４月２日（月）の読売新聞が、１面トップで「辺野古承認 県撤回へ」と大きく報道した。県が、今夏にも想定される土砂投入の前に「撤回」に踏み切るというものだ。事実なら歓迎したいのだが、各方面に聞いてみても、県がそこまで決意を固めたという確証は持てなかった。
ただ、この読売新聞の記事では、「政府は週内に埋立に向けた新たな護岸工事の作業に着手する」とも書かれている。そして今日（３日・火）の沖縄タイムスは、「撤回」の時期については触れていないが、「防衛局は早ければ週内にも７ヶ所目の護岸工事となる辺野古崎に近い『N3』の建設に着手する」と報じた。従来は、辺野古側の②工区（K1、K2、K3、K4、N5護岸で仕切った範囲）に土砂を投入する予定と言われていた。しかし、サンゴ類の特別採捕許可の問題もあり、文化財の調査が終った辺野古崎側の②-1工区（N5、K4、N3護岸で仕切った範囲）に先に土砂を投入するよう変更したようだ。
N3護岸等の箇所は非常に浅いので、護岸の造成はすぐに終る。K4護岸の一部には、吐き出し口のボックスカルバートの工事も必要だが、あるいは５月中にも②－１工区の周囲の護岸造成は完了するかもしれない。土砂投入の時期は迫っている。
今までの護岸造成（捨石投下）とは異なり、土砂が投入されるともう原状回復は不可能となる。決定的に重要な段階に入ることとなり、なんとしても土砂を投下させない取組が必要である。
土砂投入を阻止するための方策、特にここでは県への要請事項を考えてみたい。
① 土砂投入前に、埋立承認を「撤回」する
なんとしても重要なことは、知事が土砂投入までに埋立承認を「撤回」することである。読売新聞の報道にもあったように、「撤回」の前には相手側の意見を聞く「聴聞」等の手続も必要だから、知事は遅くとも今月中には「撤回」の方針を決定しなければならない。
②まず、防衛局に留意事項を遵守するよう申入れる ⇒ 防衛局が応じない場合は、これらも「撤回」の理由とする
1. 埋立工事についても埋立承認の際の留意事項①②に基づき、実施設計・環境保全対策の事前協議が必要
辺野古側の埋立工事は、すでに３月２日に契約を終えている（「シュワブ（H29）埋立工事」（１～５工区））。しかし、埋立工事については、埋立承認の際の留意事項①②に基づく実施設計・環境保全対策の事前協議はまだ行われていない。
2. 辺野古側からの埋立は、環境保全図書の施工順序の変更であり留意事項④に基づく知事の承認が必要
埋立承認願書では、まず大浦湾の①工区を埋立て、続いて辺野古側の②-1工区・②工区の埋立を行うとされていた。施工順序が大きく変更されているのだ。しかし、施工順序の変更は願書の環境保全図書の変更であり、留意事項④に基づく知事の承認が必要である。
3. 土砂の陸上搬送は、留意事項④の「土砂の採取場所及び採取量を記載した図書」の変更であり知事の承認が必要
また、辺野古側の②-1工区・②工区への埋立用土砂の搬入は、願書では、大浦湾の中仕切岸壁に海上搬送してきた台船を横付けし、土砂を陸揚げするとされていた。今回、辺野古側の埋立に際しては、国頭・本部からの岩ズリを使用すると防衛省は明言している。本部からの海上搬送も行われるが、そのほとんどはダンプトラックによる陸上搬送となる。これは願書に添付された「土砂の採取場所及び採取量を記載した図書」の変更であり、留意事項④に基づく知事の承認が必要である。また、当然、環境保全図書の変更でもあり、知事の承認を得なければならない。
③ 活断層、軟弱地盤の問題について詳細を明らかにし、その対応策について県と協議するまでいっさいの工事を中止をせよ！
今回、大浦湾の活断層、軟弱地盤の問題が明らかになってきた。特に、N値ゼロという「マヨネーズ」のような軟弱地盤は、大型ケーソンやその基礎工としての大量の捨石設置は不可能だと思われる。少なくとも、ケーソンの大幅工法変更や地盤改良工事が必要だが、それには莫大な経費と時間、そして環境への深刻な影響が危惧される。
いずれにしろ、公有水面埋立法に基づく知事への設計概要変更申請が不可避であるが、知事が承認しない限り、新基地建設事業は頓挫する。防衛局は、活断層や軟弱地盤問題の詳細を明らかにし、その対応策を県と協議するまでいっさいの工事を中止すべきである。
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