初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

ピアノソナタ第32番 (ベートーヴェン作曲)

2008年04月15日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第32番です。

この曲はベートーヴェンが作曲した32曲のピアノソナタの中で、番号通り最後の曲です。
特徴としてはスタンダードな「ピアノソナタ」が全3楽章なのに対して、この曲は全2楽章で作曲されています。CDの解説他、この曲の解説を少し見てみると、ベートーヴェンのピアノソナタの総決算のように「完成した曲」として紹介されている事が多いようです。

ただ、そう言われても、特にピアノが弾ける訳でもなく、多少の「クラシック好き」程度の自分の理解度では、音楽的にはどの辺が「完成」しているのかを説明する事は出来ませんが、

とにかく聴いてみた感じだと、何かを必死に伝えようとする第1楽章と、おだやかでけだるそうな第2楽章が対照的で、ベートーヴェンの他のソナタのように「さあ、来い!」と構えて聴かなくても、なんとなくいつの間にか引き寄せられるような、そんな一曲だと思います。


 第1楽章:中低音のピアノが重く響きわたると、その余韻のような響きがトリルで
 続きます。何度もその強い思いを訴えかけるように繰り返すと、
 トリルは低音からじわじわと迫り、低音の力強いフレーズが現れます。
 低音のフレーズは勢いをつけるように何度も繰り返され、繰り返すごとに高音へと
 盛り上がり、舞い上がるように広がっていきます。
 一度、落ち着くと再び低音のしっかりとしたフレーズで引き締め、また同じように
 そのフレーズを重ね、どうにかその思いを伝えようとすべく盛り上がっていきます。
 スピードを持たせたかと思うと、なだらかになったり、力強くなったり、同じフレーズ
 を何度となく形を変え、くりかえしくりかえし、これでもかと言わんばかりに
 何度も、何度も重ねていきます。
 そして、一瞬それを成し遂げたように高音がキラキラと輝くような響きを聴かせますが、
 やはり最後はしっかりとしたフレーズを残して、真面目な表情でおだやかに曲を
 締めくくっていきます。

 第2楽章:中音域のゆったりとした、おだやかな音色がやわらかく、少し力無げに
 ただよってきます。
 気だるい感じにも聴こえる、このとりとめのないメロディともフレーズともつかない
 とてもおだやかなピアノの響きは、いつの間にか心地よく耳に入ってきます。
 そんなおだやかな雰囲気に慣れてきた頃に、ようやくリズムが整った、
 ゆるやかなメロディが流れてきます。
 やさしく響くメロディは、時折寂しげな表情も見せますが、やわらかい微笑みを
 投げかけてくれるように、しっとりと響きます。
 そんな響きに、こちらも思わず表情がゆるむと、まるでそれを見ていたかのように
 リズムに弾みがついて、また笑顔を返してくれるかのように楽しい表情を聴かせます。
 お互いの笑顔が分かると、更に飛び跳ねるように楽しいリズムになり、
 おおいに喜んで、その喜びを弾んで表現しているようです。
 決っして派手にはなりませんが、その微笑みひとつが分かり合えた事を精一杯伝えて
 くれるように聴こえてきます。
 そして、高音の可愛らしいフレーズが流れると、ハッピーエンドかと思いきや、
 一瞬、低音の暗い影が落ちてくるような響きになりますが、高音のフレーズが
 どうにかハッピーエンドを迎えようとします。
 高音と低音はお互いにせめぎあうように、響いていきます。
 そして両方が少しずつ距離を近づけながら、やがてひとつのメロディを奏でて
 いくと、
 ひっそりと輝くような美しいフレーズが、さらりと流れてそのきらめきの
 余韻を残したまま、すうっと消えるようにいつの間にか曲は終わります。
 

1楽章の冒頭は、やや堅い雰囲気の残る感じですが、ピアノの音色に耳を傾けていると、いつの間にか2楽章になり、心地よい調べとともにいつの間にか終わってしまような、ちょっと不思議な曲に感じます。
前半の厳しい表情が時間と共にゆっくりと解きほぐされていくような音色に変わっていくところが聴きどころかもしれません。

≪オススメCD≫
バックハウスでどうぞ
ベートーヴェン:Pソナタ第30
バックハウス(ウィルヘルム)
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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆☆☆★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
何気なく聴き始めても引き込まれてしまう一曲です。


