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ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

オークションに高値入札してしまうのはなぜか 脳画像で研究=ニューヨーク大学

2008年09月26日 | 心のしくみ
オークションに高く入札してしまうのは、「勝利への喜び」ではなく「敗北への恐怖」のためかもしれない。

 オークションについ高値で入札してしまうのはなぜなのか――米ニューヨーク大学が脳画像と行動経済学を組み合わせ、その理由の解明に挑んだ。

 過去の研究によれば、オークション参加者は実際の品物の価値よりも高い値で入札する傾向がある。ニューヨーク大学の神経科学者と経済学者は実験で、オークションに内在する社会的競争で敗北することに対する恐怖が値をつり上げる一因となっている可能性があることを発見した。

 実験では、被験者にオークションゲームとくじ引きゲームをプレイしてもらい、その脳の活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で調べた。オークションゲームの勝敗は対戦相手に競り勝つかどうかで決まり、どちらもゲームでも被験者は負ければお金を失う。

 報酬にかかわる処理を行う脳の線条体を調べたところ、オークションゲームで負けたときの反応が大きかったという。オークションゲームで負けたときの線条体の反応の大きさと、高値で入札する傾向には相関関係があった。このことから研究者らは、「オークションに内在する社会的競争で負けるという予測が、高値入札につながる可能性がある」との仮説を立てた。

 次にこの仮説を検証するため、オークションゲームを使って行動経済学に基づく実験を行った。被験者は、指定の金額で入札するだけの統制群、勝てば実験用通貨15ドルを受け取れるBonus-Frame群、最初に15ドル渡され、負ければ没収されるLoss-Frame群の3グループに分けられた。統制群以外は報酬が同じだが、Bonus-Frame群では「勝利」、Loss-Frame群では「敗北」が強調されている。実験の結果、Loss-Frame群の被験者は、ほかの2グループの被験者よりも入札価格が高かったという。

 「過去の研究では、高値入札の理由をリスクへの嫌悪または勝利の喜びとしているが、われわれは脳画像により、敗北への恐怖という新たな説明に到達できた」と研究者は述べている。この研究結果はScience誌最新号に掲載される。

[ITmedia News 2008年09月26日]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0809/26/news074.html

車の正面が「顔」に見えるワケは?=ウィーン大学(独)

2008年09月25日 | 心のしくみ
【9月24日 パリ/フランス発 AFP】あなたにはフランス車ルノー(Renault)の「トゥインゴ(Twingo)」が、笑った顔に見えますか? フォルクスワーゲン(Volkswagen)の「ビートル(Beetle)」はおっかなびっくりの顔? 旧東ドイツの国産車「トラバント(Trabant)」は悲しそうで、BMWは怒った顔?

 わたしたちがこのように車の正面を見て人間の表情を連想するのは、顔から重要な情報をつかもうとする生来の習性のせいだという研究報告が、今週発売された科学誌「ヒューマン・ネーチャー(Human Nature)」に発表された。

■顔からの情報スキャンは生存メカニズムの名残

 人間はほかの動物同様、他人を一瞬見るだけで、その人が敵対的か協力的か、見知らぬ者か近親者かを判断する能力を発達させてきた。これは先史時代には生死を分けた重要な生存メカニズムの名残だ。

 ウィーン大学(University of Vienna)のカール・グラマー(Karl Grammer)氏率いるチームは、このメカニズムが自動車にも適用されうるのかどうかを実験した。

 男女比半々の成人グループ40人に、同色の38車種の前部の写真を見せ「顔に見えるかどうか、見えるとすれば人間の顔と動物の顔のどちらに近いと思うか」などを質問。さらに「子ども」「大人」「友好的」「敵対的」「男性的」「女性的」「尊大」「幸せそう」「消極的」「積極的」など全19項目の中から、印象として当てはまるものにチェックを入れてもらい、最後に好きな車を選んでもらった。

 結果は、回答者の3分の1以上が、9割以上の車種について「顔に見える」と答えた。また、すべての回答者がヘッドライトが「目」、フロントグリルが「口」に見えると回答した。さらに印象については、コンピューターがそれぞれの車種について人間の顔をもとに分類した「表情」とほぼ一致することがわかった。

