紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ミンガス・イン・ヨーロッパvol.1から続き。

2008-06-16 11:10:28 | ジャズ・ベース
長らくブログ更新せずにすみませんでした。
一寸、家庭の事情と、昨日までの仕事の関係で…書けなかったんです。

まぁ、愚痴と言い訳は良く有りませんので、それでは、前回からの続きで、「ミンガス・イン・ヨーロッパvol.1」の詳細について書いて行きましょう。

まず、「ミンガス」のメンバー紹介から、ライブがスタートする。
序奏はお馴染みの「フォーバス知事の寓話」のテーマがメンバー全員で奏でられる。
その後、「クリフォード・ジョーダン」が、かなり叙情的なテナー・アドリブを演ってくれますが、それに合わせる「ドルフィー」は、ちょっぴり前衛的なフレーズで、煽ってきます。
リズム・セクションは変則的なドラム・リズムを刻む「ダニー・リッチモンド」、ブ厚いベースで皆をリードする、リーダー「チャールス・ミンガス」、そして「バイアード」は、インテリジェックな和音でスパイスを効かせる。

さて、序盤は先ほどの「ジョーダン」が、叙情的なフレーズから、徐々にアグレッシブに変貌を遂げて行って、スピーディにぶっ飛ばし始める。
そうすると、それ以上に「ミンガス」が、更にベースで煽り捲くって、益々「クリフォード・ジョーダン」をファイトさせて行くんです。
「ジョーダン」は止め処なく、めくるめく素晴らしいアドリブ演奏を連発して、大将に応えます。
その後は「ジャッキー・バイアード」のソロにチェンジして、ここで曲調が、静かでクールでロマンティックに激変するのが面白い。
「バイアード」は、とてもお上品なピアノを弾くので、「ミンガス・サウンド」とは対極的だが、逆に(自分に無い部分の)ここが「ミンガス」の気に入っていた一つのファクターかなと思う。
彼が入る事によって、ものすごい効果を上げている事は確かな様です。
中間部のカデンツァで「きらきら星変奏曲」をチョイ弾きする所なんかもお洒落~って感じがします。
その後急にまた、急速調に…そこここでブギウギ風なリズムで遊び心を出しながら曲調とスピードを変えて、変化を楽しんで行きます。

その次には大将自らがソロの番になって、激しい怒り親父だけでない、非常にウィットに富んだ…或いは楽しみながらのベース・メロディを演って、「ミンガス」と言う漢の引き出しの多さが良く判ります。
何と「子馬はみんなポッポコ…」等と言う童謡のメロディを弾いたりするので、聴衆は皆笑いの渦に入ったりなんかして…この親父、お笑いの才能も持っているね!(笑)
しかし、それからまたすぐに、頑固親父に逆戻りして、ハード・プレイのベース演奏に戻します。

さて、これから真打登場で、お得意のバス・クラリネットを引提げて、アヴァンギャルドなソロで決めます。
ソロに入って直に、「ミンガス」とのデュオ演奏になるんですが、「ドルフィー」はじっくりと且つ過激にソロを演ると、受ける「ミンガス」の弾くベース曲は、名作「メキシコの思い出」の名作「イザベルズ・テーブル・ダンス」のベース・ラインを刻んでいるんです。
判る人は嬉しいねぇ~判らない人は、私がかつて紹介しているので、それをご参考にして下さい。
その後、全員が絡んで来て、段々クライマックスに近づいて来ます。
「ドルフィー」のバス・クラリネットは地を割き、空も切り裂きます。
大人しいはずの「バイアード」も過激なブロック・コードを叩きますし、「ジョーダン」はブリリアントにサイド演奏で盛り上げます。
この音の洪水はド迫力ですね。
しかし、ここで演奏はフィニッシュとはなりません。
ラストはもう一度「ミンガス」と「ドルフィー」のデュオ・バトル…いや、過激なハーモニーと言った方が良いかもしれません。
二人が織り成す、緊張感びんびんの、このデュエット演奏は、ジャズ史上に残る名演奏の一つでしょう。
「エリック・ドルフィー」と「チャールス・ミンガス」…師匠と弟子と言う関係でなく、ここでなされている演奏は、正しく天才同士の究極のバトル演奏です。
ラストはもう一度、全員で「フォーバス~」のテーマ・メロディに戻って、気持ち良いフィニッシュをします。
万歳!万歳!!!万万歳!!!!!

2曲目スターティング」…「エリック・ドルフィー」のオリジナル曲で、オープニング「フォーバス知事~」からの流れで、こうなったのかは知りませんが、またまた二人のデュオ演奏がなされます。
ここでは「ドルフィー」は、フルートを駆使して、「ミンガス」も、とても渋くて大人のベース演奏を演って、「ドルフィー」の幻想的に美しいフルート演奏を際立たせます。
とにかく、きれいな演奏で、過激なコンボ軍団において、コンサートでは一服の清涼剤的な役割を果たしている曲&演奏です。
心が洗われますよ。

