シネマ見どころ

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「悪の教典」(2012年)

2012年11月25日 | 映画の感想・批評
 このところ、三池崇史監督はいわゆる「本歌取り」を何作か撮ってきた。シリアスな時代劇2本と、「愛と誠」である。中でも「愛と誠」はパロディといわれるものである。そうして、新作「悪の教典」はホラー・サスペンスのパロディといってもいいだろう。冒頭から、サイコ・サスペンスの常套的な描写があって、見る者をニンマリさせる。
 高校で生徒から慕われる英語教師は面倒見がよくて、人当たりもいいから同僚の間でも信頼が厚い。ところが、どうもこの教師の関わるところで自殺とか事故死とか、不審な死に方をする人が絶えない・・・
 貴志祐介の原作のプロットはそのままながら、細部の味付けというか、視覚イメージは三池の真骨頂ともいえる妖しさで彩られ、相変わらず楽しんでいるな、と思ってしまう。こちらにそういう余裕がないと、まずこの映画は楽しめない。意味もない大量虐殺の悪趣味だと、見当違いな非難がましい批評を見かけた。しかし、そもそも健全な内容を求める人が見に行く作品ではない。三池崇史にそういう健全娯楽を要求してはならない。私はかねてから、この人が尋常ではない神経の持ち主だと踏んでいたのだが、まさに久々の三池ワールド全開のケッサクだと思った。かれの代表作になるのではないか。(ken)

監督:三池崇史
原作:貴志祐介
脚本:三池崇史
撮影:北信康
出演:伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都