コロンブドール

Les Films de la Colombe d'Or 白鳩が黄金の鳩になるよう人生ドラマを語る!私家版萬日誌

石にされても鼓動する二人の心臓は真実の証 映画「悪魔は夜来る」から

2013-03-27 | 映 画
   Les Visiteurs du soir , Scene finale 2/2  Leur coeur qui bat 鼓動する彼らの心臓

                  Les Visiteurs du Soir    「悪魔は夜来る」

 心臓がドキドキと高鳴るのは、初めてで緊張している時に心臓から新鮮な血液が全身に多量に送られれ、その体から今まで出したこともないパワーが発散される時。
 またこの映画のように悪魔=悪に対し人として魂を売らない”真”の心を持ってレジストし、心臓が高鳴り強い鼓動を鳴らす時があると思います。

 この映画のラストシーンは”真の心”をオマージュした名場面です。
 アンヌがジルに初めてキッスを交した泉ほとりの水を手にくんで飲ませると、記憶を無くしていたジルは愛するアンヌを思い出しました。その二人の愛が復活したのを見ると悪魔は怒り、”二人とも石になれ!”と呪った。するとジルとアンヌは抱き合ったまま石像となります。しかし、ジルとアンヌの恋人同士の心臓は生きていてドキドキと鳴り、二人の心臓は一つに化し、一つの鼓動をうっているのです。さらに怒った悪魔は、狂ったように抱き合う恋人同士の石像を烈しく鞭打つのでした。しかしその石像の心臓は鼓動し続け、悪魔を嘲るようにいつまでもドキドキと・・・。

 映画史上有名なラストシーンです!この当時は、フランスがドイツに占領されていて時代で、フランス人はドイツ人に占領されているがドイツにはフランスの”魂”は売らないというメセージが隠されていました。戦争でフランス本土を占領したドイツを悪魔=悪としてー。
 しかしこの物語はフランスの中世時代を舞台にしていますが、現代でも通じます。つまり社会の善悪に対して我々は他人からの示唆で良し悪しを判断させられ誤って利益追求のため悪魔に魂を売ってしまい気づかぬ人々たち。その人がある純粋でひたむきな心に気づき”真の愛”を得て悪に対しレジストし戦い”真の心”に回帰ことは稀にあるはずです。故に、すでに70年近く経った作品ですが古い感じはしなく名作といわれる由縁です!
 ”真の愛”を知り貫き通したために石にされた恋人同士からドキドキと鼓動が聞こえてくる場面は感動モノです!

 作品内容は下記walkerplus参照して下さい。 なお日本語字幕DVDも発売されレンタルされているようです。
   「悪魔が夜来る」Les Visiteurs du Soir 1942年 仏

 Les Visiteurs du Soir - Os Visitantes da Noite (1942)

                           MOVIE FULL
監督 マルセル・カルネ 助監督 ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本・台詞 ジャック・プレヴェール、ピエール・ラロシュ

ドミニック: アルレッティ「天井桟敷の人々」
悪魔: ジュール・ベリー 「幻想交響楽」
アンヌ: マリー・デア 「オルフェ」
ユーグ男爵: フェルナン・ルドウ 「宿命」「やぶにらみの暴君」
ジル: アラン・キュニー 「恋人たち」
                    
P.S.
確か、この映画の撮影地は鷲の巣村と呼ばれるサンポール・ド・ヴァンス(St. Paul de Vence)のはずです。脚本・台詞の ジャック・プレヴェール、監督のマルセル・カルネや歌手のイブ・モンタンなどの文化人が宿泊したホテル ラ・コロンブ・ドール(Hotel La Colombe d'Or)がある村周辺だった気がします・・・。
 なお、不良だったフランソワ・トリュフォー氏は幼年時代この「悪魔は夜来る」を観て映画に興味を持ち、監督まで成り名声を得ました。

 Muse VoiceなEarly Birdさんに触発され忘れていたドキドキの頃を想い・・・