西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

三重霞嬉敷顔鳥

2010-03-14 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
18-「三重霞嬉敷顔鳥」その2


事代主はもともと託宣の神さまなのだが、いつのまにか
恵比寿さまと入り混じり、恵比寿信仰の福神となった。
釣り竿で鯛を釣り上げた恵比寿の姿は、釣りが好きな事代主の神話から作られたのだそうだ。
ちなみに、事代主の父の大国主命も大黒天と入り混じって、大黒さまとなった。
だから、大黒さまと恵比寿さまは親子ということになる。

俵の上に立つ大黒様は豊作の神さま、釣り竿を持つ恵比寿さまは豊漁の神さま。
親子合わせて、食料の豊饒をもたらすところから、市の繁盛と結びつき、商売繁盛の神さまになった。


『しかもその日は全盛な
 事代主の惣仕舞
 神も色には深見草
 二十日流して 恵比須請
 夜も蛭子の床の内  
 三年足立ち給わねば』

●正月三日は、今を盛りの事代主さんが、廓の遊女をみーんな買い切り。
 神さんも色にはどっぷりはまるとみえる。
 二十日も居続け、夜も昼もお茂りお茂りの床の中。
 それがたたって、三年も足腰がお立ちにならなかったので。

惣仕舞(そうじまい)などという、千両箱をばらまくような遊びができるのは、大尽といわれる豪商しかいない。
みかんで儲けた紀伊国屋文左衛門、材木で儲けた奈良屋茂左衛門など、ごくわずかだ。
大尽は大神から派生した言葉だから、事代主に廓遊びをさせるのも、ごもっともな話ではある。
ちなみに、一月二十日は恵比寿講の日。

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tea breaku・海中百景
photo by 和尚
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