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ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」

2008年03月20日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」です。

この曲は楽器の編成が少し変わった曲のようです。通常のピアノ三重奏は「ピアノ、ヴァイオリン、チェロ」の3台というのがスタンダードですが、

この曲はヴァイオリンの代わりにクラリネットが編成に入っています。なので「ピアノ、クラリネット、チェロ」の編成になっています。
それもあってか、クラリネットの音も去る事ながら、チェロの響きがじっくりと聴ける一曲ともいえます。

ただ、編成としてはヴァイオリンとクラリネットが入れ替わっただけなので、演奏会ではヴァイオリンに編成を戻して、通常の「ピアノ三重奏曲」として演奏されるケースもあるようです。

ちなみにタイトルの「街の歌」というのは、当時ウィーンで流行っていた歌劇のアリア(歌)が街で歌われていたため、それを第3楽章に取り入れた事がらそう呼ばれるようになったようです。


 第1楽章:クラリネット、ピアノ、チェロが1、2,3・・・と合わせるように
 ゆっくりと始まります。
 ピアノのリズムが小刻みになるとクラリネットも軽快なメロディを奏でていきます。
 ピアノは軽やかに響くと、クラリネットとチェロはお互いを気遣うようにやわらかく
 まろやかな掛け合いを続けます。
 交互に譲り合うように、なめらかなフレーズが響くと、とても安心感のある
 響きに聴こえます。
 やわらかく響くチェロ、クラリネットの上をピアノがキラキラと光るように
 流れると、とても鮮やかな響きが伝わります。
 後半では三者が少し不安を感じながら一歩ずつ踏みしめるような音を
 聴かせますが、すぐにおだやかなメロディに戻り、明るく温かいそよ風のような
 さわやかなフレーズを最後まで聴かせてくれます。

 第2楽章:伸びやかなチェロがしっとりとしたフレーズを、やさしく聴かせて
 くれます。
 同じフレーズでクラリネットが繰り返すと、淡く広がるほのかな香りのように
 ふわふわとした音色を響かせます。
 ピアノがキラキラと輝くと、曲が一層引き立ちます。
 しかし、ピアノが低音に変わると、一気に不安がよぎります。クラリネット
 も嘆きの声に聴こえたり、チェロもずっしりとのしかかるようになります。
 再びチェロが最初の伸びやかなフレーズを奏でると、徐々に不安が晴れる
 ようにおだやかな曲に戻り、最後までゆるやかに聴かせてくれます。

 第3楽章:チェロの心地よいリズムに乗ってピアノがご機嫌♪で歩き出すと、
 その後をクラリネットがしっかりと着いていきます。
 ピアノが可愛らしいソロを軽やかに聴かせると、
 今度はチェロのソロがやさしく始まり、クラリネットがやわらかくそれを
 支えていきます。両者は溶け合うように淡いハーモニーを作り出します。
 ピアノが力無く響くと、少し悲しい雰囲気になりますが、
 クラリネットが大きく響くと、ピアノも力強く後に続きます。
 今度はチェロが力強く刻むと、また少し雲行きが怪しくなります。
 でも、最後にはピアノの小刻みなリズムに載せて、クラリネット、チェロが
 ゆったり、伸びやかに聴かせると、明るく楽しそうに曲を終わります。
 

ちょっと変わった編成のこの三重奏ですが、やっぱり聴きどころはクラリネットとチェロでしょう!ふたつとも伸びやかな音色が魅力ですが、クラリネットはふんわりとやわらかく、チェロはしっとりと艶やかに、それぞれの魅力がたっぷり味わえる一曲です。
もちろん、さりげなく聴こえるピアノも要所、要所でいい仕事してます。

≪オススメCD≫
今は売ってないのかなぁ?
ベートーヴェン:P三重奏曲第7
ケンプ(ヴィルヘルム)
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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆★   →優☆☆☆☆☆