■好かれるのは「力強い」顔の傾向

 好みの車については男女ともに、研究チームが「力」を表わす表情だとカテゴリーした「大人っぽい、支配的、男性的、尊大、怒っている」ようなデザインの「顔」を好む傾向があった。こうした車に共通した特徴は、フロントパネルが低く、フロントが幅広で、前から見ると四角くて頑丈なあごを連想させることだった。この「力」を表わすカテゴリーでは、BMWやクライスラー(Chrysler)300などが上位を占めた。 

 対照的に「おとなしい」「友好的」「子どもっぽい」といった項目にチェックが多くついたのは、日産(Nissan)のニューマーチ、フォルクスワーゲンのニュービートル、韓国・起亜自動車(Kia Motors)のキア・ピカントなどだった。

 車を見て人間の顔を連想する傾向についてチームでは、潜在的な危険を判断する際、最も手っ取り早い指標となる「顔」に関するどんな情報も見逃さないようにと発達した「判断ミス管理能力の産物と言えるだろう」とまとめている。

 今後は、こうした「顔」が車の購入や運転にどのような心理的影響をもたらすかを研究したいとしている。(c)AFP/Marlowe Hood

[AFP BB NEWS 2008年09月25日]
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2520582/3369821

【科学】雄の求愛などの性行動 脳の“司令塔”を特定=東北大学、北海道教育大学

2008年09月15日 | 心のしくみ
■東北大大学院と北海道教育大

 雌への求愛など、性行動を“男らしく”している脳細胞を、東北大大学院と北海道教育大の研究グループがショウジョウバエで特定した。約10万個の脳細胞のうち特定の場所に形成される20個ほどの「雄型細胞群」が雄の性行動の司令塔となっていた。11日付の米科学誌「ニューロン」に発表した。

 東北大大学院生命科学研究科の山元大輔教授らは、脳細胞のごく一部を雄型に性転換させた雌のキイロショウジョウバエを205匹作り、性行動を調べた。

 1匹ずつ正常な雌と“お見合い”させると、205匹中16匹が雄特有の求愛行動を起こした。性転換した脳の領域を調べると約20個の脳細胞がほぼ共通していた。他の細胞が「完全な雌」でも、この20個の雄型細胞群を組み込んだショウジョウバエは雄としてふるまった。

 これまでの研究で、ショウジョウバエの性決定にかかわる2つの遺伝子が分かっており、連携して雄型の神経回路と雌型の神経回路を作り分けているという。今回の成果で、脳細胞の生物学的な違いが行動の性差のもとになっていることが分かった。研究グループの北海道教育大の木村賢一教授は、「ショウジョウバエで見つかった脳細胞の性差は、ヒトの意識や行動に現れる男女差を解明し、客観的に理解するうえでも大きなヒントになるだろう」と話している。(小野晋史)

[msn産経ニュース 2008年09月15日]
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080915/acd0809150832003-n1.htm

統合失調症:脳に未成熟な領域 マウスで確認、治療法開発も=藤田保健衛生大学

2008年09月11日 | 心のしくみ
 統合失調症に似た異常行動を示すマウスの脳の中に未成熟な領域があることを、宮川剛・藤田保健衛生大教授(神経科学)らが発見した。死亡したヒトの脳の研究でも同様の傾向がみられ、統合失調症の客観的な診断や治療法開発につながると期待される。11日、英国のオンライン科学誌「モレキュラー・ブレイン」に発表する。

 宮川教授らはさまざまな遺伝子を欠損させたマウスの行動を網羅的に調べ、CaMK2αと呼ばれる酵素を欠いたマウスが「気分の波」など統合失調症に似た異常行動を起こすことを見つけた。

 この酵素を欠くマウスは、記憶をつかさどる海馬の「歯状回」という領域の神経細胞が未成熟で、ほとんど機能していない。死亡したヒトの脳を調べた米国のデータベースによれば、統合失調症の患者は、歯状回の成熟した神経細胞を示す分子が少ない傾向にある。

