紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ブラジルの名ドラマー「ロベルチーニョ・シルヴァ」~「ボダス・ヂ・プラータ」

2007-04-30 23:30:04 | ラテン・インストゥルメンタル
まずは、「ロベルチーニョ・シルヴァ」を良く知らない方々に解説書を参考にしてご紹介します。

ロベルチーニョ・シルヴァ…1941年ブラジル、リオ・デ・ジャネイロの生まれで、1988年には「ミルトン・ナシメント」のメンバーとして来日したことがある。
彼は、以前紹介のマルチ・インストゥメンタル奏者「パスコアール」などと数多くのアルバムレコーディングに参加しており、取分け今回ご本人の作曲でもある名曲「スピーク・ノー・イヴィル」にソプラノサックスで参加している「ウェイン・ショーター」の、その名も名盤「ネイティヴ・ダンサー」にドラムスとして参加していたのである。
とにかくサンバのノリを持つ優れたタイム感覚と、骨太のドラムを敲く職人肌のドラムスです。

では詳細について説明しましょう。

アルバムタイトル…「ボダス・ヂ・プラータ」(銀婚式)

パーソネル…リーダー;ロベルチーニョ・シルヴァ(ds)
      ミルトン・ナシメント(p)
      ルイス・アルヴィス(b)
      フランク・コロン(perc)
      ヴァンデルレイ・シルヴァ(perc)
      アレウーダ(voice)
      ウェイン・ショーター(ss)
      グループ・ウアクチ(etc.)
      他

演奏曲…1.ヴェイオ、2.サンバ・ブラジル、3.ドルフィン、4.ボダス・ヂ・プラータ、5.スピーク・ノー・イヴィル、6.リリア、7.ベニー・カーターの肖像、8.オルフェアンの日曜日、9.パルチード・アルト・№2、10.ガイオ・ダ・ロゼイラ

演奏(曲)について…オープニング「ヴェイオ」はこのアルバムがブラジル音楽のアルバムである事を高らかに告げる。
2曲目の名曲「サンバ~」は一転してフルートとオケにより寛ぎのボサ・ノヴァに聴者が身を委ねる。
3曲目「ドルフィン」も「サンバ・ブラジル」と同路線で安心感一杯。
そしてクライマックスはその次からやって来る。
まず最初に、アルバム・タイトル4曲目「ボダス~」のハイセンスな編曲と演奏、そこには「ショーター」の甘いソプラノサックスの響きが、幻想的な宇宙へと誘い、リーダー、「ロベルチーニョ」は重厚感が有るが決して五月蝿くはない超絶的なドラミングでその「ショーター」と融合する。
そして白眉がその「ショーター」を全面的に押出した次曲でジャズの名曲「スピーク~」である。
ここで「ショーター」は素晴らしいアドリブを演じており、バックのメンバーも盛り上げに徹して、最高のパフォーマンスを形成している。
6曲目「リリア」はいかにもナシメントの作品らしく、「ブラジリアンポップス演歌」と言えるような作風が楽しい。
7曲目は「ベニー・カーター」の名を付けているが、肩肘張らない優雅なサックス曲で、「ショーター」の貫禄が見て取れる。
8曲目はサンバ、9曲目も高速のサンバでアルバム後半を盛り上げ、最後に現代音楽の様な前衛さと、奥方「アレウーダ」のヴォイス、そしてラテン・パーカッション系楽器のうねり、それと絡むアコーディオン、ベースなどが不思議な魅力を醸し出す「ガイオ~」で締め括る。

ジャズ、ラテン、フュージョン好きな人、絶対に聴かなくてはならないアルバムですぜ!!

半世紀以上経った今でも色褪せない永遠の名演「ブレイン&カラヤン」~「モーツァルトホルン協奏曲集」

2007-04-29 23:36:05 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
このアルバムはイギリスが生んだ不世出の天才ホルン奏者、「デニス・ブレイン」の代表作であり、半世紀以上経った今でも誰一人越える事の出来ない(並ぶ事すら出来ない)永遠不滅の名盤である。

ホルン奏者「デニス・ブレイン」は、1957年9月1日ロンドン北部にて、自ら運転するスポーツカーで事故を起こして、わずか36歳で夭逝した。
ホルンは楽器の中でも最も演奏が難しいと言われており、この楽器を自由自在?に操る事の出来るミュージシャンが唯一絶対「ブレイン」なのである。

そして、バックを務めているのが、若かりし頃の「ヘルベルト・フォン・カラヤン」とフィルハーモニア管弦楽団である。
この頃の「カラヤン」は晩年のような人工的な磨きぬかれた「カラヤン節」での演奏ではなく、かなりオーケストラの自発性を尊重する様な自然体の演奏で非常に好感が持てます。


