goo blog サービス終了のお知らせ 

ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

インスリン:分泌、たんぱく質が制御 糖尿病治療に貢献=東北大学

2008年04月06日 | 遺伝子組替マウス
 血糖値を下げる「インスリン」を分泌する細胞は、特殊なたんぱく質によって働き過ぎないよう調節されていることが、岡芳知・東北大教授(分子代謝病態学)らの研究で分かった。細胞の「過労死」を防ぎインスリン分泌能力を長持ちさせる糖尿病治療法につながるとして注目される。

 インスリンは膵臓(すいぞう)にあるβ細胞から分泌されている。「2型糖尿病」は、インスリンの分泌能力に対しブドウ糖の過剰状態が続くことなどで発症。過食などで血糖値が上がりインスリンを大量に出し続けると、β細胞が疲弊し2型糖尿病を発症しやすいという。

 研究チームは、糖尿病マウスではβ細胞の活動を制御する特殊なたんぱく質「4E-BP1」が増えることに着目。マウスのβ細胞に、薬剤で糖尿病のときと同じような負荷を与えたところ、4E-BP1が約10倍に増加し、β細胞の活動を抑えた。また、糖尿病で4E-BP1を持たないマウスはβ細胞が減り、一般的な糖尿病マウスと比べインスリン量は半分以下になり、血糖値も急激に悪化した。

 石原寿光講師は「4E-BP1と同じ働きをする薬剤ができれば、インスリン分泌を極端に減らさない程度に投与し、β細胞を保護する治療ができるようになる」と話している。米科学誌「セル・メタボリズム」に掲載された。【大場あい】

[毎日新聞 / 2008年04月06日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080406ddm016040021000c.html

痛み伝える仕組み解明=岡山大学

2008年03月25日 | 遺伝子組替マウス
 神経の情報伝達物質のうち、強い痛みなどにかかわっているヌクレオチドを他の神経細胞に伝える仕組みを岡山大学の研究グループが突き止めた。発作や痛みなどを和らげる薬品の開発につながる可能性があり、製薬会社との共同研究にも乗り出す。今週の米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。

 神経細胞は、神経伝達物質をいったん小胞とよばれる微細な袋に取り込み、これを放出することで他の細胞に情報をわたしている。

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(生化学)と大学院生の澤田啓介さん(29)らのグループは、てんかん発作や高血圧などの血管収縮、強い痛みなどにかかわる神経伝達物質ヌクレオチドを取り込むたんぱく質を見つけた。

 このたんぱく質を人工的につくり、ヌクレオチドの一種であるアデノシン三リン酸(ATP)が取り込まれることを確認した。このたんぱく質を働かなくしたねずみの細胞では、ATPをため込んだり放出したりできなくなり、激しい痛みの情報が伝わらなくなっている可能性があるという。

 森山教授は「たんぱく質の働きを抑える薬ができたら、抗てんかん剤の効きにくい人の発作を抑えたり、我慢できないような激しい痛みを和らげたりできるのではないか」と話している。

[朝日新聞 / 2008年03月25日]
http://www.asahi.com/science/update/0325/OSK200803250008.html

ES細胞使って腎臓・膵臓再生=東京大学

2008年03月14日 | 遺伝子組替マウス
 東京大の中内啓光教授のグループが万能細胞の一種である胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使い、腎臓や膵臓(すい・ぞう)をつくる遺伝子を欠いたマウスの受精卵から、こうした臓器をもつマウスをつくることに成功した。受精卵にES細胞を注入したら臓器がまるごと再生された。将来の人間の臓器づくりの手法開発の足がかりになりそうだ。13日からの日本再生医療学会で発表する。

 中内教授らは遺伝子操作で腎臓がないマウスをつくった。このマウスの受精卵が細胞分裂を始めた初期の段階で、正常なマウスのES細胞を注入し、子宮に戻した。

 すると、生まれたマウスにはちゃんと腎臓ができていた。調べたら、注入したES細胞から腎臓ができたことがわかった。この腎臓が機能して、尿がつくられ、ぼうこうにたまっていくことも確かめた。