 宮川教授は「ヒトの統合失調症の一部は海馬の歯状回の未成熟が原因の可能性がある。成熟を促すことができれば治療法として有望だ」と話す。【西川拓】

[毎日新聞 2008年09月11日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080911ddm003040127000c.html


【大脳に未成熟な神経細胞 統合失調症、発症に関与か】

 統合失調症の症状を示すマウスの脳では、記憶をつかさどる大脳の海馬に神経細胞が未成熟な部分があることを見つけたと、藤田保健衛生大の宮川剛教授(神経科学)らが11日付の英専門誌電子版に発表した。亡くなった患者でも同様の異常が判明、病気の発症と関係があるとみられる。

 これまでは、幻覚などの精神症状や異常行動などから病気を診断していたが、この神経細胞の成熟度を客観的な指標に使える可能性があり、新しい治療法開発にもつながるのではないかという。

 宮川教授らは、遺伝子を改変した約90種類のマウスのうち、えさを効率良く得るための短時間の記憶力が悪く、人間の気分の浮き沈みに当たる動きの活発さの波が激しい1種類を統合失調症のモデルマウスに選んだ。

 海馬での遺伝子の働きを調べると、大人の脳で新たな神経細胞ができる歯状回で著しい異常があり、細胞は通常のマウスの1・5倍できるものの、ほとんど成熟せず活動していないと判明。亡くなった統合失調症患者では、遺伝子の働いている状況から20人中18人で歯状回が未成熟だったと考えられた。

[共同通信47NEWS 2008年09月11日]
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008091001000676.html

性行動指令の脳細胞特定=東北大学、北海道教育大学

2008年09月11日 | 心のしくみ
 東北大大学院生命科学研究科の山元大輔教授(行動遺伝学)らの研究グループは10日、ショウジョウバエのオスの性行動をコントロールする脳細胞を特定したと発表した。行動の性差のベースとなる細胞の存在を世界で初めて突き止め、「なぜ雌雄によって性行動が違うのか」という疑問に生物学的な回答を示した。

 グループはショウジョウバエのメス205匹で、脳細胞の遺伝子を組み換え、部分的にオス化した。1匹につき10億個ほどある脳細胞の一部を性転換し、行動との関連を調べた。

 205匹すべてを正常なメスとペアにすると、16匹が片羽を震わせるオス特有の求愛動作を繰り返した。16匹を調べた結果、13匹の脳の同じ部分に20個ほどの細胞集団が見つかった。

 「P1細胞群」と名付けた集団はメスの場合、性決定遺伝子の働きで失われるため、本来はオスにしかない。人為的にP1を作ったメスがオスの性行動を取っており、P1がオスの性行動を指令する細胞であることが解明された。

 山元教授は「P1が神経回路に性行動を指令し、性による行動の違いを生みだしていた。行動の性差は遺伝的に組み立てられていることが分かった」と説明する。

 研究が進めば、人間でも男女によって発症率に違いがあるとされる脳疾患の治療法の開発に応用が期待されるという。

 北海道教育大の木村賢一教授(発生遺伝学)との共同研究で、成果は11日発行の米科学誌ニューロンに発表した。

[河北新報 2008年09月11日]
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/backnum/news/2008/09/20080911t13001.htm

「学習意欲」、本能かかわる脳中枢に=大阪市立大学、生理学研究所、科学技術振興機構

2008年09月03日 | 心のしくみ
 人は達成感があると、学習意欲がわく。この心の動きは脳のどこで生まれるのか。答えは意外にも、言語や理解など高度な知性を受け持つ大脳皮質ではなく、より原始的な本能にかかわる脳の奥深くの線条体という場所だった。達成感がなければ、この中枢は働かない。意欲を育む教育法開発に脳科学が一役買いそうだ。

 大阪市大と生理学研究所(愛知県岡崎市)の研究グループの成果で、3日から沖縄県名護市で始まった国際疲労学会で発表する。

 大学生14人に、パソコンで数字を使ったテストをさせ、脳の動きを特殊な装置で調べた。学生には事前に「知能の検査です」と告げた。正解するたびに画面上のマス目が埋まり、自分がどれだけ正しく答えたのか分かる。マス目が埋まっていくことで学生は達成感を得、好成績をあげることで「自分は頭がいい」と実感する仕組みだ。