1953年11月12日、13日&23日 録音

曲目…モーツァルトホルン協奏曲第1番ニ長調 K.412
   モーツァルトホルン協奏曲第2番変ホ長調 K.417
   モーツァルトホルン協奏曲第3番変ホ長調 K.447
   モーツァルトホルン協奏曲第4番変ホ長調 K.495

演奏(曲)について…まぁ上記にて、「ブレイン」を神格化する程褒めていますので、4曲全ての楽章とも演奏自体はけちをつける様な所は全く有りません。
そうなると最もお薦めの曲は、曲自体の魅力によると思います。

ベスト1はやはり曲の完成度が高い第4番だと思います。
次いで、非常にフレッシュな魅力が溢れている第1番でしょうか。
いずれにしても、古今東西「モーツァルトホルン協奏曲」集と言えばこのアルバムに限りますので、是非天才の残した奇蹟を聴いて下さい。

「パリ北駅着、印象」~「ケニー・ドリュー・トリオ」

2007-04-28 23:52:20 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
このセンス溢れるジャケットを見てください。
かつて一世を風靡したアルバムであり、演奏曲も品の良いユーロ作品&スタンダードをセレクトしてあります。

また、この録音の企画は、当時のケニュー・ドリュー再出発アルバムでもあります。

アルバムタイトル…「パリ北駅着、印象」

パーソネル…リーダー;ケニー・ドリュー(p)
      ニールス・ペデルセン(b)
      アルヴィン・クイーン(ds)

曲目…1.パリ北駅着、印象、2.イブニング・イン・ザ・パーク、3.カフェ・フローラ、4.枯葉、5.ノー・グレイター・ラブ、6.マイ・シップ、7.ルージュ・プリンス、8.モーニング・ミスト、9.ラスト・タンゴ・イン・パリ、10.追憶

1989年5月14日&15日 イージー・サウンド・スタジオ コペンハーゲン

演奏(曲)について…まぁ私の大好きの「枯葉」は、やはりとても素晴らしい。
「ドリュー」の演奏技術の確かさ、「ペデルセン」のカチッとしたベースフレーズがこの作品の魅力を伝えており、50年代(いや全録音かな?)のベスト1ピアノトリオ演奏が、「ビル・エヴァンス盤」だとすると、これは80年代(実質90年代の方が正しいかな?)のベスト1でしょう。

それから、ドビュッシーの曲のようなオープニングから入る6曲目「マイ・シップ」のバラード(シャンソン)は、乙女心をくすぐりますね。

ラテン調の8ビートの早いテンポで「ペデルセン」がぶいぶい言わす9曲目「ラスト~」は心を無性にファイトさせる利き酒の様な魅力があり、「ドリュー」のシングルトーンも勿論素晴らしいですが、それにも増してここでは「クイーン」のドラムスが最高です。

バーブラ・ストライザンドで知られている名曲「追憶」の、いかにも「大人のピアノ・トリオ」と言える余裕と奥行きのあるバラード演奏もラストを飾るに相応しい名演奏です。

「fetish」~「hotei」

2007-04-27 23:41:23 | J-POP
今日は何かJ-POP、それもギターがメインのアルバムを聴きたいなぁ。
って事で、布袋寅泰の「fetish」を紹介しましょう。

このアルバム、布袋の代表作か?と問われれば、多分答えはNOでしょう。
やはり、独立初期の頃の「guitarism」シリーズが代表作と言えばそうだと思います。
しかし、私はこの「fetish」って言うアルバム、大好きです。

何が好きかって?言われれば、それはやはり曲でしょう。

演奏曲…1.BOY MEETS GIRL、2.LOVE JUNKIE、3.NO.1 IN THE UNIVERSE、4.BEAUTY & THE BEAST、5.PRINCE OF DARKNESS、6.LIFE IN TOKYO、7.VAMPIRE、8.SECRET、9.HEAVEN、10.FETISH

勿論、布袋オリジナルの曲の魅力もあるのですが、各曲の編曲もとてもハイ・センスでただのエレキギターばりばりの演奏のアルバムとは、明らかに一線を画しています。

特にピアノを効果的に使用している4曲目「BEAUTY~」や5曲目「PRINCE~」なんか真面目にセンスの塊の様な編曲です。
5曲目は何かヒンズーのお経の様なリズム、テンポも素晴らしいですね。
スタートからの3曲も私的にはとても好みで、1曲目「BOY~」はまぁ有名曲ですし、3曲目「NO.1~」はとてもメロウで感性を擽ります。
2曲目「LOVE~」は、私的にはもう説明の必要なし。
このアルバムのフェイバリットベスト1と言うより、布袋全作品中でも「トップ」に推したい程大好きな曲です。
そして7曲目「VANPIRE」も非常に素晴らしい曲で、ガツンガツンくるリズムは何回でも聴きたくなります。
8曲目「SECRET」と9曲目「HEAVEN」は一転して、これまた布袋お得意の「ロック・ギター・バラード」に心を燃やしておくれなまし。
そして、ラストを飾るアルバムタイトル曲は、サンタナ調(ラテンポップ風)インストゥルメンタルで涙チョチョ切れ!!