 同様の手法で膵臓も再生できた。血糖値の変化から、膵臓もほぼ正常に働いているとみられた。

 この成果を受けて、グループは新年度、サルの膵臓をブタの体内で再生させる研究を始める。

 中内教授は「狙った臓器を、体の中で発生の過程をたどって再生できたことが大きい。臨床応用につながるよう研究を進めていきたい」と話す。

[朝日新聞 / 2008年03月13日]
http://www.asahi.com/science/update/0312/TKY200803120249.html

乳がん悪化のカギ遺伝子を発見=カリフォルニア大学ローレンス・バークリー国立研究所

2008年03月13日 | 遺伝子組替マウス
 乳がんが悪性化する時に決定的な役割を果たす遺伝子を米カリフォルニア大ローレンス・バークリー国立研究所の厚井(こうい)重松輝美上級研究員らのグループが見つけた。13日付の英科学誌ネイチャーに発表する。この遺伝子はギャングのボスのように多数の遺伝子の働きを変え、がん細胞の増殖と転移を促す。乳がんの悪性度の診断法や治療法の開発につながりそうだ。

 グループは、転移した乳がん細胞で働いているSATB1という遺伝子に注目。SATB1が活発に働くと、患者の生存率が下がる傾向があることを見つけた。

 培養した乳がんの細胞でSATB1が働かないようにすると、1000以上の遺伝子の働きが変化し、がん細胞の増殖が抑えられた。マウスのがんではSATB1が働かないようにすると増殖や転移が抑えられ、働くようにすると転移が増えた。SATB1はゲノムの構造を変えて、多数の遺伝子のスイッチを切り替えているらしい。

 「1個の遺伝子が乳がんの転移を決めている可能性がある。この遺伝子を標的にした治療法が考えられるだろう」と厚井重松さん。

[朝日新聞 / 2008年03月13日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200803120434.html

骨壊す細胞つくる酵素発見 粗しょう症の治療に道=東京医科歯科大学

2008年03月07日 | 遺伝子組替マウス
 体内で過剰になると、骨粗しょう症や関節リウマチを起こす「破骨細胞」をつくる酵素を、高柳広・東京医科歯科大教授(骨免疫学)らのチームが発見、7日付の米医学誌セルに発表した。人でこの酵素の働きを抑える物質が開発できれば、これらの病気の治療薬につながる可能性があるという。

 破骨細胞は骨を吸収する役割をしており、骨をつくる骨芽細胞とバランスよく働くことで正常な骨を保っている。

 研究チームは破骨細胞で働いている遺伝子を網羅的に解析。「Btk」と「Tec」という2つの酵素をつくる遺伝子の働きが高まっていることを見つけた。

 遺伝子を欠いたマウスを作製したところ、破骨細胞がつくられず、骨がすき間なく埋まり強度が低下する「大理石骨病」を発症。研究チームは、2つの酵素が破骨細胞を形成する役割をしていると判断した。

 2つの酵素の働きを抑える薬剤を、関節リウマチや骨粗しょう症を発症させたマウスに投与したところ、症状が改善したという。

[共同通信47NEWS / 2008年03月07日]
http://www.47news.jp/CN/200803/CN2008030601000957.html

がん防ぐ酵素を特定 DNAの傷すぐ察知=名古屋市立大学

2008年01月26日 | 遺伝子組替マウス
 細胞内にある特定の酵素が、がんの原因となるDNAの損傷をいち早く察知し、がんの発生・増殖を防いでいることを、名古屋市立大大学院医学研究科の中西真教授(細胞生物学)と島田緑研究員らのグループが世界で初めて解明した。がんを予防する治療法は現在ないが、がん発病を防止するメカニズムを解明したことで、がんを根源から絶つ治療法の確立につながる可能性がある。論文は25日の米有力科学誌セルに掲載される。

 がん細胞は、放射線やたばこなどの発がん性物質によりDNAにできた傷が修復されず、欠陥細胞が増殖していって発生する。人間などはDNAに傷ができると、DNAを読み取ってコピーすることを中断し、その細胞を増殖させない機能があるが、その具体的な仕組みはこれまで不明だった。

 中西教授らは、細胞の核内でDNAが巻き付くヒストンと呼ばれるタンパク質が、遺伝子を読み取る転写に関与していることに着目。これまで存在は分かっていたが、どんな作用を持つ酵素か不明だったChk1(チェック1)を調べた。