 達成感を与えるマス目を表示せずに同様のテストをしたときと比べると、脳の記憶や計算に関係する部分はどちらも同じように働いていたが、線条体は「マス目あり」のテストの時だけ活発に働いていた。さらに14人それぞれの日頃の学習意欲を調べると、日頃の学習意欲が高い人ほど、線条体は活発に動いていた。

 線条体は、卵をつぶさないようにそっと握るなど、細かな運動にかかわっていることが知られている。実験をした水野敬・科学技術振興機構研究員は「学習意欲という複雑な心の動きが、脳の特定の1カ所に集約されていたのは意外だった」と話す。(編集委員・中村通子)

[朝日新聞 2008年09月03日]
http://www.asahi.com/science/update/0903/OSK200809030026.html

空間記憶:新神経細胞が役割 マウス実験で確認=京都大学

2008年09月01日 | 心のしくみ
 脳内で新しく作られる神経細胞が、空間を記憶するのに重要な役割を果たしていることを、京都大ウイルス研究所などのチームがマウスを使った実験で突き止めた。人間でも同様の働きがあるとみられ、新しい神経細胞を増やす薬を開発すれば記憶力低下を防止できる可能性があるという。31日の米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス(電子版)に発表した。

 チームは、新しくできた神経細胞に色が付くようマウスの遺伝子を操作。観察の結果、餌がある場所など空間について記憶する「海馬」の一部で新しい神経細胞が作られ、1年間で総量が約15%増加したことが分かった。

 一方、円卓に12の穴を開け、1カ所だけ下に箱を置いて場所を記憶させる実験では、正常なマウスは1週間後に位置を覚えていたのに対し、新しい神経細胞ができないよう操作したマウスは区別が付かなくなっていた。

 人間でも、老化により新しい神経細胞ができにくくなることが知られている。メンバーの影山龍一郎・同研究所教授(分子生物学)は「新たな場所の記憶を保つ上で古い神経細胞は役に立たず、新たな神経細胞が必要なことを示せた」と話している。【朝日弘行】

[毎日新聞 2008年09月01日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080901k0000m040102000c.html?inb=yt

脳細胞増えないと「方向音痴に」?=京都大学

2008年09月01日 | 心のしくみ
 道順などの記憶には脳細胞の一部が新しく作られ続ける必要があることを、京都大の影山龍一郎教授らがマウス実験で突き止めた。記憶障害の仕組み解明につながる成果で1日、科学誌ネイチャー・ニューロサイエンスに発表する。

 脳細胞は、減り続けるだけと考えられていたが、近年、大人でも新しい細胞ができることが分かってきた。影山教授らは生後2か月以降のマウスの脳で、新しくできた細胞を検知する技術を開発。新しく脳細胞を作れなくする操作も使って、影響を調べた。

 その結果、空間認識など複雑な記憶の中枢とされる海馬の歯状回(しじょうかい)では、8か月間で細胞数が約15%増えることが判明。新しい細胞を作れなくすると、1週間後には一度覚えた道順をたどれなくなった。また、においを感じる脳前部の嗅球(きゅうきゅう)は、1年間で6~7割の細胞が入れ替わっていた。新しい細胞を作れなくすると3か月後、組織に空洞ができた。ただ、においの記憶は残っており、道順などの記憶とは仕組みが違うらしい。

[読売新聞 2008年09月01日]
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080901-OYT8T00251.htm

ほ乳類は危険を「におい」で察知=(スイス)ローザンヌ大学

2008年08月22日 | 心のしくみ
【8月22日 ジュネーブ/スイス発 AFP】スイス・ローザンヌ大学(University of Lausanne)の研究チームは21日、ほ乳類はにおいを利用して危険を知らせ合えることが判明したと発表した。

 あるラットが発した警告フェロモンを混ぜた水の入ったビーカーが置かれた環境に別のラットを入れると、すぐに危険をかぎ取りビーカーから離れる。この警告フェロモンに反応しているのが、鼻孔入口にある300-500個の細胞からなるGruenebergと呼ばれる神経節だったのだ。