ラストは「メディテーションズ」…とても判り易いワルツ・リズムでのテーマで、何かワクワクさせる様な、映画のオープニング曲に似た感じがします。
ビッグ・バンド・ジャズ的なアレンジで序奏はなされますが、「ドルフィー」がユニゾンはフルート演奏で曲を飾りつけ、ソロに入ると、バス・クラリネットに持ち替えて、またまたアグレシッブ且つメロディアスで、更に付け加えると、ジョークも混ぜた、楽しいソロを演るんです。
「ドルフィー」も引き出しが多いミュージシャンなんですね。
その後の「クリフォード・ジョーダン」のソロも頑張ってます。
天才「ドルフィー」とは真っ向勝負は避けて、「ジョーダン」らしい歌心溢れるシンプルなソロで終始決めてきます。
こう言う所は逆に男らしさを感じますね。
己の力を冷静に分析し、やれるべき最善の方法を選んで演ってくれるんですから。
「リッチモンド」は、ガンガンにガツンガツンと、激しいドラミングで、相当いきり立った感じが有りますが、「ミンガス」は割と冷静に、渋い実直なベース演奏で皆を見守ります。
「バイアード」もアグレッシブなブロック・コードで、ガンガン突き進んで行って、皆を高揚させるのに一役買ってます。
しかして、曲は一旦、静かなテーマ・メロディに戻ります。
「ミンガス」はワン・ポイントでボウイングに切り替えて、情感たっぷりにベースを弾き、それを受けて「バイアード」も「ドビュッシー」のピアノ曲の様に、神秘的で、知的なピアノ演奏へと切り替えます。
ここで弾かれる「ミンガス」のベース・ソロは…とても物悲しくて、切なくて、「バイアード」のピアノも半端なく、美しいんです。
ここで演られている音楽(ジャズ)は、このコンボが過激なジャズ・テロリスト集団ではなく、真の芸術集団である事が非常に良く判るトラックなんです。
それから、演られている演奏が静かで知的ではあるけれども、そこに存在する緊張感たるや、恐ろしい程に空気が張り詰めていて、畏怖さえ感じます。
以前紹介した「アストル・ピアソラ」の様に…クラシックの現代曲にさえ思えるんですよ。
エンディングは「バイアード」のピアノに導かれて、全員で一発ユニゾンでフィニッシュします。

間違いなく感動するライブ・アルバムです。

また、ドルフィー関連のいわく付き作品だ!ミンガス・イン・ヨーロッパvol.1~チャールス・ミンガス

2008-06-09 22:40:49 | ジャズ・ベース
「エリック・ドルフィー」が、影響を受けたアーティストは昨今紹介している「ジョン・コルトレーン」と、もう一人、この「チャールス・ミンガス」であろう。

このヨーロッパでの「ドルフィー」と「ミンガス」の激しいライブ・バトルは、超人二人の貴重な演奏の一つとして是非紹介しておきたい。

今日はその中からヴォリューム1をセレクトしましょう。

アルバムタイトル…ミンガス・イン・ヨーロッパvol.1

パーソネル…リーダー;チャールス・ミンガス(b)
      エリック・ドルフィー(as、fl、b-cl)
      クリフォード・ジョーダン(ts)
      ジャッキー・バイアード(p)
      ダニー・リッチモンド(ds)

曲目…1.フォーバス知事の寓話(37:30)、2.スターティング(5:24)、3.メディテーションズ(22:25)

1964年4月26日 西ドイツ、ヴィッペルタール・タウンホールにてライブ録音

原盤…enja 3049  発売…キングレコード
CD番号…K30Y-6239

演奏について…詳細は明日以降のお楽しみに…
とにかく70分近いCD収録の中で、わずか3曲の吹き込みなので、いかに1曲1曲が長大かお分かりになろうと言う物。
特にオープニング「フォーバス知事~」だけで37分を超える曲だし、3曲目「メディテーションズ」も22分以上の長い演奏となっています。
「ドルフィー」のマルチ・リードの絶叫と「ミンガス」の強烈なリ-ダー・シップに統率されて、若き精鋭達が、縦横無人に音の世界を描き切ってくれる様は圧巻その物です。


      

ロンが演じるスタンダード…ロン・カーター~ベース・アンド・アイ

2008-02-11 22:03:09 | ジャズ・ベース
皆さん、こんばんわ!
今日は、久しぶりに「ロン・カーター」のリーダー・アルバムを紹介しましょう。
演奏している曲目は、有名なスタンダード・ナンバーがメインで聴き易いです。
そして、編成は、ピアノ・トリオにパーカッションがプラスされた、変則のカルテットですが、とてもお洒落な演奏です。

それでは詳細に行きましょう。

アルバムタイトル…ベース・アンド・アイ

パーソネル…リーダー;ロン・カーター(b)
      スティーヴン・スコット(p)
      ルイス・ナッシュ(ds)
      スティーヴ・クローン(perc)

曲目…1.貴方と夜と音楽と、2.いつか王子様が、3.ブルース・フォー・D.P、4.いそしぎ、5.ミスター・ボウタイ、6.ダブル・ベース、7.アイ・リメンバー・クリフォード

1997年1月14日 ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音

原盤…Somethin’else 5585  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5585

演奏について…オープニング曲「貴方と夜と音楽と」…「スティーヴン・スコット」の原曲を活かした哀愁のトーンから序奏が幕を開ける。
カデンツァに入り、「スコット」がダイナミズムをフルに活用し、思い切り弾いて行き、その後を渋く「ロン・カーター」が受ける。
ガッツリとした音では有るが、とても歌謡的にベースを歌わせて、この辺が「カーター」の真骨頂なんでしょう。
終盤では、センシティヴにリズムを刻む「ルイス・ナッシュ」と、超絶技巧で「カーター」をサポートする「スティーヴ・クローン」の二人のアドリヴ演奏が、彩を添えます。
オープニングに相応しい華々しいナンバーです。