 ヒストンに付着するChk1を人工的に欠損させ、マウスで実験したところ、マウスが高い確率でがんになることを確認。Chk1が遺伝子の読み取りをつかさどるスイッチの働きをしていることを突き止めた。

 DNAに傷ができると、Chk1がヒストンから分離し、ヒストンを構成する一部のアミノ酸が化学変化することでスイッチがオフ状態となり、転写が起こらない。一方、何らかの理由でこの酵素が機能しなくなると、傷ついた遺伝情報を持った欠陥のある細胞が増殖し、がんが発生する。

 中西教授は「このメカニズムを念頭に置いた研究が進めば、酵素の機能を回復させてがんを予防する薬物の開発が将来、可能になる」と話している。

[中日新聞 / 2008年01月25日]
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008012590103702.html

利根川教授ら「ダイスケ」開発 神経回路をオン・オフ=理化学研究所、マサチューセッツ工科大学

2008年01月25日 | 遺伝子組替マウス
 複雑な脳のネットワークの働きを解明するために、マウスの特定の神経回路を一時的に遮断する技術を、理化学研究所・米マサチューセッツ工科大学脳科学センターの利根川進センター長らが開発した。25日、米科学誌サイエンス電子版に発表した。同センターのあるボストンが本拠地の大リーグ・レッドソックスの松坂大輔投手にちなみ、この技術を「DICE―K(ダイスケ)」と名付けた。

 利根川さんらはマウスの遺伝子を操作して、特定の神経回路で毒素を働かせ、回路を遮断することに成功した。薬をえさに混ぜて、回路を回復させることもできる。各回路のスイッチを自在にオン・オフすることで、その働きを調べられる。

 学習や記憶にかかわる海馬と呼ばれる脳の領域には、二つの重要な神経回路があることが知られている。その一方の回路をダイスケを使って遮断すると、新しい環境で素早く記憶する力が衰えることも突き止めた。

 「老化などで記憶力が衰えるときにも、この回路がかかわっている可能性がある」と利根川さん。ダイスケは学習や記憶の解明に威力を発揮しそうだ。

[朝日新聞 / 2008年01月25日]
http://www.asahi.com/science/update/0125/TKY200801250033.html


【その名は「DICE―K」…利根川教授が遺伝子操作技術開発】

 ノーベル生理学・医学賞を受賞した米マサチューセッツ工科大の利根川進教授が、脳の神経回路のスイッチを自在に「オン」「オフ」する遺伝子操作技術を世界で初めて開発することに成功した。

 脳の神経がどのように働いているかを調べるための研究に有用な技術で、利根川教授は、大学と同じマサチューセッツ州を本拠地とする米大リーグ、ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手にちなんで、英文の頭文字をつなぎ、この手法を「DICE―K(ダイスケ)」と名付けた。25日の米科学誌「サイエンス」(電子版)に掲載される。

 これまでの方法では、実験動物の脳の一部を回復できないように人為的に壊して調べるため、広範に壊すことによる影響が出る。脳の機能を維持したまま、神経回路をピンポイントで操作できる今回の手法を使えば、状態がより正確に把握できるという。

 利根川教授は、マウスの実験で、3種類の遺伝子を組み換えて、記憶を担う脳の「海馬」という領域にある特定の神経細胞だけを操作した。この神経細胞は、「ドキシサイクリン」という抗生物質に反応して回復するようになっている。

[読売新聞 / 2008年01月25日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080125-OYT1T00003.htm


[理化学研究所 プレスリリース]
神経回路を遮断し回復する技術を世界で初めて開発
- 複雑な神経回路の仕組みを解く革新基盤技術の誕生 -
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2008/080125/index.html

脂っこい食事でも平気?肥満遺伝子特定=神戸大学

2008年01月21日 | 遺伝子組替マウス
 脂肪分が多い食事をした時に働いて、細胞内に脂肪をため込むのを促す作用がある遺伝子を神戸大の春日雅人教授らがマウス実験で特定し、20日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。

