1960年のフランス映画「かくも長き不在」。
パリ郊外でうらぶれたカフェを経営するテレーズ(アリダ・ヴァリ)は、ある日町に
現れた浮浪者の男(ジョルジュ・ウィルソン)に目を止める。その男は16年前にゲシ
ュタポに連行され、行方不明になっていた彼女の夫アルベールにそっくりであった。
テレーズはその男にコンタクトを取るが、男は記憶喪失だった。
第14回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。重厚な人間ドラマの傑作である。
カフェを経営するテレーズは、ある日町にふらりと現れた浮浪者を見て驚く。16年
前ゲシュタポに連行されたまま行方不明になっていた夫のアルベールにそっくりな
のである。しかし人相がすっかり変わってしまっている上にその男は記憶喪失だと
いうことがわかり、自信が持てない。テレーズは男に食事をふるまい、昔話をし、
レコードをかけてダンスを踊る。男の記憶は全く戻らないが、テレーズは男が夫で
あると確信する。親戚は瞳の色や身長が違う、アルベールではないと言う。町の人
々も気にしている。しかしテレーズは確信していた。
浮浪者の男を夫であると信じ、何とか記憶を蘇らせようとするテレーズの一生懸命
な姿が悲しい。テレーズはカフェを経営しながら、ずっと夫の帰りを待っていたの
だ。そこへ現れた夫そっくりの男。男は夫なのか。16年も夫を待ち続けるなんて並
大抵のことではないと思う。それほどテレーズの夫への愛は深いのだ。しかし男は
記憶を取り戻してはくれない。自分が誰なのかわからないのだ。
ラスト近くの男の行動は重たい。戦争はこんなにも人の心を傷つけるものなのだ。
戦争さえなければテレーズとアルベールは今も仲良く暮らしていたに違いない。戦
争は悲しみしか生み出さないものであると改めて思う。ラストシーンはあまりにも
辛く悲しい。
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パリ郊外でうらぶれたカフェを経営するテレーズ(アリダ・ヴァリ)は、ある日町に
現れた浮浪者の男(ジョルジュ・ウィルソン)に目を止める。その男は16年前にゲシ
ュタポに連行され、行方不明になっていた彼女の夫アルベールにそっくりであった。
テレーズはその男にコンタクトを取るが、男は記憶喪失だった。
第14回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。重厚な人間ドラマの傑作である。
カフェを経営するテレーズは、ある日町にふらりと現れた浮浪者を見て驚く。16年
前ゲシュタポに連行されたまま行方不明になっていた夫のアルベールにそっくりな
のである。しかし人相がすっかり変わってしまっている上にその男は記憶喪失だと
いうことがわかり、自信が持てない。テレーズは男に食事をふるまい、昔話をし、
レコードをかけてダンスを踊る。男の記憶は全く戻らないが、テレーズは男が夫で
あると確信する。親戚は瞳の色や身長が違う、アルベールではないと言う。町の人
々も気にしている。しかしテレーズは確信していた。
浮浪者の男を夫であると信じ、何とか記憶を蘇らせようとするテレーズの一生懸命
な姿が悲しい。テレーズはカフェを経営しながら、ずっと夫の帰りを待っていたの
だ。そこへ現れた夫そっくりの男。男は夫なのか。16年も夫を待ち続けるなんて並
大抵のことではないと思う。それほどテレーズの夫への愛は深いのだ。しかし男は
記憶を取り戻してはくれない。自分が誰なのかわからないのだ。
ラスト近くの男の行動は重たい。戦争はこんなにも人の心を傷つけるものなのだ。
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