ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

ダビデとバテシェバ④ 預言者ナタンの警告

2020年07月03日 | 聖書

 

 

 主がナタンをダビデのところに遣わされたので、彼はダビデのところに来て言った。「ある町にふたりの人がいました。ひとりは富んでいる人、ひとりは貧しい人でした。(第Ⅱサムエル記12章1節)
 富んでいる人には、非常に多くの羊と牛の群れがいますが、(2節)
 貧しい人は、自分で買ってきて育てた一頭の小さな雌の子羊のほかは、何も持っていませんでした。子羊は彼とその子どもたちといっしょに暮し、彼と同じ食物を食べ、同じ杯から飲み、彼のふところでやすみ、まるで彼の娘のようでした。(3節)
 あるとき、富んでいる人のところに一人の旅人が来ました。彼は自分のところに来た旅人のために自分の羊や牛の群れから取って調理するのを惜しみ、貧しい人の雌の子羊を取り上げて、自分のところに来た人のために調理しました。」(4節)
 すると、ダビデは、その男に対して激しい怒りを燃やし、ナタンに言った。「主は生きておられる。そんなことをした男は死刑だ。(5節)
 その男は、あわれみの心もなく、そんなことをしたのだから、その雌の子羊を四倍にして償わなければならない。」(6節)
 ナタンはダビデに言った。「あなたがその男です。イスラエルの神、主はこう仰せられる。『わたしはあなたに油をそそいで、イスラエルの王とし、サウルの手からあなたを救い出した。(7節)
 さらに、あなたの主人の家を与え、あなたの主人の妻たちをあなたのふところに渡し、イスラエルとユダの家も与えた。それでも少ないというのなら、わたしはあなたにもっと多くのものを増し加えたであろう。(8節)
 それなのに、どうしてあなたは主のことばをさげすみ、わたしの目の前に悪を行ったのか。あなたはヘテ人ウリヤを剣で打ち、その妻を自分の妻にした。あなたが彼をアモン人の剣で切り殺したのだ。(9節)
 いまや剣は、いつまでもあなたの家から離れない。あなたがわたしをさげすみ、ヘテ人ウリヤの妻を取り、自分の妻にしたからである。』(10節)
 主はこう仰せられる。『聞け。わたしはあなたの家の中から、あなたの上にわざわいを引き起こす。あなたの妻たちをあなたの目の前で取り上げ、あなたの友に与えよう。その人は、白昼公然と、あなたの妻たちと寝るようになる。(11節)
 あなたは隠れて、それをしたが、わたしはイスラエル全部の前で、太陽の前で、このことを行おう。』」(12節)

 


★★

 

 ナタンはダビデお抱えの預言者です。すでに、ダビデの神殿建設の願いについて、主の御言葉を取り継いでいます。(第Ⅱサムエル記7章)
 王の重要な決断や行為について、神の御心を伝えるのですから、時に王にとって耳の痛いことも告げなければなりません。

 
 ウリヤがダビデの計略通り戦場で戦死して、ダビデはバテ・シェバを妻として迎えました。ふたりの間にできた「問題の子ども」も生まれ、事件は一段落したかのように見えました。

 そこに、ナタンはやって来るのです。

 

 それにしても、このナタンの預言は何と容赦のないものでしょう。貧しい人と金持ちの例話は、子どもでもわかるような図式的な話です。もちろん、ダビデは不正を行う金持ちを怒りました。
 そこでナタンは言うのです。「あなたがその男です。」
 そのあとに続くナタンのことばは激しく、とても王と家臣の関係では出てくるような内容ではありません。預言者であり、王の助言者であってもしょせん、王の家臣なのです。強大な世俗の権力者である王をいさめるのは、命がけでした。

 

★★

 

 ナタンは、まず、主がダビデに非常に多くのものを与えられた事実を思い出させました。イスラエルとユダの王権、サウル家の者たち、サウルの妻たちの中にも、ダビデのそばめとなった者がいたのでしょう。でなくても、ダビデにはすでに多くの妻がいて、そばめもいました。女性に不自由していたのではないのです。
 神様は仰せになります。「それでも少ないというのなら、わたしはあなたにもっと多くのものを増し加えたであろう。」 神は、「女性が欲しいのならいくらでも与えた」とさえ言われるのです。

 そして、ヘテ人ウリヤの血の責任をダビデに知らせ、ダビデの家では、剣と剣が争うことになる。ダビデの妻たちは白昼公然と、ダビデの友――最も信頼する者によって凌辱されると宣告するのです。

 

 あなたは隠れて、それをしたが、わたしはイスラエル全部の前で、太陽の前で、このことを行おう。(12節)

 

 神からの、このような宣告を恐れない者がいるでしょうか。もちろん、ダビデも震え上がったのです。

 事実この預言の通りの出来事が、ダビデの身に起こりました。このあと、ダビデの家庭には、忌まわしい事件が次々と起きてきます。

 その中で、ダビデがもっとも愛していた息子アブシャロムが謀反を起こし、ダビデのそばめたちを、白昼堂々と凌辱するのです。

 

 

 預言者とは、神の言葉を預かって語る者のことです。予見者や代言者の意味もありますが、幅広く人間(王)の行いを警告するために召された人と、考えられています。

 

Coffee Breakヨシュア記・士師記・ルツ記・サムエル記330 預言者ナタンの警告(第Ⅱサムエル記12章1節~12節)より再録しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。