2曲目「いつか王子様が」…「ビル・エヴァンス」が大横綱の名演とするならば、ここでの演奏は名小結くらいの品格と価値は充分に有ります。
ここでも「スコット」は、原曲のメロディを崩さずに、大事にきれいにソロを仕上げます。
特に「スコット」のアイドルは、「ウィントン・ケリー」らしいので、「マイルス」盤での「ケリー」の美演に肉薄している、素晴らしいソロです。
「カーター」も「ラファロ」ほど太っとくは無いが、ここでも歌心が充分に行き届いたベース・ソロを展開して、この曲の素晴らしさを表現しています。
1曲目同様、「ナッシュ」と「クローン」のリズム・サポートも充実していて…特に「クローン」のディズニー・サウンド?の様な星の音を表現している鈴の音が楽しくて…こう言っては失礼かもしれませんが、初心者向けの好演と言えば分り易いと思います。
勿論、ジャズに五月蝿い、通の方も楽しめる演奏です。

3曲目「ブルース・フォー…」は、「カーター」の自作曲で、盟友「デューク・ピアソン」へのオマージュとして作られた曲との事で、「カーター」がブルース魂全開で分厚く弾き切ります。
ここで、「スコット」は前曲と異なり、かなり泥臭いブルース・フィーリングを見せますし、バックの二人のノリも良いですよ~。

4曲目「いそしぎ」…これ程センスの塊りの様な編曲、演奏の「いそしぎ」…は余り聴いた事が無い。
特に「カーター」のコード・チェンジがノーマル・パターンの一歩いや、三歩先を行っていて、合わせる「スコット」のブロック・コード主体のアドリブもハイ・センスです。
終盤のアドリブは、コード・チェンジと半音崩しも有ったりして…オー!カッコイイぜぃ!!
ラストの方では、消え入る様に弾くんですが…何故かメロディは「イパネマの娘」を使用しているんですよ。
「ナッシュ」「クローン」は、あくまでも、どこまでも脇役に徹していて…この演奏の品格が5ランクくらいアップしている。
私的には、このアルバムで、ベスト・チューンに挙げたいですね。

5曲目「ミスター・ボウタイ」…ボサ・ノヴァ・リズムに導かれて、「スコット」がハイ・センスなフレーズをびんびんに決め捲る…。
重厚にサポートするリーダー「カーター」の演奏もすごいのは勿論ですが、ここでの主役は、何と言ってもパーカッショニスト「クローン」です。
ノリとテクニックは完璧な上に、様々な打楽器を効果的に用いて、「カーター」とのデュオ的なリズム・バトルを演ってくれます。
終盤に入ってから「スコット」と「クローン」の高速での凌ぎあいが…すごい!
ラテン+ジャズ(ピアノ・トリオ)の見事な融合です。

6曲目「ダブル・ベース」…原曲はかつて、某洋酒メーカー((サントリー)と言った方が良いかな?)のCMソングに使用されていて…その当時「ロン・カーター」(の名前)を知った方も多いのでは?(古いなぁ…年がばれそうや!!)
最初の数小節は原曲に忠実な演奏なんですが、その後、かなり大胆に展開して行きます。
特に「カーター」のアドリブ・ソロは…テクニック、感性とも素晴らしく、正しくベースのカデンツァだ!
この曲では非常に軽やかにブラッシュ・ワークを演じる「ナッシュ」のバック・サポートが超名演です。
終盤では、各人の遊びも出て来て…良いですね。

ラスト曲「アイ・リメンバー・クリフォード」…この曲も序奏は「スコット」が、美しい原曲をあえてそのまま弾き、スロー・テンポで進んで行く。
「スコット」以外の3人も、この曲自身の魅力を最大限に引き出すためなのか?「スコット」のピアノを全面に押し出し、小細工せずにリズム・サポートに終始する。
しかし、最後には、「カーター」がベースでこの曲のメロディを弾いて…しずかに成就させるんです。

聴き易い、名演奏ばかりで…こいつは本当にお薦めのアルバムです。



熱気はむんむんだが、演奏はスマートでも有る…レイ・ブラウン~レッド・ホット

2008-01-16 22:17:50 | ジャズ・ベース
今日はピアノ・トリオのライブ・アルバムで行きましょう。
リーダーは伝説的なベーシスト、「レイ・ブラウン」で、トリオを構成するメンバーは、ピアニストに「ジーン・ハリス」、ドラムスに「ミッキー・ローカー」を配して、ニュー・ヨークのブルーノートでライブ録音された演奏です。

曲も良く知られたスタンダードやポピュラーが多く、真面目に聴くのも良し、BGM風に聴き流すのも良しで、ライトさと、ライブならではのコンセントレーション&緊張感が両方味わえる佳盤です。

アルバムタイトル…レッド・ホット

パーソネル…リーダー;レイ・ブラウン(b)
      ジーン・ハリス(p)
      ミッキー・ローカー(ds)

曲目…1.ジョーンズ嬢に会ったかい?、2.メディテーション、3.ストリート・オブ・ドリームス、4.レディ・ビー・グッド、5.ザッツ・オール、6.ラヴ・ミー・テンダー、7.ハウ・クッド・ユー・ドゥ、8.キャプテン・ビル

