猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ミモザの島に消えた母

2016-09-12 18:25:57 | 日記
フランス映画「ミモザの島に消えた母」を観にいった。
「ミモザの島」と呼ばれる風光明媚な避暑地で、謎の溺死を遂げた母。10歳のアント
ワーヌは心に大きな傷を負い、妹のアガットは母の思い出を記憶の中から消し去った。
それから30年、家族の中で母の話はタブーとなり、再婚して新しい家庭を築いた父は
過去を完全に封印した。しかし、そんな生き方に疑問を抱いたアントワーヌ(ローラン・
ラフィット)は、母の死の真相を追い始めるが、辛い過去から目を背けて生きてきた
アガット(メラニー・ロラン)は兄に対して苛立った態度を取る。

ミステリー仕立ての人間ドラマである。原作者は「サラの鍵」の作者であると知って納
得した。アントワーヌは40歳になるが、30年前に不審な死に方をした母クラリスのこと
が気になり、大人になりきれていないような男性である。それに加えて離婚や失業など
の不幸に見舞われる。彼は30年前の真実と向き合わなければ前へ進めないと考え、
母の死の真相を探り始める。だが父と祖母は母の死について頑なに口を閉ざし、「父
と祖母は何かを隠している」と言うアントワーヌに、妹のアガットは考え過ぎだと言う。
家族にとってタブーになっている話を持ち出したことで、アントワーヌは父や祖母と対
立し、孤立していく。
アントワーヌは少しやり過ぎな面もあるが、私が彼の立場だったら、やはり同じことを
したと思う。10歳の時母は何故死んだのか?その真相を父と祖母は何故話さないの
か?父と祖母はずっと秘密を抱えて生きてきたのだ。それを知りたいと思うのは子供
の立場として当然である。妹のアガットは真実を知るのが怖いために、知ろうとしない
が、それでもアントワーヌの味方でいてくれる。離婚後にできた恋人も。やがてアガット
は、アントワーヌの長女の悩みを聞いたことがきっかけで、30年前のある光景が蘇って
くるのだった。
母クラリスはかわいそうな人である。彼女の人生は何だったのかと思うと、気の毒で
たまらない。ネタバレになるので書けないが、彼女を死に追い込んだ人物を、私だっ
たら責めて罵ってやりたい。だがそれは間に合わなかった。アントワーヌとアガットは、
その悔しさを昇華できるのだろうか。私なら一生憎み続けるし、責められなかったこと
を一生後悔し続ける。
主人公の母の死の秘密や妻子との問題など、重たい要素が詰まった、なんともやり
きれない物語だった。アガット役のメラニー・ロランは美人だが、「イングロリアス・バス
ターズ」でもかわいそうな役だったなあ。あんなかわいそうな展開にしなくてもいいのに、
と思ったものだ。



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ブレイクアウト

2016-09-07 13:40:06 | 日記
2011年のアメリカ映画「ブレイクアウト」。
ダイヤモンド・ディーラーとして成功を収めているカイル・ミラー(ニコラス・ケイジ)は、
美しい妻サラ(ニコール・キッドマン)と反抗期の娘エイヴリーと3人で、豪邸で暮らして
いた。今日も帰宅すると、「友達とパーティへ行く」と言うエイヴリーと、反対するサラが
リビングで言い争っていた。エイヴリーは自分の部屋に閉じこもってしまう。やがて、
チャイムが鳴り、カイルが防犯モニターを覗くと、そこには2人の警官の姿が。「強盗が
多発しているので巡回に来た。家族を全員リビングに集めるように」との言葉に、警官
を招き入れるカイル。ところが、ドアを開けた途端、武装した覆面の4人組が押し入って
くる。捕らえられ、銃を突きつけられるカイル。カイル宅に大金とダイヤモンドが隠され
ていると確信した彼らは、計画的に襲撃してきたのだった。

強盗に襲われた家族の恐怖を描いたサスペンス映画。舞台はほぼ家の中である。
緊張感があってなかなかおもしろかった。家族と言っても娘はこっそり家を抜け出して
パーティに行ってしまうので、前半はほぼ夫婦と強盗たちのやり取りである。カイルは
どんなに暴行を受けても、頑なに金庫を開けようとしない。「金を盗られたら殺される」
と言うが、実はカイルはサラにも言えない秘密があった。そしてサラの方も秘密を持っ
ていた。
この映画はサスペンス要素だけでなく、お互いに信頼を失くし、壊れかけている夫婦
の再生の面も見どころの1つだと思う。突然の悲劇に見舞われた夫婦を、ニコラス・
ケイジとニコール・キッドマンが熱演していた。
それにしても大きな家だなあ。アメリカ映画にはよくこんな豪邸が出てくるが、羨ましい
ものだ。両親に見つからないように外出する娘。私の狭い家なんか、家族に見つから
ずに外出するなんて不可能である。強盗に入られても逃げる場所もない。お金がある
っていいなあ( ̄▽ ̄)。実生活ではお金に困っているニコラス・ケイジが、大金持ちの
役を演じているのが皮肉で哀しい。



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