紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

録音状態は最悪?しかし演奏は最高峰…ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン

2007-12-08 15:38:09 | ジャズ・ギター
今日の3枚目は、あの伝説のライブ・アルバム行っちゃいましょう。

先だっては、この類のアルバムとして「ジャズ・アット・マッセイ・ホール」を紹介しましたが、今日のアルバムは、それよりも更に10年以上も古い録音で…音質は正直相当「悪い」んです。しかし、演奏は最高!

天才ジャズ・ギタリスト「チャーリー・クリスチャン」の全盛期のスーパー・プレイが収められているだけでなく、若き日の「ディジー・ガレスピー」や「ケニー・クラーク」、そしてこれまた若い頃の「セロニアス・モンク」等、後のスーパー・スター達の演奏参加も見逃せ無い希少なアルバムです。

アルバムタイトル…ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン

パーソネル…チャーリー・クリスチャン(g)
      ディジー・ガレスピー(tp)
      セロニアス・モンク(p)
      ケニー・クラーク(ds)
      ドン・バイアス(ts)
      ジョー・ガイ(tp)

曲目…1.スイング・トゥ・バップ、2.ストンピン・アット・ザ・サヴォイ、3.アップ・オン・テディズ・ヒル、4.ダウン・オン・テディズ・ヒル、5.ガイズ・ガット・トゥ・ゴー、6.リップス・フリップス、7.スターダスト、8.ケルアック、9.スターダスト

1941年録音

発売…センチュリー・レコード
CD番号…CECC-00376

演奏について…オープニング・ナンバー「スイング・トゥ~」では、録音の関係からか曲の途中からレコーディングされているが、「クリスチャン」が、縦横無尽に行け行けでアドリブを弾き捲る。
今となっては超絶技巧では無いのだが、この時代にエレキ・ギターをぶいぶい言わせた事が、ジャズの歴史そのもので有り、「クリスチャン」のすごい所です。
音質は悪いが、「クラーク」も、バス・ドラを利かせながら、かなり皆を煽っており、その後の中間部でトランッペットのソロをかますのは「ガレスピー」?であろうか。
「ガレスピー」は、「クリスチャン」のギターに触発されたのか、輝かしい音色でハイトーンで吹き切ります。
そして「モンク」が登場!
この頃は「モンク」節ばりばりでは無く、結構まとも?に弾いてますよ。
しかも、乗り、スインング感覚とも悪くない。
「モンク」…良い仕事をしております。
最後はもう一度「クリスチャン」のカデンツァ的なギター・アドリブが聴衆を席捲する。
とにかく「クリスチャン」の演奏、スピリットともすごいとしか言いようが有りません。

2曲目「ストンピン~」…序盤では、ブリリアントな「ガレスピー」の絶好調ソロから始まり、「クリスチャン」は伴奏に専念している。
その後、「モンク」が、まともにメロディ展開をさせたアドリブをかますが、ここでも「クリスチャン」は、伴奏状態。
それから、やっとイマジネーション豊かな、素晴らしいソロ演奏に入ります。
とにかく迫力満点の分厚いトーンのギター音量(演奏)で、聴いている者のハートを熱くさせる。
演奏は、もう一回熟考された「ガレスピー」のソロに戻り、「クリスチャン」も応戦して終わります。

3曲目「アップ・オン~」…この硬派の「クリスチャン」の演奏に興奮したのか?聴衆?或いはメンバーの気分がハイになって、全員ノリノリ状態になります。
「クリスチャン」は、それでも自分のスタイルは変えずに、ぶいぶい弾き続けます。
しかし、「クリスチャン」の演奏は本当にパワフルで、ドライヴィング力の強いギター演奏ですね。
その後は「バイアス」が、負けじとテナーで応え、「ガレスピー」もペットで応えます。
やや早めの4ビートでグングン突き進む、ジャズ・トレイン(機関車)演奏列車に乗っているみたいです。

4曲目「ダウン・オン~」…序奏から「クリスチャン」がグングンとアドリブを決めて、廻りは興奮の坩堝と化している。
「クリスチャン」のカリスマ性、演奏オーラの強烈さは半端じゃないね。
「ガレスピー」は、おどけや遊びが出せない程、偉大なギタリストのソロを受けて一所懸命に吹いてくれます。