1985年11月、12月 NYC、ブルー・ノートにてライブ録音

原盤…concord jazz CCD-4315  発売…キングレコード
CD番号…240E-6816

演奏について…非常に良いと思うのは、3曲目「ストリート・オブ・ドリームス」の超スローでのバラード演奏。
「ハリス」は高音域をメインに用いて、粒立ちのハッキリしたタッチでスタンダードを歌い上げます。
アドリブは、シンプルですが…シンプル・イズ・ベストでしょう。
「ローカー」は、上品に物静かにブラシを刻み、「ブラウン」は影の?リーダーらしく、タイトで硬質の音で、ゆったりと(トリオを)ドライビングして行きます。
本当に美しいピアノ・トリオ演奏の代表的な演奏でしょう。

趣深い、面白い演奏のトップは、「エルヴィス・プレスリー」の代表作である、6曲目の「ラヴ・ミー・テンダー」でしょう。
非常にゆったりとした、序奏アプローチで曲が始まり、「ハリス」はサロン風に、テーマに即しながら、ピアノ・カデンツァの調べを奏でる。
受ける「レイ・ブラウン」は、ボウイングで、ラヴ・ミー~のメロディを弾き、とても静かだが、雄大なピアノとベースのデュオが続く。
その後、ブルースに転調し、「ハリス」は黒々しさバッチリの雰囲気で、ブルーズを決めてくれるし、「ブラウン」と「ローカー」はガッツリと「ハリス」をアシストするサイドメン演奏をこなす。
前半と後半の劇的な変化は…取って付けたと言う輩もいるかも知れないが、単純馬鹿の私には、お気に入りに追加トラックです。

しかし、5曲目「ザッツ・オール」が…このアルバムでベスト1の名演です。
この演奏では、序盤は静かなピアノ・アドリブを「ハリス」が弾くのですが、中盤から、おかず満載のソロを矢継ぎ早に演ってくれて、(先日亡くなられた「オスカー・ピーターソン」も真っ青のテクニックを駆使してくれて…)ここがこのアルバムでも最高の聴き所でしょう。
後半に入ると、「ブラウン」もカデンツァとも言える、すごテク、ソロを随所に見せて、寛ぎ度と遊び心もバッチリで、ライブの聴衆も皆大満足です。
ブラボー拍手喝采です。

個人的に大好きなのは、「アントニオ・カルロス・ジョビン」の作品らしく、ラテン・リズムで仕上げられた2曲目「メディテーション」
リズムがラテン(ボサ・ノヴァ)だからと言って、ライトだが決して軟派じゃない。
「ハリス」のピアノは、かなりアグレッシブに突っ込んで来るし、「ブラウン」のベース演奏はとても硬派で、マッシブで男性的なんです。
「ローカー」は、かなり高速でブラシを刻みファイトしていて、彼も軟派にはなっていません。
リズムは軽快…でもトリオ演奏自体は、バトル・ロワイヤル???…このギャップが堪りません。

4曲目「レディ・ビー・グッド」…ブルース演奏だけれども、全然南部臭くは無い感じで、かなりソフィストケイトされた演奏です。
「ハリス」は、すごテクのブロック・コードを頻繁に駆使して、演奏を引っ張り、そして飾る付けて行く。
「ブラウン」は知的で、かなり客観的なベース・ライン&演奏をしていて、この辺りも、都会的なブルーズと思う、一因だと思います。
終盤で、「ハリス」と「ブラウン」の一音一音での決闘?がワンポイントになってます。

オープニング曲「ジョーンズ嬢に会ったかい?」…ノッケから「ジーン・ハリス」がノリノリで絶好調!
煌びやかなシングル・トーンを用いて、跳ねる様にピアノの鍵盤を転がす&駆け廻る。
重厚さと歌謡的な両面を併せ持つ「ブラウン」のガッツリベースが、見事に花を副えます。

それから7曲目「ハウ・クッド~」…まず、粒立ちハッキリの「ハリス」の冴えたピアノ音が、きれいに録られたこのライヴ録音に感謝!
「ブラウン」のとても良く歌うベースと「ローカー」のシンバル・ワークも音が鮮明に立っていて、オーディオ的に見ても、ピアノ・トリオの規範的な演奏&録音がなされています。

まだまだ大人し目の演奏なんだけど…チャールズ・ミンガス~ジャズ・コンポーザーズ・ワーク・ショップ

2008-01-10 22:53:53 | ジャズ・ベース
今日は、超名作、問題作の「直立猿人」発表前の、「怒れるミンガス」では無い、非常に和声を重要視した、演奏で構成されているアルバムです。

特に、後に「マイルス・デイヴィス」のプロデューサーとして、名を馳せる「テオ・マセロ」がサックス奏者として参加している所も、このアルバムが知的なムードを醸し出す要因となっています。

「ミンガス」のアルバムとしては、非常に理論的で、計算された調和的な演奏ですが、「ミンガス」ミュージックには、実はこう言う知的で繊細な部分が根本に有る事を分って欲しいんです。

アルバムタイトル…ジャズ・コンポーザーズ・ワーク・ショップ

パーソネル…リーダー;チャールズ・ミンガス(b)
      テオ・マセロ(ts、bs)5~8
      ジョージ・バロー(ts、bs)1~4、9
      ジョン・ラ・ポータ(cl、as)1~4、9
      マル・ウォルドロン(p)1~4、9
      ウォーリー・シリロ(p)5~8
      ケニー・クラーク(ds)5~8
      ルディ・ニコルス(ds)1~4、9