 この神経節は1973年に科学者Hans Grueneberg氏が発見したもの。人間にも備わっていることから、ローザンヌ大学の研究チームは、人間にも互いに危険をにおいで知らせ合う機能があるとみている。

 Grueneberg神経節の細胞は、細胞に含まれるカルシウムを利用して脳に危険を警告するという。研究チームが実験で、マウスにほかのフェロモンやにおいや母乳のにおいをかがせたところ、神経節の細胞内に含まれるカルシウムの濃度は上昇せず、細胞の活性化みられなかった。だが、警告フェロモンをかがせた場合だけ警告信号を発した。

 別の実験では、Grueneberg神経節を取り除いたマウスの反応を観察したが、隠したビスケットなど、ほかのにおいはかぎ分けたものの、警告フェロモンには反応しないことが分かった。

 このような警告信号を感知することによって、危険や捕食者から逃げるなどの行動を起こすのだと、研究チームは指摘している。

 生物のほかの種にも同様の機能があり、例えば昆虫は同種間で分子の信号を送り、互いに危険を知らせ合っているという。(c)AFP

[AFP BB News 2008年08月22日]
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2509245/3250612

ラットの脳細胞でロボット制御、実験に成功=レディング大学(英国)

2008年08月15日 | 心のしくみ
 【ワシントン13日共同】培養したラットの脳細胞が出す電気信号で小型ロボットを障害物にぶつからないように動かす実験に成功したと、英レディング大の研究チームが13日、発表した。

 人間やコンピューターからの指示は一切なかった。脳の発達や記憶の仕組みの解明に役立つほか、生体の脳で機械を直接制御する技術として注目を集めそうだ。

 チームによると、ラットの胎児から脳細胞を採取して酵素でばらばらにし、約60の電極が付いた小さな容器に入れて培養。脳細胞が成長して出すようになった電気信号を、円筒形の2輪走行ロボットに無線で送り、ロボットを動かした。

 ロボットには超音波センサーを搭載。障害物に近づくと特別な刺激が脳細胞側に送られるようにした。ロボットは最初は障害物に衝突を繰り返したが、そのうち“学習”して衝突を回避するようになった。

 チームは「培養した脳でロボットを動かした最初の例だ」と指摘。さまざまな刺激を与えて特定の動きをさせるよう訓練するという。

[共同通信47NEWS 2008年08月14日]
http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008081401000164.html



【ロボット制御:ラットの脳で障害物との衝突回避を“学習”=英レディング大学】(毎日新聞)

 【ワシントン共同】培養したラットの脳細胞が出す電気信号で小型ロボットを障害物にぶつからないように動かす実験に成功したと、英レディング大の研究チームが13日、発表した。人間やコンピューターからの指示は一切なかった。脳の発達や記憶の仕組みの解明に役立つほか、生体の脳で機械を直接制御する技術として注目を集めそうだ。

 チームによると、ラットの胎児から脳細胞を採取して酵素でばらばらにし、約60の電極が付いた小さな容器に入れて培養。脳細胞が成長して出すようになった電気信号を、円筒形の二輪走行ロボットに無線で送り、ロボットを動かした。

 ロボットには超音波センサーを搭載。障害物に近づくと特別な刺激が脳細胞側に送られるようにした。ロボットは最初は障害物に衝突を繰り返したが、そのうち“学習”して衝突を回避するようになった。

 チームは「培養した脳でロボットを動かした最初の例だ」と指摘。さまざまな刺激を与えて特定の動きをさせるよう訓練するという。

[毎日新聞 2008年08月15日]
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/08/15/20080815ddm012040038000c.html

YouTube動画"Robot with a rat brain"
http://jp.youtube.com/watch?v=1-0eZytv6Qk

人のあくび、飼い犬にも伝染 日本人研究者が発表=ロンドン大学

2008年08月10日 | 心のしくみ
 人のあくびが犬に伝染することが実験で確かめられた。あくびの伝染は人やチンパンジーの間で報告されているが、人と犬では初めて。ロンドン大学の千住淳研究員(心理学)らが英科学誌バイオロジー・レターズに発表した。「飼い犬は人に共感する能力を備えているのかも」と話している。

