「喪服」まで歌詞に表記するほどのショッキングな失恋歌になっている。
日本人の心情にはちと遠い気もするけど、ラテンの血が混じっている(冗談ですよ)私には良く分かる失恋歌で、曲調もラテン特有のマイナー調から、一転転調する劇的な歌です。

次いで9曲目「君が愛する人」も哀愁のラテンメロディをふんだんに使い、ギターソロは昭和の名曲「ダンシング・オールナイト」を彷彿させて、個人的には「追憶の~」に匹敵するほどお気に入りの1曲です。

それから13曲目「神に祈りを」も上記2曲に近い、哀愁の曲調&ファネスの歌にカッティング・ギターが彩を添えて、是非聴いて欲しい佳曲です。

11曲目「君との再会を夢見て」はビートルズの往年の名曲「イエスタデイ」の様な曲の入りから、ファネスがとても情感たっぷりな歌い廻しで紡いでいく名唱。

12曲目「君を守りたい」は前半はアコースティックギターの調べによって、ファネスが愛を語るバラードで、女性が聴くとたまらないでしょう。
後半はエレキギターと弦オケでフィナーレに持っていく。

7曲目「君の全てが欲しい」は男の欲望丸出しのエロティックな歌だが、モロ助平な歌詞とパワフルなロックのメロディが、ファネスをさらけ出していて、とてもストレートな歌で良いなぁと思う。

他では、8曲目「君が愛する人」などは他曲とは一転して、非常に明るいメロディで、また、ややにごらせた音色のギタープレイも曲に変化の衣をつけていて、楽しい歌であり、14曲目「君がいるから」はボサ・ノヴァ調の曲入りから、ラテンリズムの悲しい曲調がとても印象的だ。

16曲目「愛の代償」はラテン(南米)の土着性全開で思わず踊りだしそうです。


ブルージー&ソウルフルなピアニスト、ジュニア・マンス~いそしぎ

2007-05-25 23:07:57 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
ブルージーな正統的4ビートジャズで、ピアノトリオ演奏のアルバム「いそしぎ」を紹介します。

アルバムタイトル…いそしぎ

パーソネル…リーダー;ジュニア・マンス(p)
      マーティン・リヴェラ(b)
      アルビン・クイーン(ds)

1982年、1983年 ニューヨークにて録音

曲目…1.ファンキー・カーニバル、2.ヒア・アンド・ゼア、3.ウェイヴ、4.グライディン・アンド・ストライディン、5.いそしぎ、6.スナップ・クラックル・アンド・ポップ、7.アイ・ドント・ケア、8.ウォッチ・ホワット・ハプンズ、9.エミリー

演奏曲について…まず、オープニングのラテンナンバーである「ファンキー~」から、正にファンキーなノリノリ全開で、トリオ演奏は颯爽と駆け抜けていくような演奏。

2曲目「ヒア~」はこれぞブルースの極み的な演奏で、80年代と言うポップな年代にこのディープでブルージィなピアノトリオ演奏…うぅーん貴重品ですね。

3曲目、ボサ・ノヴァの名品、ジョビン作の「ウェイヴ」だが、この演奏はラテンチックではなく、マンスが華麗な装飾音符をふんだんに使用し、ベースのリヴェラはカチッとした硬派のベースラインで臨戦し、二人のバトルを見るようなスリリングなデュオ名演が繰り広げられる。
それにしても、マンスの超絶技巧演奏には思わず舌を巻かされる。

4曲目「グライディン~」は、ラグタイム的な序章から徐々に遊び心溢れるトリオ演奏が展開されて、中盤以降は、いよいよこのトリオのエンジンも全開になる。

5曲目のアルバムタイトル曲「いそしぎ」も3曲目の「ウェイヴ」に近いデュオ演奏で、マンスが色々なテクを駆使し、曲におかずをつける中で、リヴェラは淡々と忠実に「骨太」のベースラインを刻み続ける。
人に例えるなら、おしゃべりでお洒落な貴婦人をマンスとするなら、リヴェラは無口で無骨な親方(職人)と言ったら良いだろうか。
しかし中盤からリヴェラも少しいきり立ったのか、高速調のベースラインを端々で弾く所も逆にお洒落だったりする。

