お掃除ロボット『ルンバ』が我が家にやってきました。
狭い部屋の中を器用にくるくるくるくると動き回る働き者で動画でお見せできないのが残念なほどです。
幅38センチ以下、高さ10センチ以下の個所はルンバが入る事ができません。また高さが2センチ以上ある場所は乗り越えることができませんが、我が家の場合、全室オープンのバリアフリーなのでルンバが行けない部屋はありません。
小さな椅子の下やカフェテーブルの下などはルンバが入れないけれど、ほぼ95パーセント以上は完全網羅してくれることが判明。逆にルンバがエラーを起こしやすい苦手な場所が1か所あることがわかり、そこにはルンバの入れないカフェテーブルをお掃除タイムの時だけ移動させて置けばいいことなど、ロボットと言えども小さな人智は当然必要です。
思わず、「あ、ルンバ、そっち行っちゃダメ!!こっち、こっちでしょ!!」と叫びながら、ルンバの動きをひたすら見つめること数時間。リビングや部屋はもちろん、台所、洗面所、寝室などルンバは勝手に自在にすべて移動して家の中の埃がきれいに払しょくされました。
外出の時、「ルンバ、お願いね」とスイッチオンで、家に戻ると掃除機がけが終わっている、ルンバはホームベースに戻っていて充電も終わっているお利口さん、まさにそんな世界が反時代的生活を送っている私のもとにもやってきました。
写真は「ハーブ&ドロシー」(佐々木芽生監督作品)のチラシから。
ニューヨークに暮らす元郵便局員で郵便仕訳人のハーブとその妻で元図書館司書だったドロシーを追ったドキュメンタリー映画です。
渋谷の映画館「シアター・イメージフォーラム」で13日から始まったこの映画。
私は、美容室で髪をカットしてもらっている間に雑誌『クロワッサン』を読んでいてこの映画のことを知り、観たい!と思いました。
「ハーブ&ドロシー」は狭い1LDKのアパートにつつましく暮らしながら30年にもわたり現代アートをコレクションしその数は4000点以上にも及びます。蒐集した当時無名の売れない作家は有名になり作品はやがて高値が付いていくようになって行きます。それら作品を1点も売ることなくすべて国立美術館に寄贈したことなどが記され、上映の案内がなされていました。
いまや私の周辺には「断捨離」ブーム到来で、まるでそれと反するようなふたりの膨大なコレクション。見様によってはガラクタと紙一重の現代アート。作品は部屋中にあふれ、次世代に引き継ぐために作品を保護し、その一部を布で覆っていたり、およそ自室の鑑賞用とはかけ離れた作品群の数々。美術館に運び出すとき大型トラック5台分があったというので驚きです。しかしもっと驚くのは作品を選ぶふたりの目の狩人のような確かさで、20世紀現代アートの名作ばかりを結果としてコレクションしたことになります。ふたりの作品に対峙するときの眼差しの優しさや鑑識眼の確かさ、
ふたりが選ぶ基準は「自分たちのアパートに入る作品」と「自分たちのお金で買えるもの」という2点、あとは好き(美しい)かどうかということのみ。換金の目的を持たずただひたすら作家と交わり惚れた作家の作品を買い続けることのエネルギーに圧倒されました。
佐々木監督の舞台挨拶では、映画を作ることになったきっかけなども語られ、「ハーブもドロシーも150cmにも満たない小さな人で可愛らしい普通の、今は年金暮らしの老夫婦です、取材を通して人の持つ情熱の力を感じました」と話されていました。また映画作りのために当初の計画より予算が3倍もかかり、ニューヨークの自宅を担保にしてお金を借りて完成させたことなども。完成さえすればそこから何とかなって行くという強い信念があったけれど、日本では「ドキュメンタリーで現代アートを扱っている」という理由で観客動員が見込めないということで上映してくれる映画館がなく、途方にくれたことなど、監督の話しも映画と同じくらいのドキュメントタッチの迫力がありました。
小柄なハーブとドロシーが手を取り合って歩くうしろ姿は、まるでチャップリン映画の中のチャップリンのようにも見えました。
人は周りを気にすることなく、置かれた環境にひるむことなく、自分の信じた道をひたすら突き進めばいいのだと、そんな勇気とほほえましさも同時にいただいた映画でした。
私の観た17日は調べた当初は19:00~からのレートショウの1回上映で1週間で終了となっていましたが、今は違っているようです。19:00~の上映は満席でした。ドキュメンタリーで満席になるなんて、すごいですね。何かが動いているようです。