西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

楠公―5

2012-03-30 | 泣けます、長唄
楠公―5

桜井の宿で馬を止めた楠正成は、11歳の嫡男正行(まさつら)にいう。

「如何に正行聞き候え 
 獅子は我が子を千尋の谷へ
 落として気合いを見るとかや

 まして汝は11歳
 父が教えを忘れなよ

 そも此の度の合戦は
 天下分け目の晴れ戦
 父は兵庫に討ち死にと
 心を決して候ぞ
 汝は是より故郷へ
 とくとく帰れと促せば」

正成は弟正季(まさすえ)ともども、
この合戦での討ち死にを覚悟している。
楠家存続、宮方報恩のためには、
嫡男正行を道ずれにするわけにはいかないのだ。

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tea break
photo by 和尚