≪おすすめシチュエーション≫
のんびりと落ち着いて聴ける一曲です


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弦楽四重奏曲第10番「ハープ」

2008年01月18日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番「ハープ」です。

“弦楽四重奏”なので、ヴァイオリン2台とヴィオラ、チェロがそれぞれ1台ずつの弦楽器4台でのアンサンブルなんですが、タイトルは「ハープ」なんですねぇ。
その名前の由来は1楽章で多用される各種弦楽器の※ピチカートの音色をハープのそれにみたてて、そう名付けられたようです。

“ハープ”というと、ポロロロ、ロ~ン♪と流れるような音色を想像してしまいますが、この曲ではどちらかというと、ピン、ポン、パン!とひとつずつの音が特徴的に聴こえてきます。


 第1楽章:ゆるやかなハーモニーが、ゆっくり流れると、ヴァイオリンとヴィオラが
 抜けるように聴こえ、チェロがそれをしっかりと支えていきます。
 ゆるやかな曲調の中に、ザッと切り込みを入れるような弦楽器全体の刻みが入ります。
 何度かの刻みが入り、ゆるやかな前奏(イントロ)が終わると、最後の刻みから
 弾みをつけて、跳ねるように勢いをつけてテンポを上げていきます。
 軽快なフレーズに乗せて、流れるようにメロディが始まると、ピチカートが次々と
 降り注ぎ、ひとつずつの音がはじけていくように聴こえます。
 流れるメロディも軽やかに心地よく響きます。
 弦楽器は刻みを入れて、何度かアクセントを付けながら明い響きを聴かせます。
 やがて、少し静かな雰囲気になりますが、ピチカートから、徐々に曲を作り
 上げていきます。ピチカートを使いテンポを刻みながら、盛り上がり、最後を迎えます。

 第2楽章:しんみりとした低音の響きをチェロなどが聴かせると、
 その上に浮かび上がるようなヴァイオリンの音色が、しなやかに響きます。
 伸びやかな弦楽器がなめらかに、しっとりとハーモニーを歌い上げていきます。
 ゆったりとした中に時折、高く響くヴァイオリンはどことなく悲しげな表情を
 見せると、チェロなどの低音は、やさしくそれをなぐさめるようにも聴こえて
 きます。
 ゆったりと交わる弦の響きは、ゆっくりと流れる時間が、いつまでも続くように
 味わいのある音を聴かせてくれます。
 中盤では、ヴァイオリンがピチカートと供に細かいリズムを刻み、
 ヴィオラ(第2ヴァイオリン?)が低音のメロディをじんわりと語るように
 聴かせてくれます。
 そして、最後も、そうっと荷物を置くようにして、ゆるやかに終わります。

 第3楽章:慌ただしく揺れるようなざわめきで始まります。
 力強く刻むチェロのリズムに、ヴァイオリンの繊細かつ鋭い響きが冴えわたります。
 やがて弦楽器はフレーズを重ねるように大きな波を作り出していきます。
 激しく、大胆に大きなフレーズを何度も重ねていきます。
 そして最後まで続くチェロのガサゴソとしたリズムが少しずつ小さくなっていき
 次の楽章へ続きます。
 
 第4楽章:少しゆっくりと、そしてツルンとなめらかなフレーズが、あっけらかん
 と始まると、終盤に向けて何かに向かっていくような期待感を持たせます。
 そして、それぞれの楽器が、ひとつひとつの音を噛みしめるように、テンポよく
 しっかりと聴かせます。
 チェロがゆるやかに入ると、それまでの緊張感がゆるみ、しなやかなメロディを
 楽しませてくれます。
 ゆるやかで、のどかな雰囲気が終わると、
 細かな動きを何度も重ねた大きなフレーズを編み出して、アクセントをつけます。
 こうして、ゆるやかな動きと力強いフレーズを繰り返すと、
 ズズズ!と低音から迫るリズムの響きが始まります。
 いよいよラストを迎えるべく、じわじわと始まる響きになめらかなメロディを
 軽快に乗せると、最後に少し盛り上がり、あっさりと終わります。
 

モーツァルトやハイドンの弦楽四重奏曲みたいに、全編が“しなやかに”という訳にはいきませんが、ガッツリとダイナミックな曲調が楽しめる一曲だと思います。
一方で、第2楽章がしんみりと、しなやかに聴かせてくれますから、そのギャップが気持ちいいくらいにグサッとハマる曲かもしれません。