 この遺伝子の働きを抑えると、マウスに脂っこい餌を与えてもあまり太らなかった。春日教授は「人に応用できれば新たな肥満治療薬につながるかもしれない」としている。

 春日教授らは、内臓肥満の主な原因となる白色脂肪細胞で、インスリン伝達にかかわるDok1と呼ばれる遺伝子が肥満時に強く働いているのに着目。Dok1が別の肥満関連遺伝子に働き掛け、脂肪細胞内に脂肪をため込むのを促進する作用があることを確かめた。

 Dok1が働かないようにしたマウスと正常なマウスで比較すると、通常の食事では太り方に差がないが、脂肪分が多い食事を与えた場合、Dok1が働かないマウスの体重が20%以上軽くなった。

[神戸新聞 / 2008年01月21日]
http://www.kobe-np.co.jp/knews/0000807929.shtml

クローンマウスの作成に成功、世界で最年少かも=近畿大学

2007年12月26日 | 遺伝子組替マウス
 近畿大生物理工学部4年の森田真裕(まさひろ)さん(22)が、体細胞クローンマウスを作成することに成功した。国内最年少での成功とみられる。熟練した専門家でも、クローン胚(はい)の段階から作成に成功する率は2%以下にとどまるといい、専門家からも称賛の声が上がっている。

 体細胞クローンマウスは、卵子の核を取り除き、別のマウスの体細胞の核を移植して作ったクローン胚を、メスの子宮内に着床させて作る。核は直径80マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、胚を注入する卵管は直径150~200マイクロメートルと微小で、基礎技術の習得だけで1年近くかかるといわれている。

 森田さんは、昨年9月に同学部の三谷匡(たすく)准教授の研究室に入り、発生工学の技術を一から学んだ。夜中に排卵される卵子を新鮮なうちに採取するため、朝7時には実験を始め、休日も没頭した。今年6月にメスのクローンマウスを誕生させ、「風鈴(すず)」と命名。風鈴は9月、自然交配で10匹の子どもを出産し、正常な生殖能力を持つことも示した。

 森田さんは「卒業までに成功すれば幸運と思っていたので、自分でも驚いた。教わった技術を一つ一つ丁寧に覚えていったことが良かったのかも。先生や先輩、友達にも助けてもらった」と話す。

 97年に世界初の体細胞クローンマウスを誕生させた理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの若山照彦チームリーダーは「練習時間の短さは異例で、本当にすごい。世界でも最年少ではないか」と話している。【須田桃子】

[毎日新聞 / 2007年12月26日]
http://mainichi.jp/select/today/news/20071227k0000m040081000c.html

老化の“司令官”発見、マウスの肌若返りに成功=スタンフォード大学

2007年12月01日 | 遺伝子組替マウス
 【ワシントン=増満浩志】米スタンフォード大などの研究チームが、体の様々な組織を老化させる“司令官”としての役割を担っているたんぱく質を発見、マウスの皮膚の一部でそのたんぱく質の働きを抑えたところ、肌の若返りに成功した。

 15日付の専門誌「ジーンズ・アンド・ディベロップメント」に発表する。

 同大のホワード・チャン助教授らは、人間などの細胞内で遺伝子の働きを調節しているたんぱく質の中から、高齢になると各組織で活発化するものを探し、免疫の調節などにかかわる「NFカッパB」に着目。ある薬品に触れた時だけ、細胞内でNFカッパBが働かなくなるよう、遺伝子を操作したマウスを作製した。

 約1歳半のマウスの右半身の皮膚にこの薬品を2週間塗り続けた結果、年齢に応じて変わる様々な遺伝子の働き方が、生後1か月のマウスとほぼ同じになった。細胞の増殖も活発になり、表皮の層の厚さは生後1か月未満の水準に若返った。薬品を塗らなかった左半身には変化がなかった。

 NFカッパBは生命の維持に必要なため、その働きを止め続けることはできないが、研究グループは「病気やけがをした時、一時的に働きを抑えれば、回復を早められるのではないか」と期待している。

[読売新聞 / 2007年12月01日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071201i407.htm

マウスの皮膚の若返りに成功=スタンフォード大学(米国)

2007年11月29日 | 遺伝子組替マウス
【11月30日 AFP】米スタンフォード大(Stanford University)医学部の研究チームが、欠陥遺伝子の働きを阻止する仕組みを発見し、マウスの皮膚を若返らせることに成功した。

