コロンブドール

Les Films de la Colombe d'Or 白鳩が黄金の鳩になるよう人生ドラマを語る!私家版萬日誌

映画「夏美のホタル」観ました! 廣木隆一監督作品の集大成映画 傑作です!! 是非観て下さい!!!

2016-06-30 | 映 画
 昨日やっとギリギリセーフで新宿シネマカリテで廣木隆一監督作品映画「夏美のホタル」観ました!
廣木監督とはもう二昔以上前、一般映画をメインに撮られる前の時代で廣木さんの元で一緒にやっていました。その頃から、廣木さんフランスのヌーヴェルヴァーグ ジャン=リュック・ゴダールがいたくお気に入りで撮影現場でゴダールの作品を話されていました。当然ゴダール映画の撮影技術も研究し、試行錯誤しながら撮影をしていた当時を思い出します。尚更に当然ながらゴダール監督がアンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンドの個性を活かした即興演出方法もすでにこの頃から発揮していました。

 映画『夏美のホタル』予告編


 それ故に廣木監督作品での女性を主人公にした作品は女性の持つ繊細な心理状態を、その即効演出においていい部分だけ切り取りながらの撮影になりますから、カメラに収められた映像は自然で歪みのない純粋な女性像が写っています。そしてそのシーンの長めのカットが劇場で映された時、更に観ている観客が自然にその女性に感情移入出来ますので観終わった時にはカタルシスされ、感動を呼び起こされます。
 私がこの傾向が顕著に感じたのは、「恋する日曜日 私。恋した」(2007)余命3ヶ月と宣告された女子高生のなぎさ役の堀北真希さんでした。心に苦悩を持”った高校生が初恋の男性に会いに港町を旅する姿です。この「夏美のホタル」を観終わってすぐにこの心に傷”を持った繊細ですぐにも壊れそうな硝子で出来た心を持ったなぎさとこの夏美と姿がダブってしまいました・・・・。それ故か、この「夏美のホタル」は以前の廣木作品以上に浄化され感動してしまいました!
 またこの作品では、廣木さんの映像テクニックが随所に発揮されていて、改めて廣木流映像マジック効果が作品に生かされているかを気付きました。
 まずタイトルが出て千枚棚田の道を走るバイクの空撮で日本の原風景の美しさに吸い込まされます。しかし田舎の雑貨屋店で夏美が食品を買おうとしていると、画面の外から耳障りな床を叩くような雑音が聞こえてきます。そしてカメラアングルが変わると店の奥の居間から杖をつきながらやっと歩いている店主恵三が現れます。この松葉杖をつく音をOFF音したために恵三の体の悪さが強調されこの物語の骨格をいっぺんで説明していた演出は凄いなと思います。
 また後に恵三が、脳動脈瘤破裂で倒れる時も恵三のOFF音で、部屋にいた夏美と慎吾はその声を聞き駆け寄ります。若い夏美と慎吾のこれからの未来の不安事より恵三の現在の問題の方に話を移し、この作品のテーマに転回させる演出のようでドラマの基本 起承転結 の転がはっきりしわかりやい手法だと思いました。
 そして一番のOFF効果は何と言っても夏美が慎吾に「信吾はいつもあきらめる」と責める場面です。夏美は背中越しで信吾に感情高ぶりながら言葉で責めます・・。夏美役の有村架純さんの顔が見えないのでどんな表情で信吾にこの胸の内の思いを訴え責めているかを私達観客は想像することにより、なお一層感情移入しカタルシス状態になり、画面にどんどん吸い込まれてしまいます。そして夏美が横の長椅子にすわりやっと顔の表情が見え、私達が思っていた通りに夏美は悲しんでいたことに安堵します。このシーンは演技も素晴らしいですが、廣木さんの演出も素晴らしいものでした。名場面です!
 それからこの作品のカメラワーク最近のハリウッド映画でもよく使用されている手持ちカメラ風の画面で、常に画面が多少揺れています。これはリアルさをだすカメラ効果なのもしれませんが、ちょっと私には説明が出来ません・・・。しかしこれはこれでいいと思います。
 まだまだ随所にこの映画の映像テクニックが隠されていますが思いつきましたら随時述べたいと思います・・・。
 ところでこの脚本の構成が素晴らしいです! 原作のあらすじを読みますと原作のテーマは同じですが、基本的に原作から離れています。まずは原作では信吾が主人公で男性目線で物語は進みますが、映画では大学の写真コースに在籍している夏美の女性目線で物語は進行します。なお原作では夏美は保育士で、恋人の信吾に連れられ信吾の写真撮りに同行している設定です。故にこの映画の良さは、女性の目線で見て語ったからこのような繊細な映画になり傑作が生まれた気がします。またバイクレーサだった父親の想いを探しに来る設定も生きています。映画では説明がありませんでしたが、ニコンのフイルムカメラももしかしたら父親の忘れ形見のようにも思いました・・・・。
なお蛇足ですがこのバイクどこかで見た気がしましたら、そう言えば私が教習場で乗っていたYAMAHAのSR400でした・・・。まず車体姿よりバイクエンジンの音ですぐに分かりました。慣れると乗りやすいYAMAHAオートバイの名機です。当時、白バイでも多く採用されていました。

