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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

異常たんぱく質の処理解明、アルツハイマー病治療に光明か=奈良先端科学技術大学院大学

2007年10月08日 | 蛋白質
 細胞内にたまった異常なたんぱく質を見つけ、修復機構を発動させるメカニズムを、奈良先端科学技術大学院大の木俣行雄・助教(動物細胞工学)らのグループが解明し、8日付の米科学誌セルバイオロジーに発表した。

 アルツハイマー病など、異常なたんぱく質が蓄積する病気の治療につながる可能性があるという。

 細胞内に立体構造が変形した異常たんぱく質が作られると、センサー物質「Ire1(ワン)」が検知し、たんぱく質の構造を正常に戻すのを助ける分子「シャペロン」の合成量を増やして修復する。

 Ire1にはふだん、シャペロンの一種「BiP」が結合しており、異常たんぱく質が増えると分離することが知られていたが、Ire1がどうやって活性化するかは不明だった。

 木俣助教らは酵母を使った研究で、BiPが分離すると、Ire1が集合し、その中に取り込んだ異常たんぱく質に直接、結合することでIre1が活性化することを発見した。活性化したIre1は遺伝子に情報を伝え、シャペロンの合成を促す。

 木俣助教は「修復機構の各段階が明確になったことで、病気の原因解明や、異常たんぱく質の処理を人為的に調節する方法の開発が進むのでは」と話している。

[読売新聞 / 2007年10月08日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071008i114.htm

ノーベル医学生理学賞:マリオ・カペッキ氏ら米英の3人に

2007年10月08日 | 遺伝子組替マウス
 スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、07年のノーベル医学生理学賞を米ユタ大のマリオ・カペッキ教授(70)とノースカロライナ大のオリバー・スミシーズ教授(82)、英カーディフ大のマーチン・エバンス教授(66)の3氏に授与すると発表した。授賞理由は「マウスの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使って特定の遺伝子を改変する原理の発見」。その結果、マウスの特定遺伝子の働きを止めたり、別の遺伝子で置き換える「ジーンターゲティング」が可能となり、さまざまな遺伝子の働きが明らかになった。がんや糖尿病をはじめとする病気の解明や治療法開発に役立っている。

 授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金として1000万クローナ(約1億8000万円)が贈られる。

 エバンス氏は81年、さまざまな細胞に分化することができ、万能細胞とも呼ばれるES細胞をマウスで作り出した。哺乳(ほにゅう)類では初の成功だった。スミシーズ氏とカペッキ氏はそれぞれ、染色体上にある遺伝子を別の遺伝子で置き換える手法を開発した。スミシーズ氏はこの手法を使い、貧血や動脈硬化のモデルマウスを作成した。

 さらに、カペッキ氏はマウスのES細胞を活用することで、特定の遺伝子を失った「ノックアウトマウス」を効率よく作成する方法を確立した。カペッキ氏は96年に京都賞を受賞している。

 現在では1万個以上のマウスの遺伝子の操作が可能になった。その数は哺乳類の遺伝子のほぼ半数に達し、500種類以上の病気のモデルマウスが作られている。

[毎日新聞 / 2007年10月08日]
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071009k0000m040031000c.html