曲目…1.パープル・ハート、2.グロゴリアン聖歌、3.ユーロジー・フォー・ルディ・ウィリアムス、4.ティー・フォー・トゥ、5.スモッグ・L・A、6.レベル・セヴン、7.トランシーズン、8.ローズ・ゼラニウム、9.ゲッティング・トゥゲザー

1954年10月31日(1~4、9曲目)、1955年1月30日(5~8曲目)録音

原盤…SAVOY MG-12059  発売…日本コロムビア
CD番号…COCY-9839

演奏について…1曲目「パープル・ハート」…「ミンガス」らしからぬ、西海岸的なサウンドで始まり、「おや!」って思うんです。
「バロー」のバリトン・サックス、「ラ・ポータ」のクラリネットが絡み合う様に柔らかなサウンドを生み出し、「ニコルス」のドラムも前半は知的に、後半は「一発」派手にやってくれるんですが、いずれのメンツも中々の賢者ぶりを発揮しています。
当事者「ミンガス」だけは、怒ってはいませんが、野太いベースで皆をグイグイとドライブして行きます。

2曲目「グレゴリアン聖歌」…このアルバムでも秀逸の聴き物の一つ。
「ミンガス」の畏怖を覚える程の深いベースのボウイングから序奏が始まる。
その後、相変わらず野太いベース音に導かれて、各人がソロを取るんですが、この統率力、編成の妙も真に見事です。
とても静かだが威厳のある一曲です。

3曲目「ユーロジー~」…これも遠目から、(オフマイク的な)録音効果も有ってか、彼方から聞こえてくる「バロー」のバリトン・サックス、「ラ・ポータ」のアルト・サックス(中途で他の楽器に持ち替えも有りますが…)が、ふんわりとした朝霧の様に少し霞んだ、音色でアドリブを演じて、そうだなぁ…朝もやの海上で、ラッパを吹いている様な雰囲気…或いは、夜霧の波止場に佇み、サックスを奏でるニヒルな裕次郎みたいな感じでしょうか?(例えが悪いかな?)
音は少ないながら、コツンコツンとブロック・コードを弾く「マル・ウォルドロン」も良い味を出しています。

4曲目「ティー・フォー・トゥ」…ハーモニー重視の一曲ですが、中間でソロを取る「ミンガス」の重厚感溢れるベース演奏が最高にカッコイイです。
「バロー」のバリトン・サックスと「ラ・ポータ」のクラリネットでのバトル的なハーモニーも良い感じで来てますが、中間でアドリブを演る「マル」が、「マル節」全開で弾く所は、ジャズ・ファンなら思わず眉が下がる事間違いなしです。
「マル」はやっぱり「マル」なんだよね!
全編では白人的なサウンドに対して、黒い「ミンガス」と「マル」の漆黒音色が逆に映えます。

5曲目「スモッグ・LA」…のっけから「シリロ」の華麗なピアノ・ソロが冴え渡る。
「クラーク」の乾いた粘着系?のペタペタ・ブラシも同様に冴えて、それをバックに「マセロ」がサックスを気持ち良く吹きます。

6曲目「レベル・セヴン」…この曲も「シリロ」の小洒落たピアノ演奏と、ミンガスのガッツリベースをバックに「マセロ」がソロを演るんですが、「シリロ」と言うピアニスト…侮れないんですよ。
「レッド・ガーランド」が弾いている様な、良い感じの演奏なんです。
個人的には「マル・ウォルドロン」の漆黒色のピアノ…大、大好きなんですが、この編成で、「ミンガス」が目指すサウンドには、ハッキリ言って「シリロ」の方が合うと思います。

7曲目「トランシーズン」…ここでも「シリロ」…好フレーズ連発の、goodなソロ、アドリブを演るんですよ。
「ミンガス」と「クラーク」のサポートも最高で、ここでのピアノ・トリオでなされる演奏が最も聴き所かも知れません。
この3人で演っているピアノ・トリオ・アルバム…無いのかなぁ?
それぐらい魅惑的な演奏なんですね。
それを分っているのか?流石に「マセロ」…ソロイストで有りながら、サイドメン的にでしゃばらずに吹くんですよ。
この辺り、後の名プロデューサーの片鱗?が伺えます。(大爆笑)

8曲目「ローズ・ゼラニウム」…ここでも主役は「シリロ」です。って言うか、5曲目からこの曲まで、実は「シリロ」をフューチャーしたアルバム作成したらしいです。※今、ライナー・ノーツ読んでる私は何?誰?何処?って感じですか?
生意気にも、普段、よほど知りたい情報以外は、ライナー・ノートをあてにしないしない?性質なのでゴメンナサイ!
「シリロ」…当時は「レニー・トリスターノ」から影響を受けて、かなり有望な作曲家&ピアニストだった(らしい)。
どうりで、「シリロ」の絡んでる演奏&曲目…とても魅力的で、ここでの演奏も時代を先取りして、まるで「ハービー・ハンコック」の様に知的で切れた演奏をしています。

9曲目「ゲッティング・トゥゲザー」…これは「ニコルス」の派出目のドラムに引っ張られて、「ラ・ポータ」の華麗なクラリネットをメイン演奏に、「マセロ」「バロー」の2管が万華鏡の様に絡まる、カラフルな1曲です。
「マセロ」のバリトン、「バロー」のテナー演奏も好フレーズが多く、この煌びやかな演奏も良いですよ!