 有村架純が田舎道をバイクで走る 映画『夏美のホタル』特報映像


 ロケはラストクレジットを観ていましたら千葉の大多喜町と出ていましたので調べてみましたら、観光課でこの映画の上映公開イベントとして、公開日に合わせ観光に企画アピールしていました。そう言えば、すでに二昔前に私達も映画「SO WHAT]でこの大多喜町にロケで一ヶ月ほど滞在していました。今でもロケ隊に快く協力してくださるようでありがたいです!ありがとうございます!! 撮影ロケマップが観光課で公表されていますので下記リンク参考にして下さい!!!
 やはりこの映画、家族の絆を生と死を、各々の家族状況と比較通して自分と父、母、祖父母そして近所の人々や友人たちをあらため感じる魂が宿っている素晴らしい映画です。亡くなった父親の想いを探しに行き、田舎でただただ死を見つめる老婆とその息子の心の傷を見て、今を生き未来を語らえる若者の心の葛藤が自然体に語られ観終わった後の清々しさは素晴らしいです! ラストの三年後、地蔵さんこと恵三さがんが母ヤスエと一緒に本当にバス停に乗る老人と子どもたちを見守る地蔵仏になっていて、お腹を大きくした夏美と信吾が新潟から車で来て、お参りして終わるラストシーンも久々に日本映画ではない清々しいものでした。 是非観に行って下さい!
 なお恵三の名の由来は、恵三=3つの恵みという意味だそうで ”生まれた喜び、親に愛される喜び、伴侶と一緒に子供の幸せな姿を見る喜び” だそうでこの映画のテーマ真髄を表しています。恵三が病院の術後ベットに掛けてある名前のUPがありますが、この名前の意味を抑えていくとこの映画の理解に更に増します。すべてがこの病室の場面にテーマが凝縮されています! 見逃さないで下さい!!
 本当にこの映画「夏美のホタル」廣木隆一監督の集大成映画のようでいっぺんで語り尽くせません!! 
気づいたらまたUPします!!!

 すでに蛇足ですが、この作品のラストクレジットでチーフ助監督に中里さんの名前が載っていました。以前私がVシネマの助監督の時、まだ日活学院の学生見習い助監督として初めて撮影現場についた方で、ついに経験を積み廣木組のチーフ助監督として頑張っている様子、美術系大学を卒業し?映画学校に再入学し、さらなる成長したその姿嬉しい限りです!

追記
そうそう庭先の草むしりを近所の兄妹がしてくれますが、タンポポを残します。そのタンポポで時間経過を表現しているのもなんとなくいいです・・・・。でもタンポポ、夏で咲くのは新しい品種なのでしょうかー? 外来種のセイヨウタンポポは一年中咲くそうですので外来種のようです。

 祖母ヤスエ役の吉行和子さんは日活TV部の制作の日テレ2時間ドラマ火曜サスペンス「離婚・恐婚・連婚」森崎東監督作品でご一緒させて頂いています。お年召しましたね。

映画「夏美のホタル」 公式HP

千葉県のロケ地巡り~映画「夏美のホタル」あらすじ&コラム

有村架純さん主演・映画「夏美のホタル」6月11日(土曜日)から公開中!~千葉県大多喜町が舞台~

映画「夏美のホタル」 ~映画の舞台を旅する~ロケ地&観光スポット

有村架純、脚本読んで涙...「夏美のホタル」主演決定








 

最近お月さんを見ていないと傷心していましたら今宵見上げれば 弓張月 が!

2016-06-11 | 紀 行&散策
 帰り見上げれば 弓張月 が西の夜空に・・・ 何か久々にお月さんを見た気がし嬉しくなりシャッターを押した次第です。しかし明日の 上弦の月 の前日のお月さんなので、その微妙なたわみ中々趣がありましたー。

 明日の上弦の月は、6月12日 17時10分 だそうです!   La Tuki- !!

写真 2016・6・11 21:10 ISO800 1/160

 なおこのお月さんを撮ろうとしたら、家前では電線がお月さんにかかりましたので、つい近所まで散策ー。そして電線のないクリアーな夜空に浮かぶ 弓張月 をみつけ写真を撮っていましたら・・・。 食事を宅配しようと夜中の住宅街を探しているちょっとなれた日本語を話す韓国男性にヘルプ頼まれ一緒にお届け先を探す事に・・・。夜中の近所でよくわからなく、仕方がないので、その韓国人の電話機には携帯一般電話ができないそうなので、いきなり私の携帯から電話しやっと見つけた次第ですが・・・。たぶん食事依頼した方、驚いたかもしれませんがー。怪しいものの電話番号ではありませんので安心してください。なおマンション名がなく探すのに苦労しましたが、お月さんの光の下でプチ親切をした事にちょっとの嬉しさを感じました・・・。 お月さんお陰ですね! La Tuki-!