6曲目「スナップ~」は急速調8ビートのトリオ演奏。

そして7曲目「アイ~」も、マンスとリヴェラのデュオ演奏なのだが、3&5曲目と同様の素晴らしい演奏がなされる。
取分けここでは、リヴェラが抜群のベースソロとテクニシャンぶりを発揮して、中途では、マンスとリヴェラの演奏形態が真逆になる時があり、(華麗なリヴェラの演奏に対して忠実なコードでサポートするマンスに)非常に興奮させられる。

そして、8曲目と9曲目は落ち着いたトリオ演奏と、アダルトで色香が漂うデュオで〆となる。

エディ・コスタ・ウィズ・ビル・エヴァンス~ガイズ・アンド・ドールズ

2007-05-24 23:40:25 | ジャズ・ビッグバンド・その他
エディ・コスタ(vib)が奏でる、人気ミュージカル作品集にサプライズカスタマーとして、ビル・エヴァンスが加わったアルバムを紹介しましょう。

アルバムタイトル…ガイズ・アンド・ドールズ・ライク・ヴァイブス

パーソネル…リーダー;エディ・コスタ(vib)
      ビル・エヴァンス(p)
      ウェンデル・マーシャル(b)
      ポール・モチアン(ds)

曲目…1.ガイズ・アンド・ドールズ、2.アデレイド、3.イフ・アイ・ワー・ア・ベル、4.ラック・ビー・ア・レイディ、5.アイヴ・ネヴァー・ビーン・イン・ラヴ、6.アイル・ノウ

1958年1月15、16、17日録音

演奏について…まず最も魅力的な演奏としては、2曲目のバラード「アデレイド」がビル・エヴァンスのリリカルで知的なピアノの魅力が全面に散りばめられた名演で、コスタのヴァイブもビルの名演をさりげなく、そして美しくアシストしていて加えて、マーシャルの渋いベースプレイも決まり物なのでお薦めしたい。
それから、曲中最も有名な3曲目「イフ~」の演奏は、マイルスの超絶的美の名演を予測すると、チョット面食らう。
とても元気の良い活力ナンバーで、ここでの主役は間違いなくコスタです。
4曲目「ラック~」はこのアルバム中、唯一のラテンリズムナンバーで、エヴァンスがややくずした曲調のブロックコードを駆使して、絡むコスタの跳ねるようなヴァイブも良いが、この曲のベストプレイヤーは、このラテンで皆の演奏を飛翔させた、モチアンのシンバルプレイに真髄を見たり。

有名曲が満載のミュージカルでは無いが、カルテットの洒落たバトルが心地良く、とても気分が良くなるアルバムです。

小粋なトランペッター…リチャード・ウィリアムス~ニュー・ホーン・イン・タウン

2007-05-23 23:55:15 | ジャズ・トランペット
今晩は仕事でチョット疲れ気味です。
ですので、小粋で和み系のトランペットを吹く男、リチャード・ウィリアムスのアルバムを紹介しましょう。
このアルバム、収録曲は親しみやすいし、、パーソネルは渋い名人が演っているので、お疲れの諸氏にはお薦めです。

アルバムタイトル…ニュー・ホーン・イン・タウン

パーソネル…リーダー;リチャード・ウィリアムス(tp)
      レオ・ライト(as、fl)
      リチャード・ワイアンズ(p)
      レジー・ワークマン(b)
      ボビー・トーマス(ds)

曲目…1.アイ・キャン・ドリーム・キャント・アイ?、2.アイ・リメンバー・クリフォード、3.フェリス・ホイール、4.ローカス・ノーツ、5.ブルース・イン・ア・クァンダリー、6.虹の彼方に、7.レニタス・バウンス