 実験は、飼い主の家など、犬が落ち着ける場所で行った。飼い主以外の人が5分間犬と一緒にいて、目があったら声を出してあくびをした。その結果、29匹のうち21匹が1回以上のあくびをした。あくびと同じような口の動きだけでは1匹もあくびをしなかった。人から犬へのあくび伝染のメカニズムについては研究が必要という。

 動物は、思いがけない相手と遭遇したときにあくびをすることがある。研究チームは「その可能性も否定しきれない」としつつも「つられあくびが犬と人のコミュニケーションに役立っている可能性がある」と指摘している。(行方史郎)

[朝日新聞 2008年08月10日]
http://www.asahi.com/science/update/0809/TKY200808090289.html

海馬の神経細胞、カフェインで増強 研究チーム発表=北海道大学

2008年08月05日 | 心のしくみ
 記憶や学習に重要な役割を果たす脳の「海馬」の神経細胞が、心筋の細胞が収縮するのと同じ仕組みで記憶を形成し、その働きがコーヒーなどに含まれるカフェインによって増強されることを、北海道大などの研究チームが明らかにした。研究チームは「認知症や記憶障害の薬の開発につながる可能性がある」と話す。5日、米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。

 北大の神谷温之教授(神経生物学)らは、マウスの海馬の切片にカフェインを加えた。その結果、細胞内のカルシウムの濃度が高まり、30~60分間、神経回路の信号伝達が良くなった。

 カルシウム濃度が高まったのは、「2型リアノジン受容体」と呼ばれるたんぱく質の働きが高まったためとみられる。このたんぱく質は心筋細胞に多く存在し、細胞内の「小胞体」という小器官に蓄えられたカルシウムイオンを放出させ、心筋を収縮させる。研究チームは、心筋収縮と同様の仕組みで、海馬での記憶形成が増強されたとみている。

 カフェインには、筋肉を収縮させる働きがあることが知られている。神谷教授は「実験で使ったカフェインは高濃度なので、コーヒーを飲むくらいでは記憶への影響はない。だが、カフェインや同様の働きを持つ物質から、認知症などの薬を開発することができるかもしれない」と話す。【山田大輔】

[毎日新聞 2008年08月05日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080805k0000e040035000c.html

「頭頂部付近がピカッと反応」 プロ棋士のひらめきはここにあった=理化学研究所、富士通、日本将棋連盟

2008年07月10日 | 心のしくみ
 将棋のプロ棋士は、局面を認識するときに一般人とは異なる特有の脳活動が現れることが、理化学研究所と富士通、日本将棋連盟の共同研究で分かった。大脳の頭頂葉の一部が活発化するほか、記憶などに関係する脳波が素早く出現する。盤面から瞬時に最善手を判断するプロ棋士の“直感”を、科学的に解明する糸口になりそうだ。東京都内で開催中の日本神経科学大会で10日発表する。

 理研脳科学総合研究センターは、プロ棋士11人(7~4段)に将棋の盤面を次々に見せ、局面が変化したかどうかを瞬時に判断してもらう実験を行った。脳の神経細胞の活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で測定したところ、頭頂葉の頭頂連合野という領域の後ろの部分(背内側部)がピンポイントで活発化することを突き止めた。

 頭頂連合野は空間認識などに関係しているが、背内側部の役割は分かっていなかった。チェスの盤面や人の顔など将棋とは無関係の画像を見たときや、将棋の初級者では活発化しないことから、プロ棋士の「脳のツボ」といえそうだ。

[msn産経ニュース 2008年07月10日]
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080710/acd0807100038001-n1.htm


プロ棋士の「ひらめき」を共同研究=理化学研究所、富士通
http://blog.goo.ne.jp/cinogi/e/6dde0772aaa62e8e44839ba7f2771171
昨年の記事↑から1年、中間発表ですね。小脳の働き(仮説)はまだ分からなかったのでしょうか。
それにしても「ひらめき」なかなか降りてきてくれないんですよね。

ハグとキスで仲間を慰め、チンパンジーで確認=リバプール・ジョン・ムーアズ大学(英国)