怒る魂が叫ぶ…チャールス・ミンガス・プレゼンツ・チャールス・ミンガス

2007-07-03 23:11:02 | ジャズ・ベース
最初に一言言っておきましょう。
カテゴリーは、「ミンガス」のリーダーアルバムなので、「ジャズ・その他」の項目に入れましたが、「エリック・ドルフィー」が参加しているので、「ドルフィー」の項目に入れようか最後まで考えた結果こうなりました。
このアルバムは、とにかく怒れる「ミンガス」ジャズの最高傑作であります。
「ミンガス」としては、小編成?のピアノレスカルテット演奏ですが、フロント2管が「エリック・ドルフィー」と「テッド・カーソン」ですので、メンバー的には申し分無いですね。
演奏曲は4曲だけですが、非常に内容が濃い4曲ですので、このアルバムを聴かれた方は、きっと満足されると思います。

アルバムタイトル…チャールス・ミンガス・プレゼンツ・チャールス・ミンガス

パーソネル…リーダー;チャールス・ミンガス(b)
      エリック・ドルフィー(as、b-cl)
      テッド・カーソン(tp)
      ダニー・リッチモンド(ds)

曲目…1.フォーク・フォームズ№1、2.フォーバス知事の寓話、3.ホワット・ラヴ、4.汝の母もしフライトの妻なりせば

1960年10月20日 録音

演奏について…アルバム曲中最も有名な曲(演奏)は、ミンガス・ミュージックの代名詞、2曲目の「フォーバス知事の寓話」である。
とにかく力強くグイグイ引っ張る「ミンガス」のベース音に、「ドルフィー」がアルトサックスの絶叫で絡みつく。
曲の所々で、皆でフォーバス知事を揶揄するトーキング・セッションも、曲の高揚と、怒り魂の燃え上がりに一役買っている。

3曲目「ホワット・ラヴ」は、表面的には怒れる「ミンガス・ミュージック」には、やや不釣合いなバラード的な曲調で、特に序奏部分の「カーソン」のブリリアントでメロディックなアドリブには目を見張らされる。
しかし、これはほんの序の口で、本当のクライマックスはこの後やってくる。
それは、曲中から「ミンガス」が「怒り」を心の奥底にあえて閉まって、表現するベース・ソロから始まる。
この後、「ドルフィー」がアルトサックスで熱き「絶叫」を言葉のシャワー如く、雨あられの様に吹きまくる。
それに対して「ミンガス」は、風林火山の動かない山の様に、大きく静かに、しかし野太いベース・サウンド&ソロで応戦する。
この二人の掛け合い・バトル・デュオは、このアルバム全体を通してのベスト1の白眉の名演奏である。

4曲目「汝の母~」は、名曲「オール・ザ・シングス・ユー・アー」を元にディフォルメして書かれた曲だが、原曲の美しさは殆ど分からないと言って良い。
しかし、この曲でもペットの「カーソン」&バスクラ「ドルフィー」のアドリブ・ソロは秀逸で、「ミンガス」も前曲とは異なって、自ら前面に出てきて、非常に攻撃的で熱いベース・ワークで、「ドルフィー」をアシストする。
その二人を更にサポートする「リッチモンド」も、アグレッシヴな演奏で煽りまくり、この曲のフィナーレはカルテット演奏と思えないほど重厚ですさまじい。

オープニング曲「フォーク~」は、4人がフリージャズの演奏の様に、それぞれ自己主張をしたアドリブソロを奏でるが、しかし時代はまだモード&フリーの入口なので、コンボとしての統制はしっかり取れている。
この中でもリーダー「ミンガス」の分厚いベースサウンドが、各人のファイティングスピリットを呼び起こす火付け役になっているのは、誰にも異論の無い所であろうし、さすが名バンドリーダーの貫禄だと認識させられる。


今日はちょっと異色のアルバムですよ。チャールス・ミンガス~メキシコの思い出

2007-06-12 23:05:22 | ジャズ・ベース
今日は数年に一回ぐらい聴きたくなる、濃くてそして渋い、だけどロマンティックなミンガスの異色アルバムを紹介しましょう。

曲調や流れから行くと、「ミンガス節」全開と言う訳ではなく、「直立猿人」や「道化師」と似てる部分もありこそはすれ、ちょっと毛色の違う作品であります。
どこが違うのかと言うと、ミンガスのバーバリズムだけでなく、スペインのフラメンコが入って、かなりエキゾチックで、エロスのエッセンスも入った、ロマンティックな曲に仕上げている所が、大きな差異でしょう。

アルバムタイトル…メキシコの思い出

パーソネル…リーダー;チャールス・ミンガス(b)
      ジミー・ネッパー(tb)
      カーティス・ポーター(as)
      クラレンス・ショウ(tp)
      ビル・トリグリア(p)
      ダニー・リッチモンド(ds)
      フランキー・ダンロップ(per)
      イザベル・モレル(castanets)
      ロニー・エルダー(voices)

