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「パリよ、永遠に」(2014年フランス/ドイツ)

2015年03月11日 | 映画の感想・批評
 世界中から多くの観光客が訪れるパリの街。もしかしたら美しいパリの街並み、エッフェル塔、ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、オペラ座などの建造物は、第2次世界大戦末期ナチスドイツによって破壊され、パリを訪れる観光客を楽しませることが出来なくなったかも知れない。
 1939年9月ドイツがポーランドに侵攻した2日後、フランスはドイツに宣戦布告するが、翌年6月ドイツとフランスは休戦を締結、ドイツによるフランス支配が始まった。1944年8月25日未明、パリ防衛司令官コルティッツは、迫りくるレジスタンス・連合軍との戦闘指揮に追われていた。ベルリンが廃墟と化した今、かつて訪れその美しさの虜になったパリが健在であることが許されないと、ヒットラーが命じた「パリ壊滅作戦」の準備も整い、まさに秒読みの段階に入っていた。
 一方、スウェーデンの総領事ノルドリンクは、生まれ育った、愛するパリが破壊されることを阻止するため、ドイツ軍が駐留するホテルにコルティッツを訪問する。中立国の外交官とナチスドイツの軍人の、押したり引いたりの駆け引きが始まった。
 一刻の猶予も許されない状況の下で、パリはどのようにして生き残ったのか。パリ赴任前日に公布された「親族連座法」で身動きが取れないコルティッツに、もはやドイツの敗戦は目に見えている、隣国同士である両国の戦後を想像してほしいと、ノルドリンクは訴える。
 シリル・ジェリー作の舞台から続くコンビがそのままスクリーンでも息の合った演技を見せてくれる。ノルドリンクの登場の仕方が意表を突く。戯曲として創作された設定だろうか、それとも事実だとすればそれはそれで面白い。
 昨年公開された「シャトーブリアンからの手紙」に続き、フォルカー・シュレンドルフ監督は「仏独の和解」をテーマに込めている。戦後70年、未だに「日中」・「日韓」の和解は進まない。(久)

原題:Diplomatie
監督:フォルカー・シュレンドルフ
原作:シリル・ジェリー作、戯曲『Dipulomatie』
脚本:シリル・ジェリー、フォルカー・シュレンドルフ
撮影: ミシェル・アマチュー
出演:アンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプ、チャーリー・ネルソン、ジャン=マルク・ルロ