うーぅん、改めて聴き直して見ると、こりぁ私が好きな訳が分かります。
もろ直球ど真ん中のストライクじゃん。

肩のこらない小粋なピアノ・トリオ「ザ・スリー・サウンズ」~「ボトムズ・アップ」

2007-04-26 23:44:26 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
今日は肩肘張らない、小粋なピアノ・トリオを紹介しましょう。
正直、この3ヶ月間の間で、何で紹介していなかったんだろうと思うほど、初心者の方々にも聴き易いピアノ・トリオ・アルバムです。

アルバムタイトル…「ボトムズ・アップ」

パーソネル…「ザ・スリー・サウンズ」
      ジーン・ハリス(p、celeste)
      アンドリュー・シンプキンス(b)
      ビル・ドゥディ(ds)

曲目…1.ベサメ・ムーチョ、2.エンジェル・アイズ、3.タイム・アフター・タイム、4.ラヴ・ウォークト・イン、5.アイ・クッド・ライト・ア・ブック、6.ジーン・ルウ、7.ナッシング・エヴァー・チェンジズ・マイ・ラヴ・フォー・ユー、8.恋に恋して

1958年9月16日、28日、 1959年2月11日録音

演奏(曲)について…「ザ・スリー・サウンズ」はブルーノートレーベルの言わば専属ピアノトリオと言っても過言ではなく、このレーベルに長きに渡り20枚以上にアルバムを残した。
ものすごい超絶技巧でもなく、ハイセンスでもなく、特徴的な音質・音色でもないのだが、小粋で明るく楽しく、いつ聴いても肩のこらないピアノ・トリオを味わえる、食べ物で言ったら、「玉子かけご飯」か「お茶漬け」みたいな物だろうか。

さて、演奏曲だが、まずマイ・フェイバリットの「ベサメ~」はちょっとお下品な類の演奏だが、正直嫌いじゃない。
オープニングには誠に元気で宜しい!って言う感じです。
7曲目「ナッシング~」もラテンの曲で「ベサメ~」の演奏の延長線上にあり、これまた結構です。
侮れないのが、6曲目「ジーン・ルウ」で、ピアニスト「ハリス」のオリジナル曲らしいのだが、途中で弾いている「セレステ」の演奏センスが良く、もしかしてこのアルバムのナンバー1かも。
2曲目「エンジェル~」と4曲目「ラヴ~」なんかは、これぞ「ザ・スリー・サウンズ」だ!的な演奏でお薦めです。
特に「ラヴ~」は「ハリス」の演奏テクが随所に垣間見れて、ただの「おくつろぎピアノトリオ」じゃないって事を感じさせます。




2回目の登場だ!「バルネ・ウィラン・カルテット」~「ニューヨーク・ロマンス」

2007-04-25 23:53:48 | ジャズ・テナー・サックス
今日は以前紹介したことがある、「バルネ・ウィラン」のヴィーナス録音の中の同シリーズの1枚から、「ニューヨーク・ロマンス」をセレクトします。

アルバムタイトル名…「ニューヨーク・ロマンス」

パーソネル…リーダー;バルネ・ウィラン(ss、ts&bs)
      ケニー・バロン(p)
      アイラ・コールマン(b)
      ルイス・ナッシュ(ds)

曲目…1.危険な関係のブルース、2.クライ・ミー・ア・リバー、3.ブルース・ウォーク、4.ユーブ・チェンジド、5.ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ、6.マック・ザ・ナイフ、7.ドント・フェンス・ミー・イン、8.オールド・デヴィル・ムーン、9.アイ・ウィル・セイ・グッドバイ

