統合失調症に似た異常行動を示すマウスの脳の中に未成熟な領域があることを、宮川剛・藤田保健衛生大教授(神経科学)らが発見した。死亡したヒトの脳の研究でも同様の傾向がみられ、統合失調症の客観的な診断や治療法開発につながると期待される。11日、英国のオンライン科学誌「モレキュラー・ブレイン」に発表する。
宮川教授らはさまざまな遺伝子を欠損させたマウスの行動を網羅的に調べ、CaMK2αと呼ばれる酵素を欠いたマウスが「気分の波」など統合失調症に似た異常行動を起こすことを見つけた。
この酵素を欠くマウスは、記憶をつかさどる海馬の「歯状回」という領域の神経細胞が未成熟で、ほとんど機能していない。死亡したヒトの脳を調べた米国のデータベースによれば、統合失調症の患者は、歯状回の成熟した神経細胞を示す分子が少ない傾向にある。
宮川教授は「ヒトの統合失調症の一部は海馬の歯状回の未成熟が原因の可能性がある。成熟を促すことができれば治療法として有望だ」と話す。【西川拓】
[毎日新聞 2008年09月11日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080911ddm003040127000c.html
【大脳に未成熟な神経細胞 統合失調症、発症に関与か】
統合失調症の症状を示すマウスの脳では、記憶をつかさどる大脳の海馬に神経細胞が未成熟な部分があることを見つけたと、藤田保健衛生大の宮川剛教授(神経科学)らが11日付の英専門誌電子版に発表した。亡くなった患者でも同様の異常が判明、病気の発症と関係があるとみられる。
これまでは、幻覚などの精神症状や異常行動などから病気を診断していたが、この神経細胞の成熟度を客観的な指標に使える可能性があり、新しい治療法開発にもつながるのではないかという。
宮川教授らは、遺伝子を改変した約90種類のマウスのうち、えさを効率良く得るための短時間の記憶力が悪く、人間の気分の浮き沈みに当たる動きの活発さの波が激しい1種類を統合失調症のモデルマウスに選んだ。
海馬での遺伝子の働きを調べると、大人の脳で新たな神経細胞ができる歯状回で著しい異常があり、細胞は通常のマウスの1・5倍できるものの、ほとんど成熟せず活動していないと判明。亡くなった統合失調症患者では、遺伝子の働いている状況から20人中18人で歯状回が未成熟だったと考えられた。
[共同通信47NEWS 2008年09月11日]
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008091001000676.html
宮川教授らはさまざまな遺伝子を欠損させたマウスの行動を網羅的に調べ、CaMK2αと呼ばれる酵素を欠いたマウスが「気分の波」など統合失調症に似た異常行動を起こすことを見つけた。
この酵素を欠くマウスは、記憶をつかさどる海馬の「歯状回」という領域の神経細胞が未成熟で、ほとんど機能していない。死亡したヒトの脳を調べた米国のデータベースによれば、統合失調症の患者は、歯状回の成熟した神経細胞を示す分子が少ない傾向にある。
宮川教授は「ヒトの統合失調症の一部は海馬の歯状回の未成熟が原因の可能性がある。成熟を促すことができれば治療法として有望だ」と話す。【西川拓】
[毎日新聞 2008年09月11日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080911ddm003040127000c.html
【大脳に未成熟な神経細胞 統合失調症、発症に関与か】
統合失調症の症状を示すマウスの脳では、記憶をつかさどる大脳の海馬に神経細胞が未成熟な部分があることを見つけたと、藤田保健衛生大の宮川剛教授(神経科学)らが11日付の英専門誌電子版に発表した。亡くなった患者でも同様の異常が判明、病気の発症と関係があるとみられる。
これまでは、幻覚などの精神症状や異常行動などから病気を診断していたが、この神経細胞の成熟度を客観的な指標に使える可能性があり、新しい治療法開発にもつながるのではないかという。
宮川教授らは、遺伝子を改変した約90種類のマウスのうち、えさを効率良く得るための短時間の記憶力が悪く、人間の気分の浮き沈みに当たる動きの活発さの波が激しい1種類を統合失調症のモデルマウスに選んだ。
海馬での遺伝子の働きを調べると、大人の脳で新たな神経細胞ができる歯状回で著しい異常があり、細胞は通常のマウスの1・5倍できるものの、ほとんど成熟せず活動していないと判明。亡くなった統合失調症患者では、遺伝子の働いている状況から20人中18人で歯状回が未成熟だったと考えられた。
[共同通信47NEWS 2008年09月11日]
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008091001000676.html