曲目…1.ディジー・ムード、2.イザベルズ・テーブル・ダンス、3.ティファナ・ギフト・ショップ、4.ロス・マリアッチス(街の楽師たち)、5.フラミンゴ

1957年7月~8月 録音

演奏(曲)について…お薦め曲ナンバー1は、誰がなんと言っても2曲目の「イザベルズ・テーブル・ダンス」です。
フラメンコを題材にした曲で、カスタネットとヴォイスの掛け声によって、エキゾチックな序章が始まり、最初はミンガスのボウイングでベースが奏でられ、その後野太いベース音に、ネッパーのトロンボーンや、ポーターのアルトなどがラテン臭さを纏いながら絡みついて来て、分厚いサウンドを奏でる。
しかし、普段のミンガスならその分厚いサウンドで押し通すのだが、今回は緩急と静寂をつけて、変化をもたらすところがにくい。
例えば、リリカルなピアノをトリグリアが弾いたり、カスタネットとヴォイス、そしてベース音のみで、色っぽく数小節進行させたりして、非常に飽きさせない内容となっていて、曲の起承転結もハイセンスにまとまっている。
いずれにせよ、ミンガスの音楽性の豊かさと、奥行きの深さが分かる演奏です。

次いでは、このアルバム中、前曲と肩を並べる大作の4曲目「ロス・マリアッチ」も素晴らしい。
ここでも、ラテン調のピアノをトリグリアがかましたり、一転ホーン・セクションが吼えて、叫んで、又、物悲しいソロに戻ったりと、曲が良い意味で一筋縄では終わらないのである。
勿論、リーダーのミンガスはいつもと同様、分厚いベースをぐいぐいと弾き、メンバーを煽り高揚させる。
しかし、この盤では、ただ高揚させるだけでは無く、抑えた静寂の部分をあえて聴かせると言う、綿密な?計算もなされているのも見事です。

この2曲は、ミンガスの粗暴さと、哀愁の両方を兼ね備えた名作と言えます。

5曲目は上の2曲を更に凌駕する哀愁のバラード曲で、いやー余りにもミンガスらしくないので、ちょっと複雑な心境になってしまう。
しかし、本当に良い曲で、特に「ショウ」の抑えたトランペットと、叙情的ピアノを終始弾く「トリグリア」の両者は素晴らしい演奏で、この静寂のバラードを彩っています。

オープニング曲「ディジー・ムード」は、いかにもミンガス色が濃い感じで、まじ納得です。
少し洗練された、「直立猿人」と言えば分かり易いかな?

しかし、全曲を通じて思うのだが、「ミンガス」節も勿論、随所にあるのだが、彼の生涯作品の中でも、指折りのロマンティックなエッセンス満載のアルバムで、是非、皆さんにも「異色のミンガスアルバム」として一聴して頂きたい。

飛切り楽しいジャズ・ボッサ・アルバム、「オルフェ」~ロン・カーター

2007-05-13 16:36:50 | ジャズ・ベース
今日は、ロン・カーターがリーダーのボサノヴァ・アルバムを紹介しましょう。

ボサ・ノヴァの名曲とロン・カーターのオリジナル曲や編曲があり、とても聴き易く心地よいアルバムに仕上がっています。

アルバムタイトル…「オルフェ」

パーソネル…リーダー;ロン・カーター(b)
      ヒューストン・パーソン(ts)
      ビル・フリーゼル(g)
      スティーヴン・スコット(p)
      ペイトン・クロスリー(ds)
      スティーヴ・クルーン(perc)
   ロン・カーター・セクステット 
              
曲目…1.サウダージ、2.黒いオルフェ、3.日没、4.家路、5.1:17スペシャル、6.オブリガード、7.オルフェのサンバ 

1992年2月録音

演奏(曲)について…まず演奏全般に言えることだが、リーダーの「カーター」は自分が普段率いているコンボと言う事もあり、あくまで「バン・マス」的な立場でリズムを推進し、統率を取る事に終始して、ベースのソロをフューチャーすることは少ない。
まぁ、解説を読まさせて頂くと、カーター自身の考えが最初からそう言うコンセプトだったとの事。
※唯一例外的にソロを多く取っているのは、ラストのオルフェのサンバのみ。

さて、推薦曲などを解説して行きましょう。

まず冒頭の「サウダージ」は何と言ってもカーターの作曲自体が素晴らしい。
ボサ・ノヴァなのだが、映画音楽の挿入歌の様な、切なさと甘美さを備えた名曲であり、そして演奏的にも全曲のベスト1であろう。
演奏について言うと、テナーのパーソンが品の良い哀愁メロディを奏でるのも素晴らしいが、ピアノのスコットが一瞬キース?と思わせるようなロマンティックなメロディ、シングルトーンを奏でて、追従して何とハミングもしている。(うなり声まで、まじでキース・ジャレットソックリだぁ)

次いで2曲目「黒いオルフェ」も60年代の元祖ボサ・ノヴァ・ブームのゲッツの名盤を思い起こさせる名演。
ここでは、ギターのフリーゼルが最もセンス良いコードプレイをしており、そこにパーソンが品良く絡んでくる。
二人が、悲劇の主人公二人を代弁する様な美しい演奏である。

3曲目と6曲目は、これぞブラジリアン・ミュージックと言えそうな、楽しさ一杯の演奏です。
3曲目は、ナベサダのブラジル音楽シリーズ(カリフォルニア・シャワーとかオレンジ・エキスプレスなんか)を知っておられれば、ニュアンスとイメージは分かると思います。
ここでの主役はパーカッションのクルーンとフリーゼルです。
6曲目も同様の演奏で、クルーンとスコットが良い味を出してます。