2008年06月18日 | 心のしくみ
ワシントン(AP) チンパンジーが仲間に「ハグ」と「キス」することで、仲間の嫌な気分に共感して慰め、ストレスを軽減させていると、英国の研究者が17日付の米科学誌米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。人間と同様の行動で、サルの仲間ではチンパンジーにしか見られないとしている。


英リバプール・ジョン・ムーアズ大学進化人類・古生態学研修センターのオーレイス・N・フレイザー博士らは2005年1月から06年9月にかけ、英チェスター動物園のチンパンジーを調査。


その結果、ある個体が怒って別の個体をかんだり、叩いたり、押したり、手荒く扱った際には、「第3者」の個体が「被害」を受けて落ち込んでいる個体を抱きかかえたり、キスしたりして慰めたという。この結果、「被害」を受けた個体のストレスが減少したという。


ハグは両腕で抱きかかえるような仕草で、キスは口を開けて背中や頭に接する仕草だという。この「慰め」は、すでに深い関係が築かれている個体間で見られた。


これまでの研究では、脳が大きな鳥類やイヌでも同様の行動が見られているが、この行動により、これらの動物でストレス・レベルが低下したかどうかははっきりしていない。


米アトランタのエモリー大学の研究者、フランス・デ・ワール博士は、ハグやキスでチンパンジーでストレスの低下が確認できたのは注目できる点だと指摘。


人間の小さな子供たちが、落ち込んでいる家族に触れたり抱きついたりする行動と、同様なのではないかと話している。

[CNN.co.jp 2008年06月18日]
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200806180033.html

恐怖記憶に「ブレーキ役」のたんぱく質を特定、PTSD治療へ応用期待=群馬大学

2008年06月18日 | 心のしくみ
 動物が過去の体験を「恐怖記憶」として形成するのにブレーキをかけるたんぱく質を、児島伸彦群馬大講師の研究チームがマウス実験で突き止めた。過剰な恐怖記憶が原因とみられる心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究や治療に役立つ可能性がある。米神経科学誌に掲載される。

 研究チームは、神経細胞の興奮状態が過剰な恐怖記憶を作ると考え、興奮時に作られるたんぱく質「ICER(アイサー)」に注目した。

 そこで、遺伝子操作でアイサーを作らないマウスを作り、電気ショックと同時にブザー音を聞かせた。翌日ブザー音だけを聞かせると、このマウスは体をすくめたが、その時間は通常のマウスに比べて2倍も長いことが分かった。逆に、アイサーを過剰に作るマウスでは、すくんでいる時間が通常マウスの半分以下だった。

 一方、砂糖水を与える「楽しい記憶」の実験では、3種類のマウスの行動に大きな差はなく、アイサーが恐怖記憶の「ブレーキ役」になっていることが裏付けられた。

 記憶形成の「アクセル役」のたんぱく質として「CREB(クレブ)」が知られているが、ブレーキ役は不明だった。児島講師は「2種類のたんぱく質のバランスを調節できれば、恐怖記憶の強さを変えられるかもしれない」と話す。【塩崎崇】

[毎日新聞 2008年06月18日東京夕刊]
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/18/20080618dde041040054000c.html



【過剰な恐怖の「ブレーキ役」解明 群馬大がマウス実験】

 恐怖を感じるような体験をした際、脳内の特定のタンパク質が、過剰な恐怖記憶を作らないよう「ブレーキ役」として働いていることを、群馬大の児島伸彦講師(神経薬理学)らのグループがマウスの実験で突き止め、18日付の米専門誌に発表した。

 過剰な恐怖記憶は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の原因になるため、グループは、このタンパク質の研究を進めることで、PTSDなどの予防や治療に役立つ可能性があるとしている。

 タンパク質は「アイサー」と呼ばれ、遺伝子からタンパク質が合成される転写という段階にかかわることが知られている。グループによると、恐怖が記憶として残る際、ある種のタンパク質が脳内で合成されることが分かっており、アイサーはその合成を抑制する働きがあると考えられるという。

[msn産経ニュース 2008年06月18日]
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080618/acd0806180840005-n1.htm