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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

肝臓がん発症、血液で判別、「糖鎖」解析=北海道大学

2007年10月23日 | 医療技術
 生物の細胞を覆う「糖鎖」という生体物質のタイプから、肝臓がんの発症者と健康な人をほぼ確実に見分ける方法を、北海道大の研究グループが発見した。

 臨床的に応用されれば、X線などによる画像診断よりも早期に発症を確認でき、発症前診断につながる可能性もある。近く論文が米国の生化学専門誌に掲載される。

 研究を行ったのは北大先端生命科学研究院の西村紳一郎教授ら。北大病院が保存する肝がん患者83人と健康な20人の血清から糖鎖だけを分離し、発症者に特有の傾向を調べた。

 西村教授らは人の血清中に約40種類ある糖鎖のうち、「分枝型N―グリカン」系と呼ばれる4種類(糖鎖X、Y、Z、W)の構成比に注目。肝がん患者に限って、糖鎖XがYより多くなることがわかった。

 糖鎖のほかの組み合わせでも、同様に、患者だけが多くなるものが複数認められた。

 糖鎖がもつ機能解明の研究は世界的にも数年前から本格化したばかり。西村教授らは2005年、多数のサンプルを用いた大規模解析の手法を全国に先駆けて開発している。

 今年3月、血清から糖鎖を短時間で取り出す装置が完成し、今回が初めての解析だった。

 西村教授は「1000分の1cc程度の血液で分析できるので、健康診断時の採血から調べられる。今後は子宮がんや生活習慣病などにも研究対象を広げていきたい」と話している。

[読売新聞 / 2007年10月23日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071023i401.htm

アルツハイマー進行、高学歴ほど加速度的に=アルバート・アインシュタイン大学(米国)

2007年10月23日 | 脳、神経
 高学歴の人ほど、アルツハイマー病による記憶能力低下は遅い時期に始まるが、いったん低下が始まると、病状の進行度は学歴の低い人に比べ速いことが、米アルバート・アインシュタイン大の研究で明らかになった。

 23日付の米医学誌ニューロロジーで発表した。

 研究チームは「高学歴の人は“認知力の蓄え”があるために、ある一定レベルまで病状が進むまで症状が見えないのでは」と指摘している。

 研究チームは、1980年代からニューヨーク市の高齢者488人に対し、記憶力のテストを定期的に実施。結果的にアルツハイマー病などの認知症と診断された117人について詳しく検討した。

 その結果、教育を受けた期間が1年長いと、記憶能力の低下が始まる時期が約2か月半遅れたが、いったん記憶障害が始まると、記憶低下の速度が教育期間1年あたり4%速まっていた。研究チームは「今回の結果は、患者の症状が速く進むかゆっくり進むかを、アドバイスするのに重要になる」としている。

[読売新聞 / 2007年10月23日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071023i512.htm