1994年6月19、20日 ニュー・ジャージー、イングルウッド・クリフス・ヴァン・ゲルダー・スタジオ にて録音

演奏(曲)について…まずこのアルバムの良い点を挙げて見よう。
1…曲が良い(日本人のジャズ好き向けの企画レコーディングなので、説明は要りませんね)
2…録音がメチャ良い(特にこのCD盤、ハイパー・マグナム・サウンド+24Kゴールドプレス限定盤なので、その音質は筆舌しがたい)
マルチ・リード奏者、ウィランのそれぞれの音の違いが良く分かる上、バロンのピアノ・タッチの立ち具合、コールマンのふくよかだが、締りもあるベースの質感、そしてナッシュの繊細なブラシやシンバルワークの音が実に良いんですよ。
3…演奏が良い。死の少し前だが、油が乗り切ったバルネの素晴らしい演奏を充分に堪能できる。
お薦め曲だが、6曲目「マック~」は「ロリンズ」の名演奏と違い、原曲をかなり崩してはいるが、とてもスローでロマンティックな「バルネ」のソプラノサックスと、これまた美しい「バロン」のピアノが絹織物を紡ぐようです。
オープニング「危険な~」はこの輝かしいこのアルバムのスタートを告げるに相応しい演奏で、気分を高揚させて皆を「やる気」にしてくれます。
2曲目「クライ・ミー~」も6曲目同様、ソプラノ・サックスのとてもロマン溢れる演奏で、バルネってマジ美しい。
3曲目「ブルース~」は「バロン」のピアノが抜群で、「バルネ」は「バリトン・サックス」で渋く決めまくる。
バックの「コールマン」と「ナッシュ」も「これぞ漢」と言う渋かっこいい演奏を決める。
とにかく4人(ワンホーン)の「かっこいいジャズ」を是非聴いてくれ!!

いよいよ神の領域に足を踏み入れ始めた名盤、オレ!~「ジョン・コルトレーン」

2007-04-24 22:59:15 | ジョン・コルトレーン
今日はコルトレーンが神の領域に足を踏み入れ始めた名盤、アトランティックレーベルの最終録音「オレ!」を紹介しましょう。

「オレ!」はその題名の通り、コルトレーンがフラメンコの旋法を題材とした3/4拍子のワルツスタイルのオリジナル曲です。

アルバムタイトル…「オレ!」

パーソ-ネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ss、ts)
       エリック・ドルフィー(fl、as)
       フレディ・ハバード(tp)
       マッコイ・タイナー(p)
       レジー・ワークマン(b)
       アート・デイヴィス(b)1.2.4曲のみ参加
       エルヴィン・ジョーンズ(ds)

演奏曲…1.オレ!、2.ダホメイ・ダンス、3.アイシャ、4.アンタイトルド・オリジナル・バラード(★CDのみボーナス・トラック)

1961年5月25日録音

演奏(曲)について…いつものワンパターンでごめんなさい。
まず、このすごい演奏メンバーを見てください。
この3ヶ月弱で、リーダー紹介をしてきた方達ばかりのオールスターメンバーに、生唾ゴクリ物です。

そしてズバリこのアルバムの白眉は、タイトル曲「オレ!」です。
まず特徴としては、ダブル・ベース・サウンド(ベーシスト二人)が挙げられるでしょう。
右が「デイヴィス」、左が「ワークマン」でこの二人のベース演奏によって、サウンドが非常に分厚くなり、トレーンのこの曲の演奏に求めた「重厚感」を表現する事を可能にしました。
勿論、「トレーン」のソプラノサックス、「ドルフィー」のフルート、「ハバード」のペットもサウンドの飛翔を煽る素晴らしいアドリブを演じており、「マッコイ」のモーダルなピアノも彼等を強力にサポートしています。

それから2曲目「ダホメイ・ダンス」は正しく「ドルフィー」のアルトサックスを聴くための曲と言っても過言ではありません。
このブルース曲を彩る「超絶のアドリブソロ」を堪能して下さい。
「マッコイ」作曲の3曲目は「トレーン」十八番のバラッド演奏、「ハバード」も格調高いソロを奏でています。
ボーナストラックの4曲目めのバラード演奏も聴き物で、ここではまたまた「ドルフィー」が素晴らしい演奏をしております。

長い曲ばかり4曲ですが、「これぞモードジャズの極め付け」の様な演奏なので、是非聴いて下さい。

「ドン・ランディ・トリオ」~「枯葉」

2007-04-23 22:11:58 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
今日はかつて、スウィング・ジャーナル誌の名盤蒐集CLUBに選ばれた事もあるとても渋いピアノ・トリオの名盤を紹介します。

アルバムタイトル…「ドン・ランディ・トリオ」枯葉

パーソネル…リーダー;ドン・ランディ(p)
      リロイ・ビネガー(b)
      メル・ルイス(ds)

演奏曲…1.T.J.ズ・ブルース、2.ワルツィング・マティルダ、3.アイ・ラブ・パリ、4.ザッツ・オール、5.テイク・シックス、6.インタールード、7.枯葉、8.ジプシー・イン・マイ・ソウル