1960年9月27日 録音

演奏について…まず、最初に言っておこう。
リチャード・ウィリアムスのトランペットの音色だが、「なごみ系」と言ってもファーマーの様なほのぼのトーンでは、まったく無い。
非常にブリリアントな音色で、どちらかと言うと「クリフォード・ブラウン」や「リー・モーガン」そして「ウィントン・マルサリス」に近いのである。
ただ、彼等の様な「カリスマ性」や「超絶技巧」、そして「スーパー・スターのオーラ」が無いのであって、つまりは「愛すべき二流ペッター」と言ったら良いだろうか。
その彼が一生懸命吹いて、そしてその演奏にはとにかく歌心があるのだ。
このアルバムのどの曲でも、そう言った演奏をしているが、ベストプレイは彼の歌うペットに、とてもマッチする、6曲目「虹の彼方に:オーヴァー・ザ・レインボウの方が有名かな」が最高の聴き物です。
この演奏では、ウィリアムスの他では、ピアノのワイアンズもとても好演しています。
それから、モーガンの向こうを張らない??2曲目の「アイ~」も好演で、モーガンが究極の演奏だとするなら、例えば料理なら「最高級フレンチ」がモーガンですよね。
対して、ウィリアムスは「日本一美味しいラーメン」みたいな物と言ったら分かり易いでしょうか。
つまり、敷居が高くなくて、とても親しみ易い名演と言うことです。
正統的4ビートのオープニング「アイ~」やラストのラテンリズムの「レニタス~」なんかも個人的には好きな演奏なので、お薦めですよ。

きらびやかなピアノタッチの名演、ダニエル・バレンボイム~モーツァルトピアノ協奏曲

2007-05-22 23:52:30 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
今日は、モーツァルトピアノ協奏曲22番&24番の演奏で、ダニエル・バレンボイムが指揮&ピアノ演奏している(弾き振り)評価の高い名盤を紹介しましょう。

アルバムタイトル…モーツァルトピアノ協奏曲22番&24番

演奏…ダニエル・バレンボイム(ピアノ&指揮)
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

曲目…モーツァルトピアノ協奏曲22番変ホ長調 K.482
   第1楽章(13:33)第2楽章(9:51)第3楽章(12:03)
   
   モーツァルトピアノ協奏曲24番ハ短調 K.491
   第1楽章(14:05)第2楽章(8:10)第3楽章(9:31)

1988年、1989年録音

演奏について…2曲の内でも大のお薦めは、やはり超名曲24番ハ短調が良い。
非常に劇的な第1楽章のアレグロでは、シンフォニックな分厚いサウンドを奏でるベルリン・フィルと粒立ちの良いバレンボイムのピアノタッチが非常に良くマッチングをしている。
第2楽章ラルゲットは、伸びやかで優しいピアノの響きは、まるで絶景を思い起こさせるようで、とても趣深い。
そしてこの曲の演奏の白眉は、第3楽章のアレグレットである。
ここでは、バレンボイムの明るい粒立ちだが、情感たっぷりのピアノと、ビルトゥオーゾのベルリン・フィルが心地よいバトル(松坂VSイチローの対戦かな?)を繰り広げているような素晴らしい競演がなされており、正に珠玉の名演奏である。

第22番も名演だが、バレンボイムの非常に粒立ちのハッキリしたピアノ音が、逆に長調の曲調に合いすぎて、モーツァルトの作曲された長調曲には全て有るとされている、明るさの中の暗さ(影)が、特に第1楽章のアレグロにおいて、若干感じにくい様に思う。
しかし、影が感じにくいと言うのは、あくまでも「若干」なのであって、バレンボイムの完璧なまでのピアノ演奏と、それに応えるベルリン・フィルも完璧な演奏をしているので、名演には相違ない。
特に、第2楽章のアンダンテにおけるバレンボイムのリリカルな演奏は、天上的美しさで絶品です。
第3楽章の序盤のアレグロのきらびやかな演奏から、叙情的なアンダンテカンタービレに移ってからの演奏も非常な名演です。

