チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

防衛局の傲慢なデタラメを許せない!---高江、オスプレイパッド工事現場の土砂崩落事故

2013年02月04日 | 沖縄日記 高江

  高江のオスプレイパッド建設工事現場で、1月上旬、かなりの規模の土砂崩落事故が発生した。(この崩落事故について、私は、1月31日に県の環境保全課、そして、2月1日には東村村長への要請行動に参加させてもらったことはこのブログでも取り上げたので、それを参照してほしい。)

 2月1日、県の環境保全課が防衛局を訪れ、現地立入調査を申し入れた。その際の防衛局の回答が、2日の沖縄タイムスに掲載されている。防衛局は、なんと、「崩落現場は、ヘリパッド移設工事区域に入っていない」として、土砂崩落事故と工事との関連を否定したというから驚く。

・「ヘリパッド周辺土砂崩落 国、工事との関連否定」(沖縄タイムス 2013.2.1)

 

                                 (RBCニュース(2013.2.1)より)

 この沖縄防衛局の無責任な対応については、やはり、県や東村村長らへの要請行動にも参加された目取真俊さんが、ブログ「海鳴りの島から」で詳細に批判されている。  (「土砂流出で県民を欺く沖縄防衛局」(「海鳴りの島から」2013.2.3)

 そこでは、今回の崩落事故現場が、「無障害物帯」というヘリパッドの本体部分で起こっていること、急斜面の樹木を伐採したことが崩落の最大の原因であることなどを指摘し、場所の選定自体が誤っているから、工事を即時中止すべきであり、このまま建設工事を強行すれば、再び大規模な土砂崩れが発生する危険があると警告されている。

 私も、目取真さんが指摘された内容に全面的に賛同する。ここでは、公文書公開請求で入手した今回のヘリパッド工事の設計図書や、赤土防止条例に基づき、沖縄防衛局が環境保全課に提出した「事業行為通知書」をもとに、目取真さんが触れられなかったいくつかの点を補足しよう。

1.「年末からの降雨が崩落事故の原因」とは言えない

 沖縄タイムスによれば、防衛局は、「工事は崩落の原因ではない」とし、「年末からの降雨が原因」と主張しているという。しかし、沖縄気象台が発表している東村の降雨量データーによれば、昨年末の1週間の東村の雨量は、わずか25mmでしかない。年始の1週間も、20mmの降雨しかなく、事故が発生したと言われる1月8日には、48mmの降雨が観測されているがたいした降雨量ではない。

 やんばるでは、台風や梅雨時には特に大量の降雨がある。今回の工事が始まった昨年8月以降でも、日雨量が100mmを超えた事例は多い。たとえば、次のような降雨量が観測されている。

8月5日   112mm、 8月26日 180mm、 8月27日 259mm、 9月17日 139mm、  9月29日 152mm、10月17日 113mm

  年末年始のあの程度の降雨で土砂崩落事故が起こったという事実はきわめて深刻である。梅雨時や台風の際の集中豪雨では、より大規模な事故が発生することが危惧される。

2.急斜面を全面伐採したことが崩落事故の主原因

 この点は、目取真さんも指摘されたが、少し補足したい。今回の工事図面によると、ヘリパッドの「無障害物帯」(直径45mの「接地帯」の周囲、直径75mの範囲。この全てがヘリパッドとされている。)では、全面伐採が行われた。工事図面では、「伐採(密度:密)」と指示されている。

 今回、崩落事故が起こった個所は等高線が極めて密な急斜面である。平面図の等高線を読むと、無障害物帯の15mの幅で、約11mもの標高差があり、これは、1:約1.3もの急こう配である。このような急斜面では、下部に土留の擁壁を設置したり、法面を補強するか、斜面の勾配を緩和するような工法を取らねばならなかった。しかし、そのためにはかなりの規模の工事となり、現地の環境破壊は著しい。目取真さんも指摘されているように、そもそも、このような急斜面にヘリパッドを設置すること自体が誤りであった。この場所でのヘリパッド建設工事は、ただちに中止すべきである。 

3.沈殿地からの排水をこの斜面に流し続けた問題

 また、沖縄防衛局が、県の赤土防止条例に基づき、県に提出した「事業行為通知書」によると、接地帯の工事中、そこに「ろ過沈殿地」が設けられた。そして、その末端部に、直径200mmの流末排水管が設置され、排水が今回、崩落事故が発生した急斜面に放流されていた。これも、斜面を脆くさせ、今回の崩落につながった可能性がある。

 また、この排水管の設置のために、沈殿地からこの斜面にかけて、バックホウ等の重機で掘削したはずである。この掘削も、斜面を不安定にしたといえよう。

 さらに、今回の工事の造成平面図を見ると、このヘリパッドの表面は、平坦ではなく、北から南にかけて勾配(45mの距離で90cmの高低差)がついている。接地帯は、高密度に転圧されているから、多量の降雨があった場合、ヘリパッド表面、そして周辺部からの水が、今回事故があった斜面に流れていく。そのため、この斜面はますます不安定になっていくだろう。 

 

 なお、2月1日、県の環境保全課が沖縄防衛局に出向いて崩落事故の説明を求めた際、沖縄防衛局は、県が要請した崩落事故現場の写真の提供について、「米軍の許可がないと渡せない」として拒否したという。県の条例に基づき、赤土流出防止を所管する環境保全課が求めたにもかかわらず、写真すら渡さなかったとはなんという傲慢な態度だろう。

 県は、沖縄防衛局に対して、毅然とした対応をとり、早急に現地調査を実施することを求めるものである。

 

 

 

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