5曲目「ガイズ・ガット~」では、曲の紹介から録音されていて、ライブの臨場感が改めて伝わります。
「クリスチャン」は、ここでシングルを活かして、ブルージーな感覚で弾いてくれます。
サイド・メンバーは皆、伴奏的な演奏で盛り上げてくれます。

6曲目「リップス・フィリップス」では、「バイアス」がノッケから飛ばして好フレーズを連発してアドバンテージを取ります。
それを受けて「ガレスピー」?いや「ジョー・ガイ」かな?も思い切りの良いフレーズを吹きます。
しかし、すぐに真打登場!
「クリスチャン」が皆の遥か上を行く、アドリブ・・フレーズを続々と繰り出してイマジネーションの豊かさと、ギター・テクの素晴らしさを見せ付けます。
「クラーク」も良いサポート演奏をしてくれますが、いずれにせよ「クリスチャン」のアドリブ演奏が図抜けてすごいのは一目瞭然です。

7曲目名曲「スターダスト」は、「バイアス」が色気たっぷりにテナーを響かせ、バラッドなら我に有利と、気合充分に吹きます。
続く「ガレスピー」も幾分抑え目のトーンで、勢いよりも抑制の美学…渋さで曲のメロディ・ラインの美しさを目立たせます。
そうすると、もう一度「バイアス」が序奏よりももっとダンディズム溢れるソロを吹き、「ガレスピー」も同様に応えます。
終盤でのこの二人の(二重奏的な)掛け合い、コラボ演奏は、お見事の一言です。
「クリスチャン」は二人に花を持たせて、終始伴奏に務めます。

8曲目「ケルアック」…「モンク」が乗りの良いブロック・コードをメインにスタートさせると、「ガレスピー」もすぐさま、この曲に乗って来て、好フレーズで巻き返します。
そうすると、もう一度「モンク」が軽やかにアドリブを決め返します。
先ほどはテナーとペットの掛け合いでしたが、この曲ではピアノとペットのコラボ掛け合いで構成されていて、興味深いですね。
この曲でも「クリスチャン」は伴奏参加だけです。
しかし、完成された「モンク」の演奏の下手ウマは、やはり思索的に作ったプレイだと言うのが、これでハッキリしましたね。
何と言ってもここでは、華麗に軽やかに、そして流麗にピアノ演奏を決め捲っているんですから。

9曲目「スターダスト」は、7曲目の別テイクです。
この演奏では「モンク」の華麗なピアノ演奏で、テーマ、序奏が告げられます。
ここでの「モンク」のアドリブ演奏…すごく魅力的です。
更に「モンク」をフォローする様に、「ガレスピー」も魅惑的なフレーズでアドリブ演奏をしてくれて、心に残る美演でアルバムが終わります。

何度も言いますが、とにかく音質は悪く聴き辛いですが、天才「クリスチャン」のアドリブ、スーパー・カデンツァは最高の上、若い頃の「ガレスピー」、「モンク」等の初々しいソロも必聴物なので、是非とも聴いて欲しいアルバムの一つです。


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これも聴いてませーん。 (加持顕)
2007-12-09 16:21:47
こんにちわ。

この作品も、音質が正直相当「悪い」と聞いていたので、いまだに聴いてません。輸入盤で発売されたら聞こうかな・・・。

蛇足ですがミュージシャンのクレジット、
ドン・バイアス(ts)、ジョー・ガイ(tp)
でしょうか?
返信する
加持さんありがとうございます。 (えりっく$Φ)
2007-12-09 22:55:14
いつもコメントすみません。
加持さんのご指摘通り、「バイアス」と「ガイ」は逆にクレジット表記されていました。
訂正させて頂きます。
本当に音は悪いですが、演奏は「クリスチャン」の神ががり的な名演で、買う価値大有りです。
是非、機会が有ったら、聴いて下さい。
返信する
Unknown (小林)
2022-12-14 00:37:25
楽しい記事ありがとうございます。聴きながら読むのが楽しいです。これからも色んなアルバム紹介して下さいね。
返信する

コメントを投稿