靭猿-5
家来のことばを聞くまでもなく、大名は言いった。
「やーい 太郎冠者(たろうかじゃ)撃つなと言え、撃つなと言えー!
連れて帰れと 申せい!」
小猿の無心な芸が大名の心をゆさぶったのだ。
猿曳きはその言葉を聞いて、
「只々ありがたや」
と、ひれ伏し手を合わせる。
緊張を解かれた聴衆は、一斉に思う。
「あーやれやれ、よかった よかった」
そして猿曳きは、
「この上のおん礼に 猿に一差しまわせましょう」と、
声を張り上げ、鞭を振る。
〓 〓 〓
tea break
photo by 和尚
家来のことばを聞くまでもなく、大名は言いった。
「やーい 太郎冠者(たろうかじゃ)撃つなと言え、撃つなと言えー!
連れて帰れと 申せい!」
小猿の無心な芸が大名の心をゆさぶったのだ。
猿曳きはその言葉を聞いて、
「只々ありがたや」
と、ひれ伏し手を合わせる。
緊張を解かれた聴衆は、一斉に思う。
「あーやれやれ、よかった よかった」
そして猿曳きは、
「この上のおん礼に 猿に一差しまわせましょう」と、
声を張り上げ、鞭を振る。
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photo by 和尚