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「セッション」 (2014年 アメリカ映画)

2015年10月01日 | 映画の感想・批評


 すべてが予想を覆す映画だ。超えてしまっているといった方がいいか。まず、タイトルが出る。「Whiplash」あれっ?!「Session」じゃあないのか。ヒップラッシュって、なんという意味だっけ?と思っているうちに主人公アンドリュー・ニーマンが登場。彼は若くして才能に恵まれる19歳のジャズ・ドラマー。アメリカで最高の音楽学校に進学し、日々孤独に練習に打ち込んでいる。なかなか上手だ。
 彼が学ぶ初等教室に音楽学校の中でも最高の指揮者として名高いテレンス・フレッチャーがやってくる。いわゆる“引き抜き”ってやつだ。フレッチャーの目に留まったニーマンは彼のスタジオ・バンドに招かれ、腕を試されることに。さあ、これからニーマンの成功物語が始まると思いきや、このフレッチャー先生が半端じゃあない。ものすごく怖いのだ。彼はバンドの“セッション”については徹底した完璧主義者で、ちょっとでも音色やテンポが違っただけで容赦なくメンバーに怒声を浴びせる。時にはイスを投げつけることも。初日からニーマンも「Whiplash」という曲を練習している最中にその対象となる。ひと昔前なら日本にもこんな鬼先生がいたかもしれないが、「体罰」が問題となる今では貴重な存在だ。(少し懐かしい感じもするが・・・)しかしニーマンはへこたれない。彼をやっつけるには、とにかくどんな曲でも演奏できるように練習すること。この気構えが何とも頼もしい。
 「Whiplash」とは“鞭打ち”という意味だと分かって納得した。フレッチャーを見事に演じ、観客までも鞭打って異常な緊張感を与えてくれたJ・K・シモンズはアカデミー賞助演男優賞を受賞。編集賞と録音賞も獲得したが、自らジャズドラムを演奏し、一途なニーマンを演じきったマイルズ・テラーにも注目。特にラスト9分19秒の怒涛の演奏シーンは強烈だ!二人が目指していたのはまさにこれ!!こんな映画史に残る傑作を監督したのは、かつてジャズバンドに所属したこともあるというデイミアン・チャゼル。忘れないでおこう。
(HIRO)

原題:「Whiplash」
監督:デイミアン・チャゼル
脚本:デイミアン・チャゼル
撮影:シャロン・メール
音楽(音響ミキシング):クレイ・マン、ベン・ウィルキンズ、トーマス・カーリー
編集:トム・クロス
出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、メリッサ・ブノワ、ポール・ライザー


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
疲れました (アロマなママ)
2015-10-11 23:51:39
やっと観ました。DVDでよかったのかも。
劇場だったら拍手したでしょう。
でも、疲れはてて身動きできなかったかも。
パソコンの前で体を揺らしてました。

一流を極めようという人は、きっと危うい境界線に何度か立ってきたのでしょうね。

フィッチャーの最後のにやっとした顔、お父さんのドアの隙間から息子を見守る、ちょっと哀しそうな顔。

圧巻の演奏でした。

もう一度観たいけど、うーん、体力消耗しそうで(;_;)

前評判どおり、いえ、それ以上でした。

先月、京都シネマは大変な人出だったとか。

お疲れ様でした
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本年度BEST1、間違いなし! (HIRO)
2015-10-12 00:39:00
 久しぶり「立ち見」で見ることに。幸い階段状のところを見つけて座って見ることができましたが、尻の痛みを忘れるほど打ちのめさせられました。すごかったです。     名古屋の「三越劇場」で10月23日までやっていますので、まだの方は是非どうぞ!
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