バレンボイムの超人的な「弾き振り」の名演奏を堪能しましょう。


なごみの局地的演奏、ジム・ホール~哀愁のマタドール

2007-05-21 23:16:16 | ジャズ・ギター
今日はパーソネルのメンバーをご覧になって、ハッと思う方が多いかもしれません。
そうなんですよ。
とにかく、和み系のプレイヤーだけで構成されているので、演奏する前からもうすでに演奏が分かってしまいそうです。

アルバムタイトル…「哀愁のマタドール」

パーソネル…ジム・ホール(ギター)
      トミー・フラナガン(ピアノ)
      アート・ファーマー(フリューゲル・ホーン)
      ロン・カーター(ベース)
      他
      ドン・セベスキー(アレンジ)

曲目…1.ウォーク・ソフト、2.5月のある朝、3.哀愁のマタドール(アルビノーニのアダージョ)、4.ダウン・ザ・ライン、5.恋に落ちた時、6.マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ、7.バミューダ・バイ・バイ、8.インディアン・サマー

演奏曲について…ズバリ一番のお薦めは、やはりタイトル曲の「哀愁のマタドール」で揺るぎ無いでしょう。
上記の演奏者に加えて、アラン・ガンリー(ドラムス)、ジョン・ラバーバラ(ヴォイス)、エロール・ベネット(パーカッション)が、演奏者として名を連ねている。
クラシックの「アルビノーニのアダージョ」をメイン素材として料理した曲なのだが、とにかく美しい(美味しい)と言ったらこの上ない。
ジム・ホールの朴訥としたギター音に、ファーマーのフリューゲル・ホーンのソロ演奏が、淡くほのかな叙情性を書き上げて、ベースのカーターも適度に締まってはいるが、どちらかと言うと暖色系のトーンで皆を背後から推進して行く。
セベスキーのアレンジもハイ・センスで、ホールが後にオーヴァー・ダビングしてアコースティック・ギターをかぶせた事が分かっても、この演奏は普遍的である。

それから、小曲に佳演が多いのも特徴的なアルバムだ。

4曲目「ダウン~」はホールのエレキ&アコースティックを重ねた演奏で、まるで二人のジム・ホールが対話しているかの様な同調性を見せる。

5曲目「恋に~」は奥方の「ジェイン・ホール」との共演で、とても仲睦まじい夫婦の演奏である。

6曲目のスタンダード「マイ~」はホールとトミ・フラ(トミー・フラナガン)とのデュオ演奏で、全く原曲に忠実な演奏なのだが、究極の美を感じる名演である。

7曲目「バミューダ~」はホールと「テリー・クラーク」(ドラムス)とのデュオでとても軽やかでおしゃれなカリプソを演じている。
こんなに肩の凝らない演奏もたまには良いもんだぁ。

1曲目「ウォーク~」と8曲目「インディアン~」の両曲は、上記の4人のメンバーにドン・セベスキーのアレンジが加えられ、アルバムのコンセプトに忠実な好演奏で、この2曲もお薦めしたい。



葉加瀬太郎&フォーエヴァー・タンゴ~タンゴ・ノスタルジア

2007-05-20 23:54:27 | イージー・リスニング
今日夕方にFN横浜で、アコーディオン奏者のコパさんの特集をしていました。
ですから、今日はコパさんのアルバムから一枚紹介を…と思ったのですが、余りにもベタなので、アコーディオンと言う楽器から連想すると、カスルと思われる「タンゴ」の特集されているアルバムにしようと思い、ずばりこのCDに決めました。

アルバムタイトル…タンゴ・ノスタルジア

パーソネル…リーダー;葉加瀬太郎(vl)
      Lisandro Adrover,Victor Lavallen,Miguel Varvello and 
      Juan Carlos Nisei(bandneons)
      Alexander Sechkin(viola)
      Luis Bravo(cello)
      Fernando Marzan(p)
      Mario Araolaza(key)
      Lisandro Adorover(orchestra director)