そして侮れないのが、ドヴォルザークの有名曲、新世界からの2楽章「家路」をモチーフとした、ボサ・ノヴァの「家路」
本当に夕陽に向かって、波打ち際の砂浜を歩いて帰る風景が目に浮かぶ程、絵画的で美しい演奏です。

5曲目の「1:17スペシャル」はこのアルバム中一番ジャージーでブルージーな演奏。
ミディアムテンポだが、演奏に非常にグルーブ感があり、カーター自身が最も良い演奏をしているのはこの曲だと思う。
わずかだが、カーターのアドリブ・パートも録音している。

最後に本人のベースが前面にフューチャーされた7曲目だが、ソロ演奏のフレーズは素晴らしいのだが、年のせいもあるかも知れないが、ベースの音自体があまり良くないと思える。
昔からジャズ・ベーシストの中では最も「ほのぼのトーン系の人」ではあるのだが、録音年から言って、録音が悪いなどとは到底考えにくいので、カーターのパワーが無くなってきたのか、指の押さえが弱くなってしまったのか、いずれにしてもちょっと残念です。

しかしながら、名コンボリーダーとしては申し分ない素晴らしいアルバムです。








チャールス・ミンガスの「道化師」

2007-02-27 23:52:03 | ジャズ・ベース
本作は、ミンガスのアトランティック録音の第2段である。
偉大なるベーシスト兼バンドリーダーであるミンガスは、世に多くの問題作を提起してきた。
このアルバムの前作「直立猿人」などはその最たる作品であるが、今回はあえてこのアルバムを紹介したい。

アルバムタイトル名…「道化師」
ジャケット写真からしても、強烈なインパクトを放っている。

パーソネル…チャールス・ミンガス(b)
      カーティス・ポーター(as&ts)
      ジミー・ネッパー(trb)
      ダニー・リッチモンド(ds)

曲目…1.ハイチ人戦闘の歌、2.ブルー・シー、3.ラブ・バードの蘇生、4.道化師

演奏について紹介です。
1曲目から、ミンガス節全開であり、この曲が一番の推薦曲である。何とも攻撃的なタイトルであり、演奏である。ミンガスのベースもさることながら、ポーターのサックス、それにも増して、ネッパーのトロンボーンがエグい。
4曲目のアルバムタイトル曲は、ナレーション入りで実験的な作品だ。

正直、ミンガスのアルバム(曲)は、今迄紹介してきたアルバムの様に、聴き易くはないが、こう言うジャズがあることも分かって欲しいし、これだからジャズは面白いのである。



スパニッシュ・ブルー~ロン・カーター

2007-02-20 23:23:14 | ジャズ・ベース
今日紹介のアルバムは「ベースの巨人」「ロン・カーター」がCTIに録音した、「スパニッシュ・ブルー」です。

その名の通りスペイン風(フラメンコチックと言った方が良いだろうか?)の曲を当時のCTIオールスターズがドラマチックに演奏します。

アルバムタイトル…「スパニッシュ・ブルー」

パーソネル…ロン・カーター(b) 
      ヒューバート・ローズ(fl)
      ローランド・ハナ(p&elp)
      レオン・ペンダーヴィス(elp)
      ジェイ・バーリナリー(g)
      ビリー・コブハム(ds)
      ラルフ・マクドナルド(pcs)

曲目…1.エル・ノーチェ・ソル
   2.ソー・ホワット
   3.サバド・ソンブレロ
   4.アーカンソー

1974年11月 録音 

このアルバムの特徴を一言で言えば、カーターの恩師「マイルス・デイビス」の名アルバム「スケッチ・オブ・スペイン」をいかにもヒントにしていると言った感が有る。(悪く言えばパクリ?)
但し、2曲目にカーターが幾度となくこの恩師と共演した、マイルスの自作曲「ソー・ホワット」を演奏している所を伺うと、まぁ「パクリ」と言うより、「マイルス・リスペクト」と言った方が的を得ているかとも思う。

スペインの風を感じる1曲目&3曲目と、マイルスに近づいた?2曲目が特にお薦めです。
4曲目はこの頃のフュージョン節全開で、好みが分かれる気がします。

今日紹介のアルバムはヘビーですよ!

2007-01-27 14:02:30 | ジャズ・ベース
こんにちわ。
今日紹介のアルバム名はとってもヘビーなんですよ。
リーダー:チャーリー・ヘイデン
アルバムタイトル「戦死者たちのバラッド」です。
このアルバム、発売当時の批評はあまり芳しくなかったような記憶がありますが、
聴いてみて、いやはやビックリですよ。
バンドリーダー兼ベーシストのチャーリー・ヘイデンという人は、1969年に歴史に残る傑作ジャズアルバムの「リベーレーション・ミュージック・オーケストラ」を世に送り、一躍時の人となりました。
これはこれで良いアルバムですが、私個人の好みでは今日紹介のアルバムの方が全然良いです。
まぁ、私がラテン好きという所から起因していると思いますが、大作ですけど非常にメロディアスで、悲しい曲なのに美しいです。
このアルバムの主なテーゼは、反戦にありますが、親や兄弟、子供を殺しまくり?の今の日本(人)にこそ、聴いて頂きたいので紹介を致しました。
もしも聴いた方がいらっしゃいましたら、レス頂けるとありがたいです。