≪オススメCD≫
名門スメタナ四重奏団でどうぞ
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番&第10番
スメタナ四重奏団,ベートーヴェン
コロムビアミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆☆★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
じっくり聴ける弦楽四重奏曲をどうぞ。


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チェロソナタ第5番

2007年12月08日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:チェロソナタ第5番です。

この曲はベートーヴェンが5曲作曲したチェロソナタの最後の作品です。
基本的には明く快活な曲ですが、2楽章がかなり暗く沈んだ感じがします。しかし、2楽章が暗い分だけ前後の明さが対照的に聴けますが、
逆に前後が明い分だけ2楽章が余計に暗く感じると言えるかもしれません。

とにかく、第2楽章がこの曲のキーポイントになると思いますが、あとは聴く人のとらえ方次第で全体の印象も変わってくる曲かもしれません。



 第1楽章:スッキリとさわやかなピアノが明く響くと、低音から、なめらかなチェロが
 しなやかな響きを聴かせていきます。
 明く軽快なピアノのリズムにのせて力強く響くチェロがたくましくメロディを歌って
 いきます。
 力強い響きと、しなやかな響きを交えながらピアノと共に、しっかりとしたフレーズで
 曲を作っていきます。
 歯切れ良いリズミカルな部分と、しっとりと艶やかなメロディを交互に歌いながら
 チェロの音色をキッチリと聴かせてくれます。

 第2楽章:寂しげな低音のピアノがつぶやくように響くと、ひっそりとつぶやく
 ような悲しげなチェロの響きが聴こえてきます。
 うなだれるようなチェロの響きは、とても切なく哀しく聴こえてきます。
 やがて、ピアノのリズムがやわらかくなり、ほんのりとした明かりをともすように
 なると、チェロの響きにも温かみが感じられるようになっていきます。
 やわらいだチェロの響きは、おだやかになり、少しずつぬくもりを感じるようにも
 聴こえてきます。
 しかし、ホッとしたのもつかの間、チェロの響きが薄らいでくるとピアノは再び
 寂しげに曲を、ひっそりとつないでいきます。
 ようやく表れたチェロも、やはり悲しいメロディを歌い、けだるい感覚のまま
 ゆっくりと沈んでいきます。

 第3楽章:小さなチェロのフレーズが、ひょっこりと顔を覗かせたかと思うと、
 ピアノの陽気なリズムにのせて、生き生きとしたメロディを作り出していきます。
 明いメロディはピアノと先を競うように賑やかに曲を盛り上げていきます。
 勢いが頂点に達すると、
 曲は一瞬止まったようになりますが、すぐに元気を取り戻し、仕切り直すと
 勢いよく始まり、明く喜びにあふれたようなフレーズを聴かせて、最後を飾ります。
 

緩急がかなり極端な作りになっていますから、かなりギャップを感じる曲だと思います。
同時に、その分チェロの様々な表現を楽しめる一曲だと思います。
普段は明く振る舞っている人も、こころのどこかに暗いものを持っている事を、暗に示しているようにも感じてしまう曲ですが、そこまで深読みする必要もないのかもしれません。

≪オススメCD≫
ロストロポーヴィチでどうぞ
ベートーヴェン:チェロソナタ第3番&第4番&第5番
ロストロポーヴィチ(ムスティスラフ),リヒテル(スビャトスラフ),ベートーヴェン
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
幅広いチェロの表現を堪能できる一曲です。


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序曲「コリオラン」

2007年10月27日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:序曲「コリオラン」です。

この曲は、ベートーヴェンの友人が作った戯曲「コリオラン」を見たときの感動を、もとに作曲した作品と言われています。

元になった戯曲は、古代ローマの英雄コリオラヌスを主人公にした物語のようですが…、あらすじはちょっと分らなかったので、あしからず。

曲は、荒々しく力強いフレーズが多く悲劇の様相を感じさせる曲だと思います。個人的には、おそらく一般的なベートーヴェンのイメージをそのまんま曲にしたような感じ、みたいな気もします。