1962年1月31日、2月1日 ロス・アンジェルスにて録音

演奏(曲)について…さすが解説書に寺島氏がコメントを寄せていること分かる通り、メロディアスな佳曲が目白押しで、渋さの中に聴き易さが満載です。
まず、お薦め曲ですが、タイトル通り「枯葉」はgoodです。
勿論、ビル・エヴァンスの様なハイセンスな演奏とは大分趣が違いますが、小洒落た表現とバックの名人二人、骨太ベースの「ビネガー」とブラシ・ワーク冴え渡る「メル・ルイス」が「ランディ」のピアノを強烈にアシストしています。
それを受けて「ランディ」のアドリブも瑞々しい輝きを放っています。
それから、「アイ・ラブ・パリ」はラテンのリズムが普段聞き慣れたシャンソンと打って変っていて意外に楽しめます。
それ以外では、2曲目「ワルツィング~」はこの曲を選んだ「ランディ」のセンスに拍手物です。
ちなみにこの曲はライブでの彼の「十八番」だったそうです。
1曲目のブルース、4曲目のハイテンポのバラード、5曲目の変則拍子曲など変化にも富んでいて聴き応え充分です。
最後にもう一曲ぴか一なのがあります。
そうです、6曲目の「インター・ルード」です。
きれいな女性と二人で飲むカクテルのBGMに似合いそうな、哀愁の4ビートに身も心もとろけそうなロマンがあり、今宵の貴方を夢の世界に誘うでしょう。

今回はブログ開設以来初めてベスト盤を紹介します。第1回は「カルロス・サンタナ」です。

2007-04-22 22:35:18 | ラテン・インストゥルメンタル
音楽のアルバムを紹介する時、「ベスト盤」は挙げないのが、一つの不文律なのですが、昨今素晴らしいベスト盤がたくさん出ているので、その規律をあえて破ります。
そして、栄えある第1回目の紹介アルバムは、ラテンロックの神様「カルロス・サンタナ」がデビュー30周年に出した「ザ・ベスト・オブ・サンタナ」です。

演奏(曲)…1.ジンゴー、2.イヴィル・ウェイズ、3.ブラック・マジック・ウーマン/ジプシー・クイーン、4.僕のリズムを聞いとくれ、5.君に捧げるサンバ、6.シーズ・ノット・ゼアー、7.孤独のリズム、8.オープン・インヴィテーション、9.ホールド・オン、10.ベラ、11.ウィニング、12.オール・アイ・エヴァー・ウォンテッド、13.ダンス・シスター・ダンス、14.哀愁のヨーロッパ、15.新しい世界、16.ソウル・サクリファイス

正直、サンタナの30年分の名曲・名演をわずか16曲でまとめてしまおうと言う方が無理ってもんですが、この際許してくださいな。

その中で最も良いのは当たり前ですが、3曲目「ブラック・マジック・ウーマン」と14曲目「哀愁のヨーロッパ」が双璧でしょう。
もしもどちらか一つ選べと言われれば、私個人で言えば、ヴォーカルが入っている「ブラック~」よりもインストゥルメンタルだけの「哀愁のヨーロッパ」の方が、好きです。

他では、泣きのギターに泣かされる5曲目の「君に捧げるサンバ」なんかとても良いですし、非常に幻想的な編曲がされている10曲目の「ベラ」も素敵です。
ラテン臭さぶんぶんの2曲目「イヴル~」、4曲目「僕のリズム~」、13曲目「ダンス~」等は、ラテン音楽マニアの方はたまらない演奏です。
後は9曲目「ホールド・オン」は80年代の日本のJ-POPの様な曲調がとても魅力的なヴォーカル入りの曲です。
16曲目「ソウル~」は非常にパワフルな演奏で、ハードロックとラテンが高次元で融合されていて、アルバムのラストを飾るに相応しい名曲です。

全16曲是非是非聴いて欲しいベストな名盤です。





ヴィルヘルム・バックハウス~ベートーヴェン4大ピアノ・ソナタ

2007-04-21 23:00:05 | クラシック室内楽・器楽・オペラ・古楽
今日は20世紀ドイツの生んだ偉大なピアニスト、「ヴィルヘルム・バックハウス」のベートーヴェンピアノソナタ(選集)を紹介しましょう。
バックハウスにとっては、言わば「ベートーヴェン」はご当地、お家芸ですので、このアルバムでも無骨ではあるが、威厳のある素晴らしい演奏をしています。

アルバムタイトル…ベートーヴェンピアノソナタ(悲愴)(月光)(ワルトシュタイン)(熱情)

演奏者…ヴィルヘルム・バックハウス(p)

