乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

癌とテロメア

2010年08月17日 | 病気・症状
生まれてすぐ遺伝子を検査し、「この子は癌罹患率が高く、癌死亡のリスクも高いです」って、言われたら、どんな気分になるでしょうか。
また、子ども自身が、癌罹患率も死亡率も高いと知らされたら…。

なんだか、これからの未来に手かせ足かせはめられて、希望を奪い取られるような気分になっちゃいそうです。
初発の癌患者だって、再発の不安を頭のどこかに残したまま生活を続ける人は多い。これって、随分と自分の大切なエネルギーを削ってしまう。やる気をなえさせてしまうと思うんです。

子どものうちから、遺伝子検査で“未来予測”をされたとしたら。。。
気力減退と、病気の“予防”に役立つのと、バランスを保つのが難しそうです。

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【テロメア長が短い人は癌罹患と癌死亡のリスクが高い】 2010. 7. 30

 染色体の末端にあるテロメアの短縮は染色体を不安定にし、癌化のリスクを高める可能性がある。オーストリアInnsbruck医科大学のPeter Willeit氏らは、ベースラインのテロメア長と、その後10年間の癌発症と癌による死亡の関係を、一般集団を対象に前向きに調べる初めての研究を行い、テロメア長と癌罹患、癌死亡の間に有意な関係を見い出した。論文は、JAMA誌2010年7月7日号に掲載された。

 対象にしたのは、Bruneckスタディの参加者だ。これは90年に始まった集団ベースの前向き研究で、イタリアBruneckの住民の中から40~79歳の人々1000人を無作為に選び、5年ごとに調査していた。今回の分析は、95年に評価を受け、その時点で癌ではなかった人々のうち、05年までの癌の罹患と癌による死亡に関する情報が得られた787人を対象に行われた(対象となる癌は、メラノーマ以外の皮膚癌を除く全ての癌)。

 ベースラインの白血球のテロメア長は95年に採血された血液標本を対象に、Cawthon氏らが開発した方法を用いて、定量的PCRにより測定した。テロメア長はT/S(テロメアの繰り返し配列のコピー数/単一遺伝子のコピー数)比で表した。

 主要アウトカム評価指標は、95~05年の10年間の癌罹患率と癌死亡率とした。

 10年間に癌を発症したのは、787人中92人(11.7%)だった。罹患率は1000人-年当たり13.3(95%信頼区間10.8-16.3)。最も多かったのは乳癌で12人、次いで胃癌が11人、肺癌と前立腺癌がそれぞれ10人など。

 全員のベースラインのテロメア長(T/S比)の平均は、1.48(1.43-1.54)。癌罹者群の平均は1.12(1.02-1.23)で、非罹患者の1.53(1.47-1.59)に比べ短かった(P<0.001)。

 ベースラインのテロメア長に基づいて登録者を3分した。短いグループ(264人)のテロメア長は0.78(0.76-0.80)、中間のグループ(258人)は1.30(1.28-1.32)、長いグループ(265人)では2.36(2.27-2.45)となった。短いグループの47人、中間グループの32人、長いグループは13人が癌に罹患していた。

 テロメア長が短いことと有意な関係を示す要因を探したところ、年齢が高い、性別男性、糖尿病、身体活動が少ない、高感度CRP高値などが同定された。そこで、これらと、社会的な地位、喫煙歴、飲酒などで調整してCox回帰分析を行ったところ、ベースラインのテロメア長が短いことは、独立した癌罹患の危険因子であることが明らかになった。

 Log e変換したテロメア長の1SD減少当たりの多変量調整ハザード比は1.60(95%信頼区間1.30-1.98、P<0.001)になった。


テロメア長が長いグループに比べると、テロメア長が短いグループの癌罹患リスクは3.11倍(ハザード比3.11、1.65-5.84)、中間グループでは2.15倍(1.12-4.14)だった(P<0.001)。

 1000人-年当たりの罹患率は、長いグループで5.1(2.9-8.7)、中間グループでは14.2(10.0-20.1)、短いグループでは22.5(16.9-29.9)。

 こうした関係は、男女共に、また固形癌にも血液の悪性腫瘍にも同様に見られた。

 次に、癌死亡について検討した。癌死亡は44人で、ベースラインのテロメア長が長いグループは2人、中間グループが14人、短いグループが28人だった。

 1000人-年当たりの死亡率は、全体では6.2(4.6-8.3)、長いグループは0.8、中間グループは6.0、短いグループでは12.9となった。

 やはりテロメア長が短いグループで癌死亡リスクが高く、Log e変換テロメア長が1-SD減少当たりの多変量調整ハザード比は2.13(1.58-2.86、P<0.001)で、テロメア長が長いグループと比較すると、癌死亡の多変量調整ハザード比は短いグループが11.11(2.61-47.36)、中間グループは5.63(1.27-24.98)になった。

 なお、転帰良好の癌よりも死亡率の高い癌でこの関係は顕著だった。

 初めての集団ベースの前向き研究の結果は、テロメア長がその後の癌罹患、癌死亡に有意に関係することを示した。

 原題は「Telomere Length and Risk of Incident Cancer and Cancer Mortality」、概要はJAMA誌のWebサイトで閲覧できる。
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この報告では、 染色体の末端にあるテロメアの長さを3つに分けています。ポイントは、

>テロメア長が長いグループに比べると、テロメア長が短いグループの癌罹患リスクは3.11倍、中間グループでは2.15倍。
>1000人-年当たりの死亡率は、全体では6.2(4.6-8.3)、長いグループは0.8、中間グループは6.0、短いグループでは12.9。
>転帰良好の癌よりも死亡率の高い癌でこの関係は顕著だった。

>テロメア長が短いことと有意な関係を示す要因として、年齢が高い、性別男性、糖尿病、身体活動が少ない。
>社会的な地位、喫煙歴、飲酒などと、テロメア長が短いことは、独立した癌罹患の危険因子であることが明らかになった。

テロメアを短くしないような生活を続けるのがいいのかな。
でも、テロメアが長い人でも癌に罹患することはあるのだから、癌罹患について、要素が1つ発見された、ぐらいに考えればいいのかしらん。


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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)