 低音の弦楽器が「ゾー」と不気味なフレーズを奏でると、金管楽器がそれを裂くように
 バリッと強烈に響かせながら、そのやり取りが何度か続いていきます。
 少し不気味なフレーズがつづき、ひたひたと迫るような弦楽器は金管楽器を加えながら
 次第に盛り上がり、やがて大波のように襲ってきます。
 弦楽器は激しくなりホルンが響くと、うねるように続いていきます。
 ときどき静かになり、収まるかのようにもなりますが、やはりティンパニ(大太鼓)
 などが響くと力強く盛り上がり、圧倒されてしまいます。
 途中、弦楽器が小刻みに静かに聴かせる部分もありますが、そこでもやはり
 緊張感が伝わるほど、張りつめたものを感じさせます。
 言い知れぬ緊張感を持ったまま曲は続き、不安と焦燥を感じさせながら
 グッと弾きつけていきます。
 そして、突然緊張の糸が切れたように、弦楽器のしなやかなフレーズが現れますが、
 それも束の間、曲は勢いを取り戻し、ホルンやトランペットがクライマックスを
 飾るように大きく盛り上がっていきます。
 金管楽器が叫びつくすと、力を出し切ったようにコントラバスなどの低音楽器が
 じわっと余韻を残すように響き、最後は低音の※ピチカートが寂しくポツリと
 つぶやくようにして終わります。

※ピチカート


前に一度このブログで紹介したときには、確か「CMのクラシック」のコーナーだったと思います。(ヤマサのポン酢)
冒頭の部分が使われていましたが、この曲って、ベートヴェンの序曲「エグモント」の冒頭にも少し似てたので、最初にCM見たときは「エグモント」の方かな?!とも思ってしまいましたが、よく聴くと、やっぱり全然違うんですよね。(あたりまえだけど)

≪オススメCD≫
交響曲と一緒に入ってます
ベートーヴェン:交響曲第1番&第7番
クレンペラー(オットー),ベートーヴェン,フィルハーモニア管弦楽団
EMIミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆★★★★
怒:☆☆☆☆★
哀:☆☆★★★
楽:★★★★★

≪おすすめシチュエーション≫
激しい曲ですが、ムシャクシャしたときには返って聴かない方がいいかも?


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トルコ行進曲

2007年10月03日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:トルコ行進曲です。

「トルコ行進曲」と言えばまず思い出すのはモーツァルトのピアノソナタ第11番ですが、ベートーヴェンも作曲してるんですね。

こちらはピアノソナタではなくて文字通りの行進曲(マーチ)です。
この時代にはオスマントルコの勢力がヨーロッパにも侵攻していたため、その影響を受けての作曲だと言われています。

個人的にはモーツァルトよりベートーヴェンのこの曲の方が、なんとなくトルコっぽい感じがする曲だと思うんですが、どうなんでしょう?



 オーボエ・フルート他の木管楽器が何度も同じフレーズを繰り返し最初はトライアングル
 がリズムを刻みます。
 リズムはトライアングルに加えてシンバルが鳴り始め、かなり賑やかな音になって
 いきます。
 派手なに鳴り響くシンバルの間をさらに刻むようなサクサクとした弦楽器のメロディは
 なんともスカッと響きます。
 全体的に同じメロディのくりかえしになりますが、最後はフルートが可愛らしく
 曲をしめくくります。
 

演奏時間は1分半とかなり短い曲ですが、軽快に刻むリズムがスカッと響く爽快な一曲だと思います。打ち鳴らされるシンバルがなんともいいですよね。
かなり派手な感じがしますから、むしゃくしゃしたときにスカッと聴くと気分転換になるかもしれないですね。

≪オススメCD≫
星条旗よ永遠なれ/マーチ名曲集
フェネル(フレデリック),イーストマン・ウインド・アンサンブル,スーザ,アルフォード,タイケ,ガンヌ
ユニバーサルクラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
トルコの雰囲気が味わえるかも??


