チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

国場幸之助氏に問う---「南部地区土砂は那覇空港埋立でも使われた。今になって問題にするのは、遺骨の政治的利用だ」というのであれば、その具体的な根拠を示されたい

2021年10月17日 | 沖縄・南部土砂問題//遺骨問題 

 昨日(10月16日)の琉球新報は、沖縄1区の衆議院選挙立候補予定者らの紙面討論会を掲載した。そこで国場幸之助氏が、南部地区の遺骨混りの土砂調達問題についての赤嶺政賢氏の質問に対して、「南部の土砂は既に、那覇空港第2滑走路工事などでも使用されており、今まで沈黙し、普天間飛行場の代替施設建設の活用検討が出たこの時期に突如として問題視しているのは遺骨の政治利用ではないか」と答えている。

                  (2021.10.16 琉球新報) 

 このような主張は、南部地区からの土砂調達を問題としないグループによって繰り返されている。

 那覇空港第2滑走路増設事業の公有水面埋立申請は2014年1月9日、当時の仲井眞知事によって承認された。その埋立承認願書には、「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」(以下、「土砂に関する図書」)が添付されている。

 そこでは、那覇空港の埋立に必要な総土量は 991万㎥、そのうち岩ズリは 431万㎥とされている(他には、海砂( 379万㎥)、公共残土(120万㎥)等)。辺野古新基地建設事業では岩ズリは 1690万㎥だから、約4分の1にすぎない。

 また、この岩ズリの調達先は「沖縄本島内」とされているが、下の図のように本部地区から運ぶと記載しているだけである。その後、2015年11月6日に設計概要変更申請書が出され、2016年3月24日に知事が承認したが、「土砂に関する図書」は変更されていない。また、承認の際の留意事項に基づく協議や承認申請にも土砂の調達地の変更はない(2018年3月5日、沖縄総合事務局からの開示文書)

 すなわちこれらの図書を見る限り、那覇空港第2滑走路増設事業では、埋立土砂は南部地区からは出されていないと判断する他ない。

 国場氏が南部地区の土砂が那覇空港埋立に使用されたというのであれば、何時、何万㎥の土砂が使用されたのか、是非、示していただきたい。「土砂に関する図書」の変更は、埋立承認の際の留意事項で知事の承認が必要である。もし、南部地区の土砂が使用されたのであれば、「土砂に関する図書」の変更手続きが行われたのかどうかも説明していただきたい。

 「遺骨の政治的利用だ」とまで言われたのであるから、国場氏にはその説明責任がある

 

 なお、那覇空港第2滑走路増設事業の護岸造成等に使用する石材については、そもそも工事の設計図書で「黒石」と指定されている。南部地区の石灰岩は「白石」であり、柔らかいので基礎材等には使用できない。

 那覇空港埋立の石材はやはり本部地区から搬入されていた。しかし、途中から材料が不足するようになり、国頭地区や石垣島からの搬入が検討された。そして最終的には、留意事項に基づく承認申請の手続きを行い、奄美大島からも持ち込まれた。南部地区の石材が使用されたという記載は、2018年3月5日に沖縄総合事務局から開示された文書にはない。

 

<付記>南部地区のいくつかの鉱山業者からなる南部地区鉱業共同組合のホームページには、那覇空港滑走路増設仮桟橋工事で南部地区の栗石が使用されたとされている。埋立土砂や護岸の基礎工等以外の関連工事で南部地区の栗石や砕石等が一部、使用された事例はあるかもしれないが、今回の国場氏の発言は「土砂」であって、「石材」ではない。また、我々が遺骨が混ざる可能性があるとして問題にしているのは、「土砂(岩ずり)」であって、「石材」には遺骨が混ざる可能性は少ない。

 

 

 

  (那覇空港第2滑走路増設事業の「土砂に関する図書」(10-5))

 (注)この図は海上搬入に関するものだが、陸上搬入経路の図も、公共残土について記したものであり、南部地区から搬入するとはされていない。

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