1958年10月、1959年10月 ジュネーブにて録音

曲目…1.ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13{悲愴}
   ベートーヴェン初期ピアノソナタの傑作であり、悲劇的な曲想とドラマティックな構成の名曲。
   2.ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調作品27の2{月光}
   ベートーヴェン中期ピアノソナタの名作で、月光と言う名は俗称である。
ベートーヴェン自身は「幻想曲風ソナタ」と銘打っており、その名に相応しい幻想的な名曲です。
   3.ピアノ・ソナタ第21番ハ長調作品53{ワルトシュタイン}
   「傑作の森」と呼ばれている、交響曲第5番{運命}や交響曲第6番{田園}等を作曲していた同時期に作曲された、広大なイメージの輝かしい名作。
   4.ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調作品57{熱情}
   前述{ワルトシュタイン}のすぐ後に書かれた、同じく「傑作の森」時代の傑作中の傑作であり、最後のコーダまでに情熱的に突き進む。

演奏(曲)について…バックハウスのベートーヴェンは、万人が認める「十八番」であるが、ベスト1をあえて決めるなら{熱情}でしょう。
骨太で無骨な表現ではあるが、情熱を十二分に伝えている素晴らしい出来栄えの演奏です。
次いで、{ワルトシュタイン}でしょうか?
もちろん他の2曲も素晴らしいですが、「悲愴」や「月光」はベートーヴェン作品の中では、最も繊細で内面志向で鎮美的な表現の曲なので、そう言う表現が得意のピアニストの方が、バックハウスよりも更に良い演奏かもしれません。
しかし、真面目にどの曲も一聴に値する演奏ですので、感動した方は「バックハウスのベートーヴェン・ピアノソナタ全集(全曲)」を聴くことをお薦めします。

「クレモンティーヌ」~「コンティノン・ブリュー」

2007-04-20 23:53:54 | ポップス・ソウル
今日は皆さんにどんなアルバムを紹介しようかと、いくつか聴いたのですが、色々と迷ってしまって、結局フランスの生んだ妖精シンガーの「クレモンティーヌ」のこのアルバムに決めました。

アルバムタイトル…「コンティノン・ブリュー」

パーソネル…クレモンティーヌ(vo)
      ジョニー・グリフィン(ts)
      パトリス・ガラス(p、e-p)
      ジミー・ウッド(b)
      ニールス・ペデルセン(b)
      ベン・ライリー(ds)
      ボビー・ダーハム(ds)

1987年12月13、14日 パリにて録音

曲目…1.アフタヌーン・イン・パリ、2.イージー・リビング、3.ライン・フォー・ライオンズ、4.もう一度、5.ナイト・ライツ、6.ドント・ビー・ブルー、7.オール・ブルース、8.レイディ・ウォンツ・トゥ・ノウ、9.ラム・ココ、10.エリソンド、11.夜シャンゼリゼにて、12.ガール・トーク、13.プリンセスのように、14.ジャイアント・ステップス、15.コンティノン・ブリュー

演奏(曲)について…CDに分かり易い解説書がありましたので、ご参考に書きましょう。
1はジョン・ルイスが1956年にパリで作曲した曲。
2は映画主題歌で、ビリー・ホリデーの名唱が有名。
3と5はジェリー・マリガンが作曲して、5は以前同名アルバムを紹介してます。
4はジョビンが作曲し、7はマイルス作曲の名曲。
6と8はマイケル・フランクス作曲で「スリーピング・ジプシー」の中の曲。
9、10はミッツ作曲、11、13は「アンリ・ルノー」作曲。
12は1965年の映画「ハーロー」の曲。
14はコルトレーン作の名曲、15は今回共演の「グリフィン」の作品。

さてお薦め曲ですが、クレモンティーヌの歌は「下手うま的なヴォーカル」、つまり、語り的なボサ・ノヴァ、そして同じく語り的なシャンソンでジャズを歌っているので、本格的なジャズヴォーカルではありません。
ところが、マイルス作曲の「オール・ブルース」がサイドを固めるジャズ大御所の演奏と彼女のヴォーカルが同化していてとても合っている。
これは新たな発見でお薦めです。
それから、彼女のヴォーカルにマッチしている曲としては、2曲目の「イージー~」4曲目の「もう一度」5曲目「ナイト・ライツ」はとても合っていて良いですね。
その中の曲以上に素晴らしいベスト1が冒頭の「アフタヌーン~」でしょう。
フランス語の歌詞も当然この曲にベストマッチング&フィーリングです。
後は、彼女の歌にジャズ的な良さが感じられる13曲目も良いですよ。

「バーニー・ケッセル」~「オン・ファイヤー」

2007-04-19 23:52:10 | ジャズ・ギター
名ジャズギター奏者、「バーニー・ケッセル」がエメラルドレーベルに残した傑作「オン・ファイヤー」を紹介します。