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ピアノソナタ第31番

2007年08月20日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第31番です。

この曲はベートーヴェン晩年の作品ですが、全盛期の激しい印象のあるベートーヴェンとは、また違った魅力のある作品だと思います。

全体的には落ち着いた感じのある中に、モーツァルトのような軽やかなメロディを利かせてみたり、ショパンのように切ないフレーズを聴かせてみたり・・・、なんだかいつものベートーヴェンのイメージとは、ちょっと違った感じのピアノを聴かせてくれる気がします。

やや、暗い感じはしますが、ドン底に落とされたような激しいものではなく、ちょっとセンチメンタルな感じになる程度で、可愛らしく明るく聴かせるフレーズもありますから、普段は激しい印象のあるベートーヴェンをあまり聴かない人でも、スルっと聴ける作品かもしれません。


 第1楽章:落ち着いた和音からポツリ、ポツリとピアノが始ると、いつの間にか
 リズムは弾んでいて、転がるように奇麗なメロディを聴かせてくれます。
 途中で勢いをつけると、少し盛上がって弾んでいきますが、
 しばらくすると、少し悲しいメロディが入ってきて、どこか切なく感じさせます。
 しかし、切なさの中にもどこか前向きな明るさが感じられる暖かい響きにも
 聴こえます。
 安定した低音のリズムに高音のメロディがはじけるように響くと、とても奇麗に
 可愛らしい響きが楽しく聴こえてきます。

 第2楽章:力強いがっちりとした響きで始ると、軽快なメロディが軽やかに
 流れてきます。
 更に途中からは流れるようなメロディが、こぼれ落ちるようになめらかに
 聴かせます。らせん階段を滑り降りるようなフレーズがここちよく響きます。
 最後はがっちりと決めて終わりますが、少し物足りなさそうに何かをこぼす
 ようなフレーズが意味深です。

 第3楽章:けだるい感じがする、モヤモヤとした響きが淋しそうに続きます。
 その中に連続して続く高音が高らかに響いていきます。やがて高音から中音域に
 移る大きいフレーズは何を伝えようとしているのでしょうか?
 とても悲しく響くフレーズは、穏やかにして強く響くものを感じます。
 
 雰囲気が変わって新たなメロディが始ると、それは幾重にも折り重なり、最初は
 小さかった響きが、音を重ねるに連れて重厚感のあるものに変わっていきます。
 そびえたつ大きなお城を見上げるような壮大なスケールになりますが・・・、
 ふと急にトーンダウンしてポツリ、ポツリと悲しげなフレーズになってしまいます。
 そして、また一からやり直し、
 今度は最初よりも力強く、音を重ねていきます。きめ細かく、しかし重ねられた音は
 以前にも増して大きく積み上げられていき、見事に完成させるようにして終わります。


年齢を重ねた晩年のベートーヴェンの「かど」がとれたようなおだやかな感じのピアノに聴こえます。
なので、いつものように「激しく」「強く」「熱い」ベートーヴェンのピアノを期待した人には、少し物足りないのかもしれませんが、ベートーヴェンだって、年中肩肘張ってガチガチだった訳じゃあないでしょうから(たぶん)、そんなベートーヴェンの日常を垣間見たような作品なのかもしれません。


≪オススメCD≫
バックハウスでどうぞ。
ベートーヴェン:Pソナタ第30
バックハウス(ウィルヘルム),ベートーヴェン
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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
構えなくても聴けるベートーヴェン。かな?


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プロメテウスの創造物 序曲

2007年07月20日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲です。

この作品はベートーヴェンの初期の作品で、交響曲第1番やピアノ協奏曲第1番を作曲した頃に作曲されています。

交響曲第1番を完成させて自身をつけたベートーヴェンは舞台音楽に興味を持ち、当時有名だったイタリアのバレエダンサー、サルヴァトーレ・ヴィガーノから新作バレエのための音楽を依頼されて作曲しています。

完成すると、初演から1年で20回以上も公演されていたという事ですから、かなりの人気作品だったようです。

曲調はスカッと爽快!元気ハツラツの一曲ですから、初心者でも十分楽しめる曲だと思います。

そして、バレエ音楽なので当然ストーリーもあるハズなんですが、分んないんだなコレが…。ちなみに“プロメテウス”はギリシア神話の中に出てくる神々のひとつなので、彼が何か創ったんでしょう、たぶん。

ジャン!ジャン!!ジャン!!ド・ド~ン♪と大きな和音が三つ入ると、
次は木管楽器がやわらかくつないでいきます。
ゆったりとした序奏(イントロ)が終わると、きめ細かい弦楽器が素早く、そして
だんだんと賑やかに曲を盛上げていきます。
キレのある弦楽器のフレーズに、フルートやクラリネットの軽やかなフレーズを
織り交ぜながら軽快に曲を進めていきます。
最後は弦楽器がザクザクっと刻んでラストを奇麗にまとめます。 
 