曲目…1.ワタシ、2.ラ・クンパルシータ、3.グリセール、4.リベルタンゴ、5.ノスタルジア、6.ジェラシー、7.父に捧げるプレリュード、8.わが両親の家、9.酔いどれたち、10.エバリスト・カリエゴに捧ぐ、11.想いのとどく日

演奏(曲)について…アルバム収録の中の推薦曲だが、まずベスト1は7曲目「父に捧げるプレリュード」が白眉の名演。
理由としては、編曲がこの曲の作曲者であり、フォーエヴァー・タンゴの音楽監督である「リサンドロ・アドロベール」である事が大きい。
全収録曲中、一番長い演奏時間8分27秒を費やし、出だしのピアノと続く本人のバンドネオン、そして葉加瀬の悲しい調べに、胸が締め付けられそうな美しくはかない演奏から始まる。
その後も葉加瀬のヴァイオリンと自らのバンドネオンとの素晴らしいエロスの様な絡みに加えて、意思疎通も完璧な、バックのオーケストラの強弱と緩急がバランスよく演奏され、非常に劇的な表現がなされている名演奏である。

次いでは10曲目の「エバリスト~」も知情意のバランスがとれた名演で、ここでもピアノの和音に導かれ、葉加瀬が官能的な演奏をし、それにバンドネオン群が熱く燃える炎のように音を紡いで重ねてゆく。

名曲群では、2曲目の「ラ・クンパルシータ」は多人数の楽団よりもこの精鋭部隊の演奏の方が、精緻で統率が取れているが、クレシェンドの場合などは音が塊となって出てくるので逆に迫力がある。

4曲目の「リベルタンゴ」は、葉加瀬がこれ以上に無い熱い表現のヴァイオリンを奏でる。
急速調の演奏に追従するバックバンドも素晴らしい演奏をしている。

5曲目「ノスタルジア」も、葉加瀬のヴァイオリンの技量に魅力たっぷり。

しかしながら、名曲群(タンゴスタンダード)の中のナンバー1は、6曲目の「ジェラシー」で決定的。
ここでの葉加瀬の演奏は正しく超絶技巧で、クラシックのメンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトを奏でているような錯覚を感じる。
演奏表現も知情意のバランスも優れ、7曲目「父に~」と双璧の超名演です。


クラシック界のヴィルトオーゾ合奏団、オルフェウス室内管弦楽団~ロッシーニ序曲集

2007-05-19 23:55:17 | クラシック室内楽・器楽・オペラ・古楽
最近チョットジャズに偏ってアルバム紹介しておりましたので、今日はかつてクラシックアルバムで大ベストセラーになった名盤を紹介します。

アルバムタイトル…「ロッシーニ序曲集~オルフェウス室内管弦楽団」

曲名…1.歌劇《タンクレディ》序曲、2.歌劇《アルジェのイタリア女》序曲、3.歌劇《幸福な錯覚》序曲、4.歌劇《絹のはしご》序曲、5.歌劇《セビリャの理髪師》序曲、6.歌劇《ブルスキーノ氏》序曲、7.歌劇《結婚手形》序曲、8.歌劇《イタリアのトルコ人》序曲

録音1984年 ニューヨーク州立大学、パーチェス校

オルフェウス管弦楽団について…1972年に結成され、何より特徴的なのは指揮者をおかずに演奏する楽団という事。
編成は26名でなされ、ヴァイオリン9、ヴィオラ3、チェロ3、コントラバス1と言う16名の弦楽器群と、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン各2名ずつの管楽器群から成る。
とにかく、各々の演奏テクニックが抜群に優れており、それでいて非常に精緻に合奏がなされているので、他の楽団とは全く比べ物にならない、スーパー・グループなのである。

このアルバムでは、全てロッシーニのオペラの序曲を納めており、このアルバム一枚にして、ロッシーニオペラの全貌の、わずか一部だけでは有るが垣間見ることができるので、とてもお得と思われる。
普通のオムニバスアルバムだと、演奏の一部分しか紹介していない事が多々有るのだが、これは序曲ではあるが全曲演奏されているので、しっかりした普遍的なアルバムとして作られているので、皆様にお薦めしたい。

