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ピロリ菌の感染持続の謎を解明、胃粘膜の細胞死抑制=東京大学医科学研究所

2007年10月11日 | 消化器
 50歳以上の日本人の半数が感染しているとされるピロリ菌が、胃の中で感染を持続させる仕組みを、東京大医科学研究所などの研究チームが解明した。ピロリ菌は胃かいようや胃がんの原因になるとされる。抗生物質による除菌以外の新たな治療法の開発につながる成果で、11日発行の米科学誌に掲載される。

 胃や腸の表皮細胞は絶えず自ら細胞死を引き起こし、2~3日ごとに新たな細胞と置き換わることで病原菌の感染から身を守る。その中で、ピロリ菌が長期間、感染し続ける仕組みは謎だった。

 笹川千尋・東京大医科学研究所教授(細菌学)らは、ピロリ菌に感染したスナネズミでは、細胞死が通常の半分程度しか起きないことを発見。一方、「CagA」というたんぱく質を作れないピロリ菌を作り、スナネズミに感染させると、通常通り細胞死が起きた。このため、ピロリ菌は胃粘膜にCagAを注入することで細胞死を抑制していると結論した。笹川教授は「細胞死を抑制する経路を断てれば、持続感染を防ぐ新たな治療法への布石になる」と話している。【西川拓】

[毎日新聞 / 2007年10月11日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071011ddm003040028000c.html