 27日に発表された研究報告によると、同大の研究チームはコンピューター解析により、特定のタンパク質がさまざまな組織の老化に伴う遺伝子変化を促進することを発見。この発見をもとに、成長時に特殊な化学物質を含んだクリームを塗布すると、問題の欠陥遺伝子「NF-eB」のスイッチがオフになるよう遺伝子操作を施したマウスを開発した。
 
 実験では、この遺伝子操作を施したマウスの全身の皮膚の半分だけにクリームを塗った。2週間後に経過を調べたところ、クリームを塗った皮膚では遺伝子発現プロフィール、組織特性ともに、若いマウスの皮膚の特徴を取り戻していた。一方、クリームを塗らなかった皮膚は塗った部分よりも老化の改善がみられなかった。

 研究を主導したスタンフォード大のハワード・チャン(Howard Chang)教授は、AFPとの電話インタビューで研究の意義について「人間の老化には、疲労や肉体的消耗のみならず、遺伝的プログラムが影響していることが明らかになった。これをブロックすることで、健康改善につなげることも可能だ」と語った。

 しかし同教授は、この技術を全身に応用するのは現実的ではないという。老化を促進する欠陥遺伝子NF-eBは、免疫システムや他の細胞機能とも連携しているため、この遺伝子の活動が全身で停止することは死を意味するからだ。

 このことから同教授は、今回の発見は身体の一定の部分を治療する際への使用が適当だと考えている。次の研究段階として、心臓や肺機能の若返りへの応用研究や、若返り治療の継続の必要性、治療停止時の細胞で急速に加齢が進む危険性などの確認が必要だという。

 チャン教授によれば、すでに多くの研究者が、欠陥遺伝子NF-eBが免疫システムに果たす役割を考慮し、薬剤で遺伝子をブロックする手法を研究しているという。研究が進むにつれ、そうした薬剤が効果的に欠陥遺伝子をブロックできる日が来るかもしれないと期待を寄せている。

 人間に用いるには安全面の研究にまだ数年を要するとみられるが、この技術は全ての内臓や細胞組織に応用できることから、老化に伴う疾病や障害治療にとって朗報と言えるだろう。

 研究結果の詳細は、12月15日発売の医学誌Genes and Developmentに掲載される。(c)AFP

[AFP BB-News / 2007年11月30日]
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2319307/2413331

遺伝子操作でガンにかからないマウスの製作に成功=ケンタッキー大学

2007年11月29日 | 遺伝子組替マウス
【Technobahn 2007/11/29 14:33】米ケンタッキー大学の研究グループが遺伝子操作を加えることによりガンにかからないマウスの製作に成功していたことが28日までに学術専門誌「Journal Cancer Research」に掲載された論文により明らかとなった。

 研究グループは「PAR4」受容体に着目。PAR4の活動をより活発化させる遺伝子操作を加えることによって癌に対して抗生があるマウスを製作することに成功した。

 研究グループではPAR4受容体を活性化させる遺伝子操作を加えたマウスは癌にかかることなしに、また、遺伝子操作を加えない通常のマウスに比べて長く生存したと述べている。

 癌治療の画期的な成果となる可能性も秘めているこの研究、ケンタッキー大学の研究グループでは、この遺伝子操作の方法をヒトに応用することも十分に可能だと述べているが、PAR4受容体が癌細胞に与える影響を調べるためには今後、更に多くの研究調査が必要だとも述べている。

[technobahn / 2007年11月29日]
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200711291433