お薦めの演奏曲だが、このオーケストラにかかると、全曲全てが名演なので、後は曲単体の魅力によって決めるしかなさそうだ。
そうなると、ベスト1はロッシーニオペラの最高峰、「セビリャの理髪師」が不動の1位でしょう。
次いで、名曲の2曲目の「アルジェのイタリア女」が2位、ロッシーニ出世作と言われているオープニング曲「タンクレディ」が3番目の推薦曲になりそう。
それから、個人的には6曲目「ブルスキーノ氏」が作曲・編曲に変化があってとても楽しいので好きです。

今日は、スーパーオーケストラグループの妙技を是非聴いて下さい。

スタンダードがずらり…アート・ファーマー~ブラス・シャウト

2007-05-18 23:52:01 | ジャズ・トランペット
昨日は演奏自体は素晴らしいかったのですが、世評的にはかなりマイナーな?名盤を紹介したので、今日は名実的にも良く知られた人気盤を紹介しましょう。

アルバムタイトル…「ブラス・シャウト」

パーソネル…リーダー;アート・ファーマー(tp)
      リー・モーガン(tp)
      カーティス・フラー(tb)
      ボビー・ティモンズ(p)
      パーシー・ヒース(b)
      フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
      他 「テンテット」

曲目…1.ニカの夢、2.枯葉、3.モーニン、4.パリの四月、5.ファイヴ・スポット・アフター・ダーク、6.星影のステラ、7.マイナー・ヴァンプ

1959年5月15日録音

演奏について…全7曲共、全て良く知られた「ジャズ・スタンダード」ばかり。
ですから、一曲一曲の解説は全く不必要でしょう。
7曲の内、演奏の良い物は、「テンテット」と言う演奏スタイルに曲調(編曲)が合う物が好ましい。
そう言ったコンセプトからは、やはり「影のリーダー」ベニー・ゴルソン作曲の「ファイヴ~」がナンバー1だろうか。
超名盤:「ブルースエット」の様な2管の絡み、バトルは無く、いささか甘い演奏では有るが、ゴルソンハーモニーの妙と言うか、「ゴルソンマジック」がスパイスとしてとても効いている。

7曲目「マイナー~」もゴルソンの絶妙な音色と編曲のトリックが活かされた名演で、上記「ブルースエット」の、2管クインテットでは絶対にやれない事を(厚いブラス演奏を)やれる喜びが表されている。

それから、「ホレス・シルヴァー」作のオープニング曲も、ファンキーなプレイヤーが集まったコンボにとっては全くお手の物の演奏で、ラテンのリズムも、名人フィリー・ジョーにかかれば、お茶の子さいさいで余裕ぶちかましの演奏です。
とにかくカッチョイイの一言。

2曲目「枯葉」は、導入部分のユニゾンは私の好みではないが、フラー、ファーマー、モーガンのアドリブソロのフレーズはかなり良い感じで、この曲の影の主役はベースのヒースで、リズムとして全体を引っ張っている。

3曲目「モーニン」は、元祖メッセンジャーズに比べるとかなり大人し目の、上品な演奏だが、ソロに入ってからのモーガンのチョイ悪な演奏と、フラー独特の吹き廻しは出来が良いし、何にも増して作曲者「ティモンズ」のファンキーなソロには脱帽。





非常にリリカルなピアニスト、蒲池 猛~スプレッド

2007-05-17 23:37:05 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
つい先日、某大手レコード店で邦人ジャズプレイヤーのセールス、言うなれば「投売り:1枚¥500」をしていまして、その中の一枚が今日紹介のアルバムです。
マイナー・レーベルだったのですが、アルバム帯のメンツを見て、ジャズ好きの嗅覚が働きまして、買ってみたらやはり「大当たり」が出ました。
そこで今日はこのアルバムを紹介させて頂きます。