ちなみに序曲だけなら演奏時間は5分程度の短い曲です。ただ、この短い間にベートーヴェンらしさがギュッと凝縮されて、勢いにあふれる一曲です。
ただでさえ短い曲なのに、目まぐるしく始ってあれよあれよという間にすぐ終わってしまいますから、聴いてても気持ちのいい曲ですね。

≪オススメCD≫
どれもベートーヴェン初期の作品です。
ベートーヴェン:交響曲第1番&第2番
ヨッフム(オイゲン),バイエルン放送交響楽団,ベートーヴェン,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサルクラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
コンパクトにスッキリ聴ける曲です。


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ピアノソナタ第12番「葬送」

2007年06月24日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第12番「葬送」です。


この曲は第3楽章に「葬送行進曲」というサブタイトルがつけられたために、この曲を総称して「葬送」と呼ばれるようになったようです。

「葬送」と聴くとどこか縁起の悪い暗そうな感じのする曲に思えるかもしれませんが、確かに第3楽章は暗く、そのイメージ通りの曲ですが、逆にその他の楽章はそれぞれ多彩な表情を聴かせてくれますから、ベートーヴェンの様々な表現を1曲で聴ける曲と言うことができるのかもしれません。


 第1楽章:ゆっくりとおだやかなフレーズが、なだらかに流れてきます。
 まるで2楽章(緩徐楽章)が始ったのかと思うほど、しっとりと聴かせてくれます。
 おだやかな曲調はしばらく続き、ゆったりとした雰囲気を楽しめます。
 ゆっくりとした中にも曲が進むに連れて少しずつ音が増えてきます。
 少しテンポを上げると、軽やかに響くリズムが軽快に始ります。
 軽快なリズムにやがて影が差してきますが、後半では穏やかな表情を取り戻し、
 軽快で伸びやかな響きをゆったり聴かせてくれます。

 第2楽章:軽やかなリズムに乗せて明るく弾むピアノが聴こえてくると、次第に
 スピードと迫力が増していき、低音で迫力のある伴奏に乗せて高音の鮮やかな
 メロディが華麗に響きます。
 中盤では一時落ち着いた響きを聴かせてくれますが、最後は駆け抜けるように
 流れるメロディを鮮やかに聴かせてくれます。

 第3楽章:うなだれるような、中低音のピアノがしとしと降りしきる雨のように
 悲しく響きます。雨音は次第に強くなり、大きな悲しみを呼んでいるようです。
 ブルブルと震えるような響きは、無言のうちにその悲しみを表しているようにも
 聴こえてきます。
 やがてひたひたと込み上げる感情を、一気に吐き出したかと思うと、その後は
 力なく崩れていくようにして終わります。
 
 第4楽章:サラサラと流れるように、軽やかなピアノが転がり始めると、
 輝くような明るい表情を振りまくように、華麗な演奏を聴かせてくれます。
 軽やかに流れるメロディは留まることを知らず、あちこちを跳びはねるように
 流れると、あっという間に終わります。


この曲はベートーヴェンのピアノソナタの中でもあまり有名と言えるものではないかもしれません。なので、多くの場合は「ベートーヴェンピアノソナタ全集」としてBOXで販売されているCDが多いようなので、1枚CDで見つけるのは難しいかもしれません。
ただ、大型レコード店なら、有名なピアニストの作品も1枚モノで探せると思いますから、お店で買った方がいいかも?!

ちなみに今回のオススメはそんな貴重な1枚モノですが、自分もコレを持ってる訳じゃ無いんですね、実は。たまたまぶらっと入った中古屋で、「ウィルヘルム・バックハウス」のソナタ「悲愴・葬送・月光」という珍しいパターンのCDが安かった(1,000円もしなかったと思う)ので衝動買いしたCDです。聞いた事もないメーカーのCDで実際にアノ「バックハウス」かどうかさえ怪しいんですが、(解説もピアニストの写真も一切無いので…)それっぽい演奏なので、「ま、いっか、安かったし」くらいの感じです。