「老化で物忘れ」の仕組み解明=アルツハイマーと同じたんぱく質関与=理化学研究所

2007年11月16日 | 遺伝子組替マウス
 アルツハイマー病に関与するたんぱく質の一つが、老化に伴う記憶障害の原因になっていることを、理化学研究所の高島明彦アルツハイマー病研究チームリーダーらがマウスを使った実験で確認し、15日付の学会誌に発表した。このたんぱく質が脳内に蓄積すると、アルツハイマー病の原因になる神経細胞の変質(神経原繊維変化)をもたらすが、早期に発見できれば、発症予防が期待できるという。
 人間の脳は老化に伴い、記憶の形成にかかわる嗅内野(きゅうないや)という部位に「過剰リン酸化タウたんぱく質」が蓄積し、神経原繊維変化が発生。その後「ベータアミロイド(Aβ)」と呼ばれる別のたんぱく質により脳の広い部位に神経原繊維変化が拡大、アルツハイマー病に至る。
 研究チームは、ヒトのタウたんぱく質を作るマウス(タウマウス)を遺伝子操作でつくった。学習、記憶行動と神経細胞の活動を調べたところ、若いタウマウスでは通常のマウスとの違いはなかったが、老齢では嗅内野の神経原繊維変化が起きていなくても、記憶能力が極端に低下していた。
 老齢タウマウスの嗅内野を詳しく調べると、神経細胞同士のつながり(シナプス)の減少が判明。タウたんぱく質が神経原繊維変化とは別に、シナプスを減少させて記憶障害を起こしていることが分かった。
 神経原繊維変化は元に戻せないが、タウたんぱく質は薬剤で害を与えない状態に変化させることができるため、早期の発見により、記憶障害の改善やアルツハイマー病への進行を防げる可能性があるという。 

[Yahoo!ニュース 時事通信 / 2007年11月16日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000020-jij-soci

統合失調症に関与の遺伝子特定=理化学研究所

2007年11月13日 | 遺伝子組替マウス
 幻覚や妄想などの症状が出る統合失調症の発症に関与するとみられる遺伝子を、理化学研究所の吉川武男チームリーダー(精神医学)を中心とするグループがマウスの実験で突き止め、13日付の米科学誌に発表した。

 この遺伝子は、脳でドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸と結び付くタンパク質をつくる「Fabp7」。脳が発達する胎児期にこれら脂肪酸が不足したことが、発症に影響している可能性を示す。確認されれば、妊婦への栄養指導による発症予防にも道を開くという。

 グループは、大きな音を聞く直前に小さな音を聞くと、通常は大きな音だけのときより驚き方が小さくなるのに、統合失調症患者では驚きが変化しにくいことに着目。マウスの中にも患者のように驚きが変化しにくいタイプを見つけ、正常に反応するマウスと比較し、この反応をつかさどる遺伝子がFabp7であることをまず突き止めた。

 この遺伝子は通常、脳の発達期に働きが高まり、成長後は低下するが、驚き方が変化しないマウスでは逆に、脳発達期に働きが低下し、成長後増加していた。Fabp7を持たないマウスをつくって調べると、脳の発達期に神経細胞の増殖が低下することも分かった。

 さらに、死亡した大人の統合失調症患者の脳でもこの遺伝子の働きが高まっていたことなどから、グループは原因遺伝子の1つと判断した。

[msン産経ニュース / 2007年11月13日]
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/071113/trd0711131012001-n1.htm

酵素「カテプシンE」に抗がん作用、新薬開発に期待=九州大学

2007年11月09日 | 遺伝子組替マウス
 九州大の山本健二教授(薬理学)らの研究グループは8日、たんぱく質分解酵素の「カテプシンE」に抗がん作用があることを突き止めたと発表した。がん細胞だけを自発的に死滅させる特性があり、副作用のない治療薬開発につながる可能性があるという。15日付の米がん学会誌電子版に掲載される。

 山本教授によると、カテプシンEは免疫系細胞に多く見られる酵素だが、これまで具体的な役割は判明していなかった。

 山本教授らは、遺伝子操作でカテプシンEを多くしたマウスと、完全になくしたマウスにがん細胞を移植。50日経過時点での生存率を比較したところ、多くしたマウスは約8割に達したのに対し、なくしたマウスは約2割だった。多くしたマウスではがん細胞の増殖や転移が少なく、健康上の問題も起きなかった。

 これらの結果から、カテプシンEががん細胞を死に導く分子に作用するほか、異物を除去する細胞「マクロファージ」を刺激し、がん細胞を攻撃させる役割があると結論付けた。

 山本教授は「がんの治療薬は副作用の大きさが問題になってきた。毒性の少ない新たな治療薬開発につなげたい」と話している。

[読売新聞(九州発) / 2007年11月09日]
http://kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/medical/news/me_news_07110901.htm?from=goo