アルバムタイトル…「スプレッド」

パーソネル…リーダー;蒲池 猛(p)
      ビクター・ジョーンズ(ds)
      中村 照夫(b)
      チャギー・カーター(perc)
  スペシャル・ゲスト
      ヒューバート・ローズ(fl、pic)
      峰 厚介(ts、ss)

曲目…1.スプレッド、2.ダディーズ・サンバ、3.オットット・ブルース、4.オン・ザ・シルクロード、5.アイ・ミス・ユー・ソー・マッチ、6.ディア・アミーゴ、7.ジャスト・ハング・アラウンド、8.マンハッタン・セレナーデ…かおる…、9.プリティ・グッド

演奏(曲)&パーソネルについて少しばかり解説しましょう。

リーダーの蒲池は1941年東京生まれで、彼の経歴では、原信夫とシャープス&フラッツで10年間ピアニストを務めたのが有名。
サミー・デイヴィスJrやアンディ・ウィリアムス、ナンシー・ウィルソンなどの大物ボーカリスト伴奏なども歴任している。

中村は1942年東京生まれで、ロイ・ヘインズのバンドでデビューし、スタンリー・タレンタインのレギュラーバンドに在籍したこともある。
JAWSコンサートの主催者の一人としても著名である。

ヒューバート・ローズはもはや説明は要らないでしょう。現存するジャズ界最高のフルーテストです。

ビクター・ジョーンズは、ゲッツ、ガレスピー、ペトルチアーニなど多くのジャズメンと共演したことがある実力者。

チャギーはライジング・サン・バンドのレギュラーとして15年以上の経歴を持つ技巧のパカッショナー。

峰は1944年東京生まれで、ことに78年にネイティブ・サンを結成したことが有名なサックス奏者です。

演奏曲については、全曲蒲池のオリジナルなのだが、名旋律の佳曲が多いのでこちらもお薦め曲が多い。
その中からいくつか紹介しましょう。

まず、ナンバー1は、4曲目の「オン・ザ~」は映画音楽を思わせる美旋律の曲で、前半はローズの流麗なフルートのアドリブに涙しそうで、中盤は蒲池のフェンダー・ローズに酔いしれ、後半はチャギーの超絶技巧のパーカッションに心を奮わせる。正に蒲池入魂の一曲なり。

7曲目「ジャスト~」はファンキーでとにかくカッコイイナンバー。
演奏スタイルや曲調で言うと、D・ジョーダンの「危険な関係のブルース」とか、S・ロリンズの映画曲「アルフィー」の様な曲調をイメージして頂くと分り易い。
とてもファンキーなのだが、決して泥臭くなく、ハードボイルドで非常に都会的なニューヨークをイメージさせる曲です。
演奏では特に峰のテナー、ブローが豪快で秀逸です。

5曲目「アイ~」はこのアルバム唯一のピアノ・トリオ演奏。美しいワルツ曲で、ビル・エヴァンスを彷彿させる程、蒲池のピアノが美しく、中村のベース、ビクターのブラッシュ・ワークも、まんま、モチアンやラファロをイメージさせる名演です。しかし決して「モノマネ」演奏では無い所が良いですね。

6曲目「ディア~」は47歳で急逝した、蒲池の盟友「川上アミーゴ和彦」へ捧げた曲だが、非常に明るい曲で、峰のソプラノ・サックスも軽やかなアドリブを奏でて、どこかロリンズのカリプソを連想させる。

2曲目「ダディーズ~」は蒲池のピアノはとても楽しく粋なプレイで満足だが、それ以上は、後半のローズのピッコロが最高の聴き物。

8曲目「マンハッタン~」は夫人の「松井かおる」に捧げた曲との事。ローズのフルートがとにかく美しいバラードだ。

最後に…蒲池のピアノ演奏は全編に渡って非常に繊細でリリカルな、女性美?溢れる演奏で、ナオさんが紹介していた、男性的でパワフルマッチョな?大西順子とは正反対のミュージシャンなんです。

しかし、¥500って言うのが信じられない「アンビリーバブルな名盤」です。
今晩はもう一回聴こうかなぁ。