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再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

再発の仕組みを解明 成人の急性骨髄性白血病=理化学研究所、九州大学、虎ノ門病院

2007年10月29日 | 再生医療
 大人の急性骨髄性白血病の再発は、急激に増殖する白血病細胞そのものではなく、白血病細胞のもとになる白血病幹細胞がカギを握っているらしいことが、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター(横浜市)と九州大病院、虎の門病院などの共同研究でわかった。新たな治療戦略を立てるのに役立ちそうだ。米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーに発表した。

 急性骨髄性白血病は成人10万人に約3人が発症し、白血病の中では発症率が高く根治が難しい。

 研究チームは、ヒトの白血病を再現するマウスを作り、白血病細胞と白血病幹細胞について、抗がん剤の効き目や発症能力などを調べた。

 その結果、白血病細胞は増殖能力が高いが抗がん剤がよく効いた。一方、幹細胞は増え方はゆっくりだが抗がん剤はあまり効かなかった。このため、抗がん剤で治療をしても、幹細胞が残って再発の原因になっていることが考えられた。

 幹細胞に抗がん剤が効かないのは、これまでの抗がん剤が増殖能力が高い細胞を標的にしていることが裏目に出ているためらしい。

 理研の石川文彦ユニットリーダーは「再発防止では急激に増える白血病細胞をたたくとともに、増殖速度が正常細胞に近い白血病幹細胞もたたく必要がある。それができる分子標的薬の開発につなげたい」としている。

[朝日新聞 / 2007年10月29日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200710280142.html