「バーニー・ケッセル」はジャズ・ギターの開祖「チャーリー・クリスチャン」直系のギタリストだが、洗練された表現と、ファンキーなノリの両面を持ち合わせている。
このアルバムはそんな彼の演奏を収めたライブ録音です。
それでは、詳細を解説しましょう。

アルバムタイトル…「オン・ファイヤー」

パーソネル…リーダー;バーニー・ケッセル(g)
      ジェリー・シェフ(b)
      フランク・キャップ(ds)

曲目…1.スロー・バーン、2.ジャスト・イン・タイム、3.いそしぎ、4.リカード・ボサノヴァ、5.スイート・ベイビー、6.フー・キャン・アイ・ターン・トゥ、7.ワン・ミント・ジュレブ

1965年 録音

演奏(曲)について…さて、いつものお薦め曲ですが、個人的にはワンパターンの3曲目「いそしぎ」と4曲目「リカード・ボサノヴァ」に後ろ髪を引かれつつも、ずばりベストプレイはケッセルのオリジナル曲、冒頭の「スロー・バーン」です。
正しく正統的4ビートに乗って、ケッセルがジャージーな演奏をしており、バックの二人との呼吸もピッタリで言うことなしです。
ちなみに、「いそしぎ」はスローテンポで、とてもメロディックな演奏で、「リカード~」は序奏の入り方などを聴いても、とてもセンス良い演奏に仕上げています。
2曲目「ジャスト~」はハイテンポで演奏し、ケッセルの「ギタテク」が満喫できます。
5&6曲目のバラード両曲は情感が溢れていて良いですよ。
そして、ラストの「ワン・ミント~」は元曲がR&Bらしく、ブルージーな演奏で途中でバンド・メンバーの紹介も入っていて、ライブの盛り上がりが良く分かってgoodな演奏です。

駄曲、駄演なしのお得な一枚です。


「マン・フロム・バルセロナ」~「テテ・モントリュー・トリオ」

2007-04-18 23:42:13 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
スペインはバルセロナ生まれの、盲目のジャズピアニスト「テテ・モントリュー」が中心のピアノトリオ演奏アルバムを紹介します。
とにかく、このアルバムはジャズ好きよりもむしろクラシック好きの方々に聴いて頂きたい演奏です。
モントリューの演奏技術、とりわけペダリングと装飾音符の使い方の上手さは感動ものです。
それでは詳細です。

アルバムタイトル…「マン・フロム・バルセロナ」

パーソネル…リーダー;テテ・モントリュー(p)
      ジョージ・ムラーツ(b)
      ルイス・ナッシュ(ds)

1990年10月30日 ポルトガルで録音

曲目…1.アランフェス協奏曲、2.星影のステラ、3.イージー・リヴィング、4.枯葉、5.フォー・ユー・マイ・ラブ、6.チューン・アップ、7.アイ・フォール・イン・ラブ・トゥー・イージリー、8.ジャンゴ、9.ホエン・ライツ・アー・ロウ、10.プリーズ・アイ・ライク・トゥ・ビー・ジェントル、11.チュニジアの夜

演奏(曲)について…いつもは比較的簡単に、ベスト1(お薦め曲)が言えるんですが、このアルバムは「全てが聴き物」と言える程、高水準の演奏ばかりなので、「この一曲に決定!」とは行きません。
まず、表題の「アランフェス協奏曲」は当然このアルバム中メインの1曲です。
スペイン出身のピアニストにとってご当地物ですので、知情意のバランスが素晴らしく感動的です。
「星影のステラ」は、特にドラムス「ナッシュ」がキラリと光る演奏をしています。
3曲目「イージー~」と5曲目「フォー・ユー~」はとにかくロマンティックで、「テテ」のピアノに酔いしれてしまいます。
男性と言うより、女流ピアニストが弾いていると思えるぐらい美しい演奏です。
「枯葉」と「チュニジアの夜」は、「テテ」には珍しいぐらい、かなり原曲をくずしてテンポも速めにとっていますが、この2曲は「テテ」のピアノに触発された「ナッシュ」と「ムラーツ」二人が素晴らしいインプロバイザーと化しています。7曲目「アイ・フォール~」は、官能的なタンゴかアイスダンスを見せられているような、「テテ」と「ムラーツ」の二人の「演奏の絡み」がすごいです。
「ジャンゴ」は「テテ」が「ジョン・ルイス」をリスペクトした演奏なのでしょうか、かなり原曲に近い演奏をしていますが、そこは「テテ」が「テテ」たる所以、後半にドマティックなサプライズを用意しています。