≪オススメCD≫
ゼルキンだったら間違いないと思います。
ベートーヴェン:ピアノソナタ第1番、第6番、第12番「葬送」
ゼルキン(ルドルフ), ベートーヴェン
ソニーミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
バラエティにとんだベートーヴェンのソナタです。


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三重協奏曲

2007年05月29日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:三重協奏曲(トリプルコンチェルト)です。

三重協奏曲と言う曲名自体あまり聴きなれない言葉ですが、普通の協奏曲ならヴァイオリンとかピアノをソロ楽器としてオーケストラがそれに伴奏を付けるというスタイルなんですが・・・、

この曲はなんと、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの3台をソロ楽器として、それにオーケストラが伴奏を付けるという、なんとも贅沢な企画(もとい一曲)なんですね。
そう、まさに夢の共演のような一曲です。

一般的にはもちろん、クラシックファンの人でも、ひょっとしてまだ聴いた事無い人もいるんじゃないかと思います。(どうだろう?)

と言うのも知名度としても低く、なかなか演奏される機会も少ないようなんですが、曲の作りとしては、三者のソロとアンサンブルを鮮やかに聴かせてくれる華やかな曲です。


 第1楽章:コントラバスの低い音色が、様子を伺うように始ります。やがてすぐに
 明るいオーケストラの前奏が始り、軽快に聴かせてくれます。
 そしてダイナミックなオーケストラの前奏が終わると、チェロのソロからしっとり
 と始まり、ヴァイオリンが絡むように美しく入ります。高らかに上品なピアノが
 両者をうまくまとめていきます。
 その後も三者が鮮やかにその特徴を活かしながら絶妙なアンサンブルを聴かせて
 くれます。強く訴えるフレーズを強調しながらも基本的には落ち着いてさわやかな
 音色を聴かせてくれます。
 しっとりと艶やかなチェロ、高音の鮮やかなヴァイオリン、流れるように華麗な
 ピアノの三者の響きを均等に聴かせながら、オーケストラがそれらをサポートする
 華やかな演奏を楽しめます。
 
 第2楽章:静かに、落ち着いた優しいオーケストラのチェロのフレーズの中に、
 そうっと表れるチェロの美しいソロが、うっとりとしてしまうほど魅力的なメロディ
 を奏でます。
 続いて表れるシャボン玉のようにやわらかいピアノに、高音のヴァイオリンが
 美しく聴かせると、そのヴァイオリンに寄り添うような優しいチェロが奇麗な
 ハーモニーを聴かせてくれます。
 ゆったりと、まどろむようなフレーズが幻想的なひと時を味わせてくれます。
 最後にはチェロのソロを聴かせながら徐々に盛り上がりを魅せると・・・、

 第3楽章:ジャーンと大きくオーケストラがひとつ2楽章から続いて勢いをつけると、
 ヴァイオリン、チェロ、ピアノがそれぞれ先を競うように快活なメロディを次々に
 聴かせてくれます。
 中盤では、ややツンケンとしたフレーズを緊張感を持って聴かせます。そして低音の
 ピアノが劇的にずっしりとした音でアクセントを付けると、一気に盛り上がり、
 オーケストラがダイナミックに聴かせて、再び瑞々しい三者のアンサンブルを聴かせて
 いきます。
 ラストはテンポアップしてそれぞれのソロを織り交ぜて聴かせながら、ダイナミックに
 終わります。

演奏時間は40分とやや長めですが、その分それぞれのソロ楽器を楽しめる内容になっていると思います。この手の曲をあまり聴き慣れていないせいか、若干違和感を感じる気もしますが、それぞれのソロ楽器の特徴を存分に活かした名曲のひとつだと思いますから、まだ聴いてない人も是非一度聴いて欲しい曲だと思います。


≪オススメCD≫
正に夢の共演が楽しめる1枚です。
ベートーヴェン:三重協奏曲&ブラームス:二重協奏曲
オイストラフ(ダヴィド), ロストロポーヴィチ(ムスティスラフ), リヒテル(スヴャトスラフ), カラヤン(ヘルベルト・フォン), ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, ベートーヴェン, セル(ジョージ), クリーヴランド管弦楽団, ブラームス
東芝EMI

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆☆
怒:☆★★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
華麗な三者のアンサンブルが楽しめます。


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