とにかく、全曲楽しめる奇跡のようなアルバムです。

女性ジャズ・ヴォーカルの人気盤、リタ・ライス~ジャズ・ピクチャーズ

2007-04-17 22:31:16 | ジャズ・ヴォーカル
今日はほんのり色香あるジャズ女性シンガー、「リタ・ライス」の人気ライブ・アルバム、「ジャズ・ピクチャーズ」の紹介です。
このアルバム、勿論主役は「リタ・ライス」ですが、もう一人「影の主役」がいます。
彼女のバックを務めているのが、「ピム・ヤコブス・カルテット」なのですが、「ピム~」は、本来トリオであって、もう一人参加の大物が曲者というか、味噌なのです。
その人物とは、ドラムスの名手;大御所「ケニー・クラーク」その人であります。
彼はモダン・ジャズ史上に残る「名ドラマー」であり、あのMJQ(モダン・ジャズ・カルテット)の初代ドラマーでもあります。
ドラム・テクニックについては詳細の説明は要らないと思いますが、特にブラシワークの名人芸は必聴に値します。

では解説しましょう。

アルバムタイトル…「ジャズ・ピクチャーズ」

パーソネル…リタ・ライス(vo)

   ピム・ヤコブス・カルテット
      ピム・ヤコブス(p)
      ウィム・オーヴァーハウ(g)
      ルディ・ヤコブス(b)
      ケニー・クラーク(ds)

1961年10月12日 オランダのラーレンにて録音

演奏曲…1.手紙を書こう、2.枯葉、3.チェロキー、4.プア・バタフライ、5.お友達になれない?、6.君にこそ心ときめく、7.アイ・リメンバー・クリフォード、8.タンジェリン、9.スピーク・ロウ、10.ホワッツ・ニュー

演奏(曲)について…結論から言おう、アルバム中の白眉は「枯葉」である。
ライスの歌はほのかな色香を放ちながらも、過剰なドラマティックにはせず、かと言ってあっさりもしすぎずに、見事なまでの「中庸の美学」で仕上げています。
10曲目「ホワッツ・ニュー」も枯葉に近い、「中庸」で歌っており、ラストを締めくくっています。
それから、短い曲(歌)だが、「アイ・リメンバー~」は素晴らしいバラードの絶唱で聴き物です。
このアルバムで一番「力唱?」してるかなぁ。
個人的には、バック(カルテット)が非常にしゃれた8曲目の「タンジェリン」と、クラークのラテンタッチから4ビートのドラムリズムに見事に変速する、「スピーク・ロウ」なんかも結構好みなんです。

いずれにせよ、歌っている曲はなじみの物が多いし、バックサポーターも良いので是とも一聴をお薦めします。



ホレス・パーラン~ヘディン・サウス

2007-04-16 22:53:56 | ジャズ・ピアノ・コンボ
今日は飛切りファンキーなアルバムを紹介しましょう。

今日紹介のピアニストの「パーラン」は生まれつき小児麻痺のため、右手が不自由だったのですが、独特の左の使い方とグルーヴィーな乗りで、ブルーノートでは隠れたファンを多く持っています。
このアルバムは、ピアノトリオ+コンガと言う楽器編成で、ラテンの薫り高く、ノリノリの、「隠れ名盤」です。
是非聴いて楽しんでいただきたいです。

アルバムタイトル…「ヘディン・サウス」

パーソネル…リーダー;ホレス・パーラン(p)
      ジョージ・タッカー(b)
      アル・ヘアウッド(ds)
      レイ・バレット(conga)

1960年12月6日録音

曲目…1.ヘディン・サウス、2.ザ・ソング・イズ・エンデッド、3.サマータイム、4.ロー・ダウン、5.コンガレグレ、6.プレリュード・トゥ・ア・キス、7.ジム・ラヴズ・スー、8.マイ・マザーズ・アイズ

演奏(曲)について…まず、お薦め曲ですが、ファンキーでメロディアスな2曲目「ザ・ソング~」は、マイナー調大好きの私には、個人的にgoodです。
それから、タッカーのボウイングが素晴らしい、名曲「サマー・タイム」が、とても感動的です。
名物トリオプラス1で参加の「バレット」の自作自演「コンガグレ」はマジで、コンガをフューチャーしたバレットの名演とパーランのノリでとても楽しいです。
パーラン作曲の「ヘディン~」は逆にそのバレットとの競演が良いし、4曲目「ロー・ダウン」は、真面目でスピリチュアルなブルースです。
6曲目のエリントン・ナンバーはピアノ・トリオでのバラッド演奏が渋い!

さりげなく渋い、そして楽しい名盤、「ヘディン・サウス」を堪能してチョ!!